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KU Outdoor Life

アウトドアおやじの日常冒険生活

箱根・金時山-芦ノ湖スノーハイク

2015年02月01日 | その他の山登り

天候:
行程:JR足柄駅8:05−足柄峠9:25−金時山10:45~11:30−長尾峠−湖尻14:05−芦ノ湖西岸歩道−箱根町16:47
単独

 今週は金曜に少し雪が降ったので無理せず、日曜に近場の金時山へ。
 (富士山も行きたかったが、強風予報のため、またしても見送り)

 毎度ながらJR足柄駅スタートだが、今回はいつもの北西側の直登尾根ではなく、足柄峠経由で行ってみる。

  
 無人のJR足柄駅(左)と駅前にある金太郎像

  

 道すがら眺める富士山。

 晴れてはいるが、遠目に見ても雪煙が舞っているのがわかる。冬富士マニアは、この状態を「毛羽立っている」と言う。
 実際行ったことがある人にはわかるが、このほんの少しのケバ立ちが実は身体を吹っ飛ばされるほどの強烈なブリザードで、こういう日は晴れていてもとても登る気にはなれない。
 
 で、そんな富士山を背後に振り返りながら足柄峠のルートを行く。
 が、これはちょっと失敗。ほとんど舗装路でちょっと味気ない。しかも遠回りだし・・・。

  足柄峠

 峠に着くと、道は右手に直角に曲がる感じで金時山へ向かう。
 途中、車止めがあり、そこからようやく山道らしくなる。こちら側から見る金時山は、何となく黒戸尾根の八合目から見る甲斐駒の姿と似ている。
 最後は急な階段が続く胸突き八丁となる。

  

 
 八か月振りの金時山頂。
 
 富士山、そして背後の箱根がまるで箱庭のよう。
 雪の無い時期の山頂は足の踏み場も無いほどの混みようだが、さすがに冬は適度な人数。
 しかし、なぜか金時娘ことオババの機嫌があまりよろしくない。何だか癇癪を起しているので、早々に山頂を退散する。
 (茶屋で何も買わずに中で休んだり、勝手に外のテーブルを使ったりすると怒られますので、初めての方はご注意を。昔はそんなことなかったのだが・・・。)

  

  

 その先、山頂からの下りはちょっと急だが、長尾山から丸岳は割となだらかな稜線が続く。
 トレランにもいい感じの道で、春になったら今度は「走り」に来ようと思う。

 相変わらず真っ白い姿を露わにしている富士山。
 本日は長尾峠から稜線を離れ、芦ノ湖の北端、湖尻へ下る。

 

 
 途中、小休止していると地元ウォーカーのおじさんに声を掛けられる。
 何でもこのすぐ近くでハンターが猪狩りをしているので注意せよとのこと。やはり冬の低山歩きは赤系など少し目立つ色のジャケットを着ていた方が良い。

  

 最後は芦ノ湖西岸歩道をひたすら歩く。この部分だけで11km。
 湖の縁に付けられた道で特にどうということもなく、疲れた足には長く単調でけっこうしんどかった。

 そして、箱根駅伝の折り返し点がある芦ノ湖南端の箱根町にゴール。
 本日歩いたコースはそれでも30kmぐらいあるか。まぁいい運動になった。

 


北八ツ徘徊、そして敗退

2015年01月12日 | その他の山登り

2015年1月10日(土)-12日(祝) 二泊三日 単独

一日目 
天候:
行程:石臼台別荘地(ロープウェイ入口)11:30-女乃神茶屋登山口12:20-蓼科山山頂15:50-前掛山との分岐16:30

 新年最初の山。当初は南アか南八ツのバリエーションを考えていたが、今年も雪が多いためヒヨって北八ツのスノーハイクとする。
 (一応、天気さえもてば天狗岳、さらには硫黄岳まで縦走するつもりでいたのだが・・・)
 
 朝、横浜を発ち、JRとバスを乗り継ぎ、北八ツ(旧称・ピラタス)ロープウェイ手前の「石臼台別荘地」着。
 そこから40分、半分凍った車道を歩いて女乃神茶屋の登山口へ。

 駐車場は日帰りピストン組の車で満杯。ここから蓼科山は冬でもかなりの人気コースのようだ。

  

 既に時刻は昼近く。ほとんどの人が降りてくる中、縦走モードの重荷を背負って一人登り始める。
 大勢の人が往来したため、回りの雪は深いがトレースはバッチリ。
 登り2/3まではツボ足、ストックで登り、残り1/3の急傾斜になって初めてアイゼン、ピッケルで登る。
 回りの樹氷が美しい。

  

 頂上近くで最後の日帰り登山者にすれ違いざま「もう頂上には誰もいませんよ。」と言われる。
 着いてみるとたしかに人の気配は無く、西陽が傾き始めた頂上は荒涼そのもの。
 冷たい風が吹きつけ、とても長くは留まっていられない。頂上の柱の所で何とか写真を撮り、すぐさま先を急ぐ。

  頂上から南八ツ方面

  冬の蓼科山頂

  午後3時。気温マイナス15度。風が厳しい!

 反対側の大河原方面への斜面には何とかトレースがついていた。
 しかし、せいぜい1組しか歩いていないようで、途中、深雪に方向を誤ったのかブッシュの中を無理やり突っ切って行ったりしていた。

 雪に半分埋もれた蓼科小屋を通過、さらに進むと平坦地に大型のドームテントが一張り。
 外から声を掛けるとそれがトレースの主だった。
 ここまでのラッセルをお礼を言うと、向こうも天狗岳まで縦走する計画だと言う。それは心強い。
 
 その先はいよいよトレースが無くなり、ひざ下のラッセルとなる。少し進んだ分岐の所でこちらも幕とする。
 フカフカの深雪をスコップで掻き分け、どうにか一人用シェルターを設営。
 風は無いが寒い夜になりそうだ。

 


二日目
天候:
行程:幕営地6:40-大河原峠8:20-双子山9:25-双子池付近-大河原峠13:05-(徘徊)-蓼科山荘周辺16:30

 暗いうちから準備をし、日の出と共に撤収、出発。
 昨日のラッセルのお返しに今日は自分が先に出るつもりだったが、結局、昨日の三人組の方が早出だった。

 すぐに後を追って歩き始める。今日は最初からワカンだ。
 蓼科山から大河原峠間はなだらかな幅の広い樹林帯となっており、深雪の中だとなおさらルートがわかりにくい。
 本来なら道幅分だけ樹間が開けているのだろうが、大量の雪が木々の枝にのしかかって所々進路で阻んでいる。
 間隔を置いて赤テープなどもあるが、この雪の中ではあまりハッキリしない。

  

 先頭を代わりながら時折腰まで深雪にハマりながら進む。
 ペースは大幅にダウンするが、それでも斜面が下りにさしかかってくるとルートも少しはっきりしてきた。
 彼らが小休止したので、ここで自分が前に出て一気に大河原峠へ。
 夏には多くの人で賑わうだろう、この峠も、今の時期は誰もいない。まるで死んだように凍っていた。

 
小休止もほどほどにさらに歩を進めるが、この頃から風と小雪が吹き始め、回りもホワイトアウト気味になる。
 それでも三人組が後から付いてくるだろうと双子山、さらにその先の双子池を目指す。

 しかし彼らは途中断念したようで、いくら振り返っても後を付いてこない。
 気が付くと自分のトレースも風と雪で早くも消えかかり、双子池も雪に埋まってしまったのか、どこにあるのかわからない。
 
 まずい。このままでは自分の位置もわからなくなってしまう!
 夕方までにロープウェイ近くの横岳まで行ければと思ったが、甘かった。トレースがわかるうちに引き返さなければ。

  

 何とか大河原峠まで戻り、そこから最短の竜源橋へのコースをとるが、しばらく下ったところでここも道を見失いアウト。
 再び登り返し、最後の選択として今来た蓼科山への登り返しを決める。一番安全なのはそれしかない。

 登り返しでは今さっき下ってきたのに、途中でトレースが埋まってしまって何度も方向がわからなくなった。
 深雪の樹林帯は回りの景色も見えないので、ハマると本当に怖い。
 迷いそうな時は動かない方がいいのだろうが、そうするとますますトレースが埋まってしまう。この時はさすがに少しアセった。
 それでも自分の勘に従って進んでいくと、何とか赤テープやトレースが見つかり、その度にホッとした。

 
結局、一日がかりで朝の場所まで戻り、再び幕とする。
 とりあえず一安心だが、夜になっても小雪は深々と降り続き、やむ気配がない。
 ヘタすると、このまま雪に閉じ込められてしまうのでは?
 疲れていたが、さすがにその夜は落ち着いて眠ることができず、一時間ごとに外の雪の様子を眺めていた。
 

三日目
天候:
行程:幕営地7:10-蓼科山8:07-女乃神茶屋登山口10:30

 朝、まだ陽は射さず、曇った空からは相変わらず小雪が舞っている。
 おそらく昨夜だけで30~40センチは積もっただろう。
 それでもうっすらトレース跡は判別できたので、ホッとした。
 これなら何とか助かりそうだ。

 

 朝メシをサッサと済ませ、撤収。
 蓼科山の最後の登りは真っ白な雪の壁になっていたが、最後の力でガムシャラに登る。

 
そして再び蓼科の頂上。

 

 さすがにこの時間はまだ誰もいない。
 風にもめげず、また写真を撮ったりした後、下り口へ向かう。
 頂上付近もホワイトアウトに近い状態なので、まだまだ安心できない。

 幸い目印のポールや鎖に導かれ、無事に降り口に着けた。やれやれ、これで一息。
 そこから深雪の急斜面を下っていくと、しばらくして登ってくる登山者と出くわし、ようやく気持ちも落ち着いてきた。

 

  

 これまで単独でもっと厳しい山にはいくらでも登ってきたつもりだったが、今回は自分の弱さを改めて知ることとなった。
 でも、臆病さゆえに無理に突っ込まなくて良かったとも思う。
 山の雑誌ではメルヘン調に紹介されたりしているが、北八ツ恐るべし!やはり冬山は一歩間違えるとなかなか怖い・・・。

  
 冬の蓼科山(左)と北横岳。ナメてはいけません。

  茅野駅前での更科蕎麦&お茶漬けセット。生きてて良かった。

 


リハビリ&モニター山行@甲斐駒

2014年12月22日 | その他の山登り

日程:2014年12月21日(日)~22日(月) 一泊二日・単独

 
さて今回は怪我していた右足の最終的なリハビリと、「山渓」で当たったモニター商品レポのため、甲斐駒へ。

 冬の黒戸尾根は2001年1月、2007年12月に引き続き、たぶんこれが三回目。
 その他にも途中までとか他の季節、他のルートからだと甲斐駒はけっこう来ていて、自分にとっては「近くて良い山」である。

 

一日目
天候:
行程:竹宇神社駐車場8:10-刃渡り(三合目)11:50-五合目14:00-七丈小屋15:10

 未明に横浜を出発し、勝手知ったる登山口の駐車場へ。
 途中、ザックを背負って歩いている人がいたので聞いてみると、本日は日向山へ行くとのこと。
 本当は自分も最近話題の日向八丁尾根に興味があったのだが、この冬は例年に無く寒波が強く、人があまり入らないマイナー・ルートではまずラッセル敗退だろうとそちらは見送った。
 日帰りで日向山へ向かうというので途中まで乗せてあげる。

 駐車場には車が数台。
 いつもだとアイス・クライミングも含めてもう少し台数があるのだが、意外と少ない。
 身支度を整え、出発。
 今回は最初から七丈小屋を当てにしているのでテントも持たず。重いロープやガチャ類も必要ないので楽なもんだ。

  

 これまで12月だと下の方はしばらく落ち葉の道であることが多かったが、今回は早くも下の方から雪が現れる。
 しばらく行くと、上から下りてきた年配の単独行者と会う。
 何と本日未明から日帰りピストンを狙ったようだが、予想以上の深雪に途中敗退。さらにもう一人単独の人が上にいるが、やはり無理だったとのこと。
 トレースのお礼を行って先へ進む。

 笹ノ平(二合目)、刃渡り(三合目)、刀利天狗(四合目)と、ほとんど休まず登り続けるが、それでも以前に較べて時間がかかっている。やはり歳のせいか。
 五合目手前で戻ってきたもう一人の単独行者と会う。本日朝の3時だか4時に出発したが、やはり深雪に阻まれ八合目で時間切れ。
 頂上まではトレースは無く、かなり時間がかかるだろうとのこと。それでもそこまでのトレースつけていただき、本当にありがたい。

  

 五合目からの急な梯子段を伝って一登りして、ようやく本日の宿・七丈小屋に到着。
 戸を開けて声を掛けるが小屋番さんは現れず。おかしい。いないのか?
 でも電灯が点いているし、第二小屋の方はストーブで温かくなっている。
 しばらくしてもう一度声を掛けてみると、ようやく奥の方から出てきてくれた。

 少し見ないうちに太られたようで、以前の小屋番さんと違う人かと思ったが、同じ人だった。

 小屋番さんが言うには今年の雪はやはり異常で、12月にしてはここ二十年来の積雪量とのこと。
 そして「この先はトレースが無く、頂上は無理じゃないか。」「この雪では場合によってはロープが必要。」と脅かされる。
 そんな!せっかくここまで来たのに。甲斐駒は何度も登っているので強いこだわりがあるわけじゃないが、やはり手ぶらで帰るのは癪だ。
 しかし、小屋番さんが言うには相当の雪の量で、上部はどんな状態かわからない。

 そして本日の宿泊客は自分一人。明日はますますラッセル敗退の可能性が濃くなってきた。

 本日あてがわれたのは第二小屋。広い小屋にたった一人というのは寂しいが、もちろん石油ストーブとお湯は使い放題。
 素泊まりだが、カップ汁粉とインスタント・コーヒーのおまけが付く。

 いつもだと一日目に時間が少しでも残っていれば先の偵察をするのだが、本日はヤメ。
 疲れてしまったので早々と室内に納まり、ビールでまったり。
冬山で冷たい缶ビールというのも、暖房が効いている小屋ならではのささやかな贅沢。
 
 しばらく休んでいると外で声がする。黄蓮谷を一日で抜けてきた強者パーティーで、頂上を踏んでここまで下りてきたとのこと。
 意外にも黄蓮谷は雪が多過ぎて新雪は雪崩れてしまい、滝自体は快適だったという。それよりも頂上からここまでの深雪の下りが厳しかったとのこと。
 下りと登りでは違うだろうが、それでも一本の道筋を付けてくれたのはありがたい。一縷の望みが出てきた。


二日目
天候:/少し
行程:起床5:00-七丈小屋出発6:00-八合目7:13-駒ヶ岳山頂9:00~10-七丈小屋11:00~20-駐車場16:18

 昨夜は星が出て下界の夜景も綺麗だったが、朝起きると視界はどんより閉ざされ冬模様。冷たい風に時折小雪が舞っている。
 
 5時起床、最低限の荷だけ持って6時出発。
 深雪で時間がかかることを思うともっと早く出たいところだが、冬は暗いうちだと雪でルートを見失うことも多く、ヘッデンのバッテリーも消耗する。
タイムアップを10時半と決めて山頂へ向かう。

 昨日の黄蓮谷の二人組のトレースは、夜の風で早くもところどころ消されていた。
 それでもうっすらと残る足跡は、ルーファイの悪い自分にはとても助かる。

 樹林帯を抜け、八合目の石碑に着く前に夜が明けてくる。太陽の光と熱がありがたい。
 そのまま昨日のようにスッキリした好天になると思ったら冬型が強いのか、風が吹き上部はホワイトアウト気味になる。

  

 八合目から先、少し雪庇の発達した雪尾根を進んでいくと、いよいよ黒戸尾根の核心部となる。
 二つポイントがあって、一つはちょっとした鎖場で大岩を乗越す所。もう一つは急な雪壁となる20mほどのルンゼだ。

 トレースに導かれ着いた一つ目の鎖場は、鎖も雪に埋もれていなくて難なくクリア。
 しかし、ここは前二回ともこの鎖に気づかず、別の雪壁を無理矢理登っていたことに改めて気付く。
 ほんのワンポイント悪いフェースだが、登りはともかく今までよくそこをロープ無しで降りたと思う。

 もう一つのルンゼの方は雪が少ない時はたしか鎖かフィックス・ロープがあったように記憶しているが、当然、今日は深い雪に埋もれて見えない。
 幸いその深い雪のせいで傾斜が若干落ちているように感じられ、一歩一歩確実にキックステップを決めてここもクリア。

 後は埋もれかかった前日のトレースを根気よく辿っていくだけ。
 せいぜい膝までのラッセルだが、一人で延々やっていくのはさすがに息が切れる。

 十歩進んで息を整え、また次の十歩の繰り返し。
 ガスの切れ間に見える山頂は、まだまだ遠く高く遅々として進まず。このペースではやはり今回は無理か。

 風と雲に視界を閉ざされ、振り返ると自分の付けてきたトレースも早くも消えかかっている。
 勝手知ったる甲斐駒だが、ちょっとこれはヤバイかもしれない。

 それでも途中で諦めるきっかけを持てないまま、自分が決めたタイムリミットまでジリジリと歩を進める。
 どうにか九合目に到着。あと少し。ここまで来たらもう行くしかない!

 そしてようやく頂上。凍りついた祠に手を合わせる。
 もう何回も来ているので大して感激もないが、無事辿り着けてやはり嬉しい。
 今回はウェアのモニターの仕事もあるので、やはりそれなりの写真が無いと恰好がつかない。

 
で、ミニ三脚にコンパクト・デジカメをセットし写真を撮ろうとするが、これがなかなかうまくいかない。
 耐寒仕様のカメラだが、たちまち低温でバッテリー切れを起こしてしまう。
 バッテリー交換や風で三脚を飛ばされないようセットしたりで、モニターもなかなか楽じゃない。

 

 頂上にはそれでも10分ほどもいただろうか。 
 期待していた富士山も北岳もまるで見えず、顔面や手足が凍りつくばかり。
 まさに撤退といった感じで、山頂を後にする。

 九合目辺りで不意に後続の四人組と出くわす。
 まさか後から来ている人がいるとは思わなかったのでビックリした。
 私が丸っきり一人でトレースを付けたと思って「凄いパワーですね!」とお褒めの言葉をいただくが、実は昨日の黄蓮谷組の下地があってこそ。
 消えかかっていた自分のトレースを、四人組が続いてくれたおかげでこちらも帰路を確保され、ありがたかった。
 実際、私のトレースは風に飛ばされた新雪で早くも消えかかっていたらしい。

  頂上へ向かう四人組

 ルンゼ、鎖場と慎重に下り、八合目の安全地帯まで来てようやくホッとする。助かった!
 振り返ると先ほどの四人組はもう下りに取りかかっている。おそらく山頂は寒くて長居ができず、ほとんどタッチ&ゴーだったろう。

 七丈小屋の前で再び落ち合い、改めて挨拶を交わす。礼儀正しい気持ち良いパーティーだった。
 
 後はデポした荷物を回収し、小屋番さんにお礼を言って下るだけ。
 今回の甲斐駒はほんとギリギリのタイミングで頂上まで行けた感じで、前二回よりもハードだった。
 長い黒戸尾根の下りではさすがに治りかけた右足首もちょっと嫌な痛みを感じることがあったが、ヘッデン残業になることもなく、無事に下山。
 リハビリとモニター山行としては上出来だ。

  
 
 帰りは自分へのご褒美として「ほったらかし温泉」&「ほうとう」。

 今年は実り多く怪我も多かったが、何とか無事に駒ヶ岳神社で「山納め」となった。


トレラン@鳳凰三山

2014年07月21日 | その他の山登り

日程:2014年7月21日(祝) 前夜発日帰り
天候:/
行程:青木鉱泉5:45-ドンドコ沢コース-地蔵岳(オベリスク)9:15~45-観音岳10:45~11:00-薬師岳11:15~55-中道-青木鉱泉13:55 単独

 海の日の三連休。相変わらず梅雨が明け切らず、不安定な天気が続く。
 いよいよ一週間後に迫った遠征のパッキングをほぼ完了。最終日は息子を下宿先の甲府まで送るついでに最後の自主トレをする。

 甲斐駒(黒戸尾根)のタイムトライアルにしようかと思ったが、ある人の記録を読むと(走り具合にもよるが)キツさはフルマラソン相当とのこと。
 それだと疲れが残ってしまうので、もっと軽い鳳凰三山にする。こちらはトレラン初級コース。
 前夜、激しい雷雨の中、道に迷いながら青木鉱泉入り。けっこう車が多い。車内で仮眠しながら朝を待つ。

 朝、準備を調え、ドンドコ沢コースをスタート。
 雨上がりの樹林帯に久しぶりに射す陽光が爽やかで、時折見える白ザレの稜線が眩しい。

 ドンドコ沢は途中に南精進滝、鳳凰の滝、白糸の滝、五色滝と見事な滝があり、登山道から少し離れて寄り道すれば滝見物ができる。
 本当のタイムトライアルなら脇目もくれず通過するところだが、このコースを登るのは初めてだし、そこまでストイックになることもないのですべて見て回る。
 あいにく白糸の滝と五色滝は濃いガスに包まれ、あまりはっきり見えなかった。

  
 (左)ドンドコ沢の南精進滝            (右)地蔵岳への最後のキツい登り

 トレランといっても登りはほぼ早歩きで、少し平坦になったら小走り程度。
 賑わう鳳凰小屋を通過し、地蔵岳への登りとなる。
 この最後の登りは踏ん張りの利かない砂の道で、疲れた脚にはかなりキツい。
 下の小屋に「ここから(地蔵岳まで?)1km10分」という偽りの表示があったので、余計心が折れそうになる。

 それでも何とか地蔵岳の直下に到着。
 途中けっこうガスってしまい、今回も天気はイマイチかと思ったが、ようやく青空が出てきて気持ちいい。
 
 せっかくなので地蔵岳の先端、オベリスクを登ってみる。

 地蔵岳は1978年の大学山岳部夏合宿、1991年の広河原から白凰峠経由のトレラン、2010年のシレイ沢-甲斐駒-鋸とこれまで計三回来ているが、岩の天辺まで登るのは今回が初めて。
 最後の登りは古い残置ロープを使ってゴボウで登ることになるが、クライミングを多少やっていてもけっこう怖い。
 実際、残置スリングの一本が軽く引っ張ったらブチッと切れたので十分注意が必要。奥秩父・金峰山の五丈岩もそうだが、軽い気持ちで取り付くと危ない。
 今から百年以上も前にここを初めて登ったというウェストン師を改めて凄いと思った。
 本日登ったのはたぶん自分だけで、下から女性らが写真を撮ってくれていた。(この記事読んでたら送ってね。

  
 (左)オベリスクの上から             (右)わざとらしくセルフタイマーで走る姿を撮ってみる。

 とりあえず稜線に出てホッと一息。
 ここまでの一気登りで両脚がツッてしまい、しばらくペースダウンして歩を進める。
 トレランというより写真を撮りながらフォトラン(ジョグ?)で行く。

 観音岳到着。正面に大樺沢の雪渓が見えるが、残念ながら北岳の頂上は雲に隠されなかなか見えない。
 しばらく待つが諦めて三山最後のピーク、薬師岳へ。観音から薬師はちょっと走ればすぐの距離だ。

 薬師岳の頂上は白砂の広い平坦地で何とも気持ちいい。
 時間はあるので、ここでも南東側に立つオベリスク状の岩峰に登ってみる。
 地蔵岳よりはこじんまりしているが、ここもフリクションを効かせ慎重に行く。
 やはり物好きは登るのだろう。天辺には残置ハーケンが一本打たれていた。

  
 薬師岳頂上。ここでもオベリスクに登ってみた。

 薬師岳では大休止を取り、しばらく北岳の全容が現れるのを待つが、結局ダメ。
 中道コースで青木鉱泉へ戻る。

 この道も上部は多少急だが、トレランには走りやすいコース。
 展望が利かず、途中見どころも無いので、登りにはドンドコ沢、下りで中道を使うのがいいと思う。

 久々のトレランで最後はかなりヒザに来たが、ラストの林道も頑張ってジョグして青木鉱泉に到着。

 所要時間としては、エアリアマップ(1999年版)12時間05分のところ8時間10分。
 ドンドコ沢の各滝を見物したり、地蔵岳と薬師岳のオベリスクを登ったりして計2時間は余計に費やしているので実質だと6時間10分ほどで短縮率は50%ぐらいか。

 トレランとしては全然速くないけど、ま、こんなものか。遠征前に最後の良い調整ができた。


写真集「トレラン@鳳凰三山2014」


雨の霞沢岳

2014年07月14日 | その他の山登り

日程:2014年7月12日(土)~13日(日)一泊二日 単独

 7月に入り、混み合う富士山を敬遠し、今週はのんびりと山歩き。
 飯豊にしようか迷ったが、以前から気になっていた霞沢岳へ。

一日目
天候:
行程:新宿発7:50(高速バス)松本(電車・バス)島々13:30-二俣15:30-岩魚留小屋17:40(テント泊)

 前日までの台風の動きが読めなかったので土曜朝発とする。
 新宿バスターミナルは山開きとなった富士山への登山客でいっぱいである。

 中央道の渋滞で1時間半遅れとなったが、今回の行程はのんびりしているので慌てることはない。
 萌えキャラの描かれた松本電鉄に乗り換え、新島々へ。

 出発地点の島々宿は「徳本峠入口」の看板があるぐらいで、特に何も無い所。
 昼からの出発なので誰もいないのかもしれないが、徳本峠の旧道を行く人はやはり全体的に少ないようだ。

     案内板(クリックして拡大)

 島々谷沿いに道は延びていく。
 動物防護のゲートを越え、しばらく歩くと吊橋に野生の猿軍団が群れていた。

 途中で昆虫採集している仲の良さそうな熟年夫婦に会ったが、その先はまるっきりの一人。
 いかにも熊が出そう雰囲気なので、熊鈴とホイッスルを鳴らしながら進む。

   

 途中のダムで一休み。さらに進むと島々谷の二俣に着く。
 徳本峠への道は左の沢沿いへ。

 この道を最初に辿ったのは日本アルプス開拓期の頃のウェストンかと思い込んでいたが、道端の案内板によると既に1500年代に落人が上高地から徳本峠を越えていたとか。 

 登りはそれほキツくなく、良く整備された山道が続く。
 長く単調なトレイルなので、後半は半分眠ったまま歩いてしまう。

  

 そろそろ飽きてきた頃、本日の予定地「岩魚留小屋」に到着。
 小屋は閉まっていたが、現在でも営業しているのか不明。見た目はほとんど廃屋で、小屋前も雑草が延びている。
 島々谷は昔は岩魚も多かったのかもしれないが、今日見た限りではけっこう流れが速く魚影は見当たらなかった。

 小屋の前はちょっと「出そう」な暗い雰囲気なので、明るく開けた橋のたもとにテントを張る。


二日目
天候:
行程:岩魚留小屋6:00-徳本峠8:30-霞沢岳12:00~30-徳本峠15:25-明神16:20-上高地17:30-新島々

 予報では本日も台風一過の良い天気のはずだったが、どんよりと曇り空。
 のんびりと朝飯、撤収を済ませ、歩き始めるとポツポツと雨。

 徳本峠に到着。
 テントは何張りもあって思ったより賑わっていた。
 あいにくの天気だが、せっかくここまで来たのでテントやシュラフなど不用な物は小屋にデポさせてもらって軽荷で霞沢岳へ向かう。

  

 道はほとんど樹林帯。天気も悪く、視界も利かない。
 しばらく行くと今朝早く峠の小屋から出発した組と擦れ違うようになる。
 霞沢岳への道は雪の無い時期はほとんど泥だらけと以前、嘉門次小屋の人に聞いたことがあるが、この梅雨のさなかではまさにそのとおりだった。

 登りは延々と続き、樹林帯を抜けても尾根がうねうねと延び、風雨の中を進む。
 K1、K2と呼ばれるピークを越え、ようやく霞沢岳に到着。
 穂高も周りの景色もまるで見えず残念。
 さらに雨は強くなり、一休みするとそそくさと下山する。

 

 ゴアの雨具を着ていたが、降り続ける雨に全身ズブ濡れ。
 テントを張る気にもなれず、徳本峠小屋か嘉門次小屋に泊まろうかと思ったが、聞くと素泊まりで6,000円もするという。
 これも消費税の影響か。
 結局泊まらず、その日のうちに下山した。

 以前から行きたいと思っていた霞沢岳だが、今回はちょっと天気に恵まれなかった。
 次回は残雪期の頃に常念方面から縦走してみたいと思った。

 

ショート・ムービー「雨の霞沢岳」


高度順化@富士山・part2

2014年06月29日 | その他の山登り

日程:2014年6月29日(日) 前夜発日帰り
天候:のち
行程:富士宮口五合目(2,350m)4:00-富士宮口頂上7:40-剣ヶ峰7:48-御鉢回り-富士見口頂上11:55-五合目14:10 【単独】

 二週間前に登ったばかりだが、またまた高度順化のため富士山へ。
 今回は富士宮口。
 土曜は終日雨で、どうしようか迷ったが、日曜は晴れという予報を信じて出かける。

 土曜夜10時。富士スカイラインの終点、五合目に着いた時点で霧雨。天気が悪い割には、けっこう車が多い。そのまま車内にシュラフを広げて仮眠。

 翌朝3時起床に起きてみると、やはり天気はグズついたまま。それでも雨具に身を固めた登山者がポツポツ動き出したのでこちらも用意を始める。

 歩き始めてまもなく東の空が明るくなりかけたが、それもつかの間。六合目に差しかかるとまた曇り出し、そのうち本格的な雨となる。
 風も吹き付けているのでゴアの雨具もすぐに水滴を弾かなくなりビショ濡れ。

 意外にもこの富士宮口は二週間前の須走口よりも残雪が多く、濡れたトレラン・シューズは底からも冷え、このまま濡れ続けたら凍傷になるのでは?と不安になってくる。

 そのうち夜半から登っていた何人かの登山者も途中断念して降りてくる。
 自分でも今回はやめて帰ろうかと思ったが、少なくとも富士山では登山道が泥だらけのぬかるみになることはないし、冬の厳しさを思えば雨などはまだ耐えられる。
 これもまた修行と思って登り続ける。

 富士宮口の頂上に着いた時点で身体は冷え切り、こんな天気では今回はあまり頂上には長居できないなと思ったが、最高地点の剣ヶ峰で休んでいると突然雲が切れ、一気に夏の青空が広がった。
 スバラシイ!

 

 その時、剣ヶ峰の頂上にいたのは自分と「Oさん」という年配の人の二人だけで、しばらく話をする。
 五合目からずっと前後しながら登ってきて悪天の中ほとんど休まず、なかなか強い人だなぁ・・・と思ったら何とこの方、これまでにエベレストを含む八千m数座、さらにセブン・サミッツも完登済みとか。
 
 いやはや凄い人というのはどこにでもいるもんだ。
 向こうの方が年配であるが、そんな人とほとんど同じペースで登ってこれたので、こちらも少しは自信になった。

 天気も良くなったので、予定通り今回も御鉢回りをする。
 今回はトレラン・シューズに四本爪アイゼンで剣ヶ峰直下の雪の斜面だけちょっと怖かったが、後は問題なかった。
 途中で休みながらゆっくりと火口を一周。ぐるっと回って再度、剣ヶ峰で昼食タイム。

 とにかく高い標高になるべく長い時間滞在するのが今回の目的。
 高度順化としては本番前三週間以内でないと効果が消えるとか24時間滞在しないと意味が無いとかの説もあるが、たとえ付け焼刃でもやらないよりはやった方がましだろう・・・と思う。

 二週間前にはまだ山スキーヤーの名残が見えたが、さすがに今回は無く、代わりにトレイル・ランナーの姿が目立った。
 
 今回の行動内容としては、登り3時間50分、頂上滞在が約4時間、下りが2時間15分といったところ。
 登りでは鼻で吸って口で吐く腹式呼吸を心掛けた。

 二日後には富士山も山開き。
 入山料も取られるだろうし、夏の期間はマイカーで五合目まで入れなくなり、シーズンオフの期間に較べて一人当たり3,000円以上余計にお金がかかるはず。

 ・・・というわけで、出発前の富士山はこの二回で終わりかな。

ショートムービー(5分27秒)

 


高度順化@富士山

2014年06月15日 | その他の山登り

日程:2014年6月15日(日) 前夜発日帰り
天候:/
行程:須走口五合目3:50-八合目8:10-吉田口頂上9:30-剣ヶ峰10:30-お鉢周り(二周)13:30-須走口五合目16:20 【単独】

 この夏予定している「プロジェクトK」。

 高度順化のため今年は1月から毎月富士山へ通うつもりだったが、なんだかんだで全然行けてない。
 そうこうしているうちに出発まであと一ヶ月。
 そろそろ最終調整ということで、梅雨の合間を狙ってようやく出かける。

 土曜の午前中に家の雑用を片付けてから、車で御殿場へ向かう。
 墓参りを済ませ富士浅間神社に寄ってから、夕方に須走口の五合目に到着。

 もう少し早い時期だと山スキーの人たちで駐車場も満杯だが、残雪も少なくなり山開きにもなっていないこの時期は割と静かで人影も疎らだ。
 ビールとコンビニ弁当の夕食を済ませ、車の中で寝る。

6/15 3:00am起床。

 そそくさと用意をして出発。
 既に東の空は明るくなってきている。

 

 最初のうちはシャクナゲの樹林帯。それを抜けると背後の山中湖の向こうから陽が昇ってきた。
 六合目にはまだ雪が残り、七合目からはほぼ雪面の登りとなる。
 ピッケル、アイゼンを出すほどではないが、ステップを頼りに黙々と高度を稼ぐ。

 八合目を過ぎると傾斜も急になってきたので、念のためアイゼンを履く。
 この時間、須走口を登っているのは自分だけだったが、吉田口と合流すると途端に人が増えた。

 ゆっくりペースだが、ほぼ休憩無しで歩き続け、吉田口山頂に着。
 多少風はあるが、良く晴れ、白く湧きあがった雲が夏の気配を感じさせる。

 夜半から弾丸登山でもしたのか小屋前のベンチにはうずくまったり横たわる人たちもチラホラ。
 頂上の一角にはテントも2~3張り見られた。
 昨日は風が強いという予報だったので日帰りにしてしまったが、やはり高度順化するなら山頂にテントを張ってなるべく長くいないとダメだな。

 

 そんなわけで、剣ヶ峰に登った後、火口一周するお鉢周りを外回りと内回りで二周することにした。
 標高3,700mで4時間ほど歩き回る。少しは効果あればいいけど。



 下りはスキーヤーのグループと抜きつ抜かれつしつつ須走口を一気に下る。

 まともに下ればスキーの方が圧倒的に早いが、向うは滑りの動画をお互いに撮り合いながらなので、そんなに差は開かない。

 六合目付近で雪が消えると、タイミング悪くその辺りで雲に包まれトレースを見失う。
 ちょっとアセったが、こういう時は慌てず騒がず、しばし雲が切れるまで無闇に動かない方が良い。
 真夏の人の多い時期、それも人気の吉田口と富士宮口ならまず問題は無いが、シーズン・オフの御殿場口や須走口の下山道はトレースを見失うとちょっと怖い。

 しばらくすると何とか雲が切れ、下る方向を見定めることができた。
 無事に下山。新調した靴も足に馴染んできたし、山での調子は悪くない。(むしろ平日の職場の方が頭痛がするかも。
 来月から山開きでメチャ混みの富士山は気持ちが乗らないが、もう一回ぐらい登っておくかな。

ショート・ムービー「富士山 2014年6月・須走口編」(5分55秒) 
 

 

 そういや今日は父の日。

 
  
 家に帰ると冷蔵庫に娘からの「地ビール」セットが冷やしてあった。Thanks!

 それを飲みながら録画しておいたサッカーW杯・日本の初戦を観る。
 試合の方は苦かったが、ビールは苦くて美味かった。自分のワールドカップまであと41日!


金時山ハイキング

2014年05月18日 | その他の山登り

天候:
行動:単独・日帰り
行程:足柄駅8:40−金時山−明神岳−明星ケ岳−塔ノ峰−箱根湯本駅16:30

 この週末は新しく買った靴の履き慣らしに金時山へ。
 本当は富士山へ行きたかったのだが、上部の風が強いという予報に断念。ま、いいか。
 金時山は今年二月に来てまさかのラッセル敗退をしているが、さすがに今は新緑が眩しく、あの大雪がまるで遠い昔のよう。

 前回と同じくJR御殿場線の足柄駅からスタート。
 無人の駅がイイ味出してる。

  


 金時山へはいろいろなコースがあるが、ここ足柄駅から足柄神社経由で登る北西側からのコースはいつも人が少ない。
 こんなハイキング日和なのに本日も私一人。

  途中で鹿クンの角を拾う。合掌・・・。

 八合目?辺りで北側の足柄峠からの道と合流。途端にハイカーが多くなる。
 最後は別名「猪鼻山」の名に相応しくグインとせり上がった急登が続く。

  


 頂上に着くとものすごい人、人、人・・・。
 この天気だと丹沢の塔ノ岳辺りも今日は物凄い人の数だろうが、こちらも凄い。
 手軽に登れるということもあるが、その人気の秘密はやはり頂上にある金時茶屋、そして金時娘の存在だろう。

 


    Clickして拡大

  金時茶屋の棚に埃を被って現存する宿帳?


 ちなみに1977年1月のを捜してみると・・・自分の名前がありました!
 当時16歳。高校ワンゲルの同期と一緒に雪の降る中、登ってきたのを想い出す。

 金時娘はもちろん今も健在で現役続行中。
 さすがにお歳を召された印象だが、今でも自分の足でここまで登ってきて茶屋を切盛りしているのだから凄い。
 何千回も登っている人の木札や各界著名人の写真もズラリ。

 隣の小屋では、こんな写真も。

  

 若かりし日のミスター、そしてA・猪木、佐山サトル、小川直也の面々。

  頂上から見る大湧谷(左奥)と芦ノ湖(右奥)

 とにかく足の踏み場も無いほどの混雑ぶりなので、金時山頂は早々と退散。
 予定通り、明神岳方面に足を進めると、徐々にまた静けさを取り戻した。

  

  


 振り返れば富士山、そして明神岳を少し下った辺りからは相模湾が一望の下。
 海に向かって下っていく感覚で、ここからの景色は一見の価値あり。

 


 その後、明星ヶ岳、塔ノ峰とトレイルは続く。
 今回は靴慣らしなので敢えて走りはしなかったが、実際このコース、トレイル・ランナーも多い。
 (走りにくい点と言えば金時山周辺のハイカー渋滞ぐらいか。)

  

  

  


 途中の休憩込みで約8時間。ほどよい運動になりました。


春の笊ヶ岳

2014年03月22日 | その他の山登り

日程:2014年3月21日(祝)~22日(土)
w/ M田氏

 笊ヶ岳(ざるがたけ)は、山梨・静岡の県境、南アルプスの前衛(東側)に位置する。
 登山口から頂上までの標高差は二千m超で、その傾斜は甲斐駒の黒戸尾根以上。また、頂上からは南アルプス南部の山々が一望できるということで、M田師匠からは一度は味わっていただきたいと言われていた。
 先月二回の大雪がはたしてどれだけ残っているか、怖いもの見たさ(?)で師匠ともども出かけてみた。

一日目(3/21)
天候:一時
行程:老平(登山口)8:40-広河原(渡渉点)-山の神-桧横手山14:30

 朝4時、師匠をピックアップし出発。
 笊ヶ岳は横浜からだと中央道でも東名経由でもほぼ同じ距離となるが、今回は中央道河口湖ICから本栖湖を抜け国道300号経由とする。
 本栖湖から先で峠のワインディング・ロードとなるが、おそらくこのルートが一番近道で、高速代も安く済む。

 登山口である老平の無料駐車場に車を停め、登山開始。
 先月は1mを超える積雪で孤立しただろうこの地域もさすがにひと月経つと雪は無い。
 「熊出没注意」の看板のあるゲートを越え、しばらく林道を行く。

  老平の登山口(駐車8台くらい可)

 右手に岩壁、左下に川を見ながら、岩をくり抜いたトンネルや吊り橋、崖から進路を塞ぐようにほとばしる冷たい滝を避けながら進んでいくと、やがて広河原と呼ばれる渡渉ポイントに到着。
 ここが最初の鬼門で、はたして渡れるかどうか。積雪期なので雪に埋まっていて大したことないだろうと思っていたら、これが意外と水量多い。
 赤テープのある渡渉点はとても渡れる感じではなく、しばらく上流など見て回るがそちらもダメ。
 それでも30mほど下流に飛び石伝いに渡れる箇所が一つだけあって、何とか最初の鬼門を切り抜けた。

  

 対岸に渡ってすぐにジクザクの急登。これが「山の神」と呼ばれる地点まで小一時間ほど続く。
 この辺りではまだ雪が少なく、落ち葉の道を一気に高度を稼ぐが、出だしから厚着をしていたため大汗をかく。

 一時間ほど登り、「山の神」から上でボチボチ雪が現れる。
 今回、怒涛のバンザイ・ラッセルを期待(心配?)していたのだが、予想に反して少し前のワカントレースがあり、そのステップがほど良い感じに凍り付いて階段状になって歩きやすい。
 これはちょっと拍子抜け。
 師匠は密かに記録的大雪後の一番乗りを狙っていたようだが、私は「楽は拒まず」。ここまで来てラッセル敗退も何だかなぁと思っていたので、素直に嬉しい。

 朝のうちは晴れていたが、日中は小雪混じりの北風が吹き、結構冷える。
 結局、トレースのおかげで持参したワカンは一切使うことなく、ストックとツボ足のまま初日の宿泊予定地、桧横手山に到着。
 樹林帯の平坦地に師匠のエスパースを張り、本日の行動を早めに終了。
 自分一人だと冬でもつい暗くなるギリギリの時間まで行動してしまい、いつも快適でない寝床となってしまうが、やはり雪の時期は午後3時、遅くとも4時には切り上げた方が余裕があっていい。
 昨日まで体調絶不調で、よほどドタキャンしようかと思ったが、体調も戻り、やはり来て良かった。

  

 夕方から北風が強くなり、テントがバサバサと煽られるが、早々と夕食をとり明日に備えて眠りに就いた。

二日目(3/22)
天候:無風
行程:桧横手山4:40-布引山6:30-笊ヶ岳8:30~9:00-桧横手山(撤収)11:30~12:30-広河原-老平16:20

 朝3時過ぎ起床。
 夜半まで北風がうるさかったが、今は無風で月も出ている。

 サブザックに行動食とテルモス、念のため私だけワカンを持ってヘッデン・スタート。
 桧横手山から布引山へはまた胸を突くような登り。
 昨日からのトレース跡はまだ続いて雪の階段となっており、本日も大助かり。順調に高度を稼ぐ。

 トレースは白根南嶺の稜線と合流するとそのまま北へ進路を変え、笊ヶ岳へと続く。
 左手、木の間越しに南ア南部の巨峰群がチラチラ見え出すと布引山。
 ここで前を歩く師匠がテントを発見。トレースは数日前のものと思えたが、どうやら付けたのはこのテントの主。
 テントの大きさから見ると、2~3人のパーティーか。

  笊ヶ岳へ向かう

 布引山から笊へは少しだけ鞍部へ下って最後は再び登り返す。途中、右側(東側)にはちょっとした雪庇があったりする。

 そして、急な雪稜を登り詰めると、ようやく笊の頂上。

 本日は無風快晴。噂通りの360度の大展望が広がる。
 左奥から北岳、仙丈、塩見、荒川、赤石、聖、光・・・。
 右手は小笊の向こうに富士山。沼津湾に伊豆半島、その向こうには大島も見える。

  笊ヶ岳頂上からのパノラマ(※音楽付き)

 山頂の隅には年配の人、先ほどのテントの主が一人休んでいた。
 トレースの御礼を言い、話を聞いてみると何と雨での一日停滞も含めて老平からここまで四日がかりでラッセルしてきたらしい。
 この急登、それも深雪の中をたった一人で!見たところ自分より大分年上のようだが、その気力と体力には畏れ入った。
 もっとも向こうにしてみれば、我々が昨日登り始めてもう頂上に着いてしまったことに驚いたようだったが。
 おそらく最初は深かったラッセルも一回ワカンで踏まれた後に雨が降り、その後また冷え切ったために我々の時はとても歩きやすいステップになったようである。
 とにかく感謝あるのみだが、聞くとこの方、単独行が多いようで、この正月には北岳、以前の三月には赤石岳と一人でかなり登り込んでいるらしい。
 やはり、世の中には隠れたツワモノがいるもので、私などはまだまだヘタレで「要修行」であることを改めて知らされる。

 

 頂上からの景色を十分に眼に焼き付けて、下山にかかる。
 積雪期の南ア南部は登ったことがなく、笊から見た山々はどれも魅力的に思えたが、その中でも特に聖岳の東尾根が美しく見えた。ここはいずれ登らなければ。

 きつかった登りも下りは足を前に出せばどんどん進む。
 桧横手でテントを撤収、再び重くなった荷を担いで今日中に下ってしまうことにする。

 

 雪のある所はともかく、下りはかえって雪の無い山の神から広河原間が落葉で滑りやすく、疲れた足には慎重さを要した。
 ここ、慣れてない人がヘッデン下山になるとけっこう滑落するんじゃないかと思う。
 最後の鬼門と心配していた帰りの渡渉も無事クリア。
 あとは最後の林道をトボトボ歩いて、夕暮れの老平集落に到着。
 積雪期の笊、確かに黒戸尾根と同程度(傾斜は笊の方が明らかに急)のシンドさだったが、同じ二日間だったら昨年五月の間ノ岳弘法小屋尾根~農鳥岳の方が自分にはキツかった。

  ヴィラ雨畑

 下山後は「ヴィラ雨畑」で貸切入浴(500円)。いつもの相模原「金太郎」で消費したカロリーを倍返しにしてもらって〆。
 お疲れ様でした。

写真集「春の笊ヶ岳」


金時山でラッセル敗退・・・

2014年02月22日 | その他の山登り

天候:のち
行程:足柄駅8:45-足柄神社9:05-金時川ダム-最高到達点(標高約800m)13:00-足柄駅16:00
単独

 二週続けて降った大雪。
 山でははたしてどんなものか確認したくて、出かけてみる。
 
 いくら記録的積雪といえど丹沢の大倉尾根などはさすがに人が多くて踏まれているだろうから、あえてはずして金時山へ。
 選んだのはJR御殿場線の無人駅「足柄」から登るコースで、今から十年前の高校の頃、冬に何度か来たことがある。
 ここから金時山-明神岳-明星ケ岳-箱根湯本と連なる尾根は低山ながら距離があり、なかなか歩き甲斐がある。もちろん、今回も湯本まで行くつもりで来たのだが・・・。

 足柄駅で降りた時はもう一人登山者がいたが、別の方向へ行ってしまい、とりあえず一人歩き始める。 
 舗装路はさすがに除雪され、林道に入ってからも砂防ダムの先まで数日前のスノーシューの跡が少し残っていたが、それも途中まで。

  

  

 標高600m辺りから先はノートレース。しかも最悪のモナカ雪。
 一歩踏み込むごとにバコーンと片足が股まで潜り、まったく進めない。
 スノーシューなら何とかなるのかもしれないが、ワカンでもたぶんダメだろう。(まして自分は、甘い考えでワカンも持たず・・・)

 場所によっては四つん這いになったりして体重を分散して進むが、ほんの僅かの距離にとんでもなく時間がかかってしまう。
 結局、箱根湯本まではおろか金時山までもまったく届かなかった。

 下山して地元の人に聞いてみたら、麓で積雪80cmとのこと。山では1mは軽く超えているだろう。

  

  

 しかし、どうも昨年暮れから負け癖が付いているような。

12/20-21 八ヶ岳全山縦走のつもりが権現岳手前でラッセル敗退。
1/11-12 丹沢・大倉尾根から山中湖まで行くつもりが、西丹沢で中退。
1/19 富士山・御殿場口、地吹雪のため七合目で中退。
2/1 秩父・赤岩尾根から両神山まで行くつもりが、アプローチ・ミスのため八丁峠で時間切れ。
そして、2/22 金時山、予想を超える積雪にまさかのラッセル敗退・・・。

 そろそろ、この「負のスパイラル」から抜け出さねば!


冬富士、七合コールド負け・・

2014年01月19日 | その他の山登り

日程:2014年1月19日(日)夜行日帰り 単独
天候:時々、上部
行程:御殿場口登山口0:10-七合目(標高約3,000m付近)8:30-宝永山9:30-御殿場口11:25

 夏のプロジェクトに向けた自主トレで富士山へ行く。真冬の富士は12年振り。
 その時は絶好のコンディションに恵まれ、無事に剣ケ峰まで「冬季単独」で登ることができたが、今回ははたして・・・。
 まぁ、あくまでトレーニングなので無理しないでいこう。

 富士山はこれまで何十回と足を運んできたが、それでも冬に一人で行くとなると相当なプレッシャーがある。
 磨かれたアイスバーン、人間の体など軽く吹き飛ばしてしまう突風、登りだけで8~10時間はかかる長丁場。
 持久力はもちろんだが、風を読んで引き返す判断力が無いと”死”に直面する。
 自分のこれまでの経験から言えば、冬富士に一人で向かう度胸と力があれば、海外でもロープを使わない山なら大抵通用すると思う。

 土曜の夕方、横浜を出て、御殿場口の駐車スペースで3時間ほど仮眠。真夜中の午前0時過ぎにスタートする。
 この日は月明かりがあって、夜の雪道はヘッデンもいらないほど。行くまではいつも不安で心の葛藤があるが、ここまで来るとようやく気持ちも吹っ切れる。
 この広大な富士山の中で今、歩いているのは自分一人だ。
 
 それにしても今年は雪が多い。
 出だしの車道も轍が凍りついて歩きにくい。三合目まではパウダーに近い新雪がくるぶしからヒザ下までの深さで続き、ところどころモナカ雪の箇所が現れる。これが一々「バコ、バコッ」と踏み抜き、体力と時間の消耗が激しい。
 星空の下、左手に二ツ塚と呼ばれる二つの小山、さらにその上にある宝永山を目安にまるで幽霊のように歩き続ける。

 四合目辺りから斜面も固くなり、アイゼンを着ける。
 まだ風はそれほど強くない。ただ、この頃から猛烈に眠くなってくる。
 今回は最初からアウターの下にインナー・ダウンを着込んで登っているが、歩き続けてもなかなか身体が温まらない。
 こまめに行動食と温かい飲み物をとりながらジリジリと高度を稼ぐ。

 やがて夜明け。
 背後に山中湖から先週行った丹沢の山々、御殿場から富士宮の街、そして駿河湾のパノラマが広がる。
 気が付くとほぼ宝永山の高さまで来ていた。

 しかし、その先から風が吹き始める。
 身体をいきなり倒されるような突風では無く、頂上から斜面に沿って連続して吹き下ろすような感じの風だ。
 雪煙で次第に前方も見えなくなってくるが、一応自分の区切りとして3,000mまでは越えようと歩き続ける。

 何とか登ろうとするが、ブリザードに視界が閉ざされる。 
 手元のプロトレックの高度計を見ると3,045m。多少、誤差はあるだろうが、今回はここまででいいだろう。
 風はしばらくやみそうになく、動いていても指先や靴の中が痺れるほど冷たくなってくる。
 ここで無理して凍傷になったら、またしばらくフリークライミングができなくなってしまう。

 

 未練も無く、そこから下山。
 せっかくなので普段あまり寄らない宝永山経由で引き返す。
 降りていくに従い、何人かの登山者と擦れ違ったが、この時間から頂上往復は無理だろう。

 昼前には登山口に到着。富士山は今回も優しくなかったが、まぁこんなものか。
 今年は夏までに体力トレ、高所トレで何度も来るつもりなので、またよろしく。

私の「冬富士の歩き方」
・冬の場合、吉田口か御殿場口が一般的。(富士宮口、須走口は五合目までの長い車道を歩かなければならず、現実的で無い。)
 吉田口は五合目まで樹林帯で佐藤小屋をベースに使えるが、北面であり、西からの強風とアイスバーンのデメリットがある。
 御殿場口は東南面で、斜面も雪も比較的緩めだが、距離が長いというデメリットがある。
・御殿場口からだと、冬は頂上まで並の冬山経験者で8~10時間以上はかかる。
 大抵午後になると風が吹き始めるので、下山も含めると夜間(午前0時頃)スタートでないと間に合わないと思う。
・天気はもちろん、私はこちらのサイトで富士山の標高4,100m付近の風力予想を参考にしている。
 できれば風速10m未満であることが望ましいが、冬にそんな日はまず無い。
 ちなみに台風の定義は風速17m/s~となっているので、富士山の20m/sとか30m/sとかは推して知るべし。



Back to 丹沢

2014年01月12日 | その他の山登り

丹沢主稜線縦走(単独)
1/11(土)晴れのち曇り 大倉-塔ノ岳-丹沢山-蛭ヶ岳-檜洞丸
1/12(日)晴れ     -犬越路-大室山-加入道山-西丹沢

 三連休だが最終日に家の用事が入ったため、二日間に短縮。
 仙丈岳か富士山、他には那須や日光を検討していたが、先週半ばにまた降雪があったのでラッセル敗退を危惧し、近場の丹沢でお茶を濁す。
 (富士山は遠望する限り、条件は良さそうだった。残念!)

 冬の塔ノ岳からのパノラマ

写真集・冬の丹沢主稜


 まぁ勝手知ったる一般コースなので詳細は省略。ポイントだけ簡単に。

・今回、初めて会ったが、大倉尾根入口の所でオバサンが待機していて「登山道修復のための石をボランティアで途中まで運んでくれ。」と頼まれる。
 約1時間の距離。重さは1kg程度だと言っていたが、間違いなく2kg近くあった。
 もちろん任意だが、目が合った瞬間に否応を言わせない迫力あり。やむなく運んだが、もっと軽荷の若いヤツが運んでほしい。 

・当初、二日で山中湖まで抜けるつもりだったが、重荷に負け、大倉尾根も標準どおりの三時間かかってしまった。昔はせいぜい二時間が目安だったのに。
 もう歳か?

・塔ノ岳は相変わらず人が多い。簡易スパイク付けたトレランもそこそこいる。
 丹沢山までへ行く人はそのうち1/3。さらに蛭ヶ岳まで足を延ばす人はその1/2。
 (ぴょん太郎さんらがやった、雪の蛭ヶ岳日帰りピストンはけっこうハードだと思う。)
 蛭ヶ岳から先はしばらくトレース無しだったが、すぐに檜洞丸方面からの登山者と出会い、トレースは繋がった。

・このコースの難場は鬼ヶ岩付近の下りかと思ったが、ここはそうでもない。
 悪いのは(犬越路方面に向かって)、「蛭ヶ岳直下の下り」と「檜洞丸から犬越路間の下り」。
 今回、ストック1本とアイゼンで行ったが、朝晩の凍り付いた時間帯はピッケルの方が安全で、軽アイゼンではちょっと不安を感じるかも。
 両側が切れた細尾根で、雪が薄く岩盤の上に乗っかっていたりして、けっこう気を使う。距離も長く、時間も思いのほか掛かった。

・犬越路避難小屋は綺麗。トイレも洋式、簡易水洗で快適。(さすがに暖房便座、ウォシュレットは無いが。)

・大室山周辺は霧氷が美しい。ここも「山梨百名山」とは知らなかった。

 通い慣れた丹沢だが、新雪の後だったのでなかなか新鮮だった。今年はいろいろ節約しないといけないし、行き場に迷った時は近場の丹沢か富士山で自主トレだな。


八ヶ岳でラッセル敗退

2013年12月21日 | その他の山登り

日程:2013年12月20日(金)~21日(土)
行動:単独

 この三連休は冬山始めとして八ヶ岳へ。
 いつものように手軽なバリエーション・ルートも考えたが、今回は「(明日のための)体力トレ」ということで編笠山から蓼科山まで全山縦走のつもりだったのだが・・・。

12/20(一日目)
天候:のち
行程:横浜(JR)新宿7:20(高速バス)小淵沢9:48(タクシー)観音平手前ゲート10:03~15-富士見平-雲海-押手川13:40-青年小屋17:00

 今回は縦走なので公共交通機関で行く。
 小淵沢までは高速バスを利用。
 渋滞さえ無ければJR特急とほぼ同時刻に現地に着き、料金も1/3お得。しかも必ず座れるし。
 直前にネットで予約し、朝の新宿のバス・ターミナルに着いてみると登山者の姿もチラホラ。

 そこで一際目を引いたのが超・巨大ザックの一団。
 昔ながらの赤布付けた竹竿も持っているし、こりゃ絶対どこかの大学山岳部だろと思い聞いてみると「東京N大」とのこと。
 懐かしくなって「自分はM大だったんですよ。」と言うと「スゴイ!Mですか!」と言われたので、あわてて「いや、途中で辞めちゃったんですけどね。」と返しておいた。
 あの頃、山岳部でもM大とN大は似たイメージからか?仲が良く、ついでに言うとW大は頭が良いのでほんの少し上に見ていて、逆にチャラく女子に持てそうなA学などには絶対負けるなという雰囲気があった。

  
 で、この巨大ザック。特注品で容量120リットルとか!
 自分の頃はキスリングでやはり特注だったが、ここまでバカでかくはなかったように思う。見た目、ほとんどドラム缶だ。

 定刻どおりバスは出発。渋滞無しで小淵沢へ。
 高速のバス停を降りたところでタクシーを呼ぶ。
 一昨日からまとまった雪が降り、今は登山口の観音平よりずっと手前のゲートまでしか入れないと言う。

 ゲートに到着すると、軽トラで乗り付けたオレンジ・ベストのおっちゃん軍団が集まっていた。
 地元の猟友会の人たちで、今日の狙いは「鹿」と「猪」とのこと。
 間違ってもこちらに向かって撃たないでねと祈りつつ、歩き始める。

  
 
 ちなみに私は冬のアウターは赤を選んでいるが、これは緊急時に目に付きやすいこと、雪山の写真では見栄えがすることに加えて、実は猟師からの誤射防止も考えている。
 最近のアウトドア・ウエアはあの栗木くんの例もあって黒が人気のようだが、これは他の服装と合わせやすく街でも着れるからと某メーカーのスタッフから聞いたことがある。
 山ウェアも実用性よりファッション優先ということか。
 山にまったく行ったこともない腹の出た連中がきれいなpatagoniaやノースフェイスを着ていると、ちょっと腹立たしく思うのは私だけ?

 タクシーの運転手によれば、山道の方がショートカットだがけっこう雪が降ったので舗装路をそのまま進んだ方が良いとのこと。
 それに従い、まずは富士見平まで一時間強。
 その先から登山道に入る。覚悟していたが、他には登山者なく、さっそく軽いラッセルとなる。
 トレースはあるにはあるが、全て鹿のもの。このあたり鹿がかなり多く、あちらこちらで「ピーッ!」という甲高い鳴き声と共に樹林帯の中を何頭かの群れが横切るのを頻繁に目にした。

  

 フカフカの新雪でアイゼンを着ける必要はないが、それでも登るに連れ、雪は次第に膝までのラッセルとなる。
 間隔を置いて木々に付けられた赤テープがあり迷うことはないが、それでも樹林帯の中でトレースがないとついつい歩きやすい方を選び、違った方向へ進みそうになってしまう。
 雲海という地点を過ぎ、さらに押手川の分岐まで来ると場所によっては腿まで潜る深雪となる。

 最初、忠実にピーク通しに編笠山へと登りかけたが、予想以上の雪の量にすぐ引き返し、青年小屋へ直接向かうトラバース道を選ぶ。
 しかし、ここからがキツかった。
 完全に一人ラッセル苦行となり、押手川分岐から青年小屋まで夏のコースタイムだと1時間のところを実に3時間以上かかってしまう。

 
 
 腿から腰にかけての雪にもがきながら、ようやく青年小屋に到着。
 テントはもちろん持ってきたが、延々続けたラッセルで疲れ果て整地して張る気力も無い。冬季小屋が解放されていたので迷うことなくそちらへ。
 
 本日の冬季小屋は独り占め。
 中はけっこう広く畳敷きだが、鉄の壁で囲まれているせいか冷凍庫のように冷え切っている。
 夜になって扉の外側に設置してある温度計を見たらマイナス20度を下回っていた。
 まぁ、これは若干狂っているとしか思えないが、それでも小屋内でも手袋をしていないと凍傷になりそうなぐらい、この夜は冷え込んだ。

  
 
 結局、一日目にキレット小屋まで行く予定が全然届かず。
 明日からの行動もどうするか考えがまとまらないまま、とりあえず酒飲んでシュラフにもぐる。


12/21(二日目)
天候:時々、のち
行程:青年小屋8:10-のろし場-引き返し点11:30-青年小屋12:40~13:30-富士見平17:30-JR小淵沢駅18:45

 昨夜は冬用シュラフでも小屋が広いので空気が暖まらず、けっこう寒かった。
 朝5時には一旦起きるが、外を見ると予報に反して上部はガスで小雪が舞っている。
 ここまでの予想以上のラッセル、そしてこの時点での天気からして縦走は諦め、もうしばらく待機。

 7時頃、ようやく外が明るくなってきたので、寒さでギクシャクした身体に鞭打って用意を始める。
 この分では今日中にキレット小屋までも到達できるか怪しいので、シュラフや食料などほとんどの物を小屋にデポし、行動食やカメラなど最低限の物だけザックに入れて権現岳を目指す。

 

 しかし、この先も当然ながらトレース無しの一人ラッセル。
 まだしばらくは樹林帯が続き、腿から腰まで潜る雪との格闘となる。

 幸い陽射しが出てきて、樹林帯を抜けると富士山なども見えてくるが、足はまったく重い。
 切りのいい所で引き返そうとそればかり思いながら機械的にラッセルを繰り返す。完全に苦行だ。

 

 

 のろし場を過ぎ、シュカブラのできた水平リッジを進み、ちょっとした岩場の所はルンゼ通しに頭を越す雪壁となっていて、ここをもがきながら突破。
 高度計を見ながら、それでももしかしたらもう権現まで近いんじゃないかと思って小高い尾根のコブに立ってみたら・・・。

 
 目の前に権現岳手前のピーク、「ギボシ」がまだ遥かに遠い。
 ここで完全に気持ちが折れた。

 しばらく、その場で神々しいギボシを眺めながら小休止。
 やがて自分の付けたトレースに沿って下り始める。

 

 下りもけっこう潜るがそれでも登りに較べるとペースははかどる。
 青年小屋が近づくと人影が見え、やがて単独の軽荷の女性と出会う。
 「途中までトレース付けたけど、この先も雪かなり深いですよ。」と言うと、彼女は「とりあえず今日はのろし場まで。」と言う。

 そのまま別れ、自分はコーヒーでも飲んでから下山しようと再び小屋で落ち着いていると、先ほどの彼女が「やっぱり今日は止めた。」と言って下りてきたのでしばらく四方山話など。
 彼女は現在はこちらの方に住んでいて地元の山岳会に所属、今日は一人で耐寒訓練?とかでシュラフ無しでツェルトにくるまって寝ると言う。
 まぁ死ぬことはないと思うが、・・・大丈夫か?

 しばらく休んでから「それでは頑張って。」とこちらは小淵沢へ向かって下山開始。
 まぁ今回は雪の条件が悪過ぎた。

 

 下っていくうちに登ってくる何パーティーもの人たちと擦れ違う。
 自分が連休の前日から入山したのだから仕方ないが、このトレース自分が一人で付けていったのだから少しは感謝してねと思いながら降りていく。
 
 富士見平の舗装路に出た時には既に日が暮れ、後は暗い夜道をトボトボ歩く。
 途中、温泉のある「道の駅・小淵沢」でお土産などを買い、最後は暗い中、道に迷って若干遠回りをしながら小淵沢駅へ。

  久しぶりに完敗の二日間だった。


富士山・お中道敗退、主杖流しルート

2013年06月23日 | その他の山登り

2013年6月22日(土)~23日(日) 単独

 さて、今週は夏のプチ遠征に向け、富士山で高所トレ。
 山頂で一泊がメインの目的だが、今の時期、五合目から一般登山道をちゃっちゃと登るだけでは芸が無い。
 というわけで、「お中道」をプラス。
 お中道は富士山の五合目付近(標高2,400~2,600m)を繋ぐ昔の修験道で、西側の大沢崩れが難所になっているが、近年はコアな富士山ファンによって結構トレースされているようだ。

 計画では、一日目に富士宮口からお中道を時計回りにグルリと回って吉田口まで行き、そこから登って山頂泊。
 二日目はそのまま吉田口を下り、残りのお中道を伝って富士宮口へ・・・という筈だったのだが。

一日目 
天候:のち
行程:富士宮口五合目8:55-大沢崩れ左岸迷走12:55~15:20-主杖流し3,600m17:20付近(テン泊)

 前夜、台風通過後の雨が残り、ちょっと心配だったが、翌早朝、自宅の窓から見てみると快晴で富士山の上部は真っ白!
 やったね!どうせなら少し雪があった方が面白い。
 急いで東名高速に乗り、御殿場経由で富士宮口五合目へ。

 富士山の山開きはご存知7/1~8/31だが、そんなの待ち切れないフライングゲット組(?)で駐車場はほぼ満車状態。
 何とか空いているスペースに停める。
 出発前にメールチェックすると、例年この時期富士山トレをしているJuqcho氏から「今回は見送り」との連絡あり。
 どうも事前の天気予報に翻弄されたようだが、まぁ残念である。

 いつものように今回も細かい情報収集は間に合わず、持ってきたのもちょうど20年前の昭文社のエアリアマップのみだが、とりあえず富士宮口の六合目からお中道に入ることは確認していた。

 
出発                                  六合目上は建前ではまだ禁止。

 山開き前、良い子の皆さんはまだ登っては行けませんとの警告と共に通路は塞がれている が、皆さん、かつての「小島よしお」のように「そんなの関係ねーっ!」と構わず突破!

 この辺り、お中道を東側の宝永山へ向かう標識はあるものの、西側へ向かう表示は一切無し。
 小屋へ上がる手前、西へ延びるブル道があったので、そこに見当をつけ、立入禁止を無視して入ってみる。

 しばらく九十九折で登り、二俣となっている所をさらに左(西)へ。
 どうやら、お中道に入ったようで火山砂礫の中に細い踏跡、そしてところどころ岩に白ペンキで目印がしてある。

  途中、こんな表示もあり。

  

 白く固まった溶岩流の沢を横断し、さらにシャクナゲのヤブ漕ぎなども強いられつつ、ようやく難所の大沢崩れへ。
 結構時間がかかってしまったが、ここまでほぼ順調。しかし、ここから迷走タイムに入ってしまう。

 ところどころ確認できた岩の白ペンキはここでフッと消えてしまう。他に目印も無い。
 初めて見る大沢崩れは思いのほか大きなスケールでエグレていて、多少バリエーション・ルートの心得があっても、どこでも適当に渡れるものではない。

  
 大沢崩れ。スケールが伝わらないが、かなり大きな壁になっている。

 とりあえず顕著な大岩の基部から大沢崩れの左岸沿いに急で細い踏跡があるので、そこをどんどん下ってみる。
 しかし、かなり下っても横断箇所が見当たらない。プロトレックの高度計では既に2,400mを下回っている。
 手持ちの古いエアリアマップと照合し、これはちょっと下り過ぎではないかと思い、引き返すことにした。 (帰宅後ネットで確認したら、もっと下っていくと工事運搬用のレールがあって、こちらが正解らしい。)
 
 結局、先ほどの大岩の所まで登り返す。
 最後に確認した白ペンキ付近をあれこれ見て回ると、さらに上部に白ペンキの矢印を発見!

 

 それにしたがい登り易い所を繋げていくが、やはりしばらく行くと手詰まり状態。
 このまま大沢崩れのトラバース・ポイントを探しても時間を浪費するばかり。大幅に予定時間を過ぎてしまった今となっては、今日中に吉田口まで回って頂上泊なんてとても無理だ。
 もう面倒くさいので、このまま上を目指すことにする。
 
 とりあえず高度差200mぐらいを一気に直登する。
 この辺り、赤褐色のザレた斜面がほとんどだが、白く溶岩が固まった部分が傾斜の緩いスラブとなっており、そこが自然の登路となっている。
 夕方近くになると、次第に雲が多くなり、この広大な斜面ではリングワンデリングとなりそうなので、白い岩の部分を繋ぎながら徐々に東側へトラバース。
 自分の現在位置を確認するため、富士宮口の登山道が確認できる辺りまで軌道修正しながら登っていく。

 時間も押し迫り、風も少し吹いてきた。寒い!
 富士山は上を目指す限り、道に迷うことはないはずだが、さすがに回りに人も人工物も一切見えないこの斜面を一人で徘徊していると少し不安になってくる。

 白い岩の部分は岩も固く表面がガリガリしているのでフリクションが利き一気に高度が稼げるが、白い岩が途切れた部分は赤いザレで、ほんの数メートルでもまるでアリ地獄のようにズルズルと足を取られて思うように進めない。
 できれば頂上まで辿り着きたかったが、両足が交互に攣り出し、半畳ほどの平坦な場所を見つけた時点で心が折れた。

 標高3,600mほどの地点に「ライズ1」を何とか張る。
 斜めに傾いて何とも不安定だが、風に吹き飛ばされないよう張り綱だけは4点とも大きめの火山岩を使ってしっかり固定した。

 

 夜は薄曇りで、下界の夜景は見えるものの期待していた星空はまったくダメだった。
 星空の写真を撮りたくてわざわざミラーレス一眼も持ってきたのに、ちょっと残念。
 簡単に夕食を済ませ、傾いた斜面からズリ落ちないよう体勢を整えながら眠りにつく。 
 

二日目 
天候:のち
行程:出発5:35-剣が峰6:05~35-お鉢巡り-富士宮口山頂8:30~9:00-富士宮五合目11:45

 朝4時頃、いきなり落石がバスッ!とテントを叩き、目が覚める。 
 テントを確認すると本体は無事、代わりにダイニーマの張り綱が半分切れていた。
 この辺り、比較的岩が安定していると思ったが、よく見ると頭大の火山岩が何とも不安定なバランスで乗っかっているだけ。
 夜から朝にかけて多少風が吹いたが、それでも冬や春先に較べればまったく穏やかで助かった。
 ここしかなかったので仕方なく一夜を過ごしたが、もっと風が強い時期だとテントごと吹っ飛ばされていたかもしれない。 

 朝食は「マルちゃん正麺」。トットと食べてサッサと撤収。

 昨日に引き続き、白い岩の部分を繋ぎながら右斜上していく。
 右側の小尾根を回り込んでふと上を見ると、思いのほか近い所に剣が峰の測候所跡が見えた。視界右側には手すりの部分を行き来する登山者の姿も見える。
 
 
 
 今朝出発してから30分ほどで頂上着。ホッとした。

 

 あと一週間で山開きだが、頂上付近はまだかなり雪に覆われていた。
 それでも表面上だけなので、慣れた人ならアイゼンはいらないぐらいだ。
 もう10回以上は登っているので改めて感動することはないが、やはり日本の最高地点は気持ちがいい。
 ただ、あまり長くいると次から次へと「シャッター押して」と頼まれるので、ちょっとウンザリ。
 あんたら、一人に頼まずに自分が撮ってもらったら次の人を撮ってあげなさいよ。

 頂上からの景色を十分堪能した後、時計回りにお鉢巡り。
 剣が峰直下の部分だけやや雪が厚く、慎重に通過したが、結局持ってきたアイゼンは一度も使うことがなかった。

 トレランで上がってきた人もいて、いろいろ話をしたが、それでも今回見かけた中で最強だったのはこちら。

  進化する山ガール!この格好でキターッ

 ・・・と思ったら実はコスプレ男子。いや、参りましたっ!

 この日、富士山が世界文化遺産に正式登録されたのは下山後に知ったのだが、Mt.フジに来たガイジンさんにしてみれば彼こそが"カルチュラル・ヘリテイジ"だろう。

 下りは富士宮口をのんびり下る。
 山開き前だが吉田口も富士宮口も多くの登山者で賑わい、頂上付近では報道ヘリが旋回していた。

 天気がもてば最後に宝永山でも寄っていくかと思ったが、3,000mから下は厚い雲海の中。また天気の良い日に改めて行くことにした。

 昼前には五合目に下山し、帰りは富士霊園で墓参り、締めはいつもの御殿場市温泉会館へ。

 

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 もちろん混浴ではないので悪しからず。料金高めの富士・箱根周辺の日帰り温泉にあって3時間500円はリーズナブル。

 
 で、後で調べてみると、どうやら今回最後に登ったのは「主杖流し」(20年前のエアリアマップでは「執杖流し」と表記)というルートで、富士山のバリエーション・ルートとしては結構登られているようだ。
 小屋も標識も一切無いのでもちろん慣れた人向きだが、自然にかなった登路で一気に頂上に導いてくれる。
 お中道はまた気が向いたら行くことにして、富士山西面はあまり人が行かないだけにまだまだ面白そうな所がありそうだ。


富士山
・写真集(2013年6月)