みちくさをしながら

いろいろあって、生活を見直している日々。

ルチレイテッド・クォーツ(ルチル入り水晶)・Rutilated Quartz

2006-06-06 18:04:45 | 鉱物標本
産地:ブラジル/37×25×13(mm)

ルチル(金紅石)の針状結晶を包有物とする水晶です。針入り水晶ともいいます(見たまんまだね)。

昔は水晶は氷の結晶と思われていたそうですが、実際は熱水から出来るんです。
地中深い高圧・高温の温泉に溶け込んだ珪酸分が水晶の素。
その熱水が冷えたり、圧力が低くなると、珪酸が溶け込みきれなくなって結晶化します。これが石英です。
さらにゆっくり成長して目に見える大きさに結晶化したものが水晶です。
その過程でルチルを取り込むと、この標本のように金の針を閉じ込めたような結晶になるんですね。
「ファイナル・ファンタジー」のアイテム「金の針」は石化を解除するんですが(笑)

他にも水晶の包有物には針鉄鉱や黄鉄鉱、電気石、角閃石、雲母などが知られており、その中身によって草入り水晶など、様々な名称があるようです。

◆鉱物データ
SiO2(ルチルはTiO2)/六方晶系/硬度7/比重2.65以上(ルチルの含有量によって)/劈開・なし/酸化鉱物

日本式双晶(Japanese law twin)

2006-06-06 18:02:41 | 鉱物標本
産地:長崎県南松浦郡奈留島/⇔23mm

双晶とは、鉱物の結晶が規則性のある角度で接合し、成長したものをいいます。
これまでも、辰砂の貫入式双晶や菫青石仮晶の桜石を紹介してきましたが、やはり双晶で有名なのはコレでしょう。
水晶の双晶で日本式双晶といいます。
明治時代に日本産の標本が広く紹介されたためにこの名称がつきました。しかし、日本特産というわけではなく世界各地の水晶産地でみられます。
2つの結晶が主軸(c軸)に対し約85度(84°34’)の角度で接合しています。平板な2つの結晶が並ぶ形からハート水晶、夫婦水晶とも呼ばれていますが、ハート形の他にV字型、軍配型のパターンもあるようです。(「iStone鉱物と隕石と地球深部の石の博物館」日本式双晶より)
この標本はハート形ですが、二つの結晶の大きさに差があるのでハートというよりは夫婦水晶の呼び名が似合うかな。

そういえば、もう6月、ジューン・ブライドですね。

◆鉱物データ
SiO2/六方晶系/硬度7/比重2.65/劈開・なし/酸化鉱物

ダイヤモンド(Diamond)

2006-04-27 19:24:31 | 鉱物標本
産地:不明/結晶の大きさ:約3mm

もう今月も終わりなんですが、今回の鉱物の話は駆け込みで4月の誕生石ダイヤモンドです。

さて、言わずと知れた、宝石の王様。
昔、ちょっとした玉の輿に乗った会社の同期が、婚約祝いの飲み会にダイヤの指輪をギラギラさせながらやってきたことなんかを思い出したりします。「1カラット、FのVVS1」と連呼していたのを今でも覚えていますよ。
「F」を「エス?」と別の同僚が聞き返したら「エ・」と下唇かんで言い返されたのも、まあ、今となっては青春の1ページですな。

かのごとく人を惑わすダイヤモンドですが、原石はちょいと地味です。
あの強い輝きは、カッティング技術によるところが大きいのです。
ダイヤモンドは高い光の屈折率と反射率(普通ガラスの4倍強!)を持っています。
そのためカッティングによって作られた多くの面から取り込まれた光が、ダイヤの中で屈折し反射して見ている人の目に戻ってくる。だから石そのものが輝くように見えるわけです。
つまり、ダイヤの輝きは石と光と人間の協力で生まれるんですね。

もっとも、写真のダイヤは工業用に使われるような品質の石なので、なおさら美しくないんですが。

宝石として利用できる品質の原石(G-HカラーUPでVSクラスはカットできるでろうと書かれています。)の写真がこちらのブログに掲載されています。原石もこのクラスになると中々美しいですよ。
永遠の輝き ファンシーカラーダイヤモンド

なお、写真の石は2000年に国立科学博物館で開催された「ダイヤモンド展」の時に、中の仮説売店で購入しました。
でも、母岩に接着したもので産地もわからず標本と呼べるものではないです。イベントの土産物ですね。
一応、母岩はキンバーライトのようですが。
まあ、記念に買っちゃいました。自分はミーハーなんだな、と再認識させられました(笑)
なお、ダイヤモンドは鉱石を粉砕して選別する採掘方法なので、母岩付きの標本はまず入手できないそうです。

◆鉱物データ
C/等軸晶系/硬度・10/比重・3.51/劈開・完全(1方向)/元素鉱物

桜石(菫青石仮晶)・Cerasite

2006-03-22 18:43:46 | 鉱物標本
産地:京都府亀岡市湯ノ花/⇔6~8mm

東京都心では昨日、桜の開花宣言があったようですね。
それにちなんで、桜石のお話でも。

桜石は正確には鉱物ではありません。
鉱物の定義についてはこちらを見ていただくとして(秋田大学工学資源学部「科学のふしぎ」)、菫青石という鉱物が結晶の形を残したまま変質し白雲母や緑泥石にかわったものです。
なお、石の名前はその桜の形にちなんだ俗名です。

この花の形は、元々の菫青石の3つの結晶が互いに貫通して双晶を形成したことによります。柱状の結晶なのですが、その断面が花びらのように見えるのです。もっとも、桜の花びらは5枚ですが、こちらは6枚です(双晶だからね)。
それにしても、菫青石はその名のとおりスミレ色の鉱物ですが、桜石は色まで桜の花そっくり。自然の妙です。

また、この石には菅原道真にまつわる伝説があるのですが、こちらのサイト(「Blessing of the earth ~宝石の世界~ 」)に詳しい話が出ています。
サイト内の「伝説の宝石」に記事があります。

なお、写真の桜石は東京ミネラルフェアで購入しました。


黄鉄鉱(Pyrite)

2006-02-22 14:26:34 | 鉱物標本
産地 :Navajun La Rioja,Spain/⇔約30mm

硫化鉱物の中で最もポピュラーな鉱物。別名も「愚か者の金」「ネコ金」「馬鹿金」など散々な言われよう。
でも、ポピュラーなだけに採集しやすい鉱物ということでもありまして、コレクターの人気は高いです。

また、結晶しやすい鉱物でもあり、その形状は立方体、5角12面体、まれに正8面体、それらの複合体など条件によって異なります。
メタリックな質感とシャープな形状が、またコレクター心をくすぐるんですよ。ほほほ。
写真の標本も人工的に作ったかのようなシャープな立方形の結晶が3個つながっています。

◆鉱物データ
FeS2/等軸晶系/硬度6~6.5/比重4.82~5.02/劈開・不完全/硫化鉱物

紫水晶(Amethyst)

2006-02-15 17:27:52 | 鉱物標本
産地: Preozersk City Karaganda Oblast Kazakhstan/⇔2.7cm

2月の誕生石アメシスト(紫水晶)です。
この紫は、微量に含まれている鉄に天然放射線が当たり特殊なイオン状態になったことによる発色です。
加熱すると黄水晶に変化したり、日光や蛍光灯に長時間当てると色があせるのは、加熱や紫外線によりこのイオン状態が失われるため。

西洋ではこの紫色にワインを連想するんでしょうか、ギリシャ神話ではこの石の誕生に酒神デュオニソスが関わっています。
また、酔い止めのお守りとして身につけられていたとか。
アメシストで作った杯でワインを飲むと悪酔いしないと信じられていたとか。

ま、迷信ですから真に受けないように。
「アメシストを持っているから大丈夫だぁ!」と飲み過ぎても結果に責任は持てませんぜ。


◆鉱物データ
◆SiO2◆六方晶系◆硬度7◆比重2.65◆劈開なし◆ケイ酸塩鉱物◆

辰砂(Cinnbar)

2006-01-28 16:30:22 | 鉱物標本
産地:Nikitovka鉱山、ウクライナ/標本の大きさ:7mm

HgS/六方晶形/硬度2~2.5/比重8.0~8.2/劈開・完全/硫化鉱物

古くから朱色の顔料や水銀の原料として利用されてきた鉱物です。
また、不老長寿の霊薬として道教の神仙術や仏教の密教秘技に重用されたりしてきました。
そういえば、「ガラスの仮面」で劇中の紅天女の里にもこれが産出してました(笑)
千年の紅梅と辰砂。
まさしく紅天女にふさわしいイメージですが…。

辰砂は加熱すると、酸素と反応して水銀蒸気と亜硫酸ガス(二酸化硫黄)に分離します。
HgS+O2→Hg+SO2
この水銀蒸気を冷却凝縮させることで水銀を精製するわけです。

それより何より、『ガラスの仮面』。本当に最終回まで読めるようになるんだろうか?
(『ガラかめ』も、もう20年のお付き合いになりましたなぁ)

さて、この標本ですが、貫入式双晶となっています。
二つの結晶が60度ずれて組み合わさり、キリの先のような形を作っています。
色も暗い金属光沢ですが、所々鮮やかな朱色が見られます。

ざくろ石(Garnet)

2006-01-19 17:33:46 | 鉱物標本
写真は鉄ばんざくろ石(Almandine)(板のように見える結晶は白雲母)
産地 Skardu,Pakistan/標本の大きさ約60×25×20(mm)

Fe3Al2(SiO4)3/等軸晶系/硬度7~7.5/比重3.7~4.26/劈開なし/珪酸塩鉱物

1月の誕生石として有名なガーネット(ざくろ石)ですが、鉱物学的には珪酸塩鉱物の類質同像のグループの名称で14種類に分けられます。
色も一般的な赤色系だけでなく褐色や珍しいところでは緑や虹色まで様々です。

しかし、やはりその名前の由来にもなっているように、石榴の実の粒のような赤いガーネットはとても可愛らしい。
標本は鉄ばんざくろ石ですが、白雲母の中の石がまるでアーモンドビスケットに埋め込まれたラズベリーのようで、とてもおいしそう(笑)
なお、Garnetも語源はラテン語のgranatusから。「種子」とか「粒状の」という意味らしいです。

鉄ばんざくろ石はグループの中でもっとも一般的に産出する石です。主成分は鉄とアルミニウム。結晶は24面体が一般的。


ハーキマーダイヤモンド(Herkimer Diamond)

2005-12-19 19:45:44 | 鉱物標本
アメリカニューヨーク州/標本の大きさ(水晶部分)約2cm

SiO2/六方晶系/硬度7/比重2.65/劈開なし/酸化鉱物

ダイヤモンドと名前がついているが、これはれっきとした水晶。
産地のアメリカニューヨーク州ハーキマーにちなんでこの名称がつけられた。
しかし、原石のままで比べるならば、ダイヤよりこっちの方がずっと輝いていますね。

この標本は12、3年前に購入。
販売人曰く、アメリカではこれをワイヤーでくくって自家製のペンダントヘッドにして恋人にプレゼントするのがおしゃれなんだそうだ。
まあ、なんとロマンチックな…と購入した私は若かった。
今なら本物のダイヤを……ではなくて、ハーキマーダイヤモンドの母岩付き標本はほとんどが接着品だということを知らなかったんだな。
母岩は珪化作用を受けたドロマイト(苦灰岩)なんだが、これは粘り強くて固い岩石だ。
だから採掘には超大型ハンマーや電気ドリルを使用する。
その母岩にハーキマーはほんのわずかな1点でつながっているだけなので、採掘のときにぽろっと取れてしまうそうだ。

当時はそんなこと知らなかったので接着品かどうか確認しなかったし、そんなことは常識だと思っていたのかどうか向こうも何も言わなかった。
だから、今でもこれが接着品かどうか、ほとんどあきらめながらも悶々としている訳です(笑)
まあ、ハーキマーは接着品でなければ母岩付きを鑑賞できないというならば、それでもいいんだけれどね。
ただ、知ってて購入するのと知らずに購入したのとでは気分が違うわな~。

まあ、それでもクリスマスに恋人からこんなプレゼントをもらったら、ちょっとうれしいかも。
と、いう訳で素材サイトにもアップしました。

蛍石(Fluorite)

2005-12-09 17:10:51 | 鉱物標本
CaF2/アメリカイリノイ州/標本の大きさ約2cm/ハロゲン化鉱物

これは、私が中学生の頃初めて購入した鉱物標本です。
少ないお小遣いから出したのだけど、確か600円ぐらいだったかなぁ。
正八面体のころりとした形と半透明の氷砂糖のような質感に一目惚れしたのでした。
両端にかすかに紫と緑の色合いが見られます。
小さいながら思い出深い一品。

なお、この八面体は劈開を利用して割った形です。
こんな風に規則正しくきれいに割れる石の性質を劈開というんですが、自然の不思議を感じますね。