日本専門評論

日本国内の問題を、専門的に、あれこれ評論します。

沈み行く日本市場

2006年11月28日 20時14分52秒 | 経済

2. 戦後最長の景気の本当の姿は?
 
日本の企業は空前の利益を上げ、景気の良さも戦後最長といわれていますが、個人には全くというほど恩恵はありません。 かえって収入を減らしている個人が殆どなのです。
2002年2月からの景気拡大とされ、現在までに57ヶ月連続の景気拡大と政府は述べています。(月例経済報告)
ところが、この間サラリーマン等の給料(雇用者報酬)の伸びは、<マイナス1.6%>となっており、成長どころか減っているのです。

大企業は既報の通り<偽装請負>等のシステムを使い、日本人の若者の給与を出稼ぎに来ている外人並みに引き下げ、 コストを削減して利益を上げているのです。もちろん、企業経営者の経営努力もありますが、 その裏では虐げられる労働者が数多くいるという事実もあるのです。

※この<偽装請負>ですが、厚生労働省は態度が甘いといわざるを得ません。今回、請負最大手のクリスタルグループを摘発していますが、 ではこの偽装請負で利益を得ていた本家本元の企業は?お咎めなしとなっています。

今回の摘発では、住友ゴムの子会社の工場が摘発の対象になっていましたが、 これ以外ではトヨタ自動車系部品会社である<光洋シーリングテクノ社>、 松下電器産業の子会社である<パナソニック半導体オプトデバイス>も偽装請負があったと発表になっていますが、 厚生労働省はこれら企業を告発してはいません。
なぜでしょうか?経団連に加盟している大企業だからでしょうか?

今や、経団連に加盟している大企業は、昔我々が歴史で習った「女工哀史」そのままの状況を作り上げ、 空前の利益を上げていると言っても過言ではありません。本来なら、このような状況を改善するために労働組合がありますが、 いまや労働組合は貴族組合ともいわれるほど、幹部は会社側から優遇され、優雅な生活を送っているとも言われており、 労働者のためには働きません・・・。

そして、無駄を省くとして、トヨタのカンバンシステムは最高の効率を生むとして在庫を減らし、補修部品を保存せず、 徹底した効率化を追い求めたのです。
結果、確かに在庫は減りましたがいざリコールが発生し交換しようとした際に、交換先の部品がないという、考えられない事態が発生し、 リコールを発表したものの実際にはかなり先になるという醜態を演じる企業まで出てきています。
(一例:シャープのパソコン電池(ソニー製)リコール)

更には製品化を急ぐ余り、テストをなおざりにして、欠陥製品を世の中に送り出し、 欠陥が人殺しにまで発展することにもつながっているのです。

これらは全て<利益至上主義>の弊害ともいえるのです。
企業(大企業)さえ儲ければ国民などどうでも良いという、財閥が日本の富を独占した戦前と同じ状況に日本はなりつつあるのです。 政府も官僚もこの財界の動きに乗っかり、<勝てば官軍>とばかりに徹底した利益追求を助長させていっています。
結果、国民は景気回復の恩恵を受けられず、給与所得が<マイナス1.6%>という状況になっているのです。
しかも、この<マイナス1.6%>は空前の利益を上げている大企業をもいれた統計数字であり、大企業で働く正社員の給料は増えていますので、 大多数を占める中小零細企業の社員の給料は<マイナス1.6%>どころではなく、10%を超える減少になっているはずです。

このような中、更に国民を苦しめる動きが出現したのです。【ホリエモン】です。
今刑事被告人となっています堀江氏ですが、一時は飛ぶ鳥を落とす程の勢いで資産を拡大させ、『金で買えないものはない』 という言葉で国民を挑発し、【金至上主義】を国民に植え付けたのです。金さえ儲ければ手段は選ばないという、 浅ましい風潮を国民に植え付けたのです。

しかしながらこの動きは必然だったのも確かなのです。
上記の通り、まじめに働きましても、収入は増えるどころか減る時代になったのです。まじめに働いてきた先輩達がリストラされ、 収入を減らされ、住宅ローン等で苦しんでいる姿を見て、若者や中堅社員は一体どうすればよかったのでしょうか?

マスコミからは、『高級品が売れている』、『セレブの食事』、『セレブの服』、『セレブの海外旅行・生活』 等々といった情報が垂れ流され、自分もそのような生活に憧れ、『景気が回復していずれ収入が増えるだろう、 そうなれば一時的でも借金して良い生活を送ってもいずれは回収できるだろう』と思いましても何ら不思議ではなかったのです。そしてこの結果、 膨大な借金を作り上げた若者や中年が増えたのです。

ところが収入は<増える>どころか<減る>動きになり、 それまでに作り上げた借金の返済の為に更に借金を作るといった自転車操業に陥った国民も多く出てしまったのです。所謂多重債務者の出現です。
借金で破綻(破産)に追い込まれたものは20万人に迫り、破綻寸前にまで追い込まれているものは、 100万人とも300万人とも言われており、日々増え続けています。

そして、余裕資金があるとして借金に走らなかったものは、 その資金を使って少しでも良い生活を送りたいとして容易な金儲けに走ったのも必然だったとも言えるのです。
『ネット株取引で100万円を3000万円にしました』、『主婦でも何億円儲けました』等々という報道が流され、 これしか収入を増やす方法はないと思った個人がネット株取引に殺到したのです。

まさに、株式回転売買という『博打』が一般国民に広まったのです。
更には、小学生・中学生にまで株取引を教える親まで出てきたのです。
始めはゲーム感覚で儲けたのも確かです。親は『これで将来は我が家もホリエモンのように資産家だ』と。
ところが、いまやそのような話題は消えてなくなりました。
大多数のにわか投資家・投機家は損をして動けない状況になっているか、損を確定して市場から去っています。

右記のグラフ2-1はネット株取引では人気の高かった【比較コム】株ですが、 いまやこの3月に上場した際の初値である270万円から30万円まで9分の1にまで暴落してきています。 上場初値である270万円で購入した個人は、半年後のいま、30万円にしかならないのです。
ここまで暴落しましても株価収益率は90倍となっており、市場平均の20倍を4倍以上も上回っており、仮に市場平均並みの株価になれば、 一体いくらになるでしょうか・・・
270万円で購入した個人は悔やんでも悔やみきれないでしょうが、後悔しても遅いのです。株とは所詮このようなものだからです。

また、ここまで景気が回復しているのであれば、企業倒産は減ってきていると思われがちですが、近畿圏の倒産件数ですが、 東京商工リサーチ関西支社調べではこの4-6月期には倒産件数(負債1,000万円以上)は前年同月比+8.1% の1,803件となっており、この9月の倒産件数も前年同月比で8.1%増の294件に達しています。
景気が回復して倒産が減るのではなく、反対に淘汰される中小企業が増えてきているのです。何度も述べてきていますが、 大企業中心に景気は回復したのは確かですが、個人や中小企業には殆ど恩恵がなく、 この景気回復報道を以って借金をしたり投資をした個人はいまや生活破綻の危機に直面しているのです。
そして、心がすさみ、犯罪に走るものも増えてきています。
『何で俺だけ景気が悪いんだ、社会を恨んでやる』と20代、30代の若者が突発的に犯罪に走ったり、『なんで自分の親が景気悪いんだ、 そんなだらしない親なら要らない』と、子供達が万引きや強盗に走る例も多く出てきています。

今後も政府やマスコミは『景気は回復している、経済は良くなっている、投資をしましょう』、『消費をしましょう』、 『不動産はあがっているから、不動産を買いましょう』と色々なキャンペーンを張るでしょうが、 これに踊った個人は最後には借金苦で苦しむことになります。個人を犠牲にした景気回復は必ずどこかで破綻します。その時に、『失敗した』 と思いましても遅いのです。

自分の身は自分でしっかり守るということが、今まで以上に必要な時代になってきていることだけは確かです。

スーパー売り上げ10ヶ月連続マイナスと景気最長・ 治安崩壊?

日本の景気は、『いざなぎ景気』を超えたと報道されていますが、その影ではスーパー売り上げ高が、前年同月比で2.2% 減少の1兆1,401億円となったと発表になっています。(既存店ベースではマイナス幅がさらに拡大しており、マイナス3.1%)

ゆとりDIが急悪化

調査対象が少なく、データとしてはそれほど信頼が置けないデータではありますが、<ゆとりDI>が発表になっています。

10月 -16.8(6.5ポイント減少)

ファンドバブル崩壊へ: 金融引き締め

以前にも報じましたが、本日付け日経新聞では、事実上、金融庁がファンド向け投融資削減を求めているとしています。
これで今、わが世の春を謳歌しています不動産ファンドは、資金回収を早める必要が出てきます。
さて、どのような行動に出てくるでしょうか?
バブル崩壊と同じ動きになれば、日本国中、『売り物件』、『貸し物件』、『競売物件』があふれかえることになるかも知れません。

また、日銀は今、猛烈な金融引き締めを行っているのは殆ど知られていません。

以上抜粋。

(私のコメント)

給与は減り、個人消費も減る。当たり前のことが起きているだけですが、日銀と金融庁による金融引き締めもあり、 日本市場は更なる縮小へと向かうでしょう。その結果はデフレであり、おそらく最初に不動産バブルが弾けます。

実際、景気が良くなったと言いながら、日本一の繁華街である歌舞伎町も、空き店舗がゴロゴロしています。 昨今話題のホストクラブが300万円程で開店できるそうですが、これはテナント料がそれだけ安いということに他なりません。 本当に景気が良ければ、テナント料はもっと高いはずなのです。