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KU Outdoor Life

アウトドアおやじの日常冒険生活

春の日光・女峰山

2013年04月14日 | その他の山登り

 そろそろGW。
 三月はタイミングを失って谷川を見送り。二月の甲斐駒以来、歩いてないので足慣らしを兼ねて残雪の日光へ一人で出かける。

一日目
4/13(土) 天候:一時
行程:霧降高原11:00-赤薙山12:45-奥社跡14:10-女峰山17:25-唐沢小屋(泊)18:00

 今回は車が出せないので電車で行く。
 朝7時頃、横浜を発ち、東武の快速利用。片道2,000円ほどで、八ヶ岳へ行くより随分安上がりだ。
 日光は久しぶりだが、しばらく来ないうちに町並みが随分アカ抜けていた。以前来た時はまだ昭和の匂い(?)が漂っていたのだが・・・。

 駅からバスで登山口の霧降高原まで。
 霧降高原は以前スキー場があったのだが、今はすっかり夢の跡。それでも周辺は自然の散策路として綺麗に整備され、サビレ感は無く明るい。
 
 レストハウスで支度を整え、まずは赤薙山目指してスタート。
 いきなり1,400段ほどの長い階段。出だしからシンドイが、これで一気に高度を稼ぐ。

  出だしは1,400段の「天国への階段」?

 登り着いた所は「キスゲ平」と呼ばれ、文字通りここがニッコウキスゲの総本山なのだろう。
 もちろん今は雪に覆われたまま。

 本日は風も無く、陽射しは暖かいが空気はひんやりしていて何とも気持ち良い天気。
 山にもいい感じで雪が残っている。
 赤薙山方面から下ってくる日帰りグループと何組か擦れ違いながら登っていく。

 
まずは赤薙山へ向かう。

 標高2,000m辺りから雪道も本格的になってくる。
 最初のピーク、赤薙山で休憩。ここでアイゼンを付ける。
 その先ちょっと尾根が細くなる。それほど危険は無いが、ちょっと八ヶ岳東面バリエーションのアプローチっぽい雰囲気。

  赤薙山山頂 標高2,010m
 
 進むうちにまた一人二人と登山者と擦れ違う。
 いずれも単独で、日帰りで女峰山を目指したが、ある人は奥社まで、またある人はその先の独標と呼ばれるピークまでで断念したとのこと。
 この先、雪も深くなりヒザ下ぐらいのラッセルとなるらしい。ワカンを持たず泊まりの用意をしていなかった一人は女峰山まであとわずかで、かなり悔しがっていた。
 
 その先、一里ヶ曽根と呼ばれる水平尾根が続く。
 北側の展望が開け、遥か右側前方に燧ケ岳が目立って見える。
 トレースはあるものの歩いている人が少ないので、場所によってはけっこう潜る。

 水平尾根が終わると、いよいよこのコースのクライマックス。
 トレースは崩れそうな雪庇を縫っていき、またワンポイントだが70~80度はありそうな雪壁が二ケ所ほどあって、この辺りはプチ・アルパインといった感じ。
 特に雪壁はパーティーによってはロープが欲しくなるような所で、なかなかあなどれない。春とはいえ雪の女峰山をナメたらアカンといったところだ。

  雪庇あり雪壁ありで、バリエーションぽいコース。
 
 午後になって女峰山方面に進んでいるのは自分一人。 
 最後にもう一人、引き返してくる単独の人と擦れ違ったが、この人は見るからに強そうな印象。
 疲れていたので軽く目で挨拶しただけだが、おそらく本日はこの人だけが女峰山に到達したのだろう。トレース、どうもすみません。

 それにしても女峰山は遠い。
 夕暮れも迫り、よほど手前でテントを張ろうかと思ったが、天気も安定しているのでそのままヘッデン覚悟で登り続ける。
 (本当は余裕を持った行動をしないと先の甲斐駒の二の舞なんだけどね。相変わらず学習能力無し。)
 
 で、何とか夕暮れの女峰山頂上に到着。
 当然ながらこの時間、山頂一人占め。遠くの山々を見ながら満足感に浸ってから本日の宿泊地「唐沢小屋」へ。

 
女峰山山頂 標高2,463m

 小屋へは急な斜面を一気に下る。
 トレースがあるので不安は無いが、疲れているのかけっこう長く感じて、もしかして薄暗くて通り過ぎてしまったかと思い始めた頃にヒョッコリ小屋の前に出てホッとする。

 ここは無人の避難小屋で、本日の先客は東京から来たという男女ペアの一組だけ。二階もあってけっこう広い。
 お二人は、日光駅からのまっすぐ上がる黒岩経由のコースで来たとのこと。やはり雪が深く、日帰り組が途中で引き返す中、ここまで来るのに8時間かかったらしい。
 黒岩コースは以前、自分も冬に一人でチャレンジし、二日かけてもこの小屋に到達できなかったことがあるので十分納得。
 
 で、その人たちの話では、ここらでは二日前にも20cmほど積雪があったらしい。もう四月だというのに・・・日光、侮り難し!  


ニ日目
4/14(日) 天候:
行程:唐沢小屋5:30-女峰山6:10-帝釈山7:10-清水峠8:35-小真名子山10:10~40-寂光滝15:30-田母沢バス停16:00

 疲れが溜まっているのか昨夜は(同宿の男性の豪快なイビキが多少気になったが)思いのほか、グッスリ眠れた。

 男体山まで行くつもりだったが、調べてみるとここから無雪期のコースタイムで10時間超。昨日の雪の状況を見て明らかに無理だと思う。
 というわけで、すっかり油断し、辺りが明るくなってから出発。お二人さんよりは先に出る。

  男体山を横に見ながら再び女峰山へ

 女峰山への登り返しは急だが、朝の寒気で雪が締まっていて、意外と楽に登れた。
 で、昨日に続いて本日も頂上独り占め。風もそれほど強くなく、今日も良い天気だ。
 しばらく休んで、いよいよ帝釈山方面へ進む。ここからはトレースなしだ。

  朝の女峰山

  昨日登って来た霧降高原コース
 
 頂上より一段下がった祠から標識が向かう方向を指していたので素直にそれに従ったが、これは失敗。
 本来のルートに出るのに、ちょっと微妙なミックスのトラバースを強いられる。いくら何でもこれは一般ルートじゃ無いでしょうともう一度Ⅲ級ほどのリッジを頂上まで登り返してやり直し。

 頂上から今度はきちんとルートを見定め下り始めるが、ここも細い尾根で気が抜けない。慎重にバック・ステップで下る。
 その後、帝釈山までナイフリッジというほどではないが、そこそこバリエーションぽい細い尾根を行く。途中に小さい雪庇やワンポイント鎖場があり、なかなか面白い。

  女峰山からの細い雪尾根を振り返る

 帝釈山に到着。ここから次の小真名子山へは一気に高度を下げる。
 しばらくは樹林帯の中に開かれた雪の斜面を、木々に付けられた目印を追って下っていくが、そのうち目印を見失ってしまった。

  帝釈山山頂 標高2,455m

 とりあえず進む方角はわかる。完全にルートミスとなるが、まぁ下っていけば小真名子山の手前の富士見峠に辿り着けるだろう。
 もし、ダメだったらまた自分のトレースを頼りに引き返せば良い。
 
 で、自然の地形に合わせてガンガン下っていくと、ようやく広い林道に出た。「ここはドコ?」

 小真名子山はやや左上の方に見えており、どうやら正規ルートよりだいぶ北側に出てしまったようだ。
 雪に覆われた林道を左に1kmほど伝っていくと、ようやく本来出るはずだった富士見峠に到着。
 相変わらずルーファイ能力ダメ。GWは読図を必要とするルートを行くというのに、こんなんで大丈夫かね?

 一休みして、小真名子山への登り返しとなるが、ここから急に雪が重くなる。
 スノープレートが付いているにも関わらず、BDのアイゼンに巨大なダンゴ雪がまとわりつき鬱陶しい。
 これはBDのプレートが良くないのか、それとも雪質が特別なのか。ワカンを持ってこなかったので、どうしようもない。

 樹林帯を抜け視界が開けると、そこからは一気に急登が続く。
 息が切れ、雪もキックステップが決まらない感じで大幅にペースダウン。途中、トラロープが半分埋まっている壁もあったりしてけっこう悪い。
 細い潅木の枝を頼りにゼェゼェ言いながら登るが、ここで完全に心が折れた。

 男体山まで行くなんて絶対ムリ!大真名子まで行くとしても今日中に帰れるかわからないし、この小真名子ですらキツイ。
 今すぐここで諦めようかと思ったが、それではあまりに中途半端なので、せめて小真名子の頂上までと頑張る。
 
  小真名子へのキツい登り

 小真名子の頂上には8m四方の大きな無線反射板あり。もしかしたらスマホが通じるかと思ったが、ザックの奥に仕舞ってあって面倒くさいので確認せず。
 ここから見る男体山はまだまだ遠い。GW前の足慣らしとしてはもう十分だ。

  小真名子山・山頂 標高2,322m

 富士見峠へは、またアイゼンにまとわりつくダンゴ雪と格闘しながらバックステップも交えながら下っていく。
 その先、志津林道はトレース皆無だが、特にラッセルやモナカ雪に苦しめられることなく、ケモノの足跡を追いながら気持ちよく進めた。

   雪の志津林道
 
 途中で道を分け、最後は延々と続く笹原の道を木々に付けられた目印を頼りにひたすら下っていく。
 寂光滝を見学し、少し進むと車道に出てようやく終了。時間は早いが、けっこう疲れた。
 
 それにしても、雪のある時期の日光はそこそこハード。 
 見かけは野暮ったいが、一般ルートでも八ツの初級バリエーションと同等と見ていいんじゃないかと思う。

写真集「春の日光・女峰山」


冬の那須#2 風雪の茶臼岳

2013年01月13日 | その他の山登り

二日目
天候:、上部風雪
行程:大丸駐車場7:45-峰ノ茶屋9:30-牛ヶ首10:10-ロープウェイ頂上駅付近10:45-茶臼岳頂上11:30-峰ノ茶屋12:10-大丸駐車場13:10-北温泉13:50~15:50

 「道の駅」で起床。
 適当にパンとコーヒーで朝飯済ませ、大丸駐車場へ。

 しかし、歩いている時はそれほど気にならないが、やはり今日も胃がシクシクと痛む。
 一人の気楽さゆえ、もう今日は無理せずこのまま帰ってしまおうかと一瞬思うが、今日もとりあえず天気が良いので行ける所まで行ってみようと思い直す。
 実は昨夜スマホで見ていたら茶臼岳の南西側?に牛ヶ首ルンゼというルートの記録があり、できればここも登れないかという狙いである。

 駐車場は昨日よりも車がいっぱい。
 今日も登山者が多く、メットを被ったアルパイン仕様の人たちもチラホラ。
 近くにいた二人組に「東南稜ですか?」と聞いたら、「そうです。」というので少し話をして僭越ながら情報提供。

 

 今日もツボ足のまま行ける所まで登っていく。
 途中、昨日の夕方に擦れ違った団体さんのうちの一人、犬連れのおっちゃんに会ったので少し話をする。
 で、山における犬(シベリアンハスキーの子ども)の能力を尋ねてみると

・かかりつけの獣医によると高度5~6千mまでは特に高度障害も無く大丈夫。(まさか計画しているのか?)
・冬は家の中でストーブの前に陣取っているが、山ではもちろんウェアもシューズも身に着けないで元気。
・凍傷にはならないが、それでも雪山を素足で歩いていると冷たいらしく、昨日は小屋の中で自分の足をペロペロ舐めて温めていた。
・大抵の雪道は大丈夫だが、アイスバーンは爪があってもアイゼン代わりにならず、昨日は強風に押されて氷の上でムーンウォーク状態だった。(オイオイ)

 で、そんな話をしている間もよく見ると、4つの足を小まめに上げ下げして冷たそう。
 おっちゃん、タバコ吸ってのんびり休んでいないで、後で温泉でも入れてあげて。

  健気なハスキーくん

 再び歩き始め、茶臼のトラバース道に入ると途端に風が強くなってきた。
 アイゼンを履くタイミングを誤り、頻繁に耐風姿勢をとりながらジリジリと進む。
 
 上部に向かうにつれ天気は荒れ模様となるが、ふと見るともう既に7人ぐらいが東南稜に取り付いている。
 さらに私と前後していた男女三人組も取付へと向かっていったが、もはやこの時点で油断していると身体を倒されそうな風が吹き付けており、大丈夫なのだろうか?
 (登山口で私と話をした二人組は、今日は止めときますと言って引き返していった。たしかに自分もそれが正解だと思うが・・・。)

 
 赤丸の部分に7人ぐらい見える。

 普段だったら10分もかからないような短い距離も風と風の合間にホフク前進のような感じで、ようやく峰ノ茶屋避難小屋に到着。
 小屋の陰でしばらく待機するが、天気は好転しそうもなく、まぁ行けるトコまでと牛ヶ首への周遊コースに歩を踏み出す。

  上の方、ナンも見えません。

 当然ながら、この時点で牛ヶ首へ向かう物好きは私一人。
 幅広い雪の水平道で誘導用のロープもあるので不安は無いが、横殴りの風雪が絶えず西から吹きつけ、ちょっと痛いし寒し、おどろおどろしい。

 ところどころ噴煙が出ている所を見学しながら行くが、肝心の牛ヶ首ルンゼなど灰色のガスに包まれ何も見えず。
 しかたなく、そのままグルッと山腹を巻く形で茶臼岳の頂上へ。

  凍りついた「牛ヶ首」の道標

 こんな天気だが、茶臼岳は冬でも比較的安全に登れるせいかポツポツとガスの中、亡霊のように現れる。

 ようやく鳥居が見え、その奥に祠がある茶臼岳山頂着。
 先に一人、登山者が着いていて、風が強いのでお互いシャッターを押して、そそくさと下山する。

  頂上の鳥居

  ナンも見えません。

 それにしても今日、東南稜へ行った人たちは大丈夫なのかと心配したが、峰ノ茶屋で一組、さらに下っていくともう一組のパーティーに合い、風は強かったが無事登ってきたとのこと。
 いやぁ、皆さん強いです。若い頃ならともかく、今の自分はヘタレでとても真似できません。

 皮肉なことに下りるにつれ青空が広がっていく。けど、三つとも頂上行けたし、東南稜も登ったし。ま、いいか。

 

 下山後は当然ながら温泉。
 本日はかねてから行きたかった「北温泉」へ。
 秘湯好みの自分としては☆☆☆☆☆!

  北温泉にキターっ!

  温泉プール(混浴、水着不要)

  外の内湯(男女別)

  河原の湯(露天・男女別)

  天狗の湯(混浴)

 風情ある古い造りの湯治場で、50坪はありそうな温泉プールから河原沿いの露天風呂、混浴の「天狗の湯」など。
 700円でたっぷり「つげ義春」ワールドに浸れ、最近ではあの阿部寛・主演の映画「テルマエ・ロマエ」のロケにも使われたとか。
 そんなわけで若い女性客も数多かったが、さすがに混浴にスッポンポンで入ってくる猛者?はいなかった。まぁ、そうでしょうな・・・。

 お土産は、"THE CHEESE GARDEN"の「御用邸チーズケーキ」とやらを。値段も手頃で味は濃厚。オススメです。

  まいう~です。



Mountain Driving in NASU

写真集【冬の那須・茶臼岳と北温泉】


春の空木岳から南駒ヶ岳 #3

2012年05月06日 | その他の山登り

三日目
天候:晴れのち雷雨
行程:池山小屋6:50-池山7:10~20-自然観察棟-菅の台-こまくさの湯

 今日は下山のみ。
 単独のニイちゃんと三人組が先に出発した後、小屋内をできる限り掃除してから後にする。

  
 きれいな池山小屋

 特に急ぐ必要もないので、近くの池山経由で自然散策路を選んで下山。
 しかし途中から雷混じりの天気雨となる。何だかヘンな天気だ。
 幸い樹林帯の中だったので、思ったより濡れることもなかった。

  池山頂上

 締めは「こまくさの湯」。施設は広くて新しく、料金も600円と手頃。
 気持ちよくまったりして高速バスで帰路についたが、バスの接続が良すぎて地元名物の「ソースかつ丼」を食いそびれたのが残念だった。

  「こまくさの湯」


[写真集・2012年GW 中央アルプス・空木岳から南駒ヶ岳]


春の空木岳から南駒ヶ岳 #2

2012年05月05日 | その他の山登り

二日目
天候:のち、夕方から雷雨
行程:起床5:30-空木避難小屋・出発6:50-駒峰ヒュッテ-空木岳8:25~50-南駒ケ岳10:50~11:10-空木岳13:00~10-池山小屋17:30(泊)
 
 結局、あまり熟睡できないまま朝を迎える。
 予定どおり朝4時にはアラームで一度目覚めるが外は猛烈な地吹雪で行動不能、再び寝て目が覚めた時にはすっかり明るくなっていた。
 朝のマルタイ・ラーメンを作っている間も凶暴な横風でテントが三日月形にしなってしまうほど。

  
 避難小屋の陰でどうにか一晩やり過ごす。

 いつ出発しようかとタイミングを見計らっているうち、昨日近くにテントを張った単独の女性は早くも空木へ向かって装備一式を担いでスタートする。
 自分もテント(アライの「ライズ1」)の撤収に掛かるが、見たらポールスリーブが二箇所ほどけっこうひどく破れている。
 強風に煽られて小屋のトタン屋根のエッジに引っ掛けてしまったようで、これはちょっとショック!ジュラルミンのポールも軽く曲がっているし・・・。
 (後で単独の女性に聞いてみたら、彼女も昨夜の強い風でテントを破損したとのこと。恐るべし、空木の風。)

  
 空木への登り。朝になってもよろけるほど風が強い。

 相変わらず風は強いが立って歩けないほどではない。
 先行する女性の後を追って頂上へ向かう。彼女の方は大きなザックが風を受けるのか時々立ち止まっている。

 白い斜面を登り詰めると駒峰ヒュッテ着。
 単独の女性の他、男女三人組が待機していた。
 三人組は一昨日ここまで登ってきたが、昨日は天気が悪くて一日この小屋の狭い土間で停滞していたらしい。

 二組とも越百山まで縦走する予定でいたが、結局この強風で諦めるとのこと。せめて空木の頂上までと風の合間を縫って空身で登っていった。
 自分はできれば南駒までと、メインのザックを小屋脇にデポし、サブザックに行動食とスポーツドリンク、カメラだけ持って後に続く。
 サッサと登ってすぐに降りてきた彼らと途中で挨拶を交わし、空木岳山頂着。

   
  空木岳山頂

   強風でカメラをセットできず手を伸ばして撮影

 空木山頂から見る南駒ヶ岳はそれなりに白いが、そこに至る稜線はけっこう夏道が出ている。
 岩陰で少し休んでいると風も小康状態になってきて、これならこのまま先へ進めそうだ。迷わずスタート。

  
 南駒ヶ岳方面

 道はうっすらと凍りついた粗い砂状で、アイゼンが良く効き、快適な歩き。
 途中の赤椰岳からまた雪稜となる。
 トレースの名残のようなものが残っているが、登山者のようなケモノのような?どうもハッキリしない。
 最後、南駒への登りは正規の夏道である向かって左の岩稜伝いではなく、敢えて岩と雪のミックスを選んで行く。
 残雪の山は自分のできる範囲で自由にルートを選んで行けるのが楽しい。

  
 (左)赤椰岳から木曽駒方面             (右)南駒への最後の登り(このトレースは自分のもの)

 最後はカモシカらしき謎の三つ指トレースに導かれるようにして雪のドームを直登する。
 見た感じ雪庇状でこのまま行ってしまって大丈夫かいな?と思ったが、登り詰めると反対側は土の台地になっていて、そこが南駒ケ岳の頂上だった。
 南駒はいつか行ってみたいと思っていた山なので満足。
 誰もいない静かな頂上でしばし360度の展望を楽しむ。

  南駒ヶ岳頂上

 帰りはそのまま往路を引き返す。
 再び空木に近づく頃、それまで保っていた天気がまた悪くなり始め、西の空から黒雲が速いスピードで流れてくる。

 余裕があれば千畳敷まで主稜線を縦走しようかと思ったが、今朝のゆっくりの出発で時間が押していたし、また昨夜と同じ暴風に晒されるかもしれず、もう一晩やり過ごす気力は無い。
 今回は南駒まで行けたことだし、ヨシとしよう。

 空木の頂上からは快適な尻セードで下り、ヒュッテでザックを回収。駒石経由でドンドン下る。
 駒石付近に点在する大岩は何箇所か格好の岩小屋があった。最初からここを知っていれば昨日の風害も避けられたのだが。

  駒峰ヒュッテ

 小地獄、大地獄も特に問題なく通過。行きはツボ足のまま通過したが、下りは安全を期してアイゼンを履いていく。
 振り返ると、上部の山は再び暗雲に包まれ始めた。
 
 夕暮れ近く、池山小屋に着。
 このまま今日中に下山してもよかったが、この時間だともう駅までのバスは無いし、これだけ綺麗な小屋にタダで泊まれるなら文句はない。

 その日の先客は中高年の男三人組と若い単独のニイちゃんと私。
 三人組は空木直下の駒石までで断念、ニイちゃんは千畳敷まで縦走するつもりだったが、やはり天候を見て空木往復で自重したとのこと。
 午後6時頃から稲光と共に強い雷雨となり、あのまま主稜線に突っ込んで行ったら相当悲惨な目に遭っていただろう。
 昨夜のテントに較べればホテルにいるような快適さでぐっすり眠る。 


春の空木岳から南駒ヶ岳 #1

2012年05月04日 | その他の山登り

一日目
天候:一時、夕方から暴風
行程:駒ヶ池8:50-池山小屋-迷尾根-空木避難小屋(テント泊)16:30
単独

 GW後半はjuqcho氏と剱尾根を予定していたが、出発当日が大雨、その後の天気予報もあまり良くないのでやむなく見送り。
 天気には勝てないが、せっかくの連休どこにも行かないのもナンなので、計画を縮小し一人で中央アルプスへ。
 雪のある時期に木曽駒から空木へ主稜線を歩いてみたいと思ったが、単独だと千畳敷の山岳補導員?にお咎めをくらって門前払いの可能性もあるし、ネットでGWの記録を見たら途中ロープを出してる場面もチラホラ。
 ということで、余計な神経を使わないで済む空木岳とそこからちょっと足を延ばして南駒ヶ岳まで歩いてみようと思った。

 家で車を使うので、今回は電車利用。深夜のムーンライト信州号に乗る。
 前日が全国的に記録的な大雨だったし、最近は山へ行く人も車利用が多いのでガラ空きかと思ったら、けっこう登山者は多い。
 八王子から岡谷まで約3時間、岡谷のホーム上待合室で2時間弱の仮眠をとったが、思ったより眠れた。

 地元の女子高生の元気な姿を微笑ましく見ながらローカルな伊那線に揺られるのも、何となくテレビ東京の旅系番組のようで悪くない。
 だが、この日、駒ヶ根駅で降りた登山者は自分一人。もう少しいるかと思ったが・・。天気がイマイチということもあるが、中央アルプスってあまり人気無いのかね。

 とりあえず路線バスで駒ヶ池まで。どうでもいいが、いつも途中の「女体入口」というバス停が気になる。
 水を補給し、歩き始める。
 ここからだと登山口がよくわからないが、焚火をしていた地元のおっちゃん二人組に聞いたら、ショートカットの裏道を教えてくれた。
 先ほどの路線バスの運転手もそうだったが、ここらの人は本当に気さくで優しい。

  

 スキー場の前を横切り、池山尾根登山口から入る。
 出だしにいきなり「熊出没、注意!」の看板有り。
 他に登山者も見当たらないので、しばらくザックのチェストハーネスに付いているホイッスルを吹き鳴らしながら行く。

 少し登って行くと三本木地蔵という所に到着。
 きれいな前掛けをした小さな地蔵と遭難碑が三つほどあり、新しく花が供えられている。こちらも自分の無事を祈って手を合わせる。
 マイカーやタクシーだと、この少し先まで林道で上がって来られる。

 

 今日は誰も登っていないのかと思ったら、そのすぐ上で中高年夫婦、さらには中高年男三人組のパーティーに追いつき、そのまま追い越す。
 自分の持っている古いエアリアマップには載っていないが、この先、途中の池山までの間には登山道とは別に自然観察の遊歩道が整備されているようだ。
 とりあえずまっすぐ登山道を登っていくと、やがて水量豊富な水場に着き、すぐ近くが池山小屋だった。
 無人だがけっこう大きく、中を覗くととても綺麗に使われていて、時間があれば一泊したくなるような小屋だ。
 空木岳への往復や池山散策など、ここをベースにする人が多いようで、この時も三人組が休んでいた。

  

 少し休んで、登りを再開。
 ここからいよいよ登りも急になってきて、残雪もチラホラ現れる。
 やがて鉄パイプの手摺や階段、鎖などで整備された道となり、コースは左上へと急な雪のトラバースが続くようになる。
 この辺りが小地獄、大地獄、そして迷尾根と呼ばれる地点だが、表示もしっかりしているし、慌てなければ特に危ないことも無い。
 日陰なので、細いトラバース道は雪が固く凍りついていたが、アイゼンは履かずに何とかこなせた。

  
 
 ここを過ぎればようやく森林限界も近く、視界が少し開けるようになる。
 午前中は少し晴れ間もあったが、どうも天気はすっきりしない。
 できれば、今日のうちに空木岳山頂下の駒峰ヒュッテまで行きたいと思ったが、やはり雪があると夏のコースタイム通りにはいかなそうだ。
 降りてくる人たちもいて話を聞くと、積雪期のヒュッテは3~4人が泊まれる土間が開いているだけで、今日はもう先客でいっぱいとのこと。
 うーん、そうですか。そうなるとそろそろこの辺で別のテン場を捜さなければならない。

  

 途中いい場所もあったが、もう少し、もう少しと登り続けるうち、左前方の真っ白いカール状の地点に半分雪に埋もれた空木避難小屋が見えた。
 よく見ると、その脇に黄色いドームテントが一張りあった。自分もそこにしようとトラバースして近づいていく。

 雪に半分埋もれた空木避難小屋

 着いてみると、先客は単独の女性が一人。 (さすがに山ガールといった感じではない)
 3~4人用のテントなので他にもいるかと思ったが、彼女がこの大きさのしか持っていないとのこと。
 すぐ隣に張っても良かったが、何となく遠慮して少し離れた場所にした。
 
 この頃から上部は雲とガスに覆われ、南東からの吹き下ろしの風がかなり強くなってきた。
 風を避けるためには位置的には外のトイレの陰がベストだったが、そこまではできず、小屋入口の南西側にテントを密着させて張る。
 
 夕食を済ましシュラフに入るが、その夜は一晩中、暴風に翻弄されることになる。
 最初のうちは風が強いといってもせいぜい2、3時間で収まるだろうとタカをくくっていたが、冬富士の突風クラスの風が休むことなく吹き荒れ、ヘタな所に張っていたらテントごと転がっていただろう。

 一度ベンチレーターから外を覗くと煌々とした月明かりが見えたりしたが、その後はまた暗雲に包まれ、あぁ今回はダメかなと思いながら断続的な眠りについた。 


春富士2012

2012年04月15日 | その他の山登り

天候:
行程:御殿場口太郎坊1:50-長田尾根-剣ケ峰12:50~13:10-御殿場口砂走り-太郎坊18:30
単独

 今週末はGWに向けた体力トレのため、富士山へ。
 土曜の雨が夜まで続くが明日は晴れとの予報を信じて、22時過ぎに横浜を出発。
 今年は残雪が多く、富士スバルライン、あざみラインともにまだ規制中。かったるいが、一番長い御殿場口からの往復とする。

 太郎坊のトンネルそばの駐車スペースで二時間ほど仮眠をとる。
 昨年5月と同様、下りはショート・スキーを使うつもりでいたが、気がつくと板を積んでくるのを忘れていた。(←アホ)
 しかたない。その分、荷物は軽くなるのでヨシとしよう。

 

 満天の星空の下、ヘッデンを点けて午前2時前にスタート。
 毎度、雪のある時期の富士山に一人で挑む時は、出発するまで大きな不安を感じるが、歩き始めると緊張は徐々に薄れていく。
 ちょうど10年前の正月に登った時は頂上の剣ケ峰まで約9時間ほどかかったが、今回ははたしてどうか。
 御殿場口からの夏の標準コースタイムは約7時間ということだが、これは休憩無しの所要時間。雪のある時期は大抵風が強く吹いているのでそう簡単にはいかない。

 新五合目(実際には二合目相当)に着くと、一気に視界が開ける。
 月明りに照らされて、真っ白い巨大な斜面が目の前に幻想的に浮かび上がる。
 最初のうちこそヘッデンを点けたままだったが、消しても十分に歩けるぐらいだ。

 この時間から登り始めているのは自分一人。音も無く、まるで月世界にいるような不思議な感覚を味わえるのは積雪期の富士山ならでは。
 風の音だけ聞きながら、ただ黙々と頂上を目指す。

 一気に2時間ほど歩き続けてふと振り返ると眼下には御殿場の夜景が広がっている。
 さらに登り続け、また振り返ると下の方からヘッデンの光が次第に近づいてきているように感じる。
 やがて三日月型の山中湖の向こうの空がオレンジ色になってくる頃、何とも速いスピードで後続の単独登山者が一気に追いついてきた。
 自分も特に速い方ではないが、最近は歳のせいか体力、スピードに衰えを感じ、他の人に追いつかれるのはちょっとショック。
 やがて雲海の中から御来光が浮かび上がる。

 

 四合目辺り、そろそろアイゼンを着けようと小屋の陰で小休止する。
 追いついてきた単独の人と挨拶を交わすと千葉の人で、季節を問わず富士山には毎月一回は登頂を目標にしているらしい。
 先週は風などの影響で頂上まで行けなかったので、今週もまた来たとのこと。高度順化ができているのか、どうりで早いわけだ。

 しばらくそこで休んでいるうち、次第に風が強くなってきた。
 右斜め上から継続的に吹き下ろすような感じで、ちょっとした地吹雪のような状態でなかなか出発できない。
 ただ真冬のように身体ごと吹っ飛ばされるような突風ではないので、頃合いを見計らって再スタート。
 千葉の人はまだしばらく様子を見るのか待機したまま。
 気象予報では今日の富士山は風も比較的弱いとのことだったが、彼の経験から言えばあまり当てにはならないらしい。
 強風の予報でも実際は穏やかだったり、逆に風が弱いとの予報でも突風が吹いて登れなかったりと、雪の時期の富士山だけは来てみないとわからないとのこと。

 ずっと向かい風を受けて登り続けているのでペースは上がらず。
 振り返ると先ほどの人のほか二人組、さらにもう一組とポツポツと後続者が付いてくる様子。
 雪の斜面は絶好のパウダーがあったり、表面だけ薄く凍ったモナカ雪があったりして様々。もがくほどではないが、一人でずっと先頭でトレースを付けていくのはけっこう疲れる。
 早く追いついて交替してくれないかと思うが、一定の間隔を開けて差は縮まらない。

 とにかく例年より雪が多く本来の登山道もはっきりせず、どこでも勝手に登ってくださいという斜面なので、本来の御殿場コースでなく正面の長田尾根を直登する。

  

 標高も高くなりガチガチの氷も現れるが、卸したてのBDサイボーグの長い爪が良く刺さる。
 しかし、ほとんど徹夜の睡眠不足に加えてずっと吹き下ろしの中、一人でトレースを刻んでいたせいで、この辺りからグッとペースが落ち、目標時刻までの到着が怪しくなる。
 この分ではもしかしたら途中敗退かも?とりあえず午後2時をリミットとして、それまで登り続けることにする。
 長田尾根は傾斜こそ緩いが、途中で引き返すとなると吹きさらしの凍った岩尾根なのでバランスを崩しかねない。
 今回、剣ケ峰までは無理でも何とか頂上の縁まで登ってから安全なルートで下山したい。

 一向に近づかないと思われた頂上だが、何とか辛抱、我慢で登り続けるうち、長田尾根の突端に抜けることができた。

 

 ようやく一安心して、最高峰の剣ケ峰まで歩を進める。
 ちょうどその時間には誰もおらず、頂上でしばし至福の時を過ごす。
 積雪期の富士山に一人で剣ケ峰まで行けたのは2002年1月、2011年5月に続いてこれで三度目。

 

 20分ほど頂上で休んだ後、下山開始。
 途中で後続のパーティーと擦れ違い、挨拶を交わす。

 御殿場口の下山路はところどころシリセードで下るが、部分的にはまだ雪面が堅くてそのまま滑落になってしまいそう。
 南面なのでアイスバーンではないが、スキーで快適に滑るにはまだちょっと堅いか。
 登りも長いが下りも長い。
 ただ足を前に出しているだけでどんどん下っていけるはずだが、さすがに足に来ていて眼下の宝永山がなかなか近づかない。

 

 さらに標高が下がるにつれ緩くなった雪はズボズボと潜り、まさに苦行となる。
 スキーも下の方ではあまり使えないし、この部分だけのためにスノーシューやワカンを持ってくるのは面倒だし・・・四月に御殿場口から富士山に登るにはそれなりのストイックさとMっ気がないと心が折れる。

 最後はヨレヨレのヘロヘロになって、暗くなった太郎坊に到着。
 行動時間ほぼ16時間半。疲れました・・・。


表丹沢ちぃ散歩?

2012年03月19日 | その他の山登り

天候:時々小
行程:ヤビツ峠9:10-表尾根-塔ノ岳13:40~14:10-大倉尾根-大倉16:30 単独

 飛び石連休だが全般的にあまり良くない天気予報に振り回され、遠出する気も無くなりモチも低下。
 結局、散歩がてらに通い慣れたお気軽定番コースへ。

 一日中曇り、時折チラホラと小雪が降ったり。
 元気な山ガールや立派な角のシカくんとの遭遇などそれなりの小ネタはあったが、何となく冴えない一日。
 やはり空が晴れないと気分も晴れない。

  

 

                

 


奥秩父・金峰山スノーハイク

2011年12月25日 | その他の山登り

天候:
行程:ミズガキ山荘9:20-金峰山山頂13:30~50-ミズガキ山荘16:50
単独

 クリスマスの三連休、当初は八ヶ岳辺りの簡単なバリエーションでも行こうかと思ったが、この時期になってついに風邪をひいてしまった。
 先日、「山渓」で当たったファイントラック・アウタージャケットのモニターレポートの締切も迫っているので、どこかしら山へ出かけて写真を撮ってこなければならない。
 結局、手軽に日帰りができて天候も安定し、そこそこ雪のある山ということで、奥秩父の金峰山へ。

 朝、横浜を出発。
 ミズガキ山荘近くの駐車場に車を停め、金峰山まで往復。
 山頂までの標高差は約1,100m、標準コースタイムは4時間半。

 前半は樹林帯、そこを抜けると展望が開けるが、この三連休は冬型の気圧配置が強まったようでメチャ寒く、奥秩父の2,000m付近でも厳冬期の八ヶ岳の稜線より寒く感じた。
 寒さのせいでプラスチック製のミニ三脚の脚がまたしてもポッキリ折れてしまったが、山頂ではやはり横浜から来た単独行の人に写真を撮ってもらい、とりあえずモニター写真は無事に撮影。

 積雪は山頂付近で10~20cmほど。
 ピッケル、アイゼンは不要だったが、下山時は時折、雪煙が舞ったりしてそこそこ冬山気分を味わえた。



 で、今回新たに使ってみたウェアと靴のインプレッション。

ファイントラック "エバーブレスバリオジャケット"
・アウタージャケットとしてはやや細身のシルエットだが、多少ストレッチが効いているようで冬の重ね着でも窮屈さはまるで感じなかった。(メタボの人は別
・この日は結構な低温(たぶん山頂付近でマイナス10度以下)で、このぐらいの気温だとゴアでもパリパリガサガサしてくるのだが、生地はずっとしなやかさをキープしていた。
・結果として、ロープやガチャ類を身にまとう積雪期のアルパインなどでは、着心地がスッキリしているので、なかなか快適そう。
・ただ生地は薄めなので、メーカーが推奨するように冬のアウターとゴアの雨具の中間的存在。残雪期のアルプスや冬のライトアルパインに◎
・個人的には外側、胸の辺りに一つポケットがあると便利かも。

ミレー "Rock&Ice GTX"
・本来はアイスクライミング用の靴らしいが、軽くて歩きやすい。
・最近は各メーカーからアイゼン対応で軽い冬山までを想定したモデル(片足800g前後)が多く出ていて人気だが、たしかに従来の冬靴より片足で200~300g軽いのは大きい。
・耐寒的には、数日に渡る厳冬期の三千m以上は厳しいかもしれないが、一泊二日程度の冬山やGWの北アなどには十分対応できると思う。
 4万円超の定価ではちょっと考えてしまうが、ヤフオクで8千円ほどだったので、文句なしにこれも◎!


秋の穂高 #4 (下山)

2011年09月26日 | その他の山登り

天候:一時
行程:嘉門次小屋8:30-ひょうたん池10:30~11:
00-嘉門次小屋12:10-上高地
13:20

 滝谷が終わり、juqcho氏と横尾で別れ、休みを余分に取っている私はさらに一日現地滞在。

 タープで凌ごうと思ったが、雨も少し降ったので、明神の嘉門次小屋へ。
 食料が余っていたので素泊まりにしたが、風呂にも入れ、渋い囲炉裏でビール→日本酒でまったり。
 空いているので八畳間を一人で使っていいと言う。
 いつも慌しく登って下りて渋滞に掴まって深夜帰りの繰り返しなので、何とも優雅な気分を満喫した。

  嘉門次小屋

  囲炉裏。シブいです。 

 で、本日は行動食とカメラだけサブザックに詰めて、前から行ってみたかった霞沢岳へのピストンを考えていたが、小屋のスタッフの若いニイちゃんに聞くと、「あそこ、春から秋までほとんどヌカるんでますよ。まして昨日少し降ったし・・。」とのこと。
 うーん、そうなのか。雨の日の翌日の表丹沢みたいだったらちょっとイヤだ。
 スパッツも持ってきていないし、天気もやや曇り気味なんで今回は、ま、いいか。

 で、霞沢岳は次の機会とし、せっかくなので散歩がてら明神岳方面の「ひょうたん池」まで散歩に出かける。
 登り口は信州大学の「自然科学総合ステーション」とかいう小屋の裏手から。
 たぶん、この道を使うのは明神東稜を目指すパーティーぐらいで、一般登山者はまず通らないだろう。
 一応、赤テープがはっきりしていて道もそれなりに踏まれているが、最初のうちは鬱蒼とした樹林帯でいかにも熊が出そう。
 誰もいないので、バカみたいに声を出しながら登っていく。

  ひょうたん池への登り口

 涸れた沢沿いのガレた道に出て、少し視界が開けてくる。
 岩場があって容易に近づけないが、左手上に明神岳の東壁が間近に迫ってくる。
 途中、岩裾をトラバース気味に上がっていく所にはいくつかの追悼レリーフがあった。南無・・。

 
 振り返って見る徳本峠方面

 
 明神岳の東壁

  途中にある追悼レリーフの一つ

 チンタラ歩いて二時間ほど。
 コルにある「ひょうたん池」に到着するが、同じ「池」でも明神池とは雲泥の差。
 水が流れているわけではなく、要はちょいと大きな水溜りといった感じ。
 手足の生えたおたまじゃくしがウヨウヨ泳いでいるだけで、まぁ二時間もかけてこれだけを見に来るような場所ではない。ちょっとガッカリ。

  ひょうたん池。特に何てことはない・・。

 近くの開けたテン場に腰を下ろし、明神の山々を見ながら、おやつタイム。
 しばらくして下り始めたが、ここも岩がゴロゴロしていてちょっと歩きにくい。
 で、適当に歩いていたら足元の岩が大きく崩れ、何でもない所で尻餅。手を付いた時に左手人差し指の付け根をちょっと大きく切ってしまった。
 あーぁ、ついてない。それからはより慎重に下る。

 ザックをデポしていた嘉門次小屋に寄り、後は上高地まで梓川右岸の道をハイキング。
  

  

 

 相変わらず穂高、上高地周辺にいるオグリくん。
 「また、山においでよ。」

 
  ハイハイ、まぁ言われなくても・・・。

 帰りは再び「さわやか信州号」。平日なので渋滞もなく、夜の手頃な時間に横浜着。

 最後に、今回買ったお土産の一つ。
 穂高神社の「力守」というお守り
 人が求める力にはさまざまな力があるが、その中の一つを選んで心を込めて祈りなさいとのこと。

  

 自分の場合、欲しいのはやはり「持久力」。
 肉体的にはもちろんだが、むしろ精神的、気持ちとしての「持久力」。
 ジイさんになっても気持ちが折れず、ほどほどに山へ行けるように。

[写真集・四日目]


今夜から

2011年07月15日 | その他の山登り

 穂高へ行ってきます。
 今回はアルパインとかではなく、今流行りのウルトラライトハイキングというやつで。
 
 コースは中の湯から入って焼岳-西穂-奥穂-槍までの予定。
 本当はグルっと回って笠ケ岳まで行きたいけど、台風が近づいているので、ちょっと無理かも。

 テント泊のこの行程で、水・食料含めて荷物の重量は約10kg。マムートの28Lザックに何とか納まり、見かけは一応ウルトラライト。

 では、良い連休を。


春富士2011(単独)

2011年05月15日 | その他の山登り

天候:
行程:須走口五合目22:00~3:30-久須志岳9:30-剣が峰11:00~45-久須志岳12:50~13:00須走口五合目15:00(前夜発日帰り)

 この週末は土曜に外岩の予定だったが、急なヤボ用が入ってしまい見送り。
 日曜は一人でジムか近場の丹沢でお茶を濁すつもりだったが、ふと思いつき富士山へ。
 何といっても我が家から一番近い三千m。
 夏は登る気がしないが、雪のある時期はそこそこ手応えがあって楽しめる山。

 今回行くのは須走口。
 天気予報では西風ということなので、無難に東面のルートを選ぶ。
 (ちなみに南面の富士宮口は、現在「富士スカイライン」が地震の影響で通行止めとか・・・)

 夜の「富士あざみライン」を上がっていき、五合目へ着くと予想外の車の多さにビックリ!
 車の脇にはテントが何張りもあって、まるでオートキャンプ場の賑わい。どうやら大半が山スキーのようである。
 そのまま車内で缶ビールを空け、シュラフにくるまり仮眠。
 この日、下界では半袖でOKの夏日だったが、夜の五合目はそれなりに寒い。

 翌朝、午前3時起床。おにぎりを2個の朝食を終え、30分後には出発。
 回りはほとんど寝静まっているが、見上げれば月明かりと無数ので一気に目が覚めた。
 前回に引き続き、今回もファン・スキーとスキー・ブーツを持参。果たしてどれだけ滑れるか。

 最初のうちはWストックにツボ足で歩き始める。
 小一時間ほど樹林帯の中を行く。
 こちらが正規の道だが、山スキーの場合、駐車場の左上、下山道を登っていった方が楽。
 時折、スキーを木の枝に引っ掛けたりして、少々歩きにくい。

 

 六合目の森林限界を越えたあたり、背後の山中湖の方から日の出を迎える。
 風は時折強いが、それでもほぼ連続的に同じ方向から吹いているので、そのうち止みそうな気がする。
 少なくとも身体がもっていかれるような冬富士特有の突風ではない。

 自分が本日の先頭かと思ったら、先を行く単独の人がいて、七合目辺りで追いつく。
 しばらく話をしながら一緒に上を目指す。
 聞くと先月も富士山へ来たそうで、その時は御殿場口の途中で滑落者が出て、救援のため九合目で断念したそうだ。
 春でも富士山の突風とアイスバーンは気が抜けない。

 八合目辺り、標高3,000mを越すと段々息が切れてくる。でも身体の方はなぜかスイッチが入り、一緒に登っていた人を置いてこちらはまずまずのペース。
 普段、山を歩いていると頭の中でいろいろとつまらない思いがグルグル巡っていたりするが、今日はそんな雑念が入らない。
 黒いほどに澄み切った空とどこまでも続く雪の斜面。青と白の世界をただひたすら真っ直ぐに登っていく。

 吉田口からの登山道と合流し、さらにひと登りで北側の頂上の一角、久須志岳に到着。
 一休みしてから時計回りに火口をグルッと回って最高地点の剣が峰を目指す。

 遥か向こうの江ノ島から眼下に延びる伊豆半島の海岸線までクッキリと見える。
 最後にちょいと急な斜面を登って、剣が峰へ。
 もう何度目の頂上だろうか。それでも今日は今までの中で最高の天気かもしれない。

 

 先に到着していた人もさっさと降りてしまい、一人で頂上を貸切。 
 「日本最高地点」の石柱の脇に腰を下ろし、30分ほど「i-pod」でお気に入りの曲など聞いて気持ちのいい休憩タイム。

 いいかげん休んだところで腰を上げ、再び時計回りに足を進めて久須志岳へ。
 剣が峰直下は雪がグズついてやや急斜面となっている。ここで足を滑らせたらそのまま噴火口の底までダイブ・・・なんてことは無いとは思うが、慎重にトラバースしていく。

 久須志岳に戻って、さて、いよいよ下り。
 できれば頂上の一角から一気にスキーで滑りたかったが、まだこの日の上部斜面はカリカリ気味。

 良い板と確かな技術があれば大丈夫だろうが、オモチャのようなファン・スキーと年ぶりのゲレンデ・オンリーの腕前ではちょっと厳しい。
 まぁ、怖いというより、どちらかというとギャラリーの目が気になるのが本音。
 こんな隠れようの無い広い斜面でコケてそのまま百mも流されたら、さすがにみっともないし、ヘンな騒ぎになりそう。

 意気地が無いのでそのまま雪の斜面をザクザク降りていき、斜度も雪質も手頃となった八合目の下辺りでようやくスキーを履く。

 足がムクんでいるのか久々に履くスキー・ブーツはメチャクチャ痛くて、10回ターンしては一休みという感じだったが、それでもスキーはやっぱり速い!
 登りは五合目から剣が峰まで7時間半もかけてしまったのに、下りは相当休み休みでも2時間ほど。
 ブーツがきちんと合っていて、エッジの効くちゃんとした板だったら、頂上から五合目まで30分もかからないんじゃないだろうか。 (あぁ、また新たな物欲が・・・。)

 このところ山は敗退続きだったが、今日の富士山は"Perfect day"
 充実の一日でした。


GW穂高・敗退 (四日目)

2011年05月02日 | その他の山登り

天候:
行程:西穂山荘下の樹林帯6:00-中尾根-上高地温泉ホテル8:30~10:00-バス・ターミナル10:50

 とにかく今日は下りるのみ。
 雨を吸ったテントや結局一度も使わなかったロープが重い。

 中尾根はオレンジ色の標識を頼りに下っていくが、やはり途中で見失いトレースも消えかかっていて、けっこう気を使う。

 一回コースミスをして沢に入ってしまい、イヤらしい凍った草付トラバースなどをしながら何とか軌道修正。
 登りの時と同様、電線を見つけ、それを頼りにする。

 下ったところで、単独の人と出会う。
 そこからすぐ下がヘリポートで、ようやくホッとした。

 そのまま近くの「上高地温泉ホテル」へ直行。
 平凡な名前ゆえ近隣の「帝国ホテル」や「西糸屋」に較べるとあまり目立たないが、あの芥川龍之介なども泊まった百年以上の歴史を持つ老舗旅館とか。

 こじんまりとしているが、露天の岩風呂や五右衛門風呂などあって日帰り入浴800円。
 このホテルによると、芥川龍之介は明治時代、17歳の頃にここに泊まって槍ヶ岳や焼岳に登ったらしい。
 時代背景や当時の粗末な装備を思えば、そこそこ先鋭的な山屋だったのかもしれない。
 遥か昔に教科書でサラッと読んだぐらいなので、そのうち改めて「河童」や「槍ヶ岳紀行」など読んでみたい。


※黄砂で景色が霞んでいます。

 
 それにしても今シーズンの上高地や穂高は、どこもかしこも映画「岳-ガク」のポスターだらけ。つい先日も主役の小栗くんなどが来ていたとか。

 

 そんな中、ウロウロしていると偶然にも職場の知り合いグループとバッタリ。
 こんな所で会うとは、向こうもさすがに驚いていた。
 
 出発の時間まで広場の隅で濡れた装備を乾かし、帰りは再び「さわやか信州号」で。
 連休の狭間で特に渋滞も無く、20時前には横浜着。


 結局、何の成果も無く、自分の中では五本の指に入る「冴えない山行」になってしまったが、とりあえずあの悪天候の中、無事だったので良しとしよう。
 それにしても残雪期の西穂~奥穂を甘く見ていたのは確か。
 今回のようなコンディションでは、今まで同時期に行った剣の八ツ峰や小窓尾根、槍の北鎌や前穂北尾根より厳しいような気がした。
 それほどのこだわりはないが、気が向いたらそのうち再チャレンジしてみたい。

 さらに後でわかったことだが、二日目に奥穂へ向かったパーティーも結局、西穂まで行って無事に戻ったらしい。良かったです。


GW穂高・敗退 (三日目)

2011年05月01日 | その他の山登り

天候:、ガス
行程:西穂山荘前6:00-割谷山先まで13:30-西穂山荘下の樹林帯17:00(テント泊)

 本日も天気悪し。
 結局、今回は計画倒れになってしまったので、こうなると少しでも元は取ろうと再度立て直し。

 考えたプランは、

1案 明日の天気回復を待ってせめて西穂まで。
2案 一旦、上高地に下りてから登り返して霞沢岳へ。
3案 気を取り直して再度、焼岳まで。

 で、昨日すれ違った二人組のトレースもあるだろうし、なるべく安直な方ということで「3案」を選択。

 二泊したテントを撤収し、家財道具一式背負って焼岳へ向かう。

 しかしながら昨日の午後の嵐で、期待していたトレースも半ば消えかかっている。
 さらに昨日からの雨で中途半端なモナカ雪。

 コースミスをしたり、柔らかい雪を踏み抜いて穴にズッポリはまり込んだりして、ペースはまったく上がらない。
 今回はもう何もかもがダメで、次第に嫌気が差してくる。

 消えそうなトレースを追っていくうち、やがて尾根が細くなっていく。
 慎重に歩を進めていくが、一回ズボッと底が抜け左足だけ雪庇を踏み抜いた。

 さらに斜度60度はある雪の斜面をトラバースしたり、その先で両側がスッパリ何百mも切れ落ちた雪の痩せ尾根になっていたり・・・これはどう考えても「点線ルート」でも無い。
 途中でトレースも完全に消えていることから、もしかして昨日の二人組も途中から引き返したのでは?

 昨日より視界が悪く、焼岳方面はまったく見えず。
 このままではただのリングワンデリングになってしまうため、結局また戻ることにした。

 気が抜けたこともあって、帰りはバテバテ。
 西穂山荘手前の樹林帯にテントを張り、明日はもう絶対に下山しようと決意する。

 昨日から雨続き、気温もそれほど低くないのでテントも靴もビショビショ。
 内側に着る薄手のダウン・ジャケットも濡らしてしまい、その夜は辛い思いで夜を過ごした。



GW穂高・敗退 (二日目)

2011年04月30日 | その他の山登り

天候:のち雷雨
行程:西穂山荘前6:00-独標7:20~40-西穂山荘8:30-割谷山付近11:30-西穂山荘(テント泊)13:30

 午前3時起床。
 4時半には出発するつもりでいたのだが、星が見えずどうも空模様がはっきりしない。

 様子を見ようともうひと眠りして目を覚ますと、すっかり明るくなっていた。

 ただ晴れているのは東側だけで、稜線を挟んだ西側はダークグレーの厚い雲がどんどん押し寄せてきて完全に天候悪化の兆し。
 天気予報では晴れと言ってたのに・・・。

 予報では明日は完全に雨。
 行程がやや遅れている上にこのまま上がっていったら、西穂~奥穂間の不安定な場所で停滞すること必至。
 いろいろシミュレートした結果、ストイックに登る意地も無ければヘタなリスクを負うつもりも無いので、早くもヒヨることに決定。
 テントをこのまま西穂山荘前に残し、ロープを含む最低限の装備だけ背負って、行ける所までの往復とする。

 独標までの登りで、またしてもコースの目印となる竹竿が見えにくくなる。
 途中で引き返す人たちもいて自分もどうしようかと思ったが、後続で登ってくる人たちもいたのでとにかく独標までは行く。

 独標手前はワンポイントだけ鎖場。
 ちょい急なので、人によってはここを登れたり登れなかったり。

 とりあえず独標(標高2,701m)着。
 悪天なので大抵の者はここ止まりにしているが、既に2~3パーティーはこの先のピラミッド・ピークを越えて西穂へ向かっている。

 自分もここでメットも被り、さらに進んでみるが、独標から先の下りからしてイヤらしい雪と岩のミックス。不安定な雪庇の脇を通らなければならず、けっこう悪い。
 先行パーティーもロープをフルに使っている様子で、予想以上に厳しい感じ。
 天気はどんどん悪くなってきているし、この辺でやめておいた方が良さそうだ。
 う~ん・・・完敗です。

 とりあえず写真など撮り、さて引き返そうかと思ったところ、いきなりそばにいたオッサンに「ちょっと!写真。」とぶっきらぼうにカメラを押し付けられる。
(何だ、このオッサンは?そういう時は「ちょっとすみませんが、写真お願いします。」だろ

 あまりに失礼な態度に思わずカメラを雪の斜面にブン投げてやろうかと思ったが、大人気ないのでやめておいた。
 まぁ、山にもいろんな人がいますな。

 天候が悪いものの、軽荷なので小屋までの帰りはササッと歩けた。

 テントに戻るが時間はまだ十分にあるので、反対側の焼岳方面へ行ってみる。
 西穂山荘~焼岳コースは一般向きではない「点線コース」となっているが、そこそこのスピードで歩ければ今日中に往復できるのでは。
 奥穂方面は吹きっさらしでダメだが、焼岳方面なら樹林帯なので大丈夫なはず。

 しかし、当然のことながら誰も歩いておらず、またラッセルとなる。

 出だしは標識があるが、すぐにそれも無くなり、後は地形と方角を確認しながら進む。
 ガスで視界が悪く何度かコースミスをしたりして3時間ほど歩いたが、焼岳小屋のある峠までまだ一つピークを越さなければならない地点で、今日中に往復は到底無理と判明。
 結局、また中途半端に引き返す羽目に。 (まったく何やってんだか。)

 引き返してしばらくすると、西穂山荘側から大きなザックを背負った男女二人組がやってきた。
 できれば、もう少し早く来てくれればラッセル助かったのに・・・まぁ、いいけどね。

 で、そのまま引き返していると、そのうち空から何やら轟音が聞こえてきた。
 
 ・・・飛行機?

 と思ったら、いきなりピカッと光った
 雷、そして雨。
 一気に春の嵐となり、何とかギリギリで西穂山荘の天場に逃げ込んだ。

 強い風雨がテントを叩く中で、自分はさておき、さすがに奥穂方面に向かったパーティーのことが気になった。

 こんなヒドイ天気じゃ、さすがにヤバイのでは。
 天気に恵まれない不運はありながら、こうして安全地帯に留まっていられる自分はまだ運がいい方かも。

 雨の中、諦めて撤収していく組も多く、天場も寂しくなってきた。
 他にすることもないので、小屋で缶チューハイを買い、シュラフにくるまりながら持ってきた文庫本を読む。

  「ふたり」 唐沢寿明・著

 ブックオフで何気なく買ってみたのだが、書き手、タイトルのイメージとはかなり違った内容でなかなか面白かった。
 矢沢永吉「成り上がり」の唐沢版?といった感じ。 ☆☆☆☆


GW穂高・敗退 (一日目)

2011年04月29日 | その他の山登り

 今年のGWは一人で西穂から奥穂。
 十代最後の冬に当時の山岳会合宿で歩いたことはあるのだが、さすがに○十年も昔の話だからほとんど覚えていない。
 その時は奥穂の頂上で吹雪に閉じ込められた上に体調を崩してしまい散々な目に遭ったが、コース自体はそれほど厳しくなかったような・・・。 (←たぶん若さゆえ
 で、再検証のつもりで出かけてみたのだが・・・。

天候:のち吹雪
行程:上高地(帝国ホテル前)6:00-中尾根-西穂山荘11:20-独標手前-西穂山荘(テント泊)

 恒例の深夜バス「さわやか信州号」で横浜を発ち、朝、上高地着。

 終点バスターミナルでなく、今回は一つ手前の「帝国ホテル前」で下車。
 何組か降りるが、山支度をしているのは自分だけ。

 ホテル裏に回って遊歩道を少し歩くと、西穂登山口。
 特に急ぐわけではないので、近くにあるウェストン碑に寄ってみる。

 上高地へはこれまで何度も来たけれど、この碑を見たのは初めて。
 案内板はあるものの岩盤に埋め込まれ、あまり目立たないので思わず通り過ぎてしまった。

 で、中尾根と呼ばれるコースからさっそく登り始める。
 西穂へは飛騨側からロープウェイで簡単に上がれるため、上高地側から登る人は少ないと聞いていたが・・・案の定、トレースは皆無。

 最初のうちこそ、樹林帯の中に疎らにオレンジ色の標識が見えていたが・・・。

 そのうち、そんなものは一切見当たらず。

 やがて電線(電話線?)のようなものが上へ延びているのに気付き、適当にこれを頼りに登っていく。
 ラッセルは、深いところでヒザ上まで。一人なので疲れるし、やはり気が滅入る。

 けっこうな急傾斜が続き、いいかげんウンザリしたところで、西穂山荘から降りてきた単独のニイちゃんとバッタリ。
 「もう、すぐそこですよ。」と言われ、ひと登りするとようやく山荘へ到着。
 登山地図だとコースタイム3時間10分となっているが、ラッセルもあって結局5時間半もかかってしまう。

 、この先はトレースもあって、ペースも捗るはず。
 計画としては、できれば今日中に西穂直下か、さらに西穂を越えた次の鞍部まで行きたい。

 一休みした後、さっそく出かけるが、いきなり天気が崩れだし小雪混じりの強風となる。
 次第にホワイトアウトになってきて、西から雪混じりの風が顔を叩いて猛烈に痛い。
 とてもこのまま突っ込む状況ではなく、時間も早いが、西穂山荘前でテント泊を決める。

 一年前の冬(この時も敗退)と同じように、西風を避けるため木陰に「ライズ1」を張った。

 そのまま、午後はまったり。
 テント裏の急斜面ではどこかの会が雪上訓練に励んでいたが、こちらは日頃の睡眠不足の解消を図る。
 最近は山に登るよりも、こうして山の中で仕事や家庭を忘れてゴロゴロできるだけで、けっこう幸せを感じる。

 夕方になって、ようやく晴れ間が戻る。
 今から再出発という時間でもないし、明日はとりあえず晴れの予報なので、安心して構えていたのだが・・・。

2011GW穂高・一日目