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「透明人間は204号室の夢を見る」感想 奥田亜希子

2017-01-30 | 小説・漫画他
朝井リョウさんが、奥田さんのことを絶賛していたのを聞いて、興味が湧いて読んでみました。
かなり面白かったです。4つ★ちょっと
私は本作が初めてだったのですが、他の小説も読んでみたくなりました。
ちょっとだけ、女乙一って感じもあったかも・・。

高校時代に文学賞を受賞し、本を出すことになった主人公の実緒。
幼い頃から、人間関係を築くのがとても苦手で、いつも孤独だった。そんな彼女の救いは読書と文章を書くことだった。
ただ、新人賞の後、数年が経ち、現在は小説が書けなくなり、単発のライターの仕事と話さなくて済む在庫チェックのアルバイトで生計を建てていた。

ある日、書店の棚で自分の本に手をかけてくれた青年を目撃し、嬉しさのあまり、後をつけてしまいました。
集合住宅のポストから、目星をつけ、その青年の名前に目星をつけ、SNSで検索したら、面白いほど簡単に彼のプロフィールが出て来ました。
毎日彼の発信する情報をチェックし、彼の彼女のいづみ、もチェックするように。

実緒は、自分を透明人間だと思い、夏の時期というのもあって、自宅内で全裸で一日過ごすようになり、晴臣の住む204号室に透明人間になって、こっそり入る・・・という妄想をするようになります。
今まで全然文章が浮かんでこなかったのに、最近は短編ではありますが、ストーリーが浮かんでくる様になり、その短編小説を、晴臣のポストに投函する・・という事を繰り返すようになります。

ある日、SNSで、いづみが自主出版等、怪しい話をもちかけられて、その気になりそうになっているのを知り、なんとかして引き留めたいと思い、メッセージを送ります。それがきっかけになり、2人は知り合い、実際に喫茶店で会い、いづみが学校の授業に誘ったり、彼氏と3人で海に出掛けたりするようになります。

ずっと友達が欲しかった実緒。
友達とワイワイやる人達(あっち側)に憧れ、でも小学校時代に男子から言われた「身の程知らず」で、色々な事を諦めて生きて来ました。
そんな実緒が、夢見ていた日々を送るようになり、無頓着だった服装に気を使うようになったりしていきます。

★以下ネタバレ★
しかし海の帰り、車でいびきをかいて寝ている実緒をよそに、2人が会話しているのを、実緒がこそっそり録音していた音声で後に聞き、知るようになります。いづみは文筆関係の仕事につきたいと思っていて、実緒と知り合うことで、仕事を紹介してもらおうという下心があったのでした・・・。
実緒が学生時代に、自分に近づいて来るクラスメートは、ノートを見せてもらいたい時だけだったり・・っていうのを、いづみが自分に親しくしてきた理由を知って、がっかりしてしまうのは良く解ります・・・。

でも、友達って、そもそも共通の趣味があったり近所だったり、仲良くなっておくと、得(言葉は悪いけど)という様な事が何も無い限り、自然と友達になる、っていうのは少ないかもしれない様な・・・。

そして、遂に晴臣に、あの謎の小説投函は、実緒の仕業だったことがバレて罵倒されます。
今まで投函した、たくさんの小説の用紙が自宅に投げつけられます。
そのタイミングで、実緒の以前の編集担当者さんが、声をかけてくれるのでした。短編だけど、最近書いたものがあって・・・と。
編集者さんは、是非とも読みたい!と言ってくれるのでした。
以上

この後、その短編が小説になって、いい方向に向かうと良いな・・・。
凄く面白かったし、実緒には幸せになってもらいたいのだけれど、いかんせん、ちょっとストーカーチックというか、限度を超えているところがあって、これは晴臣の立場なら、恐怖を感じてしまうのももっともだと思いますね・・・。
自分の小説に手をかけてくれた人を追いたくなるのは解るけど、勝手にポストから手紙などを漁って名前を探るってのは・・・。
そして、謎の小説を投函し続ける・・・っていうのはね・・・。
でも、面白かったので、さっそく他の作品もリクエストしました!

透明人間は204号室の夢を見る 奥田 亜希子 (2015年)

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4 コメント

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Unknown (はまかぜ)
2017-02-05 19:31:21
こんにちは。
この作家さんは初めて聞きました!
朝井リョウさんが絶賛だけあって何だか面白そうな内容です。
ただ実緒がストーカーチックなのはちょっと怖いですね
実緒の境遇、高校時代に文学賞を受賞したものの現在は小説が書けなくなっているは、思い当たる作家さんがいます。
その作家さんも実緒も、もう一度羽ばたいてほしいなと思います
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はまかぜさん☆ (latifa)
2017-02-13 08:49:19
はまかぜさん、こんにちは!
お返事遅れてすいません!

朝井リョウさんとか、西加奈子さんとか、大御所の方が、推薦したり、おすすめすると、話題になったり、注目されたりして、今まであまり知られてなかった方が、どんどん表に出て来る・・・ってこと、結構ありますよね。

はまかぜさんが、思い当たる作家さん、誰かな・・・思い浮かばないのですが、その作家さんにも是非また羽ばたけるチャンスというか、気運があることを願います!
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Unknown (はまかぜ)
2017-03-05 10:19:42
こんにちは。
作家さんは三並夏さんという人で、2005年に「平成マシンガンズ」という作品で文藝賞を史上最年少で受賞しました。
しかしその後は特に本が出ないまま10年以上が経ちました。
ただまだ26歳で、これから新たな小説を出す可能性も十分あると思うので、気長に待っていたいと思います
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はまかぜさん☆ (latifa)
2017-03-06 11:15:00
はまかぜさん、再度コメントありがとうございました!
>三並夏さん
知らなかったです・・・
今回、初めて検索してみて知りました。
凄くお若くして受賞されたのですね。
この10年間、色々な経験をされてきたでしょうし、また書きたい気持ちが溜まったら、ぜひ書いてもらいたいですね!

ちょこっと気になっていたので、教えて頂いて、ありがとうございました!
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