戦場カメラマン・広河隆一さん(74)の写真展「戦場の子どもたち」が、名古屋市民ギャラリー栄で開かれています。
悲惨な戦闘が続く中東などで、子どもたちが置かれた厳しい現実をフォトジャーナリストとして直視した写真が並んでいます。(9月2日まで)。
広河さんは早稲田大学を卒業した1967年、今なお戦火の絶えない中東へ。
以来51年間、半世紀にわたって、パレスチナをはじめイラク、レバノン、アフガニスタン、コンゴ・・・。翻弄されるこどもたちとその命をカメラに収めてきました。
さらに原発事故による放射能汚染にさらされているチェルノブイリ、福島、津波の現場などでも、被災者たちの置かれた現実を捉えています。
広河さんは、これらの現場は「人間の生存と尊厳が脅かされ続けている人間の戦場である」として、とりわけ弱者である子供たちに焦点を向けています。
子どもたちは次代を生きるために生まれてきたはずなのに、人間同士の戦争がその権利を無造作に心身ともに傷つけ、命を奪っているからです。
展覧会は「この現実を一人でも多くの人々に知って欲しい」と、市民らが運営するする広河隆一非核・平和写真展開催を支援する会が企画。
名古屋市民ギャラリー栄の7階にある第3展示室を、無差別爆撃された街角や難民キャンプ村などで記録したモノクロ写真が埋めています。
父母らが犠牲になった現場で泣きじゃくる子、地面に子どもたちの遺体が転がる現場で号泣する女性たち、子どもの墓の前で立ちすくむ父親、別の墓では母親が体を丸めて座り込んだまま。
戦車に向かって石を投げる子も。
「私は『物乞い』をしているのではない」と、くっきり大きく開いた目で訴える女の子。
シャッターをなかなか切ることができなかった現場が少なくなかったことが、写真に添付された広河さんのコメントでもわかります。
原発事故や津波の被災地でも、ジャーナリストである広河さんのまなざしは変わりません。
戦場だけでなく現場ではとかく情報は隠されるとして、私たちの「知る権利」は守られているだろうか、と指摘しています。