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新・私に続きを記させて(くろまっくのブログ)

ハイキングに里山再生、れんちゃん姉妹とお父さんの日々。

浜岡原子力発電所 停止決定へ

2011年05月08日 | 反原発・脱原発・エネルギー
 日経夕刊では「浜岡原発停止決定へ」と報じられていた。中部電力の水野社長も、事実上、菅首相の原子炉停止要請を受け入れる考えを表明していた。しかしネットで見ると、臨時取締役会でも結論は出なかったようだ。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110507-00000019-maip-soci

 しかし、東海大地震が予想されるなかで、浜岡原発の危険性は、今や誰もが認めざるをえないものだ。30年以内にマグニチュード8程度の想定東海地震が発生する可能性は87%と切迫している。

 浜岡原発の停止それじしんは、歓迎すべきことだ。しかし御前崎市の石原市長もいう通り、「国が原子力を危険・不安と思うのであれば、浜岡原発だけではなく、全ての原発を見直さければ、道理が通らない。地元経済への影響も、社会全体で考えていかなければならない。

 5月7日の日経朝刊は、菅首相の浜岡原発停止要請を「唐突だ」と批判していた。しかしその2日前の社説では、「原子力の代わりはすぐに見つからず、原発全廃は非現実的」としながらも、「大震災や津波への備えが万全か徹底的に点検したうえで、運転の継続が妥当かを合理的に判断してほしい」と論じていたのではないか? 

 人口減少社会のなかで、電力需要の大きな伸びは考えられない。日本の原発業界は、この事故以前に縮小を余儀なくされていた。生き残りのためのアジア・世界への原子力プラント輸出戦略も、この事故で望みを断たれたといってよい。

 産業界はもうとっくに先を見越している。転んでもただでも起きず、生き馬の目を抜くのがリアルビジネスである。三井造船など10社が、中東での太陽熱発電プラントの共同受注に向けてコンソーシアム(企業連合)を組んだ。太陽熱発電システムの世界市場は現在は3000億円だが、2010年には5兆円、2030年には8兆円になると予測されている。丸紅は山梨で出力1000キロワット未満の小水力発電を3か所稼働する。トヨタとマイクロソフトも提携して、自動車・IT・住宅をつなぐスマートグリッド(次世代送電網)の実用化に動いている。

 もちろん、これらの企業は、脱原発の実現のためにやっているわけではない。企業のリアリズムは、資本制社会のリアルの一部であるマネーのためである。多くの企業がしきりに「CSR」「CS」「コンプライアンス」を口にするのも、社会的責任も顧客満足も法令遵守も果たしていないからで、その逆ではない。

 今回あらためて思ったのは(あくまでも科学の素人の感想だが)、原子力発電所は、何とまあ時代遅れの未完成なテクノロジーだということだった。汚染水の流出を防ぐために、おむつ用樹脂やおがくずをトレンチ(坑道)に流しているのを見たときには、ものづくりに関わる人間として、つくづく情けなくなった。これがほんとうに「技術立国」なのか。

 1999年の東海村JCO臨界事故を受けて、2002年に開発された原発災害ロボット「MARS!1」も、試作機を作っただけですぐに打ち切りになった。「ロボットが必要となる災害は起きない」というのがその理由である。安全神話というが、科学が「神話」のごときものになってきたのではないか。

 こんな時代遅れの技術より、台湾の呉茂昆氏のイットリウム系高温超電導技術などのほうが、はるかに夢も未来もある。こんな優れたテクノロジーを有する台湾に、どうしてGEなどと結託して、原子力発電所を輸出する必要があるだろう?
http://www.nikkei.co.jp/hensei/asia2011/asia/prize_jusyo2.html

 原発や新エネルギーの問題も、一国だけで考えていてはいけない。グローバリズムに対抗する、国境や立場を超えたインターナショナリズムが求められているように思う。


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 5月11日の追記。
 浜岡原発停止そのものは歓迎するけれど、そればかりではいけない。
 恐怖を煽るつもりはないけれど、原発の危険性は、テロ攻撃の標的になるということ。
「週刊現代」1999年10月22日号に発表された、高沢皓司氏のルポ。

 サリン開発の責任者だった「化学技術省」刺殺事件の全真相
 村井秀夫が極秘指令「原発の機密をスパイせよ!」

 http://senmon.fateback.com/hantou/kitachousen/oumu_kita10.html

 最近ウィキリークスで明かになった米外交電でも、「テロの脅威への脆弱性」が指摘されている。
 http://p.tl/ZVDA

 この記事中にあるように、テロの脅威より、放射性物質の放出のほうが、より現実的な脅威ではあるのだろう。

 しかし今後、北朝鮮は潜水艦を福井周辺水域に出没させるだけで、これまで以上に軍事的プレゼンスになる。また米国の同盟国である日本は、アルカイダの報復テロの標的である。

 戦争は「実際の戦闘行為」だけではない。クラウゼヴィッツを引用するまでもなく、戦争とは、別の調停手段を伴う政治的な取引の継続である。

 北東アジアの緊張緩和が重要であり、対米追随からの脱却することが、日本の住民大衆を守ることである。

 しかし残念ながら、菅首相は、自分のクビだけが心配らしい。

 その場しのぎの「浜岡原発停止要請」の大罪
 菅総理は法治の根幹を揺るがしている/町田 徹氏

 http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20110510-00000001-gendaibiz-pol

 「つまり、成功しても、失敗しても禍根を残すという最悪の選択を、菅首相はしてしまったのである。その場しのぎで十分な検討が成されていないことは明らかだ。これでは菅直人氏が、首相どころか、市民としての常識を欠いていることも明らかと言わざるを得ない。(中略)
 とはいえ、現行の電気事業法や原子炉等規制法に、電力会社を規制する手法がないわけではない。むしろ素人が読めば、そのメニューの多さに驚くのではないだろうか。事業の許可、取り消し、業務の改善命令、保安基準の設置義務付け、同変更命令、省令や保安基準に反する場合の施設の使用停止、定期検査義務…といった具合に、多彩な行政指導の手法が規定されているからだ。
 そして、今回のケースで、これらの中にひとつも適用できるものが無かったという釈明は、俄かには信じ難い。菅総理が官僚システムのサボタージュに会ったか、そもそも官僚システムに検討させていないという説明の方が遥かに合点がいく話である。」

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 同じことを、天木直人さんも指摘していた。
 今回の白紙撤回宣言は、玄葉政調会長や岡田幹事長にさえ知らされていなかった。
 閣議決定はおろか閣内での議論も、何もない。
 この点に警鐘を鳴らしておられる。
 http://www.amakiblog.com/blog/

 5月11日のメルマガ第329号は『日本は中国と反対の道を歩む覚悟はあるのか』。以下は要約。

 菅首相の脱原発宣言に対して、中国は新規原発の稼動を発表した。
 中国政府は一頭独裁支配のもとに、経済発展を最優先する。
 このことは、中国が世界でも有数の原発国となることを意味する。
 それは取りも直さず米国とならぶ核大国となるということでもある。
 日本が脱原発をすすめていくと、中国との格差はますます開いて行き、日本はもはや軍事力はおろか経済力においても、とても中国にはかなわなくなるだろう。
 しかしそれでいい。経済成長を最優先する競争主義、効率主義の国のあり方から決別し、共生社会、人間性の豊かさを求める社会に価値観を変えていく、核兵器などを有しない平和国家を守る、そして日本はその方向を目指すべきだ。菅首相にはそこまでの覚悟はあるの。以上が、天木さんの問題提起である。

 しかし経済については、そこまで心配する必要もないのではないかな。
 この点は超左翼おじさんに賛成である。

 日本の技術力を高みに上げ日本を復活させる
 http://chousayoku.blog100.fc2.com/blog-entry-802.html
 「有名な話だが、公害問題に揺れた70年代、自動車の排ガス問題で、日本は世界にもまれなきびしい規制値を決めた。そのことが、エコが求められたその後の時代、日本の自動車産業の競争力を高めることになったわけである。

 公害を追及する国民的な運動が、日本企業の国際競争力を高めたわけだ。なんだか、風が吹けば桶屋が……という感じもあるけれど、そういう要素は否定できない。
 そういう昔の伝統を、いま、復活させるべきだと思う。ほんとうは、日本の企業がよみがえるとしたら、国民のきびしい要求に応えるためにがんばるときかもしれない。東電は、その中心にいるべきだ。どうでしょうか。」

 この危機こそ成長のチャンスだ。
 現状維持からは、イノベーションも成長もありえない。
 プロジェクトXで見た、ホンダのCVCCエンジン開発物語は、本当にいい番組だった。誰もが不可能だと思った、アメリカの排ガス規制(マスキー法)を世界で初めてクリアした。もうあの物語は過去だというのか。
 もう死ぬこと以外やることの残っていない人たちは、道を譲ったほうがいい。

 「経済危機に対する労働者の恐れを打倒せよ、そして本当に革命が行われているのだということ、大衆的革命行動の真の原則を実行に移すのだということを資本家どもにわからせよ!」(トロツキーによるレーニン)


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