9月4日(日)に労働法セミナーを開催しました!

2011-09-18 10:51:19 | 京都POSSEの活動報告です!
9月4日(日)に中京区青少年活動センターにて『若者のキャリアを守ろうキャンペーン 職場トラブルへの実践的対処術 震災篇 ~「震災の影響」ならなんでもありじゃない!~』を開催しました。ゲストとして京都南法律事務所の毛利崇弁護士をお呼びして、様々な労働トラブルに対する実践的な対処術をお教えいただきました。

今回のテーマは震災編としましたが、京都POSSEにも震災に関する様々な相談が寄せられています。今回はそのような相談の対処術として、「震災の影響」ならなんでもありではないということを、法的な観点から実践的な対処法も含めて詳しくご教授頂きました。ここでは今回のセミナーの内容の一部をご紹介します。

震災を理由とした休業
例えば震災のため東北地方の工場から部品が入手できないとして、日本各地の工場が直接の影響がないにも関わらず休業になるというケースがあります。

このような事由で労働者を休業させるならほとんどの場合、会社は賃金の100%を支払う措置を行うのが妥当です。なぜなら、このようなケースは不測の事態を見越して、他の流通ルートを確保しなかった会社側のリスク対応の甘さから来ていることがほとんどだからです。これが何百年に一回の大震災に限らずとも、東北の工場が火事などで動かなくなる事態は当初から見越して、事前に他の工場へのルートを事前に確保すべきであったと言えるでしょう。会社側のミスが社員への負担としてのしかかるという事態はあってはなりません。

なお、会社が事前から様々な努力をして、本当に休業をさせることがやむを得ないという場合でも、賃金の6割以上の休業手当は原則として支払わなければなりません。


震災を理由とした解雇
震災を理由とする場合は、離職事由としては経営上の理由ということになるので「整理解雇(リストラ)」と言えるでしょう。整理解雇をするには次の4要件を満たさなければなりません。

①経営上人員削減の必要性があること
②人員削減について解雇を選択する必要性(解雇回避努力を尽くしていること)
③人員削減について労働者・労働組合と十分な協議を行っていること
④被解雇対象者の人選の合理性

このように、整理解雇をするには会社は厳格な手続きのもとに審査と考慮をしなければなりません。例えば、整理解雇を言い渡したのに会社は内部留保を蓄えている場合は、解雇回避努力を怠っていると言えます。事業部が撤退するようなケースでも、他の部署に異動することなどを考えなければなりません。

上記の休業をさせる場合と同じような原理で考えれば、使用者は元来、社会通念上誰から見ても合理的な理由がなければ労働者に不利益を被らせる判断はできません。整理解雇をする場合、本当にやむを得ない理由があるとすれば、「そうしなければ明日会社がなくなる」といった場合だけとなります。そうなれば正当 理由での整理解雇は日本ではかなり限られてくるので、疑ってかかる精神が必要となるでしょう。


対処術として
①絶対に合意しないこと
会社側がしばしば、労働者にとって不利益な取り扱い(退職勧奨や賃金引き下げなど)を迫ってしてくることがあります。この時すぐに「はい」「わかりました」などの合意をしてしまうと弁護士とい えども対処する事が難しくなってしまうようです。離職トラブルなどが特にそれがあてはまるようで、一度辞めることに合意してしまうと、復職したり、損害賠償をとるのにも支障がでてしまうようです。したがって、合意をする前に「少し考えるお時間をください」などといって時間稼ぎをしましょう。そして、待ってもらっている間にしかるべき機関に相談して、的確なアドバイスを仰ぎましょう。

②証拠をとること
ICレコーダーやメモをなどの証拠取ることは、法的な判断をするのに重要な参考になります。例えば賃金未払いの場合はいつタイムカードをコピーしておきましょう。セクハラやパワハラの場合は、ICレコーダーで言われたことを録音したり、日記などにいつどこでどんなことを言われたなどのことを記録しておくのが良いでしょう。どんなに些細なことでも構わないので日ごろ証拠を取るように心がけましょう。

③おかしいと思ったら相談すること
労働法というものは1人で勉強するには分量が多く、非常に難解に作られています。労働に関しては生活がかかっていることもあって、間違った判断をしてしまっては大変です。迷ったらすぐにPOSSEや弁護士、コミュニティユニオンなど の対応機関に相談してみましょう。


まとめ
他にも様々な論点についてわかりやすく法的に説明していただきました。今回のテーマは「震災編」としましたが、上記のケースを見てみると、「震災の影響」を理由とした職場トラブルは、労働者の社会的な良心につけこんだ会社側の経営努力不足であることが多いと言えるでしょう。加えてこのようなトラブルに対しては、基本的には既存の労働法を使えば、大体のケースは対処できるということをお教えいただきました。今回のセミナーを通して「震災の影響」という異例 な事態においても、労働法の規定を免れることができないということを再認識することができ、京都POSSEとしても意義のあるセミナーを開けたと思います。

離職トラブルはその後の人生に大きな影響を与えるものです。何かあったらとにかくすぐに相談する事が何より重要です。ぜひ何かご相談がありましたら私達にお気軽にご相談ください。


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【POSSEとは…】
POSSEは労働相談、文化企画、政策研究・提言を若者自身の手で行うNPO法人です。
現在、会員は全国で約250人。20代前半を中心に、学生と社会人半々くらいの比率の50~60人のメンバーで運営しています。
労働相談班、労働法教育ワーキングチーム、解雇・リストラ相談センター、奨学金ワーキングチーム、雑誌編集部、文化班などがあり、隔週で会議を行なっています。各人が各人の興味・関心に基づき、個性を生かして社会にアプローチしていける場となっています。また毎年街頭で行なうアンケート調査や、セミナー、 シンポジウムなどはさまざまな新聞、雑誌、TVなどで取り上げられており、社会的に注目されています。

京都では2009年末から新たに『京都POSSE』が立ち上がり、労働相談活動を軸としながら京都独自の取り組みをおこなっています。
現在は京都大学、同志社大学、立命館大学、龍谷大学、大阪大学、大阪市立大学などの学生や社会人を中心として、約20人ほどのスタッフが活動しています。
ボランティアスタッフは随時募集中ですので、お気軽に上記の連絡先までご連絡ください。

なお、POSSEでは、東日本大震災における被災者支援・復興支援の活動も行っております。現地や東京都内で活動する復興支援ボランティアを募集しておりますので、関心をお持ちの方は下記の連絡先までお問い合わせください。


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