日本専門評論

日本国内の問題を、専門的に、あれこれ評論します。

中国経済の原動力

2006年12月05日 19時24分45秒 | 経済

ある日本人の目から見た中国の工場

 【大紀元日本10月31日】私は、典型的な「エコノミック・アニマル」と称される日本人ビジネスマンである。 中国に来て既に6年余りが経過し、これまで、中国の5つの都市で仕事、生活をしてきた。中国語の聞き取りはできるが、口語は流暢ではなく、 漢字の大体の意味を読み取ることができるが、書くことはできない。

 私の見解として、中国の工場の生産能力は大きく進歩したが、「世界の工場」という視点からみると、更に長い道のりを歩む必要がある。

 ?「世界の工場=血と汗の工場」ではない

 日本人をアリにたとえる者があるが、苦労に耐える点において、日本人は中国人に大きく劣っている。中国の珠海デルタ、長江デルタ、 江浙一帯では、技術が遅れ、生産物が同じで、管理がいい加減な家族式工場が数え切れないほど存在している。こうした工場は、 総じて技術レベルが低く、唯一の強みは、アリのように苦労に耐え、牛馬のように働く従順な中国人たちである。 労働者の日々の労働時間は10時間以上と非常に長く、ぼろぼろの家に住み、最低レベルの生活を送っている。もちろん、 基本的な社会保障なども得られない。時給で換算すると、彼らの賃金は世界最低である。一部の出来高制の工場では、 従業員の平均労働時間が12時間以上にも達し、工場長から強いられなければ、休もうとしない。私が勤務する企業には、 衛生業務に従事する中国の女工がいる。彼女たちには、督促をする者、直接管理する者はいないが、毎日ものを言わず、黙々と、 10時間以上ひっきりなしに働く。それは、ただ、彼女たちの賃金が他の工場の女工よりも少々高いからである。彼女らのような存在は、 決して珍しくない。彼女らが、収入の80%を家に送ると聞いても、誰も驚かない。日本人の視点からみると、彼女らに残されたお金では、 生存の基本的な生活を維持するにはとうてい足りない。まして、彼女らは、部屋代、水道代を支払わなければならないのである。私は、 かつて東南アジアの多くの国で仕事をしてきたが、経済的に遅れているミャンマーでさえ、労働者の残業は相当に困難なことで、 彼らは多くの要求をしてきた。フィリピンの労働者は、このような苦しい生活をしようとしない。また、フィリピン人は、1ヵ月働けば、 1ヵ月休み、前月の賃金を使い果たした後に再び働く。インドネシアにおいて、こうした仕事をしようとする者は全くいない。したがって、 私の考えでは、世界の仕事が中国に移転されているとはいうが、これは、苦しみに耐える中国人によって支えられているのであり、 こうした工場は、世界の他の国では、中国人以外に生存することはできない。

 ?熟練労働者なくして「世界の工場」の基準に達するのは困難

 中国の南方、北方の各都市において、多くの労働者が、大群をなして就業の機会を待っている。しかし、 本当に技術を理解している熟練労働者は、非常に稀である。これは、中国の大部分の工場に長期的な計画がなく、 技術支援に欠けていることによってもたらされたものである。農村から来た大量の労働者は、今年はこの工場、来年はあの工場で働き、 今年は靴を作り、来年は服を作りと、産業における労働者の流動性が極めて高く、有効な組織管理がなされておらず、 基本的な職務訓練がなされていない。同時に、工場に長期的な計画がなく、往々にして、売れるものに集中して生産するので、 労働者の技術もまた、製品の変更に伴って変更しなければならない。多くの情況において、工場は現在の労働者を解雇し、 市場において新たな労働者を雇用するが、このため、大部分の労働者は、一種類の技術に長く従事することが難しくなっており、 技能を向上させることができなくなっている。日本は、技術開発において優位に立っているわけではないが、 世界が比肩できない完璧な技術を持った産業人員の大軍を擁している。彼らは、関連する業務に何十年も従事し、 世界で最も精密な製品を巧みに作り出すことができる。こうした腕は、高等教育機関の教育の結果でも、短期の訓練で達成されたものでもなく、 長年にわたって鍛えあげられてきたものである。中国人は、日本人よりも腕利きであり、 かつてはこの上なく精巧で美しい工芸品を作り出していた。しかし、現在の中国の工場就業モデルにおいては、彼らが腕を磨く舞台はなく、 中国の労働者は、流砂と同様に、今年はこちら、来年はあちらへと流動していくため、技術の熟練に必要な条件を満たすことが難しくなっている。

 ?規模の小さい工場が「世界の工場」の基準に達するのは困難

 中国の工場は、ほとんどが小規模であり、同じ製品を作る工場は、その態様が同じである。日本の水準からみると、 こうした工場は単なる作業場で、産業化された生産水準には達していない。中国の工場が最も密集している珠海デルタ地区における、 全ての工場の年間生産額を足し合わせた数字は、日本の大企業1社の総生産額にしかならない。同様の製品を、無数の工場が別個に生産しており、 その結果、工場の操業時間は短く、製品のコストが高くなっており、企業に、技術開発を行い、技術開発部隊を育成する余剰資金はない。また、 労働力のコストが安いことから、企業に、より先進的な技術の設備を導入しようという意識はない。珠海デルタにおいては、テレビ、電子レンジ、 エアコン、冷蔵庫、電話等の低技術の家電を生産する正規の企業や、作業場式の企業が数え切れないほどあるが、 世界の名声を得るようなブランドはない。服装、靴、帽子、玩具に至ってはなおさらであり、同様に、 規模の生産を行うための最低限の生産水準に達しているものは全くない。

 ?低技術を主体とする工場が「世界の工場」の基準に達するのは困難

 世界的名声を得ている企業は、基本的に、製品の自主開発能力、科学的研究、生産、販売、サービスをワンセットで有しており、 中国の工場の大部分は、基本的には模倣生産か、他社の生産の代行であり、技術を他社にコントロールされ、 利潤が最も高い部分は他社に掌握されている。中国の科学研究体系と生産体系は、基本的に噛み合っておらず、製品開発能力が低下しており、 基本的に模倣生産を主としており、自主開発能力は極めて低い。

 ?効率の低い管理方式では、「世界の工場」の基準に達するのは困難

 企業の生産が進歩すればするほど、管理に対する要求はますます厳格になる。しかし、この点は、中国において最も欠落している。 中国の工場の総数は、日本のそれを遥かに上回っているが、プラント設備を生産できる工場は少なく、大部分の設備は、 海外から輸入したものである。中国の各工場を見て分かることは、比較的先進的な設備や、求められる技術の水準が高い部品は、 海外から輸入したものである。この点について、中国に最も欠けているのは、生産能力ではなく、 プラント設備を生産するための組織管理能力である。プラント設備は、大規模に生産を行う製品とは異なり、一式の生産設備は、 おそらく数年で一セットしか売ることができない。より多くの利潤を得ようとするならば、関連する各材料、メーカー、規格、 標準等様々な複雑な要素を総合的に組織し、時計の組み立てのように、精緻に組み立てていかなければならない。

 管理のプロセスが一つでも乱れれば、ただちにコストが増加し、性能が低下する。中国は、依然として、 精緻な組織管理能力に欠けており、効率の低い国有企業の管理階層が行っているのは、基本的に、官僚式の管理方法であり、 規模が比較的小さい規模の工場には鍛錬の機会が与えられない。かりに、エアバスの飛行機の生産が中国で行われ、管理を中国人が行うとすれば、 生産価格が高くなると私は思う。また、個人的に見て、中国に欠けているのは管理者ではなく、管理者を科学的に選抜する基準がないことである。 無能で、人格が低く、人の弱みにつけ込み、心理上の技を駆使するのが仕事であるような無能の輩が、賃金の高い管理者の位置を占めており、 優秀な管理人員が発展する余地を塞いでしまっている。

 中国には、世界のどの地方も真似ることのできない、最も苦労に耐える人民がいるが、彼らは、熟練技術に欠けた労働者である。 世界で最も多くの工場を擁しているが、規模が世界レベルの企業は全くない。製品の種類を揃えることはできるが、 先進技術で自主開発を行っている製品は非常に少ない。膨大な生産能力を擁しているが、先進技術を用いたプラント設備を作ることは難しい。

 中国は、真の意味での世界の工場からはほど遠い。今後しばらくすれば、中国は、初級製品の加工基地にすぎなくなり、 世界の工場の基準を満たすことは難しくなる。

中国共産党による労働者搾取問題

 【大紀元日本10月12日】現在、中国共産党は「豊かになれる者から先に豊かになれ。」という「先富論」 に基づき経済分野で市場経済を推進している。その結果、沿岸部では経済発展が著しい光景が見られる一方、内陸部では極貧世帯がいるという、 巨大な貧富の差が生じている。これは実は「共産党による労働者搾取問題」である。

 共産主義を作ったマルクスは著書「資本論」で「資本家が得る利益は、労働力に対して支払う価値(賃金) とその労働力が生み出す労働から得られる価値との差から生まれる」と考えたが、 この思想を持つ共産党が政治面で独裁政治を続けながら市場経済を推進するとどうなるか考えてみれば、 この問題は避けられないものであることは明白である。 例えば自国の製品を他国の製品よりも価格競争力あるものにするにはどうすればよいかを考える。原料代、加工機械、 物流など生産と販売に必要な資源が他国と同レベルであるとすれば、あとは労働者への賃金が鍵となる。実はここがポイントで、 共産党独裁政権は、政治によって労働者の賃金を不当に低く抑え、現在の「経済発展の虚像」を作り上げている。 そしてその見せかけの発展を根拠に自らの政権の正当性を主張している。労働者を資本家の搾取から解放すると唱えていたはずの共産主義政権が、 皮肉なことに労働者を搾取して、しかもそれが正当なものであると主張しているのである。中国共産党の労働者搾取の卑劣な手口を具体的に記す。

 「農村戸籍者への差別政策」

 中国に住む人々の戸籍には、大別すると「都市戸籍」と「農村戸籍」の二つがある。農村戸籍者は農業への従事が基本的に義務づけられ、 居住地を選択する自由がない。この政策によって農村戸籍者を貧しい状態に置き、期間を限定して彼らを出稼ぎ労働者として都市部で働かせれば、 都市部に低賃金で働く労働者が大量に集まる。そしてそのあおりを受けて都市部の住民も低賃金に甘んじざるを得なくなり、その結果、 低賃金の労働者市場が形成される。これが中国の「低廉な労働力」を生み出す主な仕組みである。

 「さらに経済発展が進めば貧富の格差はいずれ改善される」と考える者も多いが、その考え方は居住地選択の自由、職業選択の自由など、 基本的人権である自由を享受できる人々にのみ当てはまることに注意を要する。農村戸籍を持つ人々が都市部に自由に出ていって豊かになり、 農村戸籍者の地元の生活水準や経済水準が上昇すると都市部の労働者の賃金相場の上昇を招き、その結果、 低廉な労働力をあてにして中国に進出した外資系企業の撤退や国内企業の業績不振を招き、 国内に溢れた大量の失業者が非難の矛先を中国共産党の政治に向けるようになるので、 中国共産党は決して現在の農村戸籍者への差別政策を廃止することはない。もし仮に廃止されたとしても、その時にはまた別の差別政策を制定し、 他の人々を不当に貧しい環境に置いて低廉な労働力を確保しようとするので、いずれにせよ、 現在のような巨大な貧富の格差が縮小することは決してない。

 「安全対策不備の黙認」

 安全対策に費用を投じると、それだけコスト高につながる。中国の企業は膨大な労働者数を背景に、安全対策に費用をかけず、 いわば労働者を使い捨てにする傾向がある。このような現状に対して本来ならば政府が安全規定を定め、各企業を指導、 是正すべきところであるが、中国では共産党幹部と企業との癒着など汚職が絶えず、制定されている安全規定が守られていない。その結果、 中国では炭坑の爆発や崩落、工場でも爆発、火災、事故などが多発し、毎年多数の犠牲者が出ている。

 「医療制度改悪」

 中国共産党は患者の医療費負担を増やすことによって、低賃金で働く多くの労働者が必要とする医療を受けられないようにしている。 医療費患者負担額の増加の名目上の理由は国庫の医療費負担の抑制であるが、実はこれは膨大な人口と低賃金の労働者市場、 それに加えて人口抑制を背景とした「人材使い捨て政策」の一環である。

 医療費負担が増えても富裕者層は自ら医療費を負担できるし、共産党幹部は自らの権力で必要な医療を受けることができるので、 医療制度の改悪の影響は貧しい者たちのみに襲いかかる。

 「公害問題の放置」

 中国の企業は公害が発生しないようにするために必要な設備投資などを行わない。 その結果工場から毒物や環境汚染物質などが垂れ流しとなるが、共産党幹部の汚職によって公害問題が黙認されている。 その結果従業員はもちろん、周辺住民も被害を受ける。共産党員は人々を共産主義に隷属する単なる物品と見なしている。 共産党の目的達成のためにどれだけ多くの人々が命を落としても、共産党員にはそれらの犠牲者は単に使い古して壊れた物品としか映らないので、 汚染物質の垂れ流しを何のためらいもなく放置する。そして公害の事実を知っている共産党員は、自らの身を安全な場所へ移すのである。

 安全対策と公害を踏まえて、最後に重要な点を二つ指摘しておきたい。

 まず一つは、共産党独裁政権下の中国に対して諸外国が安全対策や公害汚染防止対策への支援を実施しても、 現金を渡せば横流しによって共産党幹部の懐を潤わせるだけに終わり、 機材を現物支給しても支援を受けた企業が保守作業をしないのでこれらの問題はいずれ再発するということである。民衆に対して自らの非を認め、 政策の是正を決してしない共産党独裁体制が続く限り、いかなる名目であれ金銭や物品の援助は共産党幹部の汚職をはびこらせるだけであり、 無駄であることはもちろん、中国共産党はそうして得られた援助を利用して軍備の増強や、自らと同様に国民の人権を蹂躙している国家や、 自らにとって都合がよい犯罪組織を支援していることを、各国の政治家や政府関係者をはじめとする世界中の人々は理解しなければならない。

 そしてもう一つは、このような不当な人権侵害を続ける中国共産党独裁政権下で作られる中国製品によって、 世界各国は現在も実際に直接的、あるいは間接的被害を受けているということである。 労働賃金を不当に低く抑えて生産される製品との価格競争は不利であることは明らかであり、それによって衰退の危機に瀕している産業もある。 公害で汚染された農作物が中国から輸入されて消費者に届けられ、健康被害が発生したりする。河川水や海水が汚染され、 周辺諸国に漁業被害をもたらす。これらの被害がすでに発生している、あるいは発生しつつあることに気づいていただきたい。 労働者の基本的人権を保障せず、まさに「人材使い捨て政策」を推進する中国共産党独裁政権が支配する限り、 これらの問題は解決できないことを、世界中の人々は理解しなければならない。

以上抜粋。

(私のコメント)

中共の人権侵害政策が、中国経済の原動力なのです。人件費が上昇すれば、中国は世界の工場として安穏としていられないので、 中共は人権侵害政策をさらに推し進めるでしょう。

問題は日本の政財界の親中派で、彼らは中共の人権侵害政策を日本に導入しようとしています。一方で親米派も、 アメリカ型の自由経済の御旗の下で、同様の政策を志向するのですから、最早、異常事態です。日本も中国と同じく「人材使い捨て政策」 が進むのでしょう。その時、日本市場は地に落ち、トヨタの没落も始まるでしょう(既に始まってますが)。