
目で見たものを脳が処理しているときの電気信号から、その映像をディスプレイに再現する実験に成功したという先週の科学ニュース。掲載画像の上段がそれぞれ実際に目に見せた図形で、下段が脳の電気信号から再現した図形。
すごいと思った。目で見なくても脳の電気信号だけで映像化できるようになる日もそう遠くはないだろう。今回の実験は動く映像でも成功し、カラー映像も実現可能なのだそうだ。寝ている間に見る夢を映像化して録画することだってきっとできるようになるにちがいない。まさに「ドラえもんのひみつ道具」がまたひとつ現実のものとなるわけだ。(「またひとつ」と書いたのは「どこでもドア」の基礎技術となるテレポーテーション実験が成功していることを言いたかったから。詳細はこの記事をお読みください。)
脳で見た映像を映し出す機器ができたら、どのような使い方ができるか想像してみた。
1)夢の可視化:夢をビデオ映像にして再生したり、録画したりできるようになる。夢の映像は精神分析や精神医療に大いに役立つと思う。
2)犯罪解決への利用1:犯罪の目撃者に犯人の顔を思い浮かべてもらってモンタージュ写真を作るのに使えそうだ。
3)犯罪解決への利用2:犯罪の容疑者に睡眠中にこの装置を取り付けて、無意識の中に犯行現場が映し出されるかを調べる。実際の犯行現場にしか存在しない物や人物が映し出されれば、彼が犯人だという可能性はきわめて高くなる。
4)芸術への利用:映像芸術系のアーチストにこの機器を使ってもらい、イメージする映像をアートとして使う。ライブでそれを映し出してもよいし、ビデオ映像にしてもよい。
5)映像の合成:複数の人から「出力」される映像をリアルタイムで組み合わせることが可能になる。複数の人が協力して作り出す映像(動画)という新しいジャンルの映像世界が生まれる。
6)YouTubeのような動画共有サイトに自分の見た夢やイメージした映像を投稿したり交換できるようになる。
7)教育への利用:先生が説明しながら、その説明に付随するイメージを脳からテレビ画面に映し出し、生徒の理解を助けることができるようになる。
こういう研究を仕事にするのも楽しいだろうな。この他にも使い道を思いついた方は、コメントに書いていただければうれしいです。
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関連ニュース記事:
目で見た画像、脳測定で再現=図形や文字で初成功-将来は夢も画面に・ATRなど
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2008121100039&j1
人が目で見ている図形や文字を、脳活動を測定してコンピューターで画面に再現できたと、国際電気通信基礎技術研究所(ATR、京都府精華町)などの研究チームが11日付の米科学誌ニューロンに発表した。静止画だけでなく、動画でも成功。世界初の成果で、将来はカラーにしたり、想像や夢を画像化したりできると期待される。
ATR脳情報研究所の神谷之康神経情報学研究室長は「心が脳のどんな仕組みで生じるかを探るのが目的。筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)の患者が意思をイメージで伝えたり、医療で心理状態を調べたりするのにも応用できる」と話している。音楽の場合は、時間的な変化を追う必要があるため、脳活動の測定が難しいという。(2008/12/11-02:50)
コメントありがとうございます。
BMIについては情報の方向を逆にするのは恐ろしい感じがしますね。脳からのOUTなら許容範囲ですがINのほうはフィクションの世界にとどめておいてほしいものです。
思考した画像を映像化するには2次元や3次元の画像をしっかり認識でき、イメージする能力が必要ですね。
ある程度、空間認識能力を鍛えないと複雑な画像はアウトプット出来ないかも知れませんね。
識字障害のある人は空間処理能力が高いそうです。
この技術が進めば識字障害の人にとっては可能性が広がるかも知れませんね。
http://www.nhk.or.jp/special/onair/081012.html
こんばんは!コメントありがとうございます。
リンクで紹介いただいた「識字障害」や「読字障害」については初めて知りました。確かに今回紹介した技術とこの障害には強い相関があると思います。日本人にもこの障害の人が5%いるというのは驚きました。この障害のことがわからなかった頃は「その人の能力が低い」とか「頭が悪い」と判断されてしまっていたわけですね。
新しい技術は素晴らしい可能性を秘めているものだと再認識させられました。