



本物の釣針が付いた魚の絵、笑いを誘う恐竜・・・。
名古屋市民ギャラリーで開催中(23日まで)の「松原義秋 銅版画個展」。作品は小さくても、創作の楽しさと遊び心が詰まっています。
名古屋市名東区在住の松原義秋さん(81歳)が、版画を趣味にしたのは20年ほど前。名古屋テレビを定年退職して約1年後のことでした。
版画を楽しんでいた友人から「イギリスの版画仲間と現地で合同展を開くのだけど、イギリス旅行を楽しみませんか」と誘われ、夫婦で出掛けたのがきっかけとか。
「これなら、絵を描けない僕にもできそうだ」
帰国すると朝日カルチャーセンター名古屋の版画教室に入り、たちまちとりこになりました。
銅版画といっても、凹をつける技法や彫刻刀の種類、板材もプラスチックや木などさまざま。それらを組み合わせるなどで、自分独自の表現ができることも魅力のようです。
奥さんの勧めや先生の励ましもあって初めて開いた個展。
月下美人やアジサイ、カラフルな魚、キー、線香花火などといったハガキ大から4号サイズほどの作品35点が並びます。
作品の何枚かには、余白にサインや題名とともに11/12などといったエディションナンバーが入っています。「これは教室のみんなで、年度末に年間の自信作を交換しあうために刷った数字ですが、これも教室の魅力です」と松原さん。
松原さんのもう一つの趣味だという魚釣りの獲物を画題にした作品には、よく見ると絵の中に友釣りの本物の針やルアーを取り込んでありました。
さらにご自慢は、孫が幼稚園児のころのお絵描き帳にあった動物や恐竜、魚などの絵をアレンジして、配色を施すなどした作品。子どもの素直な感覚とおじいちゃんの優しい思いがコラボした版画からは、より温かさが伝わってきます。
松原さんは話しています。
「元職場や他局の仲間も見に来てくれてお互い元気でいることも分かり、個展を開いて良かったと思っています。プロの大きな作品は無理ですが、アマチュアらしくいろんなアイデアを作品にして楽しみます」





これは20年前に制作した初めての作品だそうです