女子マラソンで、シドニーオリンピックのゴールドメダリストとなった高橋尚子が、競技者としての一線を退くこととなった。
アマチュア競技であり、かつ、競技自体をやめるわけではないので、引退、という言葉は正しくない。
あくまで、ランナー(Runner)からジョガー(Jogger)へと立場が変わるだけ。 これからも、可能性としては●●国際女子マラソンといった国内の大きな大会に出る可能性はある。 ただ、オリンピックであったり、世界選手権という目標に向かって走る、ということをしなくなるだけ。
彼女の輝かしい実績については、簡単にネット上でも検索できるし、関連図書などもあるのでそちらに譲ります。
私は少なからず彼女とは関わりがある。
全く面識もないし、言葉やメールのやりとりもしたこともないし、彼女が私の存在を知っている可能性は限りなくゼロに近い。
ただ、彼女が日本で、そして世界でも超一流になったその基礎となる部分が何であったか、ということは、おおよそ想定がつく。 そんなところでしょうか。
悪いことを書いてしまえば、彼女は自分自身で歩み出したことにより、競技者としての寿命を縮めてしまった可能性は高いと思う。
それは、もちろんチームQのこと。
小出義男監督の下を離れ、自分でチームを組んだ。 コーチや監督といった指導者がおらず、協力者の集まりを作った。 全くの新しい試みだったので、私もずっと興味を持って彼女(のチーム)の動向は気になっていた。 でも、結果はご存じのとおり。
正確に言えば、1度だけ、チームQ結成直後の東京国際マラソン(2005年)で優勝は果たしている。 2時間24分39秒という平凡なタイムながらも、優勝することが重要なレースだったのだと思う。
でも、このレースも例外ではなかったのだが、このころから「怪我や故障」を事前に告白してからレースに臨むことが多くなった。 立場的に、いろいろなことを話さなければならない立場であったのも確かでしょうが、どちらかと言えば、自分自身に対する期待や希望よりも不安の方が大きくなり始めたから、だと思う。 もちろん、年齢的なものからくる身体的な衰えもあったのだと思うけれども、そういうものを除外したとしても、自らが全ての責任をもって対応しなければならなくなったことにより、どんどん不安の要素が大きくなっていったのではないか、と。
彼女のトレードマークと言えば、笑顔、なのでしょう。
Qちゃんスマイル、として、マスコミで大いに報道されたし、街角のインタビューなどでも、そして多くのブログでも、Qちゃんスマイル、について書かれていた。 競技者としての一線を退くことになった今、やはり同じ事が起こっている。
一度作られたイメージというのはなかなか崩すことは難しい。 特に、良い印象であればあるほど。
どこかの「金髪豚野郎」などと言いだすいい年した方とまでは言わないまでも、もう少し彼女が自分の本音を出せるような環境があれば、また違ったのかもしれない。 また、マスコミなどとの間に、もう1枚壁(≒監督・コーチ)があったら、もっと違ったのかもしれない。
いずれにしても、彼女は一つの強固な呪縛から解放され、新たな道へと進み始めました。 会見が終わる前後からの涙にはいろいろな複雑な思いがあったのでしょう。
Runnerではなくなる。 そしてこれから、Joggerとしての道を歩むと同時に、もっと自分自身のため、たくさんの経験をすることになるでしょう。 そして、近い将来、女性としての幸せをつかむことにもなるのだと思います。
なかなか全てにおいて自分自身だけで決めていけるような人生は、これまでの立場・注目度からすれば難しいでしょうが、それでもこれまでとは比べ物にならないくらい、自分自身の時間が持てるはずです。 存分に楽しんでください。 走ることがもっともっと楽しいことだ、ということを感じてください。
本当にお疲れ様でした。
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ジョガーと言っても一般人とはスピードが桁違いだけどね。