とね日記

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近日発売: コンヌ博士の非可換幾何学関連の書籍(英語版)

2011年06月25日 13時58分16秒 | 物理学、数学
復刊決定!:非可換幾何学入門:A.コンヌ」という記事を書いたばかりだが、他の先生と共著ではあるものの、コンヌ博士の非可換幾何学関連の英語版書籍が2種類発売されることになった。現在、予約受付中である。

博士はフランスを代表する天才数学者で、かつてブルバキのメンバーでもあった。博士の提唱する非可換幾何学は私たちが存在する時空間は実は不連続で、小さなつなぎ目が存在していると予言している全く新しい幾何学の分野だ。最先端物理学である超ひも理論(万物の理論)と密接に結びついていると考えられている。詳細は「素数の魔力に囚われた人々 ~リーマン予想・天才たちの150年の闘い~」をお読みいただきたい。

不連続なミクロの時空間については、驚くことに大数学者リーマンも1854年にゲッティンゲン大学で行った講演で次の2つのことを言及していた。(参照「微分幾何学:保江邦夫」)

1)リーマン幾何学と全く異なる有り様が測り知れぬほど小さい空間に成り立っているかもしれない。そのような無限小の空間で成り立つ物理量の関係がこれまでの経験則に一致していないとしたら、それを説明する新しい幾何学の仮定に従うべきである。(量子力学、非可換幾何学についての予言。)

2)空間の基礎をなす実在的なものが離散多様体を造るか、または物理量の量的関係の基礎を空間以外に、物体間に働く結合力に求めなければならない。(場の量子論、素粒子物理学についての予言。)


非可換幾何学本について、まず7月に発売になるのがこちら。

Noncommutative Geometry and Global Analysis (Contemporary Mathematics)
Alain Connes, Alexander Gorokhovsky, Matthias Lesch, Markus Pflaum, Bahram Rangipour
発売予定日:2011-07-17


本の詳細:American Mathematical Society bookstoreのページ
http://www.ams.org/bookstore?fn=20&arg1=whatsnew&ikey=CONM-546


そして年末ぎりぎりに発売になるのがこちらの本。

Noncommutative Geometry, Arithmetic, and Related Topics: Proceedings of the Twenty-first Meeting of the Japan-u.s. Mathematics Institute
Caterina Consani, Alain Connes
発売予定日:2011-12-29

以下のページのカンファレンスの成果をまとめた本のようだ。トップページに掲載されているメンバーの集合写真。真ん中がコンヌ博士。(写真

Noncommutative Geometry, Arithmetic and Related Topics Conference
http://www.mathematics.jhu.edu/new/jami2009/

Amazonでの紹介内容:This valuable collection of essays by some of the world's leading scholars in mathematics presents innovative and field-defining work at the intersection of noncommutative geometry and number theory. The interplay between these two fields centers on the study of the rich structure of the adele class space in noncommutative geometry, an important geometric space known to support and provide a geometric interpretation of the Riemann Weil explicit formulas in number theory. This space and the corresponding quantum statistical dynamical system are fundamental structures in the field of noncommutative geometry. Several papers in this volume focus on the "field with one element" subject, a new topic in arithmetic geometry; others highlight recent developments in noncommutative geometry, illustrating unexpected connections with tropical geometry, idempotent analysis, and the theory of hyper-structures in algebra. Originally presented at the Twenty-First Meeting of the Japan-U.S. Mathematics Institute, these essays collectively provide mathematicians and physicists with a comprehensive resource on the topic.



なお、2008年に刊行された以下の「Noncommutative Geometry, Quantum Fields and Motives: Alain Connes, Matilde Marcolli」という本なのだが、著者のおひとりであるMarcolli博士のホームページの「Research Work」からPDFファイルをまるごとダウンロードできることがわかったのでお知らせしておこう。



Marcolli博士のホームページ:
http://www.its.caltech.edu/~matilde/

この本のPDFファイル:
http://www.its.caltech.edu/~matilde/coll-55.pdf


関連記事:

復刊決定!:非可換幾何学入門:A.コンヌ
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/8c6385a97547f7d914c5a05a8c87d094

コンヌ博士の非可換幾何学へはどうたどり着けばいいのだろう?
https://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/1655b0e9e6992dcd300fd3ef8910d45d


関連ページ:

アラン・コンヌへのインタビュー 第一部
http://srad.jp/~taro-nishino/journal/589621/

アラン・コンヌへのインタビュー 第二部
http://srad.jp/~taro-nishino/journal/590213/

IPMにおけるアラン・コンヌへのインタビュー
http://srad.jp/~taro-nishino/journal/595709/


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