ポコアポコヤ

食べ物、お菓子、旅行、小説、漫画、映画、音楽など色々気軽にお話したいです(^○^)

「しんせかい」感想 山下澄人

2017-01-28 | 小説・漫画他

もともと、あの「富良野塾」の卒業生が書いた本ということで、興味があってリクエストしてあって、奇しくも芥川賞受賞の前日に順番が回ってきました。

富良野塾の名前は、見聞きしていたものの、内情とかについて全く知らなかったので、こんな風な暮らしをしていたんだ?という処など、興味深く読ませてもらいました。でも、すごい面白い!とかガツンと来る系のお話ではないかも。3つ★半

作者の山下さんは二期生とのことですが、年代的にも自分とほぼ同年代。あのころ本州から北海道に来る時の交通(船)とか、様子なども懐かしく感じたし、付き合ってるわけじゃないけれど・・故郷の同級生の天との手紙のやり取りとかも、なにか風情が「北の国から」を感じさせられました。


主人公はスミト。倉本さんについて、彼の作ったドラマについても、あまり知らないまま、なんとなく2年間授業料やらなにやら無料というのに惹かれて応募し、選ばれて、塾生になった様子。
本文に登場する【先生】とは倉本聰さん、【谷】は富良野塾ですね。

谷においては、先生が偉大な存在で、ちょっと怖い存在であること、谷での生活を人に話す機会があった時、面白おかしく会話しようとして、つい先生に文句めいた事を言ってしまったこと、演技の練習の時先生に褒められて嬉しかったことなど、素直に書かれていました。
倉本さんも教え子が、こんな風に受賞されたこと、きっと嬉しいだろうなー。

寒い北海道で、トイレとかお風呂が同じ建物内ではなく、一度外に出て行くところにあったこと、馬の世話やら、玉ねぎを植える仕事や、収穫の大変さとか、色々面白いことが書かれていました。
沢山メンバーが出て来て、私は記憶力が悪いので、全員の名前とキャラがしっかり把握できずに読んだのが惜しかったです。
ドラマとかにしたら、解りやすく、面白いものになりそうです。

それにしても、無料で2年間生活できるっていうのは凄いですねー。みんなで自給自足的な生活、建物をみんなで建てるってのも凄いし。
まさに「北の国から」ですな。
選出される人が、偶然なのか?、大型の車の免許や、土木・建築にたけている人が結構いた、っていうのは笑えました^^
でも、質素過ぎる食事や、ハードな作業の後の先生の授業などで、かなり大変そうだなーと思いました。栄養失調で倒れたりしてるし・・。

文章は、芥川賞といっても、とても読みやすく、とっつきやすいですね。
ところどころ、点がなくて、ひらがなが繋がって読みにくいところがあったかも。

読み終わって、この富良野塾の卒業生って、どういう人がいるのかな?とウィキで調べたら、脚本家になられた人なども結構いらっしゃるようでした。もう富良野塾自体は2010年で閉塾してしまったそうですが、富良野GROUPに引き継がれている様子です。
そういえば「昨日、悲別で」ってドラマがあったっけ・・・天宮良さんって人がいたな(この人は富良野塾生ではない)。

しんせかい 2016/10/31 山下 澄人
内容(「BOOK」データベースより)
19歳の山下スミトは演劇塾で学ぶため、船に乗って北を目指す。辿り着いた先の“谷”では、俳優や脚本家志望の若者たちが自給自足の共同生活を営んでいた。苛酷な肉体労働、“先生”との軋轢、地元の女性と同期の間で揺れ動く感情―。思い出すことの痛みと向き合い書かれた表題作のほか、入塾試験前夜の不穏な内面を映し出す短篇を収録。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
« 「今はちょっと、ついてない... | トップ | 「透明人間は204号室の夢... »

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (はまかぜ)
2017-01-29 19:44:55
こんにちは
富良野塾、昔名前を聞いたことはあったかも知れませんが、中身は知りませんでした。
山下澄人さんの私小説になっているのですね。
寒い北海道でお風呂やトイレが別の建屋にあるのはかなり辛そうです。
当時の体験を書いた本が芥川賞を受賞し、倉本聰さんも嬉しいことと思います
返信する
はまかぜさん☆ (latifa)
2017-01-30 18:11:07
こんにちは、はまかぜさん
私も富良野塾の内情とかは、ほとんど知らずにいました。
山下さんは、まだ1980年代の2期生なので、その後の生徒さんは、もしかしたら、お風呂やトイレなど、移設・増設したりして、もっと便利な建物の中で生活されていたかもしれません・・・。

表紙の文字が、倉本さんによる筆だそうです。
返信する

コメントを投稿

小説・漫画他」カテゴリの最新記事