生活保護制度の利用の流れ

2012-07-11 16:23:37 | 京都POSSEの活動報告です!
生活保護制度は最低生活費以下の収入で暮らす生活に困っている方であればだれでも申請でき利用できる制度です。
今回は生活保護制度の基本的な部分を紹介したいと思います。

まず、生活保護は誰であっても、どこに住んでいても申請できます。そして、最低生活費以下の収入しかないと認められたなら、無差別平等に受給できます。
申請者の性別・信条・思想・社会的地位などは受給要件に含まれません。若いことも住所がないことも借金があることも、生活保護を受けられない理由にはなりません。また、生活保護は家族や夫婦などの世帯単位で支給されます。

次に最低生活費の額ですが、これは八種類ある扶助を合計して計算します。八種類の扶助とは、生活・住宅・教育・介護・医療・出産・生業・葬祭のことです。
(医療扶助と介護扶助は金銭ではなく現物給付です。他は原則として現金給付です。ただし、出産扶助・生業扶助・葬祭扶助は臨時的に給付されるので、基本的には生活扶助・住宅扶助・教育扶助・医療扶助・介護扶助を合計したものが最低生活費となります。これらは国で一律に決められているものではなく、各地域によって異なります。他にも、アパートに入居するための費用や家具什器費などの状況に応じた一時扶助があります。)

では、生活保護を受給するまでの流れを具体的に紹介したいと思います。

1)来所:本人か家族が住んでいる地域を管轄する福祉事務所へ相談に行きます。
必ずしも住民票がある場所ということではありません。ホームレス状態にある場合は、申請に訪れた役所を「現在地」として申請することができます。

2)面談:担当者が面談をします。
生活保護の仕組みの説明や、申請者の生活状況(健康状態・職歴・生活に困った経緯など)の聞き取り、他に利用できる制度の説明などをします。
申請者の同意があれば、担当者は支援者の同席を拒否することはできません。

3)申請:保護の申請受付です。「申請する」という言葉のはっきりとした意思表示があれば申請できます。

4)調査:申請に基づいて、ケースワーカーが世帯の収入や資産、扶養義務者からの援助が可能かどうかなどを調査します。
この扶養義務者は必ず援助しなければならないのではなく、拒否することもできます。また、訪問調査もあります。
申請後から度々担当のケースワーカーと面談をすることになります。

5)要否判定:調査に基づいて、保護が必要かどうか判断されます。

6)決定:保護の開始決定もしくは却下の決定をします。決定は申請のあった日から通常14日以内、最長で30日以内に行わなければなりません。
決定の場合は申請日にさかのぼってその月の保護費が支給されます。却下の場合はきちんと理由が書面で通達され、不服があれば審査請求をすることができます。

7)支給・相談支援:保護費が毎月一定期日に支給されます。また、ケースワーカーが保護利用中の義務や権利、他のサービスの説明をします。

家族・親族に扶養の意思と能力を持つ人がいたり、万が一収入や資産が十分にあった場合には申請してから決定までの調査期間に判明するようになっています。
ケースワーカーが十分な調査を行っていれば受給開始時点で不正に保護費を受け取ることはできない制度設計です。

最後に申請の際の注意点です。よくある申請時のトラブルとして、申請書を渡してくれないという対応をされる場合があります。申請書を渡さないことは違法ですし、面談の段階で虚偽の説明や威圧感を与え申請を断念させる行為は厚生労働省の通達によってやってはならないと定められています。もしもこのような対応をされた場合には、ご自身で申請書を作り提出するという方法が有効です。申請書の様式はとくに決まっていませんがNPO法人もやいの申請書フォーマットなどを利用すると便利です。  

それでも申請拒否などのトラブルにあってしまった場合にはPOSSEや地域の申請同行を行っている団体にご連絡ください。
POSSEには、関西近辺の方は075-365-5101、その他の地域にお住まいの方は03-6699-9359におかけください。

参考
厚生労働省ホームページ
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/seikatuhogo/index.html
唐鎌直義編2008『どうする!あなたの社会保障④ 生活保護』旬報社
ホームレス総合相談ネットワーク『路上からできる生活保護申請ガイド』

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