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混凝土に咲く花のように


海外旅行記や国内旅行記など、数々の旅行記を連載中!
        HP『我道旅人』で更新内容をまとめて掲載

2006年03月23日 | 断続チャリ旅(真鶴⇒名古屋)
気付けば大浜海岸の終点として目標にしていた公園が見える。
もうすぐで今日の寝床である焼津に到着だ。
この足の痛みもあと少しの辛抱だ。

そう、あと少しで…

時として言葉は微妙なニュアンスの違いにより、誤解を生み出してしまうことがある。
だが今回の場合はその誤解の仕方が違っていた。
あと少しと口にした距離は実際にはあと10キロ以上もあった。
誰に向けられた言葉でもなく、自らに話し掛ける言葉だった。

膝が今にも爆発するのではないかと不安になるほど痛かった。
ベンチを見つけると思わず膝を伸ばし、大の時になって腰を掛ける。
すぐにでも出発しなければならなかったのだが、足の痛みと体のダルさから立ち上がりたくなかった。

もうここがゴールであるように思いたかった。
現実を見たくなかった。
自分自身に嘘を付くほど辛かったのだ。
しかし現実は非常なもので、そんな嘘は全く通用しなかった。
ここから最後過酷な道程が待っていたのだ。

ハマヒルガオ

2006年03月21日 | 断続チャリ旅(真鶴⇒名古屋)
イチゴラインと呼ばれるイチゴの温室と海が特徴的な駿河湾沿いの道を走る。
一直線に遥か彼方へと続く道路、ただ黙々と走るだけだ。
太陽は真正面の海に沈み込もうとオレンジ色の光を放っていた。
果たして今日の目的地である焼津の健康ランドまで行けるのだろうか。

波の音とペダルの音が耳の中で木魂する。
ふと視線を海岸に向ける。
すると黄土色の砂浜に一角緑色の絨毯が広がっていた。

「あれはなんだろう?」

近づいてみると、ハマヒルガオが一面に咲いていた。
何で砂浜に咲くことができるのか不思議だった。

疲れているはずなのだが、どうしても近くで見てみたくなり、ガードレールを乗り越えて砂浜へと降りる。
ハマヒルガオが咲き誇る傍らにはテトラポットがあった。
恐らくこれが風避けになって、潮風を浴びることなく生きてこれたのだろう。
こんな何もない砂浜でも力強く生きるハマヒルガオに感動した。

清水

2006年03月20日 | 断続チャリ旅(真鶴⇒名古屋)

15時頃清水に到着した。
道路沿いにはJリーグの清水エスパルスの旗が掛かっていた。
やはりサッカー王国静岡だ。
ここまでJリーグが浸透しているとは思わなかった。

通りに吉野家を見つけ、まだ昼飯を食べていなかったことを思い出す。
中途半端な時間だし、もうすぐ日が沈んでしまうのでこのまま走り続けたかった。
しかしそんな心配よりも自転車に乗って走ることに疲れと飽きを感じ始めていた。
今は日が沈もうが少し休みたい。
気付けば自転車を停めていた。
ここまで走り続けてきた気持ちが途切れそうだった。

2006年03月16日 | 断続チャリ旅(真鶴⇒名古屋)
国道1号に出ると再び海岸が続く。
左手には防波堤があり、その先には駿河湾が広がってる。

日差しはとても温かく、気持ちがいい。
自転車を停め、防波堤の上によじ登った。
ただ何となくこうしてぼんやりと防波堤の上から眺めてみたかった。

一直線のバイパスでただ走り去る車の波。
箱根の峠とは違って、車から楽しさは伝わって来ない。
そして穏やかで飛沫をあげない波。
人通りなど全く無い。
ただ車と海の波が一定のリズムで音を立てていた。
あまりに無機質で非日常的だ。
その心地よさを感じながら、しばらく体を休めた。

道間違え

2006年03月15日 | 断続チャリ旅(真鶴⇒名古屋)
海岸沿いの道も終わり、国道1号に乗ろうと走っていた。
しかしあるはずの道がなく、気付けば現在地すら分からなくなっていた。
ただ何となく走っていたのだが、このままあてもなく走っても仕様がない。
誰かに道を聞かなくては。

近くに新富士駅を見つけたので、寄ってみることにした。
道端に自転車を停め、地元のおばさんに声を掛ける。

「国道1号線てどちらになります?」

おばさんが教えてくれた方角は今さっき走ってきた方角だった。
引き返さなくてはならなくなった。
なんのために走っていたんだよ…
頭を斜めに傾け、眉間に皺を寄せる。
無駄な体力を消耗してしまった。
すぐ誰かに道を聞かなかった自分が悪いのは当然のことなのだが…

チャリバトル

2006年03月14日 | 断続チャリ旅(真鶴⇒名古屋)
国道136、そして1号を経由して県道163号に入った。
県道163号はどこまで続くのか分からないくらい果てしない道路だった。
進行方向左手には千本松、右手には富士山が拝めた。

ひたすらにペダルを漕いでいると、昔房総半島一周チャリ旅をした時のあの九十九里の海岸沿いを思い出す。
あそこもこんな感じだったな。
何処となく見覚えのあるような、そんな景色だった。

黙々と走っていると遠くに見えていた自転車に追いついてしまった。
抜かすのは少し躊躇ったのだが、相手のペースで走る必要もない。
颯爽と抜かす。

しばらくすると富士山が真横に来て綺麗な景色が見えたので、停まって写真を撮ることにした。
自転車と一緒に写したかったのだが、少し無理そうだ。
カメラを持ちながらフラフラしていたら、先程の自転車が抜かして行った。
先に行ってくれた方が気を使わなくていい。
どんどん先に行ってくれ。

2006年03月13日 | 断続チャリ旅(真鶴⇒名古屋)
長かった下り坂も終わり、ペダルを漕ぐことに抵抗を覚え始めた頃コンビニが見えた。
少しお腹が空いたので飲み物と共にオレオチョコレートを買う。
運動をしている時に一番気を使うのが水分なのだが、忘れてはならないのが糖分だ。
休憩するのが面倒だと休まずに、そして食べ物を食べずにいると調子を崩してしまう。
昔のチャリ旅で多々あったことだった。
そこで登山の時のレーションではないのだが、これから先休憩の度にチョコレートをかじることにした。

コンビニの駐車場に座り休んでいると、高そうなロードレーサーが横に停まった。
俺のチャリを見つけるとお辞儀をしてくれた。
折りたたみチャリの俺でも、荷台に荷物が括りつけてあるため、同じ旅人だとわかったのだろう。
まだチャリの世界では掛け出しの俺を同じチャリ仲間だと認めてくれたことが何だか嬉しかった。

さて、とりあえずこの旅一番の難題であった峠は越えた。
これからは海岸沿いの道が続く。

箱根の峠 下りへ

2006年03月10日 | 断続チャリ旅(真鶴⇒名古屋)
どれだけ歩いただろう。
ふと顔を上げると青い道路標識は交差点を示していた。
ついにピークに到着したのだ。

ここから先は下り坂に変わるため、歩く必要がない。
さらにはペダルを漕ぐ必要さえないのだ。

サドルに跨り、重力に身を任せる。
ただ乗っているだけなのに、体にあたる風が徐々に強くなっていく。
折りたたみ自転車では絶対に出せないスピードまで加速する。

あれだけ苦労して登ってきたのだ。
下り坂は本当に長かった。

「フォー!!」

右手を挙げ思わず叫ぶ。
苦労した分、最高の快感だった。

箱根の峠

2006年03月09日 | 断続チャリ旅(真鶴⇒名古屋)
なかなか頂上に辿り着かないので、少し休憩することにした。
自転車を道路脇に停め、石の上に座る。

今日はゴールデンウィークだけあって、走り去る車からは楽しい雰囲気が伝わってくる。
普段休みを取れないから、長期の連休を利用して家族や恋人同士みんな揃って旅行に行くのだろう。
その様子を眺めていると羨ましくも思えるのだが、今は自分に与えられたやるべきことをやるだけだ。
再び立ち上がり自転車と共に歩き続けた。

箱根の峠

2006年03月08日 | 断続チャリ旅(真鶴⇒名古屋)
道は細く、車道しかない。
さらに峠というだけあって、道は蛇のように曲がりくねっている。
次々に車が近づいて来ては、ハンドルを切れずに突っ込んでくるのではないかと恐怖感を覚えた。

そんな道の片隅を自転車のハンドルを掴み、黙々と押し歩く。
顔をあげる余裕がなくなってくると、ハンドルを通して見える地面を見つめながら登った。
リズム良く足が交互に前へと出る。
汗が2、3滴流れた。

いきなりの試練に精神的に参ってしまった。
果たしてこれから先目的地まで本当に辿り着くことができるのだろうか。

確かにそのような不安感は隠せなかったのだが、なぜか顔は笑っていた。
こうして汗をかきながら体を動かすことはとても楽しかった。
特に意味などなくガムシャラになって行動する面白さを体中から感じた。