博士にとって人生最良の日になった。このブログをお読みの方に説明は不要だろう。
昨日のブログ記事で「ヒッグス機構」や「自発的対称性の破れ」をぎりぎりのタイミングで理解できたと書いたばかりだが、1964年に提唱されたヒッグス粒子は期待どおり発見された。
人名でその呼び名が定着している素粒子は唯一この粒子だけである。
ヒッグス粒子の歴史:
1960:南部(自発的対称性の破れ)
1964:ブロウト・アングレール・ヒッグス理論
1966:ヒッグスが質量に応用
1968:ワインバーグ・サラム・グラショーの電弱統一理論
2012:ヒッグス粒子発見(125-6 GeV, 5σ)
素粒子理論の大予言 ~ ヒッグス場とヒッグス粒子 ~
https://www2.kek.jp/ja/newskek/2003/marapr/higgs.html
最極微の世界に挑戦するLHC計画 ~ ヒッグス粒子を探す ~
https://www2.kek.jp/ja/newskek/2002/mayjun/cernlhc-2.html
今日のWebcastのまとめとして要となるスクリーンショットを掲載しておこう。
CMSチームの最終結果(ヒッグス粒子質量:125.3±0.6 GeV、信頼度 4.9σ)
ATLASチームの最終結果(ヒッグス粒子質量:126.5 GeV、信頼度 5σ)
CERN所長(左)と発表を行ったお二人の博士(右)
両チームの発表後、インタビューに答えるヒッグス博士(右)
詳細は次のページからプレスリリースをお読みください。
LHCアトラス実験のページ
https://sites.google.com/site/lhcpr2011/
一昨日、米フェルミ国立加速器研究所で発表されたテバトロン加速器での最終結果はヒッグス粒子質量115~135 GeV、信頼度 2.9σというもの。5σのCERNの勝ちは明らかだ。(σが大きいほど確実性が高い。参考:標準正規分布表)
1σは68.2689492%の信頼度
2σは95.4499736%の信頼度
3σは99.7300204%の信頼度
4σは99.9936657%の信頼度
5σは99.9999426%の信頼度
Tevatron scientists announce their final results on the Higgs particle
http://www.fnal.gov/pub/presspass/press_releases/2012/Higgs-Tevatron-20120702.html
関連本と紹介記事:
「ヒッグス粒子の発見 (ブルーバックス):イアン・サンプル」(レビュー記事)
僕はCERNの快挙を祝い、記念としておくためにワインバーグの「場の量子論」を購入することにした。ヒッグス粒子をその枠組みに含んでいる電弱統一理論、現代素粒子物理学の「聖典」とされている教科書だ。(全3巻、1600ページ)
「The Quantum Theory of Fields (3巻セット): Steven Weinberg」
日本語訳:
「ワインバーグ場の量子論(1巻):素粒子と量子場」
「ワインバーグ場の量子論(2巻):量子場の理論形式」
「ワインバーグ場の量子論(3巻):非可換ゲージ理論」
「ワインバーグ場の量子論(4巻):量子論の現代的諸相」
「ワインバーグ場の量子論(5巻):超対称性:構成と超対称標準模型」
「ワインバーグ場の量子論(6巻):超対称性:非摂動論的効果と拡張」
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参考ページ:
ヒッグス機構:ノート(PDF)
http://osksn2.hep.sci.osaka-u.ac.jp/~naga/kogi/handai-honor07/10-vac-mass.pdf
ゲージ対称性とヒッグス機構(PDF)
http://osksn2.hep.sci.osaka-u.ac.jp/~kazu/lecture/kobe/kobe_2.pdf
関連動画:
2012年7月4日のプレスカンファレンス
ヒッグス粒子発見についてのセミナーと講義(必見!)
ヒッグス博士によるアナウンスメント
μ粒子を湯川中間子と誤認した例もありますからね。
とにかく、ヒッグスに向けて一歩前進。
「まだまだ」なのですね。
「μ粒子を湯川中間子と誤認」という例も過去にはありましたし「場の量子論〈第2巻〉素粒子の相互作用:F.マンドル、G.ショー」の記事にいただいた「もえおじさん」のコメントで、まだまだ吟味すべきことはたくさんあるのだなと思いました。