Kuniのウィンディ・シティへの手紙

シカゴ駐在生活を振り返りながら、帰国子女動向、日本の教育、アート、音楽、芸能、社会問題、日常生活等の情報を発信。

総力結集の全日校の文化祭その2

2008-10-15 | シカゴ日本人学校全日校
10月10日のシカゴ日本人学校全日校文化祭の午後は、全日校保護者が中心となって構成される「コール双葉」によるコーラスで始まった。いつものように全員が一体となった美しい歌声が大体育館に流れる。いつ見ても、聴いても、1人1人のお母さんたちは一生懸命だ。いつもは、誰々ちゃんのお母さんとして、ドライバーに徹し、家族のために働く。でも、コール双葉では、みんなお母さん自身が主役。だから、とても晴れ晴れとしたいい顔をしている。先生たちとのコーラスもうまくいった。今年もありがとう、コール双葉!

午後の最初の劇は小学4年生による「どろぼうがっこう」。おいのこ森のおかしなどろごう学校を描く。ちょっとボケていて、ドジで、失敗ばかりして、先生たちからしかられっぱなし。先生も生徒もみんなどろぼうに徹していて、かなりの熱演!最後は、どろぼうたちは、みんなつかまってしまい、その情けない顔もうまく演じていた。そのどろぼう学校が、今のシカゴ日本人学校となったというおち。4年生のスーパーな演技で、今日息子が、「みんなが日本人学校がどろぼう学校だったんだって言うんだよ!」と言うほどのインパクトを与えた。

次の小学6年生の劇「幸福のかぎ」は、小学部のほかの学年と打って変わって、シリアスな劇に徹する。人間にとって「幸福のかぎ」というものが本当に必要かどうか、みんなに思わず考えさせるような展開で、6年生1人1人が自分のことととらえたかのように、1つ1つのセリフを真剣に心を込めて演じていたような気がする。小学部のトリとなった劇だが、最後に6年生がしっかりと締めてくれた。

そして、文化祭プログラム最後の大トリ、中学部による劇「マイライフ」。毎年毎年、迫真の演技と凝った背景、大道具、効果音、照明などで、観客を感動の渦に巻き込む、中学部の劇。

今年のテーマは、中学3年生の「自分のこれからの生き方(人生)」。主人公ひろみがさまざなタイプの人間たちで構成するグループを見て、自分はどの生き方をしていくか悩む。ナレーターに答えるように、ひろみが1人舞台で演じる中、さまざなタイプの人間たちのグループは、後ろで静止している。茶髪型、猛勉型、3語型(携帯を持った女子高校生)行事型(行事にめちゃ燃えるタイプという意味)、ダンス型、オタク型、スポーツ型といまどきの若者のタイプもいろいろだ。1つ1つのグループの紹介が入り、それぞれの型を見せるのだが、(これが面白かった)終始一貫してみんなひろみを囲んで、人形のように静止した状態が続く。目玉さえ微動だにしない演技が、現代の無気力無感動な若者を象徴しているようで、すごかった。

ひろみは、はたして自分自身の生き方を見い出せるのだろうか。この劇は、中学部みんなが現在直面している問題でもある。とくに、これから受験して、日本に帰国する中3は、「この劇の中のロボットのような人間たちのようには、決してなるまい!」と思いながら、演技に徹していたことだろう。でも、みんなが舞台の上で、他のキャラに変身することの楽しさを味わっていたような気がする。ひろみ役のイイツカさん、ながいセリフを完璧に覚えての熱演、本当に御苦労様でした。ひろみが苦悩する姿がとても印象的でした。

最後の閉会式では、先生方の演奏に合わせて、みんなで「どんなときも」をペンライトを揺らしながら、大合唱。うれしいことに、校長先生もギター演奏に加わり、文化祭のスローガンのように、まさに総力結集の全日校の文化祭がこの歌で終了した。今年も素晴らしい文化祭をありがとうございました。全日校の文化祭の数々の思い出は、一生忘れません!

写真はまたじょじょにアップしますので、また見てください。