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混凝土に咲く花のように


海外旅行記や国内旅行記など、数々の旅行記を連載中!
        HP『我道旅人』で更新内容をまとめて掲載

凧揚げ祭

2006年04月22日 | 断続チャリ旅(真鶴⇒名古屋)
浜松の街は何やら賑わいを見せていた。
通りは人で埋め尽くされ、道脇には出店が並んでいた。

「そういえば今日は凧揚げ祭りだと言ってたな。」

この人ゴミの中、掻き分けて先へ進むのはやや気後れがする。
時計を見るとまだ14時だ。
昼ご飯は11時頃に食べたのだが、やや小腹が空いてきた。
休憩がてらラーメンでも食べるか。
交差点にあったラーメンチェーン店のドアを開ける。

何処となく化学的な味がするラーメンを啜りながら考える。
今日はもうこの浜松で終わりにしてしまおうか…。
昨日があまりにハードスケジュールだったため、今日は早く床に就きたかった。

今日の目標は岡崎の健康ランドであったが、浜松からはまだ70キロ近くある。
今から出発しては果たして何時に到着することだろう。
そう考え出したら、選択肢は自ずと決まっていた。

「よし今日はもう終わりだ。」

ラーメン屋を出ると、祭の中へと飛び込んだ。

トンネル

2006年04月20日 | 断続チャリ旅(真鶴⇒名古屋)
山の稜線に辿り着き、斜面がなだらかになった。
茶畑から離れ、少し辺りの様相が変わってきた。

すると突然目の前に怪しいトンネルが現れた。
それほど高さがある訳ではなく、全体が緑で覆われている。

このトンネルを抜けた先には何が待っているのだろうか。

極楽浄土の桃源郷だろうか。
それとも中に入ったきり戻って来れない、神隠しにでも合うのだろうか。

そんな神秘的な雰囲気を持ったトンネルに思わず期待がこもる。

通り抜けるとそこには国道473号が待っていた。
やっと目指していた道に出れたのだ。

後は簡単だ。道に迷うことはない。
県道79号、37号を乗り継ぎ、国道1号沿いの道を走る。
国道1号はバイパスが多いため、国道152号に乗り換え浜松市内へと入った。

2006年04月17日 | 断続チャリ旅(真鶴⇒名古屋)
東海道新幹線の陸橋が見えた。
狭い道ではあるけれど、ここから登って行けば県道73号に出れる。
地図上ではそのようになっているのだが、本当に行けるものだろうか…
先程の失敗により慎重になってしまう。

急坂であるため、間違えた時のリスクが高い。
しばらく迷っていたのだが、陸橋という目印があるので間違えることはないだろうと考え直した。
心を決め自転車を押しながら登り始めた。

汗が吹き出す。
考えていたよりも急坂が長く続く。
途中で大木の木陰で休憩することにした。

地べたに座り、ペットボトルを口にくわえ空を眺める。
緑の葉の隙間から太陽がチラツキ、道の先からは冷えた風が流れてくる。
いい汗かいてるな。気分がいい。

光景

2006年04月15日 | 断続チャリ旅(真鶴⇒名古屋)
軽トラが走ってきて、通り沿いの商店で停まる。
男が2人降りてきて、自販機の前で何やら楽しそうに会話をしている。
服装から農家だということが自ずと分かる。
農作業の一休みに飲み物でも買いに来たのだろうか。

何気ないことではあるが、この町の日常に触れた感じがした。
お茶の収穫作業に追われる人達や休憩する人達、そしてその中を走り抜ける旅人。
そんな光景を見ていたら、県道79号に出れなかった焦りなどすでになくなっていた。
今はこの瞬間を大事にしたい。

茶の道

2006年04月11日 | 断続チャリ旅(真鶴⇒名古屋)
静岡の特産品といえばお茶である。
ここはまさにお茶の産地である牧ノ原であった。
辺り一面お茶畑。
茶葉を蒸してしているのか辺りはお茶の香りで満ちていた。
とてもいい匂いだ。

お茶の加工所を通り抜け、坂道を押しながら登る。
一面に広がる緑の茶畑が下に見える。
晴れ渡った青空と緑のコントラストがとても鮮やかだった。

坂の上に辿り着くと斜面の反対側に勢いよく下りる。
坂道は登りは辛いが下りは本当に気持ちいいものだ。
目的地に辿り着いた達成感が形となって味わうことができる。

しかし今回は違っていた。
今走っている坂道は巻いていて目指していた県道79号には繋がっておらず、再び県道233号へと戻ってしまったのだ。
苦労が形にならない、いわゆる全くの無駄であった。
もう俺には再び登る気力など残っていない。

このまま県道233号を進もう。
山間の平地を淡々と走った。

道に迷う

2006年04月10日 | 断続チャリ旅(真鶴⇒名古屋)

道に迷い方向感覚がないまま街中を走り続ける。
遠回りをしてしまったが、なんとか国道150号に出る事ができた。
このまま国道150号をずっと辿ってもいいのだが、わざわざ御前崎まで行く必要はない。
途中で県道73号に乗り替え、内陸に入ることにした。

県道73号から県道79号へと辿り、西へ向かうつもりでいた。
しかしいつのまにか県道79号の標識はなくなり、県道233号の標識になってしまった。

深みにはまるとまずい…
しかしわざわざ戻らずにこのまま県道233号で行ってしまおうか…

先に進んでいいものかと思い、日陰に自転車を停め、石段に腰を掛け地図を眺めた。
今日はいい天気でとても暑かったのだが、日陰の石はとても冷えていてお尻からその冷たさが伝わってくる。

「どうしたん?」

自転車で通り過ぎた農家のおばさんが声を掛けてきた。
事情を説明すると丁寧に教えてくれた。

「ここから少し戻って橋を渡ればいいよ。そこにお茶の加工所があるからまた道聞きな。」

ありがとうとお礼を言った。
再び立ち上がり元来た道を戻ることにした。

朝食

2006年04月06日 | 断続チャリ旅(真鶴⇒名古屋)
そういえばまだ朝飯を食っていなかった。
疲れているせいで飯を食べることも忘れそうだ。
手頃な店を探すのだが、住宅地を走っているせいだろうか全く見当たらない。
そこでコンビニに寄り簡単に済ませることにした。

買い物を済ませると、また自転車に乗った。
地図で近くに公園があることを確認していた。
せっかくなので公園で食べよう。

ビニル袋を自転車のハンドルに掛けながら街中を走る。
その姿は傍から見れば、近所に住む一人暮らしのにいちゃんに見えたことだろう。
朝っぱらからコンビニで買い物をして自転車で走る旅人が他にいようか。

小さな公園に辿り着き、通りに自転車を停めた。
そしてベンチに座り、オニギリを頬張った。

2006年04月05日 | 断続チャリ旅(真鶴⇒名古屋)
2005 5/4

早朝に出発する予定でいたのだが、昨日の疲れからか目が覚めたのは7時過ぎだった。
これでは朝風呂にも入ることができやしない。
周りを眺めると仮眠室で眠っている人はもうほとんどいなくなってしまった。
今日という日がすでに始まり、皆外へ出て活動しているのかと思うと何だか眠りすぎたことに罪悪感のようなものを感じる。

チェックアウト時間が迫っていたので、腹筋に力を入れて起きようとする。
しかし力が入らない。
体中から感じるものはダルさだけだった。

まぁいい…そんなに焦ることないではないか。

ゆっくりと準備を整えチェックアウトを済ませると、フラフラと自転車に跨り走り始めた。

到着

2006年03月29日 | 断続チャリ旅(真鶴⇒名古屋)
県道416号は海辺に出ると、そのまま海上へと続いていた。
海に囲まれた道路は遮るものがないため、峠のような閉塞感がない。
夜の闇もだいぶ楽しめるようになった。

岸辺へと眼を向けると、断崖絶壁の一部にトンネルのようにくり抜いた道路があった。
しかしその道路は今はもう使われていないようで土砂で埋まっていた。
この辺りの海岸を大崩海岸と呼んでいることから、岩盤は非常に脆いのだろう。
修復することも困難なことから、こうして海上に道路を新しく作ったのだ。

街灯の数が増えるにつれ、焼津の街に到着したことを実感し始めた。
すでに時計は22時を回っていて、通りを歩く人もそれほど多くない。
コンビニでお酒と軽いつまみを買い健康ランドへ向かった。

今日の寝床である健康ランドに着き、自転車に鍵を掛けて停める。
胸の中に込みあげるものがあった。
苦労してここまで辿り着いたのだ。
その達成感は想像以上であった。

しかしこれで今回の旅は終わりではない。
明日へと備え、風呂に入るとすぐに眠ることにした。

暗闇

2006年03月27日 | 断続チャリ旅(真鶴⇒名古屋)
太陽は地平線に沈み、本格的な夜の闇がやってきた。
頭上からぼんやりとした街灯の光が点々と辺りを照らす。
暗闇は人の心を不安にさせるものだ。
未だ寝床に到着できない苛立ちを心の奥底に感じる。
少しでもショートカットをしようと国道150号から外れ県道416号に入ることにした。

県道416号は緩やかな峠道。
街灯がないだけでなく、月明かりさえない。
本当に真っ暗だった。
県道に入ったことを後悔する。
ペダルを漕ぐことをやめ、自転車を押しながら歩く。

自転車にライトは付いていなかった。
車が通り過ぎる度に、その前照灯の光線により見えなかったものが一瞬姿を現す。
その明かりで一瞬道が見えるのはありがたかったのだが、それ以上に俺の真横を車が通って行く方が怖かった。