総括の第二弾は迷った結果、素直に段階的にブレイクダウンしていくことにして、部門毎の総評をしてみたいと思います。
「投手編」「攻撃編」「守備編」の3つの部門に分けて私的総評をしていきます。 書いているうちに長くなるようであれば、各部門を2-3回に分けることになるかもしれません。 予めご了承くださいませ。
2008年シーズンのマリーンズ投手陣は、マスコミ各社および野球解説陣から言われていたテーマは「YFKの穴を埋められるか?」。
それはシーズン始ってからも一緒でちょっと投手が打たれるとほぼ例外なく「YFKが・・・」、シーズン終わったあと、某週刊野球雑誌の総評で書かれていたのも「YFKの影響が・・・」。 解説したり評価するのには一番簡単なキーワードではありましたね。 正確に言うと、安易な言葉。 この言葉を言っておけば、あまり野球を観ることができない人なら、多少でも知っている言葉(選手)がいなくなったから、というのはわかりやすい。 実態として合っていなくてもね。
では、リーグ最下位の防御率で終わったのは、本当に「YFKの穴」が問題だったのでしょうか?
私の結論を言えば、「先発陣の崩壊」です。
当駄ブログをおよび頂いていた方なら、何度も書いてきていますからわかっていましたよね。 2005年から続いた6本柱。 セラフィニから成瀬17に替わった以外の5人は4年間変わらず。 清水18、俊介31、宏之41、久保16、小野29。 同じメンバーで何年も戦える程、甘い世界ではないですね。
では、一つのデータを観てみましょう。
2008年と2007年に1軍で投げた投手の成績一覧です。 投球回数順の降順(多い順)にソートしております。
2008
2007
これを見ると、いかに2008年の先発投手陣が崩壊していたか、ということが明らかになりますね。
一番顕著であり、最も影響が大きかったかということを示しているのは投球回数。
投球回数が100回を超えた投手の数が大きく変わっています。
(07) 6人 → (08) 4人
すごくアバウトに考えたとしても、先発ローテーション投手であれば年間20試合は登板がある。 100回投げたとしても、1試合あたり平均5回。 はっきり言えば、これではローテーション投手としては合格点が挙げられないですよね。 それでも4人しかいないのですから。 昨年は100回を超えた中で最低の投球回数だった久保でも(21試合)128回1/3もありましたから、1試合平均6回は投げていたことになります。
さらに先発投手陣各人の投球回数を比較してみると、2007年よりも増えているのは、清水のみ((07)145回 → (08)165回2/3)。 ただし、その清水は昨年が絶不調でしたから、がんばってくれた、というよりも、元に戻った、という状態。
安定していた投手という意味では、清水よりも俊介((07)177回 → (08)172回2/3)。 ただし、俊介も登板数をみると(07)25試合 → (08)26試合。 俊介は昨年、今年の清水のような救援登板も1試合ありましたからね。 安定感は落ちていた、というのは俊介も同じ。
しかし、その他の投手なんてまったく問題外ですよ。
小野 ▼62回1/3 、 久保 ▼37回1/3 、 宏之 ▼32回2/3 、 成瀬 ▼22回2/3
結局、この穴を埋めることになったのが、高卒1・2年目の唐川(81回2/3)と大嶺(32回2/3)が先発投手として、それ以外に中継ぎ投手達に負荷が大きくかかることになったのです。
先発投手達が、いかに早いイニングで打たれ降板することになり、中盤以降に多くの中継ぎ投手をつぎ込まなければならなかったのか、ということがわかります。
それでも、「(YFKがいなくて?)中継ぎ投手達が不安だったから、先発投手が序盤から飛ばさざるを得ず、先発陣の崩壊につながってしまったのでは?」という意見があるかもしれません。 実際、他のマリーンズファンのブログやコメント欄でもこういった意見は案外たくさんあったように思います。
投手陣が大きく崩壊して暗黒時代に突入したのは5月。
10点取っても11点以上取られる、という酷い試合が続いたのも5~6月の時期でした。 7回を終わった時点で、5点リードしていても不安でしたもんね。
中継ぎ陣が不安だったから、結果的に先発陣の崩壊につながったのだとしたら、3・4月の間は先発投手が長いイニング(もしくは多くの投球数)を投げていた、とも言えるのではないでしょうか? はたして本当にそうだったのか?を検証してみましょう。
では、2つの表を見てもらいましょうか。
① 6回未満の投球回数で降板した先発投手(3-4月)
② 7回以上の投球回数を投げた先発投手(3-4月)
上記の表では、敢えてチームの勝敗や先発投手の自責点(失点)は考慮しないようにしました。
もし序盤に5失点とかされても、その後立ち直り7回まで投げきったとしたら、少なくとも中継ぎ投手達に負担がかかることは少ない。 逆に、例え0点もしくは1点に抑えていたとしても6回ももたずに降板したら、残り3回も中継ぎ投手達に投げてもらう必要が出てくる。 早い降板は、中継ぎ陣へ負担をかけている、とも言えますね。
3-4月に行われた試合は33試合(+1試合雨天中止)。
先発投手が7回以上投げた試合(表②)は13試合。 逆に、6回持たずに降板した試合(表①)は11試合。
①②の表を見ると、6回未満なのか、7回以上なのか、その違いで中継ぎ投手陣達にかけてしまった負担がどのくらい違うのか、ということがものすごくはっきりします。
それぞれの表の一番右に、その試合で先発投手が降板したのち、何人の投手をつぎ込んだのか、という人数を記載しています。
①の表では、3回途中で降板しようと6回途中で降板しようと、ほとんどのケースで4名以上の中継ぎ投手が登板したことになります。 先発投手が、先発投手としての役割を果たすことができなかったため、中継ぎ投手達に大きな負担がかかってしまった、と言えるでしょう。 1試合平均5人登板した試合が、4月からこれだけの数があるのですから。
逆に②の表では、何点取られていたとしても先発7回以上投げきってくれさえすれば、中継ぎ陣の負担は減っていることがわかります。 中継ぎ投手が2人以上投げた試合がゼロ、ですからね。
また、中継ぎ投手が不安だから先発投手が踏ん張らなければならなかったのか?、という点は、降板するまでに何球投げたか、ということで表せるのではないでしょうか?
3-4月の33試合で最も先発投手が投げた球数は、3月29日の成瀬で129球(表②)。
あらためて見直してみても、いかにボビーが先発投手に負担ないようにしているか、というのがわかります。 中継ぎ投手が不安だから、無理に先発投手を引っ張ってしまっていた、とは言えないのではないのではないでしょうか?
表①をみても、100球以上投球した先発投手は一人もいません。 球数を投げてしまっても、無理に先発投手を引っ張ってしまった、とは言えませんね。
もちろん、これだけが全てとは思っていませんが、3-4月に先発投手が不甲斐ないピッチングをすることが多かったことが、5月以降の投手全壊に繋がっていった、と思われます。
序盤から飛ばしていたから、という理由づけもできるかもしれませんが、100球も投げられないでバテる先発投手であれば、それはやはり先発投手としてのトレーニングを怠っていた(もしくは少なくとも08年はその能力がなかった)ということでしょう。
序盤から先発投手達の安定感が低かったことが前半戦の大きな出遅れにつながり、借金生活からなかなか抜け出せなかった大きな要因の一つだったと言えると思います。
ただ、暗い話ばかりではありませんでしたよね?
不調だった6本柱の穴を埋めるように、唐川が5勝・大嶺も2勝、と19・20歳の投手が1軍の先発としてもある程度通用することがわかりました。 20歳前半が成瀬だけで、20歳代後半も久保だけという先発投手陣でしたから、将来に渡り非常に希望が持てたのも確かです。
そして、8月に入ると久保が先発復帰して勝利は少なかったものの復活の気配をみせ、成瀬もだいぶ戻ってきました。
2009年には安定した先発ローテーションが組めるかは未知数ではありますが、20歳代が中心のローテーションを組んでいけることが楽しみでなりません。
やっぱり長文になってしまったので、投手編2~中継ぎ・抑え、は次回行いますね。 よろしくお願いします。
<おまけ?>
多少、怖いもの見たさで表①②の5月バージョンを見たい方は、以下をクリックしてみてください。 ちなみに、5月は全24試合(+1試合雨天中止)です。
③ 6回未満の投球回数で降板した先発投手(5月)
④ 7回以上の投球回数を投げた先発投手(5月)
今日もお読みいただきありがとうございました。
をクリックしてやってくださいませ。
あ、そうそう。
きょんちゅ、優勝おめでとうございます。
セントラルはシーズン前からAクラス3チームとBクラス3チームの2層構造になることが明確になっていたので、興味がわかないったらありゃしない。 北京五輪の影響もあって、10月になる頃までカープがドラゴンズとA/B入替え戦の様相があったことだけが、楽しめた点でしょうか。
選手個人個人にはほとんど罪はないのですが、リーグとしては面白みが全くなかったなぁ。。。
ちなみに、きょんちゅ、とは、海人(うみんちゅ)がベースにあって、鴎人(かもめんちゅ)とか鯉人(こいんちゅ)とかいう読み方なのだから、巨人はきょんちゅでしょ?
感覚として、そうじゃないかな~とは思ってたんですが、数字になると明白ですね。
この後の総括(分析)記事も楽しみにしてます。
で、これらの記事が今月末のドラフトでどんな選手を獲得したらいいのか、につながったりするのかなと思ったのですが。
(勝手に予想しています。)
昨年の「YFK」(Fはほとんど投げていませんが)に比べて、伊藤、荻野の与四死球数がやたら多いというのが、気になる点です。(その代わり奪三振数も多いですが)
「YFKがいればなぁ・・・」と思ってしまう原因はそのあたりにあるのでしょうか。
ヒロユキは復活してもらわねばならないとして、小野はもう先発としては、お役御免でしょうかね。
唐川、大嶺を使いたいでしょうし。あと植松は来年あたり上で先発どうでしょう。期待しています。
先入観をできるだけもたないように観ていると、たぶんそうだろうな~、ということが案外数値化してみたら「やっぱり」という結果になることは非常に多いですね。
ドラフトでどんな選手を獲得したら良いか・・・・・・ですか~~。 ハードルをあげましたね!(笑)
アマチュアの選手や試合をほとんど観ていないので、具体的な選手名は挙げられないですけど、「こういう役割の選手がいれば」みたいなことでは書けるかもしれませんねぇ。
2007年YFKと比べるのは次回の中継ぎ編でやりたいと思いますが、数値によっての上・下はありますね。
小野は100球もつことがないですからねぇ、ちょっと先発としてはきついのは確かです。 大嶺、唐川はもちろんのこと、スバルさんが挙げた植松も楽しみですし、阿部もファームではかなり実戦経験を積むことができたので、この2人が来年1軍でどんどん投げられるようになれれば、本当に楽しみが増えます!!
チームの投手成績、完投25(07年)→17(08年)、完封12→4、無四球試合15→4、与四球265→363、
この辺りを見ても、崩壊したのは中継ぎ以降ではなく先発投手陣だという事に同意します。
植松は、阿部と違い今期は体力作りを優先させていたと記憶していますし、フェニックスでは阿部・植松と、先発1・2番手を任されてますので、来期の飛躍に期待です。
気が早いですが、右:大嶺・唐川・阿部、左:成瀬・植松・土屋(横浜高校、08ドラフト指名希望、笑)の高卒6人衆で6本柱を形成するという野望を抱いています
先発の完投数的には、去年の25は12球団で断トツでしたから出来すぎだった、というのもありますし、今年の17もパシフィック2位なので少なくはない。
でも、幻の侍ジャージーさんが書いてくれたように、完封数とか無四球試合が大幅に減り、与四死球が大幅に増え、そして早いイニングでの降板が大幅に増えた。
ちょっと影響大きすぎでしたね。 多少なりとも7月以降は立て直しの気配が見えたことが救いです。
高卒6本でローテーション組んだらすごいですね!(土屋は・・・入ってから、ということですけど(笑))
土屋の代りに黒滝が制球復活してくれれば、その野望も夢じゃないかもしれないですよ!