日本専門評論

日本国内の問題を、専門的に、あれこれ評論します。

中国経済の原動力

2006年12月05日 19時24分45秒 | 経済

ある日本人の目から見た中国の工場

 【大紀元日本10月31日】私は、典型的な「エコノミック・アニマル」と称される日本人ビジネスマンである。 中国に来て既に6年余りが経過し、これまで、中国の5つの都市で仕事、生活をしてきた。中国語の聞き取りはできるが、口語は流暢ではなく、 漢字の大体の意味を読み取ることができるが、書くことはできない。

 私の見解として、中国の工場の生産能力は大きく進歩したが、「世界の工場」という視点からみると、更に長い道のりを歩む必要がある。

 ?「世界の工場=血と汗の工場」ではない

 日本人をアリにたとえる者があるが、苦労に耐える点において、日本人は中国人に大きく劣っている。中国の珠海デルタ、長江デルタ、 江浙一帯では、技術が遅れ、生産物が同じで、管理がいい加減な家族式工場が数え切れないほど存在している。こうした工場は、 総じて技術レベルが低く、唯一の強みは、アリのように苦労に耐え、牛馬のように働く従順な中国人たちである。 労働者の日々の労働時間は10時間以上と非常に長く、ぼろぼろの家に住み、最低レベルの生活を送っている。もちろん、 基本的な社会保障なども得られない。時給で換算すると、彼らの賃金は世界最低である。一部の出来高制の工場では、 従業員の平均労働時間が12時間以上にも達し、工場長から強いられなければ、休もうとしない。私が勤務する企業には、 衛生業務に従事する中国の女工がいる。彼女たちには、督促をする者、直接管理する者はいないが、毎日ものを言わず、黙々と、 10時間以上ひっきりなしに働く。それは、ただ、彼女たちの賃金が他の工場の女工よりも少々高いからである。彼女らのような存在は、 決して珍しくない。彼女らが、収入の80%を家に送ると聞いても、誰も驚かない。日本人の視点からみると、彼女らに残されたお金では、 生存の基本的な生活を維持するにはとうてい足りない。まして、彼女らは、部屋代、水道代を支払わなければならないのである。私は、 かつて東南アジアの多くの国で仕事をしてきたが、経済的に遅れているミャンマーでさえ、労働者の残業は相当に困難なことで、 彼らは多くの要求をしてきた。フィリピンの労働者は、このような苦しい生活をしようとしない。また、フィリピン人は、1ヵ月働けば、 1ヵ月休み、前月の賃金を使い果たした後に再び働く。インドネシアにおいて、こうした仕事をしようとする者は全くいない。したがって、 私の考えでは、世界の仕事が中国に移転されているとはいうが、これは、苦しみに耐える中国人によって支えられているのであり、 こうした工場は、世界の他の国では、中国人以外に生存することはできない。

 ?熟練労働者なくして「世界の工場」の基準に達するのは困難

 中国の南方、北方の各都市において、多くの労働者が、大群をなして就業の機会を待っている。しかし、 本当に技術を理解している熟練労働者は、非常に稀である。これは、中国の大部分の工場に長期的な計画がなく、 技術支援に欠けていることによってもたらされたものである。農村から来た大量の労働者は、今年はこの工場、来年はあの工場で働き、 今年は靴を作り、来年は服を作りと、産業における労働者の流動性が極めて高く、有効な組織管理がなされておらず、 基本的な職務訓練がなされていない。同時に、工場に長期的な計画がなく、往々にして、売れるものに集中して生産するので、 労働者の技術もまた、製品の変更に伴って変更しなければならない。多くの情況において、工場は現在の労働者を解雇し、 市場において新たな労働者を雇用するが、このため、大部分の労働者は、一種類の技術に長く従事することが難しくなっており、 技能を向上させることができなくなっている。日本は、技術開発において優位に立っているわけではないが、 世界が比肩できない完璧な技術を持った産業人員の大軍を擁している。彼らは、関連する業務に何十年も従事し、 世界で最も精密な製品を巧みに作り出すことができる。こうした腕は、高等教育機関の教育の結果でも、短期の訓練で達成されたものでもなく、 長年にわたって鍛えあげられてきたものである。中国人は、日本人よりも腕利きであり、 かつてはこの上なく精巧で美しい工芸品を作り出していた。しかし、現在の中国の工場就業モデルにおいては、彼らが腕を磨く舞台はなく、 中国の労働者は、流砂と同様に、今年はこちら、来年はあちらへと流動していくため、技術の熟練に必要な条件を満たすことが難しくなっている。

 ?規模の小さい工場が「世界の工場」の基準に達するのは困難

 中国の工場は、ほとんどが小規模であり、同じ製品を作る工場は、その態様が同じである。日本の水準からみると、 こうした工場は単なる作業場で、産業化された生産水準には達していない。中国の工場が最も密集している珠海デルタ地区における、 全ての工場の年間生産額を足し合わせた数字は、日本の大企業1社の総生産額にしかならない。同様の製品を、無数の工場が別個に生産しており、 その結果、工場の操業時間は短く、製品のコストが高くなっており、企業に、技術開発を行い、技術開発部隊を育成する余剰資金はない。また、 労働力のコストが安いことから、企業に、より先進的な技術の設備を導入しようという意識はない。珠海デルタにおいては、テレビ、電子レンジ、 エアコン、冷蔵庫、電話等の低技術の家電を生産する正規の企業や、作業場式の企業が数え切れないほどあるが、 世界の名声を得るようなブランドはない。服装、靴、帽子、玩具に至ってはなおさらであり、同様に、 規模の生産を行うための最低限の生産水準に達しているものは全くない。

 ?低技術を主体とする工場が「世界の工場」の基準に達するのは困難

 世界的名声を得ている企業は、基本的に、製品の自主開発能力、科学的研究、生産、販売、サービスをワンセットで有しており、 中国の工場の大部分は、基本的には模倣生産か、他社の生産の代行であり、技術を他社にコントロールされ、 利潤が最も高い部分は他社に掌握されている。中国の科学研究体系と生産体系は、基本的に噛み合っておらず、製品開発能力が低下しており、 基本的に模倣生産を主としており、自主開発能力は極めて低い。

 ?効率の低い管理方式では、「世界の工場」の基準に達するのは困難

 企業の生産が進歩すればするほど、管理に対する要求はますます厳格になる。しかし、この点は、中国において最も欠落している。 中国の工場の総数は、日本のそれを遥かに上回っているが、プラント設備を生産できる工場は少なく、大部分の設備は、 海外から輸入したものである。中国の各工場を見て分かることは、比較的先進的な設備や、求められる技術の水準が高い部品は、 海外から輸入したものである。この点について、中国に最も欠けているのは、生産能力ではなく、 プラント設備を生産するための組織管理能力である。プラント設備は、大規模に生産を行う製品とは異なり、一式の生産設備は、 おそらく数年で一セットしか売ることができない。より多くの利潤を得ようとするならば、関連する各材料、メーカー、規格、 標準等様々な複雑な要素を総合的に組織し、時計の組み立てのように、精緻に組み立てていかなければならない。

 管理のプロセスが一つでも乱れれば、ただちにコストが増加し、性能が低下する。中国は、依然として、 精緻な組織管理能力に欠けており、効率の低い国有企業の管理階層が行っているのは、基本的に、官僚式の管理方法であり、 規模が比較的小さい規模の工場には鍛錬の機会が与えられない。かりに、エアバスの飛行機の生産が中国で行われ、管理を中国人が行うとすれば、 生産価格が高くなると私は思う。また、個人的に見て、中国に欠けているのは管理者ではなく、管理者を科学的に選抜する基準がないことである。 無能で、人格が低く、人の弱みにつけ込み、心理上の技を駆使するのが仕事であるような無能の輩が、賃金の高い管理者の位置を占めており、 優秀な管理人員が発展する余地を塞いでしまっている。

 中国には、世界のどの地方も真似ることのできない、最も苦労に耐える人民がいるが、彼らは、熟練技術に欠けた労働者である。 世界で最も多くの工場を擁しているが、規模が世界レベルの企業は全くない。製品の種類を揃えることはできるが、 先進技術で自主開発を行っている製品は非常に少ない。膨大な生産能力を擁しているが、先進技術を用いたプラント設備を作ることは難しい。

 中国は、真の意味での世界の工場からはほど遠い。今後しばらくすれば、中国は、初級製品の加工基地にすぎなくなり、 世界の工場の基準を満たすことは難しくなる。

中国共産党による労働者搾取問題

 【大紀元日本10月12日】現在、中国共産党は「豊かになれる者から先に豊かになれ。」という「先富論」 に基づき経済分野で市場経済を推進している。その結果、沿岸部では経済発展が著しい光景が見られる一方、内陸部では極貧世帯がいるという、 巨大な貧富の差が生じている。これは実は「共産党による労働者搾取問題」である。

 共産主義を作ったマルクスは著書「資本論」で「資本家が得る利益は、労働力に対して支払う価値(賃金) とその労働力が生み出す労働から得られる価値との差から生まれる」と考えたが、 この思想を持つ共産党が政治面で独裁政治を続けながら市場経済を推進するとどうなるか考えてみれば、 この問題は避けられないものであることは明白である。 例えば自国の製品を他国の製品よりも価格競争力あるものにするにはどうすればよいかを考える。原料代、加工機械、 物流など生産と販売に必要な資源が他国と同レベルであるとすれば、あとは労働者への賃金が鍵となる。実はここがポイントで、 共産党独裁政権は、政治によって労働者の賃金を不当に低く抑え、現在の「経済発展の虚像」を作り上げている。 そしてその見せかけの発展を根拠に自らの政権の正当性を主張している。労働者を資本家の搾取から解放すると唱えていたはずの共産主義政権が、 皮肉なことに労働者を搾取して、しかもそれが正当なものであると主張しているのである。中国共産党の労働者搾取の卑劣な手口を具体的に記す。

 「農村戸籍者への差別政策」

 中国に住む人々の戸籍には、大別すると「都市戸籍」と「農村戸籍」の二つがある。農村戸籍者は農業への従事が基本的に義務づけられ、 居住地を選択する自由がない。この政策によって農村戸籍者を貧しい状態に置き、期間を限定して彼らを出稼ぎ労働者として都市部で働かせれば、 都市部に低賃金で働く労働者が大量に集まる。そしてそのあおりを受けて都市部の住民も低賃金に甘んじざるを得なくなり、その結果、 低賃金の労働者市場が形成される。これが中国の「低廉な労働力」を生み出す主な仕組みである。

 「さらに経済発展が進めば貧富の格差はいずれ改善される」と考える者も多いが、その考え方は居住地選択の自由、職業選択の自由など、 基本的人権である自由を享受できる人々にのみ当てはまることに注意を要する。農村戸籍を持つ人々が都市部に自由に出ていって豊かになり、 農村戸籍者の地元の生活水準や経済水準が上昇すると都市部の労働者の賃金相場の上昇を招き、その結果、 低廉な労働力をあてにして中国に進出した外資系企業の撤退や国内企業の業績不振を招き、 国内に溢れた大量の失業者が非難の矛先を中国共産党の政治に向けるようになるので、 中国共産党は決して現在の農村戸籍者への差別政策を廃止することはない。もし仮に廃止されたとしても、その時にはまた別の差別政策を制定し、 他の人々を不当に貧しい環境に置いて低廉な労働力を確保しようとするので、いずれにせよ、 現在のような巨大な貧富の格差が縮小することは決してない。

 「安全対策不備の黙認」

 安全対策に費用を投じると、それだけコスト高につながる。中国の企業は膨大な労働者数を背景に、安全対策に費用をかけず、 いわば労働者を使い捨てにする傾向がある。このような現状に対して本来ならば政府が安全規定を定め、各企業を指導、 是正すべきところであるが、中国では共産党幹部と企業との癒着など汚職が絶えず、制定されている安全規定が守られていない。その結果、 中国では炭坑の爆発や崩落、工場でも爆発、火災、事故などが多発し、毎年多数の犠牲者が出ている。

 「医療制度改悪」

 中国共産党は患者の医療費負担を増やすことによって、低賃金で働く多くの労働者が必要とする医療を受けられないようにしている。 医療費患者負担額の増加の名目上の理由は国庫の医療費負担の抑制であるが、実はこれは膨大な人口と低賃金の労働者市場、 それに加えて人口抑制を背景とした「人材使い捨て政策」の一環である。

 医療費負担が増えても富裕者層は自ら医療費を負担できるし、共産党幹部は自らの権力で必要な医療を受けることができるので、 医療制度の改悪の影響は貧しい者たちのみに襲いかかる。

 「公害問題の放置」

 中国の企業は公害が発生しないようにするために必要な設備投資などを行わない。 その結果工場から毒物や環境汚染物質などが垂れ流しとなるが、共産党幹部の汚職によって公害問題が黙認されている。 その結果従業員はもちろん、周辺住民も被害を受ける。共産党員は人々を共産主義に隷属する単なる物品と見なしている。 共産党の目的達成のためにどれだけ多くの人々が命を落としても、共産党員にはそれらの犠牲者は単に使い古して壊れた物品としか映らないので、 汚染物質の垂れ流しを何のためらいもなく放置する。そして公害の事実を知っている共産党員は、自らの身を安全な場所へ移すのである。

 安全対策と公害を踏まえて、最後に重要な点を二つ指摘しておきたい。

 まず一つは、共産党独裁政権下の中国に対して諸外国が安全対策や公害汚染防止対策への支援を実施しても、 現金を渡せば横流しによって共産党幹部の懐を潤わせるだけに終わり、 機材を現物支給しても支援を受けた企業が保守作業をしないのでこれらの問題はいずれ再発するということである。民衆に対して自らの非を認め、 政策の是正を決してしない共産党独裁体制が続く限り、いかなる名目であれ金銭や物品の援助は共産党幹部の汚職をはびこらせるだけであり、 無駄であることはもちろん、中国共産党はそうして得られた援助を利用して軍備の増強や、自らと同様に国民の人権を蹂躙している国家や、 自らにとって都合がよい犯罪組織を支援していることを、各国の政治家や政府関係者をはじめとする世界中の人々は理解しなければならない。

 そしてもう一つは、このような不当な人権侵害を続ける中国共産党独裁政権下で作られる中国製品によって、 世界各国は現在も実際に直接的、あるいは間接的被害を受けているということである。 労働賃金を不当に低く抑えて生産される製品との価格競争は不利であることは明らかであり、それによって衰退の危機に瀕している産業もある。 公害で汚染された農作物が中国から輸入されて消費者に届けられ、健康被害が発生したりする。河川水や海水が汚染され、 周辺諸国に漁業被害をもたらす。これらの被害がすでに発生している、あるいは発生しつつあることに気づいていただきたい。 労働者の基本的人権を保障せず、まさに「人材使い捨て政策」を推進する中国共産党独裁政権が支配する限り、 これらの問題は解決できないことを、世界中の人々は理解しなければならない。

以上抜粋。

(私のコメント)

中共の人権侵害政策が、中国経済の原動力なのです。人件費が上昇すれば、中国は世界の工場として安穏としていられないので、 中共は人権侵害政策をさらに推し進めるでしょう。

問題は日本の政財界の親中派で、彼らは中共の人権侵害政策を日本に導入しようとしています。一方で親米派も、 アメリカ型の自由経済の御旗の下で、同様の政策を志向するのですから、最早、異常事態です。日本も中国と同じく「人材使い捨て政策」 が進むのでしょう。その時、日本市場は地に落ち、トヨタの没落も始まるでしょう(既に始まってますが)。


奥田・御手洗の描く未来ー中国に潰されるトヨタ・キャノンー

2006年12月03日 19時26分54秒 | 経済

イタリアの伝統的織物都市もアメリカの軍需産業都市も壊滅状態に
国外に流出する大量の中国人労働者が世界の都市の景観も生活も破壊している

中国経済がもたらす巨大な力は、世界の国の有り様さえも変えている。その国をかたちづくる伝統や軍事、 それらを担う産業都市にも大量の中国人労働者が押し寄せ、町をまるごと奪い去っていくのだ。
後に残るのは、焼き直しされた無惨な町の姿である。『中国が世界をメチャクチャにする』の著者で元「フィナンシヤル・タイムズ」 北京支局長のジェームズ・キング氏に「中国禍」の現状を聞いた。

中国人に吸い尽くされたイタリアの伝統産業部市

中国の産業革命がどれほど世界経済に影響を与えているか、もっと具体的に言うと、世界の産業都市をいかにメチャクチャにしているか、 私はジャーナリストとして自分の目で確かめたかった。そのために世界中に足を運んだが、その一つが、 700年以上もヨーロッパ織物業の中心であったイタリアの都市、プラートだった。

昨年4月、歴史都市フィレンツェからほど近いその街を訪れると、町には教会の鐘が空に響き渡り、大聖堂には前日亡くなったヨハネ・ パウロ2世の死を悼む人たちが溢れていた。一見、町の風情はそのまま残っているように見えたが、一歩町の中心に入ると、 窓に漢字で宣伝文句が書かれた美容院が目に入った。私は中国語の読み書きができるので、書かれている漢字の意味が普通に理解できる。 国際電話が安くかけられると漢字で宣伝している店を通りすぎたかと思うと、薬草療法の宣伝、娯楽クラブの眩いネオンが目に入ってくる。 まるで中国に戻ったと錯覚をするほど、街の景観は変わり果てていた。スーパーの前で足を止めたが、 壁に貼られたビラはすべて中国語で書かれた求人広告のビラだった。そのほとんどは服飾工場の求人だ。

そうだ。ここはイタリア屈指の織物業の都市だった。それが今では多くの中国人が移住し、町そのものを変貌させてしまったのだ。

中国から、バス、トラック、船を乗りついで入ってきた不法入国者にも出会った。説得するのは大変だったが、話を聞くと、 変貌に至るまでの全体像が見えてきた。

中国人たちは、プラートに着くと、最初低賃金で長時間骨身を削って働く。臥薪嘗胆そのものだ。毎日18~20時間も働くというから、 普通なら精神的にも参ってしまう。ところが彼らはものともしない。大量に入ってきた中国人が一丸となって働けば、どうなるだろうか。 経済の一大勢力になるのは時間の問題だった。織物工場の数も増え、小さなブームを呼んだほどだ。

当然のことながら、イタリア人も一緒になって幸せを感じたが、それはぬか喜びだった。その段階で、 根こそぎ町のものを中国に持って行かれると誰が予想できたであろうか。ここに中国人の狡滑さがある。 彼らは何年か工員として働いたあと独立し、経営者になるのだ。そしてイタリア人の元ボスを追い出しにかかる。 気づいてみるとプラートの商工会議所に登録された中国人経営の企業数は1992年の212社から03年には1753社にまで増えていた。 それは細薗の増殖のようだった。

ことはそこで完結しない。
最初は、衣料製造の工程の一部を中国に外注していたのが、今は全工程を中国に移しつつある。プラートには、 00年には6000社ほどあった繊維会社が、05年の半ばまでに3000社を切っていた。この数字を見ただけでも、 中国がこの狡滑なやり方を弄して、世界をムチャクチャにしていることがわかるだろう。

中国人に狙われたアメリカの軍需産業都市

中国が、78年の改革開放政策に転じてから、30年経つが、その経済発展ぶりは一見目を見張るものがある。 私は25年前に中国に留学して、98年からは、7年間「フィナンシャル・タイムズ」北京特派員を務めた。 正味20年以上中国にいることになるが、その間、様々な現地取材を敢行し、できるだけ一般人に話を聞いてきた。 もちろんその中には政府の役人も含まれている。そして取材を進めるにつれて、国の世界侵食がいかに醜悪であるか、改めて思い知らされた。

その証左をもう一つ挙げよう。米イリノイ州ロックフォードは典型的な中西部の町だ。まさかこの町を中国が侵食しているとは、 にわかに想像し難いだろう。町の中心に足を踏み入れると、繁華街と思えないほど人影が少なく、閑散としている。図書館に入って、 司書に話を聞<と、企業がつぶれて従業員がいなくなった上に、巨大スーパーマーケットであるウォルマートが町外れにできた後は、 町の中心から人が消えたという。

20世紀中、ロックフォードはアメリカの軍需産業やハイテク産業の工作機械製造を担ってきた。冷戦中、 ソ連の大陸間弾道ミサイルの標的にも入っていたという重要都市である。当時、町は専門技術を持った工学部出身者たちで溢れ、 活気に満ちていた。

この町が危機に陥ったのはつい最近のことだ。切削機などの精度の高さで評判だったインガソル社は03年に倒産したが、倒産前から、 中国の買い手は虎視眈々とチャンスを狙っていた。いち早く買収されたのはこの会社の自動車の工作機械部門である。中国の国有企業に買収され、 数十年にわたって研究されたインガソル社の最先端の技術は設計図ごとまるごと中国本土に持って行かれた。 元の会社で働いていた熟練工たちは当然仕事を失うことになるが、彼らに残っていた道は、 郊外にできたウォルマートなどのカウンターで働くことしかなかった。

こうして世界中から技術やノウハウを本国にごっそり移転する中国のやり方に、世界は太刀打ちできない。 大量に押し寄せる安い労働カと廉価製品攻勢で、世界中の企業はずたずたにされている。

また中国政府も人民元を不当に低いレートに固定し続けようとし、労働者が賃上げ要求できないように労働組合を作らせない。 少しでも運動しようものならリーダーは刑務所にぶちこまれる。石油の国内価格も国際価格よりも安く抑えられ、おまけに銀行は国有だから、 どれほど不良債権を抱えても表沙汰になることはない。このような商慣習と労働慣習をもった国が押し寄せてくるのだ。世界は対抗できない。

「終わりなき雇用危機」「倒産しない企業」

しかし、一見、高度経済成長を調歌しているようにみえる中国だが、実はそうではない。中国はよく「自転車を漕いるのである。 ゆえに政府は絶えず成長に迫られている(ちなみに2400万人といえばヨーロッパ全体の毎年の失業者数に近い数だ)。

さらに、消費者物価指数などの一般的な指標ではインフレ傾向が顕著だというのに、工業製品の平均価格は毎年下がっている。 中国は毎年1500万台のオートバイを生産しているが、実際の販売数より500万台も多い。売れ残ったバイクは倉庫に残り、 利益はほとんど出ない。それでも大半の企業が巨大なマーケットにこだわり生産を続ける。あきらかな供給過剰だ。倒産寸前の企業が溢れている。

銀行も返済能力がない企業に融資をやめることはない。この国の銀行は、企業を破産させると、失業者が街にあふれ、 消費不況を引き起こし、結局は銀行の利益に反することになると考える。だから中国は世界的にも倒産が少ない。 銀行と政府の考え方は同じなのだ。

このような歪みはいずれどこかで破綻するだろう。

賃金の点でみると、今の中国はイギリスの産業革命のときの半分である。それが商品の廉価の元になっているが、 その賃金はいずれ上げざるを得ない。そうなると製品価格も上がり、競争力が弱まる。

環境保護に対してもまったく無策だ。熱帯雨林の違法な伐採、空気汚染、川や湖の汚染。最悪の例が水だ。 水が汚染されているだけではなく、中国の国土から枯渇してきているのだ。現在水道の値段はかなり安いので、農業でも無尽蔵に使われている。 だが、ワイン製造に携わっている中国人に聞くと、文化大革命のときは15mも採掘すれば水が出てきたが、 今は井戸の深さが800mにもなっているというのだ。それほどまでに水が枯渇している。節水するためには水道料金を上げざるを得なくなる。 そうなると象が自転車を漕ぐ速度も落ちてくるだろう。

今の中国は400m走に例えるとわかりやすいと思う。現在中国は200m辺りを走っているが、スタートから速く走りすぎて、 頑張ったために、今かなり足が疲れている状態だ。環境が危機に瀕し、銀行などの隠れ不良債権が膨大に膨れた状態だが、 政府は無策のまま何もしようとしない。

ところが、これから賃金が上がり、石油価格も国際価格並みになると、競争力が落ちていくことは明白だ。そうなれば、 ますます自転車を漕ぐ速度が落ちてくる。漕ぐのをやめると倒れるので、やめるわけにはいかない。だが、 中国がこの状態のままで行くと2010年から2015年の間には、破綻寸前まで行くだろう。 もちろんそうなれば全国で暴動が起きるに違いない。昨年は小さな暴動を入れると8万7000件も起きたが、 一昨年から1万4000件も増えている。

中国が世界をムチャクチャにしているのは紛れもない事実だ。しかし、中国国内のミスマッチ(矛盾)が、 危険水域に達しようとしているのも事実なのだ。

以上抜粋。

(私のコメント)

まず上記をまとめると、(1)中国人労働者が工場で働く、(2)中国人労働者は身に付けた技術で独立する、(3)中国人労働者は、 ライバルとなった元上司の会社を潰す、(4)倒産した企業を買収し技術を手に入れる、(5)人件費の安い中国に工場を移転する、 ということです。

日本で、中国人労働者を受け入れた場合どうなるのでしょうか? トヨタやキャノンは対策できるのでしょうが、下請・ 孫請は対策できないでしょう。つまり日本企業の優位性である系列の手足が食われるのです。そして手足が捥がれたトヨタとキャノンは、 中国に潰されます。トヨタやキャノンは、大量の日本人失業者を生み出し、自社は中国企業になっていることでしょう。


沈み行く日本市場

2006年11月28日 20時14分52秒 | 経済

2. 戦後最長の景気の本当の姿は?
 
日本の企業は空前の利益を上げ、景気の良さも戦後最長といわれていますが、個人には全くというほど恩恵はありません。 かえって収入を減らしている個人が殆どなのです。
2002年2月からの景気拡大とされ、現在までに57ヶ月連続の景気拡大と政府は述べています。(月例経済報告)
ところが、この間サラリーマン等の給料(雇用者報酬)の伸びは、<マイナス1.6%>となっており、成長どころか減っているのです。

大企業は既報の通り<偽装請負>等のシステムを使い、日本人の若者の給与を出稼ぎに来ている外人並みに引き下げ、 コストを削減して利益を上げているのです。もちろん、企業経営者の経営努力もありますが、 その裏では虐げられる労働者が数多くいるという事実もあるのです。

※この<偽装請負>ですが、厚生労働省は態度が甘いといわざるを得ません。今回、請負最大手のクリスタルグループを摘発していますが、 ではこの偽装請負で利益を得ていた本家本元の企業は?お咎めなしとなっています。

今回の摘発では、住友ゴムの子会社の工場が摘発の対象になっていましたが、 これ以外ではトヨタ自動車系部品会社である<光洋シーリングテクノ社>、 松下電器産業の子会社である<パナソニック半導体オプトデバイス>も偽装請負があったと発表になっていますが、 厚生労働省はこれら企業を告発してはいません。
なぜでしょうか?経団連に加盟している大企業だからでしょうか?

今や、経団連に加盟している大企業は、昔我々が歴史で習った「女工哀史」そのままの状況を作り上げ、 空前の利益を上げていると言っても過言ではありません。本来なら、このような状況を改善するために労働組合がありますが、 いまや労働組合は貴族組合ともいわれるほど、幹部は会社側から優遇され、優雅な生活を送っているとも言われており、 労働者のためには働きません・・・。

そして、無駄を省くとして、トヨタのカンバンシステムは最高の効率を生むとして在庫を減らし、補修部品を保存せず、 徹底した効率化を追い求めたのです。
結果、確かに在庫は減りましたがいざリコールが発生し交換しようとした際に、交換先の部品がないという、考えられない事態が発生し、 リコールを発表したものの実際にはかなり先になるという醜態を演じる企業まで出てきています。
(一例:シャープのパソコン電池(ソニー製)リコール)

更には製品化を急ぐ余り、テストをなおざりにして、欠陥製品を世の中に送り出し、 欠陥が人殺しにまで発展することにもつながっているのです。

これらは全て<利益至上主義>の弊害ともいえるのです。
企業(大企業)さえ儲ければ国民などどうでも良いという、財閥が日本の富を独占した戦前と同じ状況に日本はなりつつあるのです。 政府も官僚もこの財界の動きに乗っかり、<勝てば官軍>とばかりに徹底した利益追求を助長させていっています。
結果、国民は景気回復の恩恵を受けられず、給与所得が<マイナス1.6%>という状況になっているのです。
しかも、この<マイナス1.6%>は空前の利益を上げている大企業をもいれた統計数字であり、大企業で働く正社員の給料は増えていますので、 大多数を占める中小零細企業の社員の給料は<マイナス1.6%>どころではなく、10%を超える減少になっているはずです。

このような中、更に国民を苦しめる動きが出現したのです。【ホリエモン】です。
今刑事被告人となっています堀江氏ですが、一時は飛ぶ鳥を落とす程の勢いで資産を拡大させ、『金で買えないものはない』 という言葉で国民を挑発し、【金至上主義】を国民に植え付けたのです。金さえ儲ければ手段は選ばないという、 浅ましい風潮を国民に植え付けたのです。

しかしながらこの動きは必然だったのも確かなのです。
上記の通り、まじめに働きましても、収入は増えるどころか減る時代になったのです。まじめに働いてきた先輩達がリストラされ、 収入を減らされ、住宅ローン等で苦しんでいる姿を見て、若者や中堅社員は一体どうすればよかったのでしょうか?

マスコミからは、『高級品が売れている』、『セレブの食事』、『セレブの服』、『セレブの海外旅行・生活』 等々といった情報が垂れ流され、自分もそのような生活に憧れ、『景気が回復していずれ収入が増えるだろう、 そうなれば一時的でも借金して良い生活を送ってもいずれは回収できるだろう』と思いましても何ら不思議ではなかったのです。そしてこの結果、 膨大な借金を作り上げた若者や中年が増えたのです。

ところが収入は<増える>どころか<減る>動きになり、 それまでに作り上げた借金の返済の為に更に借金を作るといった自転車操業に陥った国民も多く出てしまったのです。所謂多重債務者の出現です。
借金で破綻(破産)に追い込まれたものは20万人に迫り、破綻寸前にまで追い込まれているものは、 100万人とも300万人とも言われており、日々増え続けています。

そして、余裕資金があるとして借金に走らなかったものは、 その資金を使って少しでも良い生活を送りたいとして容易な金儲けに走ったのも必然だったとも言えるのです。
『ネット株取引で100万円を3000万円にしました』、『主婦でも何億円儲けました』等々という報道が流され、 これしか収入を増やす方法はないと思った個人がネット株取引に殺到したのです。

まさに、株式回転売買という『博打』が一般国民に広まったのです。
更には、小学生・中学生にまで株取引を教える親まで出てきたのです。
始めはゲーム感覚で儲けたのも確かです。親は『これで将来は我が家もホリエモンのように資産家だ』と。
ところが、いまやそのような話題は消えてなくなりました。
大多数のにわか投資家・投機家は損をして動けない状況になっているか、損を確定して市場から去っています。

右記のグラフ2-1はネット株取引では人気の高かった【比較コム】株ですが、 いまやこの3月に上場した際の初値である270万円から30万円まで9分の1にまで暴落してきています。 上場初値である270万円で購入した個人は、半年後のいま、30万円にしかならないのです。
ここまで暴落しましても株価収益率は90倍となっており、市場平均の20倍を4倍以上も上回っており、仮に市場平均並みの株価になれば、 一体いくらになるでしょうか・・・
270万円で購入した個人は悔やんでも悔やみきれないでしょうが、後悔しても遅いのです。株とは所詮このようなものだからです。

また、ここまで景気が回復しているのであれば、企業倒産は減ってきていると思われがちですが、近畿圏の倒産件数ですが、 東京商工リサーチ関西支社調べではこの4-6月期には倒産件数(負債1,000万円以上)は前年同月比+8.1% の1,803件となっており、この9月の倒産件数も前年同月比で8.1%増の294件に達しています。
景気が回復して倒産が減るのではなく、反対に淘汰される中小企業が増えてきているのです。何度も述べてきていますが、 大企業中心に景気は回復したのは確かですが、個人や中小企業には殆ど恩恵がなく、 この景気回復報道を以って借金をしたり投資をした個人はいまや生活破綻の危機に直面しているのです。
そして、心がすさみ、犯罪に走るものも増えてきています。
『何で俺だけ景気が悪いんだ、社会を恨んでやる』と20代、30代の若者が突発的に犯罪に走ったり、『なんで自分の親が景気悪いんだ、 そんなだらしない親なら要らない』と、子供達が万引きや強盗に走る例も多く出てきています。

今後も政府やマスコミは『景気は回復している、経済は良くなっている、投資をしましょう』、『消費をしましょう』、 『不動産はあがっているから、不動産を買いましょう』と色々なキャンペーンを張るでしょうが、 これに踊った個人は最後には借金苦で苦しむことになります。個人を犠牲にした景気回復は必ずどこかで破綻します。その時に、『失敗した』 と思いましても遅いのです。

自分の身は自分でしっかり守るということが、今まで以上に必要な時代になってきていることだけは確かです。

スーパー売り上げ10ヶ月連続マイナスと景気最長・ 治安崩壊?

日本の景気は、『いざなぎ景気』を超えたと報道されていますが、その影ではスーパー売り上げ高が、前年同月比で2.2% 減少の1兆1,401億円となったと発表になっています。(既存店ベースではマイナス幅がさらに拡大しており、マイナス3.1%)

ゆとりDIが急悪化

調査対象が少なく、データとしてはそれほど信頼が置けないデータではありますが、<ゆとりDI>が発表になっています。

10月 -16.8(6.5ポイント減少)

ファンドバブル崩壊へ: 金融引き締め

以前にも報じましたが、本日付け日経新聞では、事実上、金融庁がファンド向け投融資削減を求めているとしています。
これで今、わが世の春を謳歌しています不動産ファンドは、資金回収を早める必要が出てきます。
さて、どのような行動に出てくるでしょうか?
バブル崩壊と同じ動きになれば、日本国中、『売り物件』、『貸し物件』、『競売物件』があふれかえることになるかも知れません。

また、日銀は今、猛烈な金融引き締めを行っているのは殆ど知られていません。

以上抜粋。

(私のコメント)

給与は減り、個人消費も減る。当たり前のことが起きているだけですが、日銀と金融庁による金融引き締めもあり、 日本市場は更なる縮小へと向かうでしょう。その結果はデフレであり、おそらく最初に不動産バブルが弾けます。

実際、景気が良くなったと言いながら、日本一の繁華街である歌舞伎町も、空き店舗がゴロゴロしています。 昨今話題のホストクラブが300万円程で開店できるそうですが、これはテナント料がそれだけ安いということに他なりません。 本当に景気が良ければ、テナント料はもっと高いはずなのです。


ホワイトカラー・エグゼンプションは、日本的悪癖を打破する

2006年11月22日 19時39分43秒 | 経済

I Never Promised You a Rose Garden.
政府は、一部の事務職に裁量労働制を取り入れて残業代をなくす、ホワイトカラー・エグゼンプションの導入を考えているようです。 それに対して朝日新聞は、逆に残業代を上げるべきと主張しています。

残業代を上げれば、会社側は残業を減らそうと努力するはずです。一方残業代をなくせば、 今度は社員の側が残業を減らそうと努力するはずです。相反する二つの提案は、どちらも労働の効率化、健全化を目的としています。

しかし、それはあくまで額面上で、両者ともに問題を抱えています。ホワイトカラー・エグゼンプションの問題は想像しやすく、 すでに巷を騒がせています。残業代の支払いを免除された会社側は、社員を好きなだけこき使いかねないということです。

残業代の消滅により、一人平均年に114万円収入が減るという話を聞けば、現在残業報酬を得ている人なら震え上がるはずです。 「奴隷制度」という穏やかでない表現に思わず共鳴し、傲慢な資本家の高笑いを聞き、格差社会の影に怯える人は多いはずです。

では残業代を大幅に増やせばどうなるのか?これについて考えることは、その対極にある、ホワイトカラー・ エグゼンプションの効能についても教えてくれます。

残業代を、例えば今の2倍に増やせば、一人平均100万収入が増えるかといえば、当然そんなことはなく、 会社側は徹底的に残業を減らして帳尻を合わせようとします。

その結果、収入は減らずに、残業が減るのは確かですが、いくら会社側が作業の効率化を進めて社員の尻を叩いても、 恐らく肝心の仕事の効率はほとんどあがりません。何しろ社員の側からすれば、これまで通りのペースで仕事をして、 うまく残業にありつけば収入が激増するのですから、急いで必死に仕事をしても損をするだけです。

というわけで、残業が減った分、仕事の成果も減ります。そして会社側は、その分の仕事を処理しようと、 これまで以上に名前だけの管理職を増やしたり、サービス残業を強要したりして、 労働市場のブラックマーケット化に拍車がかかることになります。

これを防ぐには、朝日が指摘しているように、「法改正とは別に、急いで手をつけるべき問題がある。 横行している不払い残業をなくすことだ。不払い残業が続けば、割増率を引き上げても意味がない。・・・違法な残業の摘発を強めるべきだ。 こんな残業をさせていた企業には課徴金を科すなど制裁をもっと重くする」しかありません。

しかしそのためには、星の数ほどある企業をチェックするために役人を増員する必要が出てきます。そして役人をまかなうには、 税金が必要になります。

増税をして違法残業を根絶したとすると、また問題が出てきます。人件費上昇分を、企業は商品の価格に乗せてくるので、 賃金は上がらずに、物価だけ上昇します。また、国内の人件費の高さに辟易した企業は、 これまで以上のペースで海外脱出を進める一方で新たな正社員を雇うことに慎重になり、失業率は上昇します。

いわば、すでに正社員であるホワイトカラーは、これから就業年齢を迎える若者たちを含む、正社員ではないその他の人たちの犠牲の上に、 政府の力により待遇と収入を保証されることになるのです。

以上は少し考えれば誰にでも予想がつく展開です。乱暴であることは承知しています。しかし、ホワイトカラー・ エグゼンプションの導入により、一人平均100万円の減収になるというのもまた、あまりに乱暴すぎる議論です。

残業代を払わなくていいからと、有能なホワイトカラーを奴隷のように酷使すれば、人材は他に流れ、会社は傾く。それだけのことです。 ぼくはむしろ、企業の競争に任せれば、ホワイトカラーの収入は上昇するのではとすら思っています。

ぼくは、くだらない規制はどんどん撤廃して役人の力を弱くすべきだと考えていますし、それが結局は、 この国に暮らす人々のためだと信じています。とは言うものの、そういうぼくの考えを、他の人に押しつけるつもりもありません。

ただ、雇用という敏感な問題で、センセーショナルなデマゴギーに振り回される前に、二次的、 三次的な効果まで考えてから判断して欲しいとは思います。

以上抜粋。

(私のコメント)

ホワイトカラー・エグゼンプションの導入は、一人当たり100万円の減収と70兆円の家計の減収となるので、 マクロ経済的視点から否定的に考えていました。しかし「残業代を払わなくていいからと、有能なホワイトカラーを奴隷のように酷使すれば、 人材は他に流れ、会社は傾く。それだけのことです」というのを目にして考えを改めました。

日本的悪癖の一つとして、残業しない者は仕事をサボっていると思われ、残業する者は仕事をしているということがあります。 これは例え他人より仕事が速くても変わらないので、日本ではむしろ仕事の能率が悪く残業する者が仕事熱心と思われてしまう傾向があるのです。

単純作業であれば、給料は一定作業量に対して支払われるものであり(技術により単価は異なります)、運不運があるものは、 成功報酬となるはずです。ならば残業代とはいったい何なのでしょうか? 不満があっても能力があれば転職はできます。 転職できないのは能力が無いからであり、奴隷扱いする会社は無能な社員だらけとなって倒産するだけなのです。何も問題は無いでしょう。

実際、成果主義の崩壊がありました。土日のアルバイトで技術を外資に売り飛ばしたこともありました。 団塊の世代の退職によって技術の喪失という問題もあります。人材派遣の推進によって、 正社員になれないどころか請負偽装なんてことも一流企業がしています。人件費の削減を優先した結果が、これです。

ここまできてしまったら、終身雇用や年功序列を完全否定するしかないのではないでしょうか? 新入社員の割合は、できる奴、普通の奴、 できない奴が、それぞれ3分の1ずつという話があります。 できない奴を現在の契約社員並みの給料で働かせることができれば容易に人件費を削減できますし、 余裕ができたところで人材発掘に資金を回せます。ホワイトカラー・エグゼンプションは、正社員の給料体系を見直しの第一歩だと思うのです。

それにこれこそ人材の流動化なのではないでしょうか? もちろん公務員の給料も契約社員並にしましょう。こっちは、 どうせ手当てなどの名目でいろいろ画策するんだから、初めから少なくて良いんじゃないのかという考えからですが。


誰が中国人を止めるのか?

2006年11月21日 19時24分29秒 | 経済

Wer stoppt die Chinesen?
ドイツの大衆紙「ビルト」で、こんな写真を見つけました。

ぱっと見ると、ダイムラークライスラーの小型車「スマート」に似ていますが、良く見ると違います。実はこれは中国の自動車メーカー、 CMECの新型車なんです。

日本では、中国文化圏のコピー製品がかなり以前からやり玉に挙げられていますが、 中国文化圏のコピー癖はヨーロッパでも広く知られていて、この車を紹介したビルト紙の記事のタイトルはズバリ、「誰が中国人を止めるのか?」 です。

本物のスマート

日本でも、80年代初頭くらいまでは、特にエンターテイメントやファッションの分野など国内向けの製品で、 あからさまなコピーがまかり通っていました。だから後進国のコピーにあまり目くじらを立てるなという人もいます。しかし、 中国文化圏のコピーと、かつての日本のコピーでは、根本的に性格が違うような気がしてなりません。

例えばこの中国版スマートの製造元であるCMECのマネージャー、ジェリー・チェン氏は、「我々のシティ・スマートは、 ヨーロッパ市場に向けて開発された」などと言っています。コピー元に隠れて国内でコピー製品を売りさばこうというのではなく、 コピー製品を堂々と本家の目にさらして、コピーすることに何の問題も感じていないのです。

ビルト紙は、ボン大学の中国学者のコメントを引用してこう述べています。「コピー製品氾濫の理由は、 中国の伝統文化である儒教に根ざしている。『お手本を真似るのは中国の長い伝統であり、教育の根幹の一つである』」。

中国文化圏の人たちに剽窃は恥ずべきことだといくら説いたところで、馬の耳に念仏なのかもしれません。

クールベア
【北京モーターショー06】長城が新旧 bB を合体…日本人記者を無視

日本人記者を無視するんだから、作ってる方もパクってることは自覚してるんですよね。でも、外国のプレスも大勢集まる晴れ舞台で、 堂々と展示してしまう。

前に書いた「中国版スマートモドキ」も、スマートのデザインをパクっておきながら、 悪びれずにヨーロッパへの輸出を目指していましたし、パクることそれ自体よりも、パクることを恥じないその精神に驚かされます。

数年後には、アフリカ大陸はこんなコピー車で埋め尽くされることでしょう。

以上抜粋。

(私のコメント)

パクリ大国韓国の親分の中国は、やっぱりパクリ大国ということです。中国に進出した日本企業は、 どこもコピー商品で死滅するのでしょうか?


中国の終わりの始まり

2006年11月17日 21時12分09秒 | 経済

対中投資の減少をどうみるか (11/17)

労働集約型の中国の工場
 日本の対中投資が2006年に入って大きく落ち込んでいる。1-9月期は前年同期比30%以上のマイナスになった。 03年から3年連続で過去最高を更新し続けてきた日本の対中投資の急減は何を意味するのか。
世界規模で減少

 対中投資が減っているのは日本だけではない。欧米諸国の多くも減少傾向にある。世界全体からの対中投資は昨年が0.5%の減少、 今年1-9月期も1.5%のマイナスとなっている。米国は02年の54億ドルをピークに3年連続で対中投資が減少しており、 昨年はピーク時に比べ、43%減の31億ドルにまで落ち込んだ。

 こうした流れの説明でまず最初にくるのは、「投資一巡」説だ。もちろん企業の設備投資は永遠に拡大を続けるわけではなく、 エレクトロニクス、自動車などで中国生産拠点がある程度出そろったのは間違いない。

 だが、世界経済が依然として4%台の高成長を続け、途上国、産油国などでモノの需要が勢いよく伸びる中で、「世界の工場」 たる中国の生産拠点の増設が鈍るのもやや違和感がある。

 世界を見渡せば、自動車工場はインド、ロシア、北米、南米などで新増設が続いており、液晶テレビは欧州、 メキシコなどで組み立てラインが新設されている。日本国内は半導体、薄型テレビ、自動車から工作機械、 建設機械などの工場の大型投資が盛り上がっている。

 対中投資が減少に転じた原因には、中国固有の問題があるとみるべきだろう。

立ちはだかる貿易摩擦

 中国の投資環境は急激に悪化している。人件費はこのところ毎年、最低賃金が10%前後引き上げられるなど急上昇している。早晩、 「人件費の安い」という形容句は中国からはずされるだろう。電力や輸送用燃料などエネルギーの不足も続いてる。

 だが、外資を最も悩ませているのは、貿易上の様々リスクだろう。貿易摩擦では、対米、対EUをはじめ世界とあつれきを起こしている。 「中国で生産したばかりに欧米に輸出できない」といった事象は繊維、靴などで現実化したが、他の分野にも広がるのは避けられない。

 日本もかつて貿易摩擦を引き起こした鉄鋼では、06年1-9月の中国の鉄鋼輸出は3616万トンに達し、 世界最大の鉄鋼輸出国になった。中国国内で余剰となった鉄鋼が売り先を求め、世界に流出する構造で、 中国の鉄鋼メーカーの余剰生産能力をみれば、鉄鋼貿易摩擦が深刻化するのはまもなくだろう。貿易摩擦の余波は外資も直撃する。

 貿易摩擦と比例して人民元に対する切り上げ圧力は一段と高まっている。中国政府は市場における人民元の緩やかな上昇を容認しており、 人民元は着実に切り上がっている。中国からの輸出品の競争力は当然弱まる。

 最近では環境対応、移転価格税制などで想定外の負担を外資が強いられるケースも増えている。中国政府の外資政策では、 労働集約型の外資の工場はもはや不要であり、高度な研究開発機能の移転が外資の進出条件になりつつある。

外資から見放される中国

 究極の出来事は「三顧の礼」で誘致した外資への突然の立ち退き要求だろう。日本企業の進出も活発な上海市嘉定区では、 地元政府が都市計画の変更を理由に日系企業10社を含む外資に立ち退きを迫っている。 その中には2年前に工場ができあがったばかりという企業もあり、 地元政府で誘致担当だった役人が今度は外資企業の追い出しにかかっているという。 工業用地を宅地転用して地元政府が高収益をあげようという狙いで、似た事例は都市化の進む沿海部の各地で出てくるだろう。

 外資の対中投資が減少するのは明確な原因がある。

 中国の国内市場を狙う外資の投資は今後も続くだろうが、輸出型生産拠点の進出は激減する可能性がある。 中国のモノづくりの進化を支えてきたのは、高度な技術を持ち込み、部材を現地企業に発注してきた外資の輸出型生産拠点だ。それが止まった時、 中国は民族企業だけで独自にモノづくりの水準を高めていけるのか。

 外資から見放される理由とその打撃を中国は考えるべき時だ。

以上抜粋。

(私のコメント) 

アメリカの対中投資減少の穴を埋めてきた日本の対中投資も減少を始めました。中国のカントリーリスクが公に語られるようになった現在、 今後の対中投資は加速度的に減少していくこととなるでしょう。

そして韓国経済の破綻を想起すれば、海外からの投資が景気をもたらしている中国経済は、 海外からの投資が減少すれば破綻することを意味します。中国経済を回転させるエネルギーが無くなれば、ガス欠するのは自明でしょう。

中国は、2008年の北京オリンピックまで経済が持たない可能性があります。中共は、 これを回避するために北朝鮮を利用することと思われます。経済を誤魔化すには戦争が一番であることは、アメリカが実証しています。 軍需景気の意義はそこにあり、北朝鮮特需で中国経済を維持しようと思われるのです。

というのは中共が戦争を起こすとして、非難されない対象が北朝鮮です。現実問題として、北朝鮮は中共の属国であり、 中共が北朝鮮を支配しても外交上問題はありません。もっとも中共にとって北朝鮮という対米緩衝地は必要であり、 朝鮮人民を救うという大義名分で北朝鮮に攻め込み、傀儡政権を樹立させることとなるでしょう。

そしてこのシナリオであれば、日米ロは受け入れることが可能であり、韓国は時代主義ゆえに尻尾を振るでしょう。そして中共は、 おそらく次のシナリオを画策します。(1)北朝鮮特需を長期化させるために、対北朝鮮戦争を長期化させる。(2)隙あらば、 中華文明を汚す韓国を、中共の傀儡政権となる北朝鮮に併合させる。アメリカの次期大統領次第でしょうが、日本も備えた方が良いかと思います。


トヨタ崩壊の序曲

2006年11月10日 20時37分13秒 | 経済

増益トヨタに3つの壁 国内不振・ 投資負担・資材高騰

トヨタ自動車の9月中間連結決算(米国会計基準)は円安を追い風に、大幅増益に転じた。ただ、投資負担は重く、原価低減も鈍っている。 持続的な成長の前に、低迷する国内販売、膨らむ先行投資、高水準の資材価格が立ちはだかる。

 営業利益の増益要因をみると、販売拡大による「営業面の努力」が高成長の源泉だ。前中間期は700億円の増益効果だったが、 今中間期は1500億円と倍増した。

 ただ、連結販売台数414万5千台の内訳は海外が11・9%増に対し、国内は1・2%減。日本地域の営業利益は米欧への輸出増で1・ 8倍の6843億円に急伸したが、輸出頼みの国内収益構造を抜本的に改善するには、利幅の大きいレクサスブランドの拡販が欠かせない。

 ここ数年の拡大路線を反映し、減価償却費や設備関連費用が前年同期比336億円、業容拡大に伴う労務費も259億円増えた。

 こうした先行投資の負担が表れたのが北米だ。連結販売台数が17・6%増えたにもかかわらず、営業利益は6・7%減の2505億円。 「ガソリン高で利幅の薄いコンパクト車市場に売れ筋がシフトした」(木下光男副社長)ことに加え、 米テキサス工場の稼働準備費が75億円の減益要因になったためだ。

 投資を抑えながら、生産をどう増やすか。トヨタは「矢継ぎ早の生産能力増強に資金を無理に投入してきた」(鈴木武専務)局面から、 国内外の工場を連携させて効率的に生産する「質」の向上が問われ始めている。

 トヨタの部品調達費を大幅削減する取り組みは「07年後半に発売するモデルから反映される」(幹部)ため、 足元の原材料費の上昇をどう吸収するかは喫緊の課題だ。

 03年9月中間期は原価改善が営業利益を1100億円押し上げたが、今中間期の増益効果は400億円に過ぎず、 「通期でも900億円にとどまる」(鈴木専務)。

 トヨタは値上がりした原材料を別のものに代える工夫を続けているが、1台に約900キロ使われる自動車用鋼材は逃げ場がない。 値上げを狙う鉄鋼業界との価格交渉の行方は不透明で、トヨタの成長にとって波乱要因だ。

以上抜粋。

(私のコメント)

国内不振の始まりです。トヨタを始めとして日本企業は、人件費を抑制してきました。その結果として個人所得が減少し、 個人消費が縮小に向かうことは自明でした。さらに今年は定率減税の廃止がありました。

借金して生活レベルを落とさないという方法も限界に近づいており、今後は、日本市場は縮小へと向かうこととなります。 国内市場だよりのトヨタは、崩壊していくのではないでしょうか?


欧州経済も問題有なのか?

2006年11月03日 22時36分31秒 | 経済

中国に飲み込まれる欧州

少し前に、超巨大旅客機A380の相次ぐ納入延期により混迷を深めるエアバス社について書きましたが、 170機の販売契約と抱き合わせで、中国に組み立て工場を作ることになりました。

エアバスの経営を傾かせたのは、欧州の社会事業とも呼ばれてきた半官半民の体質です。それだけに、政府の支援に頼らず、 人件費の安い海外に工場を作ることで経営を立て直そうというのは、企業として好感の持てる態度です。 エアバスがお役所体質を強めて弱体化すると、大型旅客機の建造はボーイング社の独占となり、そうなれば世界全体にとって不幸なことですから、 とりあえずはいいニュースだと言えます。

でも、ドイツは不安で一杯です。

ドイツのハンブルクには、フランスのトゥールーズと並ぶエアバスの拠点があります。中国に工場を作るからといって、 さしあたりハンブルクの工場を閉鎖するわけではありません。しかし今回の発表を聞いて、「雇用も技術も中国にとられてしまう!」 という声が圧倒的なのです。

ドイツ人がそういう不安を抱くのには理由があります。それは、「リニアモーターカー・ショック」です。 すでに上海に短い区間でリニアモーターカーを設置しているドイツは、上海ー杭州間175キロのリニア線敷設を鼻先に吊されて、 特にシュレーダー前政権時代は、情けないほど中国におべっかを使ってきました。しかし中国は、 ドイツの技術を盗んで独自のリニア開発を開始した挙げ句、リニア線敷設を棚上げしてしまったのです。

それに追い打ちをかけるように、9月に起きたリニア実験線での事故により、ドイツにおけるリニア開発は支持を失い、 将来的にも採算に合わないものになりつつあります。リニアを開発しているシーメンス社らは、 抱えている技術を中国に売り払って事業から撤退するのではとまで囁かれ、そうなれば、リニア線敷設を検討しているミュンヘンには、 中国製のリニアモーターカーが走ることになりかねません。

そういう経験をしたドイツ人が、エアバスの中国進出に不安を覚えるのは当然です。 フランスのシラク大統領と一緒に中国を訪問したエアバス社の首脳が、中国政府とどんな約束を交わしたのかはわかりませんが、 藁にもすがる状況だったエアバスは、航空産業育成を目指す中国にとって、カモだったはずです。2、30年後には、 エアバスを食べて育った中国の航空機メーカーが、エアバスに代わってボーイングと覇権を争うことになるかもしれません。

それにしても、政治の力で守られてきた欧州大陸の先端事業が、なぜこうも易々と相次いで中国にあしらわれ、 ヨーロッパ最大の武器である知的財産を危険にさらすのか。それは皮肉と呼べるような現象ではなく、必然なのではないでしょうか?

ところで、欧州の希望どころか、欧州没落の象徴になりつつある超大型旅客機A380は、今月19日に、 初めて日本にやってくるそうです。

以上抜粋。

(私のコメント)

ドルが円がと、アメリカ経済も日本経済も破綻寸前という話はよく耳にします。ではユーロはどうなのでしょうか?

エアバスの中国生産によって、中国によるコピーが近い将来生産されます。それは、欧州の没落の始まりとなるかもしれません。 もともとEUは、政治的にはともかく経済的には、中小国が集まって巨大市場を作って、アメリカ市場や日本市場に対抗しようとしたのであり、 統一通貨のユーロもそれだけのものです。

日本が産業の空洞化に苦労したように、欧州も産業の空洞化に苦労することとなるわけです。下手をすれば、日本の失われた十年を、 欧州が再現するかもしれません。もっとも東ヨーロッパがあるので同じとは言えませんが、 欧州内での人件費は低下していくことを意味するわけですから、市場規模の縮小を意味することになります。現在、 低賃金による日本市場の縮小があるわけで、欧州でも同じことが起こることになるでしょう。

となるとドルや円だけでなく、ユーロの暴落も視野に入れる必要があるのかもしれません。


日本市場は縮小し、日本企業は地に落ちる

2006年11月01日 20時20分20秒 | 経済

<家計調査>消費支出が前年同月比6% 減 9月

総務省が31日公表した9月の全世帯の家計調査は、1世帯あたりの消費支出が27万3194円となり、 物価変動の影響を除いた実質で前年同月比6%減と、不況期の01年12月以来の大幅減になった。これにより9月の景気動向指数の先行指数が、 景気判断の分かれ目となる50%を3カ月連続で下回ることが確実になった。

◆9月の景気動向、3か月連続で先行指数50%割れ確実

内閣府が11月8日に発表する9月の景気動向指数(速報値)で、数か月先の見通しを示す先行指数が、景気判断の分かれ目となる50% を3か月連続で下回ることが31日確実になった。

今回の景気拡大期は、11月で「いざなぎ景気」を超え、戦後最長を更新するのはほぼ確実な情勢だが、 その後の先行きには慎重な見方が出ている。景気動向指数は、景気に敏感な複数の経済指標を3か月前と比較し、 上回った指標の数が全体に占める割合を示す。9月の先行指数は、速報値段階までに公表される10指標のうち、8指標が6月より悪化している。

以上抜粋。

(私のコメント)

景気の回復は、法人税の引き下げと人件費の削減によるものです。したがって企業の収益の改善であって、 個人消費に結びつくことはありません。だから家計の支出が6%減となったのです。

加えて今年から所得税の定率減税が段階的に廃止され、住民税も低所得層は増税となります。おそらく近い将来、 消費税も増税されることとなるのでしょうが、消費性向を悪化させるだけであり、消費の冷え込みは一段と厳しくなるでしょう。

これらの結果として、日本市場は縮小し、日本市場に頼りきった日本企業の収益は悪化することとなります。 おそらくトヨタでさえ日本市場での売り上げは、少子化による人口減も考えれば、半減することと思われます。