そろそろGW。
三月はタイミングを失って谷川を見送り。二月の甲斐駒以来、歩いてないので足慣らしを兼ねて残雪の日光へ一人で出かける。
一日目
4/13(土) 天候:一時
行程:霧降高原11:00-赤薙山12:45-奥社跡14:10-女峰山17:25-唐沢小屋(泊)18:00
今回は車が出せないので電車で行く。
朝7時頃、横浜を発ち、東武の快速利用。片道2,000円ほどで、八ヶ岳へ行くより随分安上がりだ。
日光は久しぶりだが、しばらく来ないうちに町並みが随分アカ抜けていた。以前来た時はまだ昭和の匂い(?)が漂っていたのだが・・・。
駅からバスで登山口の霧降高原まで。
霧降高原は以前スキー場があったのだが、今はすっかり夢の跡。それでも周辺は自然の散策路として綺麗に整備され、サビレ感は無く明るい。
レストハウスで支度を整え、まずは赤薙山目指してスタート。
いきなり1,400段ほどの長い階段。出だしからシンドイが、これで一気に高度を稼ぐ。
出だしは1,400段の「天国への階段」?
登り着いた所は「キスゲ平」と呼ばれ、文字通りここがニッコウキスゲの総本山なのだろう。
もちろん今は雪に覆われたまま。
本日は風も無く、陽射しは暖かいが空気はひんやりしていて何とも気持ち良い天気。
山にもいい感じで雪が残っている。
赤薙山方面から下ってくる日帰りグループと何組か擦れ違いながら登っていく。
まずは赤薙山へ向かう。
標高2,000m辺りから雪道も本格的になってくる。
最初のピーク、赤薙山で休憩。ここでアイゼンを付ける。
その先ちょっと尾根が細くなる。それほど危険は無いが、ちょっと八ヶ岳東面バリエーションのアプローチっぽい雰囲気。
赤薙山山頂 標高2,010m
進むうちにまた一人二人と登山者と擦れ違う。
いずれも単独で、日帰りで女峰山を目指したが、ある人は奥社まで、またある人はその先の独標と呼ばれるピークまでで断念したとのこと。
この先、雪も深くなりヒザ下ぐらいのラッセルとなるらしい。ワカンを持たず泊まりの用意をしていなかった一人は女峰山まであとわずかで、かなり悔しがっていた。
その先、一里ヶ曽根と呼ばれる水平尾根が続く。
北側の展望が開け、遥か右側前方に燧ケ岳が目立って見える。
トレースはあるものの歩いている人が少ないので、場所によってはけっこう潜る。
水平尾根が終わると、いよいよこのコースのクライマックス。
トレースは崩れそうな雪庇を縫っていき、またワンポイントだが70~80度はありそうな雪壁が二ケ所ほどあって、この辺りはプチ・アルパインといった感じ。
特に雪壁はパーティーによってはロープが欲しくなるような所で、なかなかあなどれない。春とはいえ雪の女峰山をナメたらアカンといったところだ。
雪庇あり雪壁ありで、バリエーションぽいコース。
午後になって女峰山方面に進んでいるのは自分一人。
最後にもう一人、引き返してくる単独の人と擦れ違ったが、この人は見るからに強そうな印象。
疲れていたので軽く目で挨拶しただけだが、おそらく本日はこの人だけが女峰山に到達したのだろう。トレース、どうもすみません。
それにしても女峰山は遠い。
夕暮れも迫り、よほど手前でテントを張ろうかと思ったが、天気も安定しているのでそのままヘッデン覚悟で登り続ける。
(本当は余裕を持った行動をしないと先の甲斐駒の二の舞なんだけどね。相変わらず学習能力無し。)
で、何とか夕暮れの女峰山頂上に到着。
当然ながらこの時間、山頂一人占め。遠くの山々を見ながら満足感に浸ってから本日の宿泊地「唐沢小屋」へ。
女峰山山頂 標高2,463m
小屋へは急な斜面を一気に下る。
トレースがあるので不安は無いが、疲れているのかけっこう長く感じて、もしかして薄暗くて通り過ぎてしまったかと思い始めた頃にヒョッコリ小屋の前に出てホッとする。
ここは無人の避難小屋で、本日の先客は東京から来たという男女ペアの一組だけ。二階もあってけっこう広い。
お二人は、日光駅からのまっすぐ上がる黒岩経由のコースで来たとのこと。やはり雪が深く、日帰り組が途中で引き返す中、ここまで来るのに8時間かかったらしい。
黒岩コースは以前、自分も冬に一人でチャレンジし、二日かけてもこの小屋に到達できなかったことがあるので十分納得。
で、その人たちの話では、ここらでは二日前にも20cmほど積雪があったらしい。もう四月だというのに・・・日光、侮り難し!
ニ日目
4/14(日) 天候:
行程:唐沢小屋5:30-女峰山6:10-帝釈山7:10-清水峠8:35-小真名子山10:10~40-寂光滝15:30-田母沢バス停16:00
疲れが溜まっているのか昨夜は(同宿の男性の豪快なイビキが多少気になったが)思いのほか、グッスリ眠れた。
男体山まで行くつもりだったが、調べてみるとここから無雪期のコースタイムで10時間超。昨日の雪の状況を見て明らかに無理だと思う。
というわけで、すっかり油断し、辺りが明るくなってから出発。お二人さんよりは先に出る。
男体山を横に見ながら再び女峰山へ
女峰山への登り返しは急だが、朝の寒気で雪が締まっていて、意外と楽に登れた。
で、昨日に続いて本日も頂上独り占め。風もそれほど強くなく、今日も良い天気だ。
しばらく休んで、いよいよ帝釈山方面へ進む。ここからはトレースなしだ。
朝の女峰山
昨日登って来た霧降高原コース
頂上より一段下がった祠から標識が向かう方向を指していたので素直にそれに従ったが、これは失敗。
本来のルートに出るのに、ちょっと微妙なミックスのトラバースを強いられる。いくら何でもこれは一般ルートじゃ無いでしょうともう一度Ⅲ級ほどのリッジを頂上まで登り返してやり直し。
頂上から今度はきちんとルートを見定め下り始めるが、ここも細い尾根で気が抜けない。慎重にバック・ステップで下る。
その後、帝釈山までナイフリッジというほどではないが、そこそこバリエーションぽい細い尾根を行く。途中に小さい雪庇やワンポイント鎖場があり、なかなか面白い。
女峰山からの細い雪尾根を振り返る
帝釈山に到着。ここから次の小真名子山へは一気に高度を下げる。
しばらくは樹林帯の中に開かれた雪の斜面を、木々に付けられた目印を追って下っていくが、そのうち目印を見失ってしまった。
帝釈山山頂 標高2,455m
とりあえず進む方角はわかる。完全にルートミスとなるが、まぁ下っていけば小真名子山の手前の富士見峠に辿り着けるだろう。
もし、ダメだったらまた自分のトレースを頼りに引き返せば良い。
で、自然の地形に合わせてガンガン下っていくと、ようやく広い林道に出た。「ここはドコ?」
小真名子山はやや左上の方に見えており、どうやら正規ルートよりだいぶ北側に出てしまったようだ。
雪に覆われた林道を左に1kmほど伝っていくと、ようやく本来出るはずだった富士見峠に到着。
相変わらずルーファイ能力ダメ。GWは読図を必要とするルートを行くというのに、こんなんで大丈夫かね?
一休みして、小真名子山への登り返しとなるが、ここから急に雪が重くなる。
スノープレートが付いているにも関わらず、BDのアイゼンに巨大なダンゴ雪がまとわりつき鬱陶しい。
これはBDのプレートが良くないのか、それとも雪質が特別なのか。ワカンを持ってこなかったので、どうしようもない。
樹林帯を抜け視界が開けると、そこからは一気に急登が続く。
息が切れ、雪もキックステップが決まらない感じで大幅にペースダウン。途中、トラロープが半分埋まっている壁もあったりしてけっこう悪い。
細い潅木の枝を頼りにゼェゼェ言いながら登るが、ここで完全に心が折れた。
男体山まで行くなんて絶対ムリ!大真名子まで行くとしても今日中に帰れるかわからないし、この小真名子ですらキツイ。
今すぐここで諦めようかと思ったが、それではあまりに中途半端なので、せめて小真名子の頂上までと頑張る。
小真名子へのキツい登り
小真名子の頂上には8m四方の大きな無線反射板あり。もしかしたらスマホが通じるかと思ったが、ザックの奥に仕舞ってあって面倒くさいので確認せず。
ここから見る男体山はまだまだ遠い。GW前の足慣らしとしてはもう十分だ。
小真名子山・山頂 標高2,322m
富士見峠へは、またアイゼンにまとわりつくダンゴ雪と格闘しながらバックステップも交えながら下っていく。
その先、志津林道はトレース皆無だが、特にラッセルやモナカ雪に苦しめられることなく、ケモノの足跡を追いながら気持ちよく進めた。
雪の志津林道
途中で道を分け、最後は延々と続く笹原の道を木々に付けられた目印を頼りにひたすら下っていく。
寂光滝を見学し、少し進むと車道に出てようやく終了。時間は早いが、けっこう疲れた。
それにしても、雪のある時期の日光はそこそこハード。
見かけは野暮ったいが、一般ルートでも八ツの初級バリエーションと同等と見ていいんじゃないかと思う。
写真集「春の日光・女峰山」