人間の記憶っていい加減なものですね。
「トナカイは実在するか」という昨日のエントリで、「カリブー」が「トナカイ」を意味するカナダフランス語だと知らなかった、と書きました。
アップしたあと気づいたんですが、知らないはずがないんですよ?
若い頃、世界の動物図鑑やカナディアンロッキーのガイドブックの編集を手伝い、つくったゲームにはカリブーをモデルにした幻獣を登場させたわけですから。
完全に記憶が欠落していました。
欠落というより、記憶のデータベースへの接続状況が悪くなった、というべきかもしれませんね。
忘れていたといえば、地方自治体のお客さんに、「黒さん、このコピー、どう思われます?」と、ある印刷物を示されたことがあります。
それは、この街の自然がいかに美しく、歴史があり、いかに人情に富んだ街であるのか、おらがふるさと自慢をしている文章でした。
「いい文章ですね。この街へのおおらかな愛にあふれています」
「当然です。だってそれ、黒さんが昔書いたパンフのコピー、そのままパクリですよ?」
あのときばかりは、赤面、そして恐縮の極みでした。自分の文章を「いい文章ですね」と自画自賛してしまった愚かしさに対してです。
パクられ放題だった仕事の愚痴はとにかく、今日があの日から22年だということだけは、忘れてはいけないと思います。おやすみなさい。
あなたは、正当な評価をしただけで、書いた人がたまたま自分であった、というだけ。自分の書いたものだと知った上で、良いと吹聴したわけではない。
とはいうものの、芸の道に終わりはないということでしょうか。