交通事故と闘う

私の父は交通事故に遭い、脳に障害を負いました。加害者は謝罪せず、損保の対応は二転三転..。その「闘い」を綴っています。

「人」は、いつから「ヒト」なのか...

2005-11-28 23:26:01 | 交通事故と闘う
「交通事故の影響で死亡した胎児は、“人”とは認められない」

こんな判決が出てしまいました。→詳細はこちら
夫婦の乗った車にスリップした対向車が衝突、妊娠中の母親が負傷し、その影響で胎児は死亡したわけです。事故のせいで死んだととらえるのが普通だと思いますが、残念ながら、刑法上では胎児は「人」として認められていないため、「過失致死」とはならず、夫婦への過失傷害罪のみ適用で、「禁固2年、執行猶予4年(求刑禁固2年)」となったそうです。

判決で裁判官は、「子どもの誕生を待ち望んでいた夫妻の苦痛は筆舌に尽くしがたい」と述べたようですが、刑罰として課されないコメントなど、ただの気休めに..いや、気休めよりもさらにタチが悪いのかもしれません。

判決後に夫は、「交通裁判では大きな過失があっても執行猶予が形式化している。胎児の人権はどうなるのか。なぜ致死罪にならないのか、釈然としない」と話しています。法律家たちに百歩譲ったとして、致死罪の適用が難しかったとしても、執行猶予付き判決には大きな疑問が残ります。そもそも、求刑は禁固2年なのですから、敢えて執行猶予など付けず、そのまま禁固2年の判決を下せば済むことです。厳格な法律論など考えずとも、現行法の「幅」の中で十分に解釈できる問題だったと思うのですが、検察と弁護側の間を取った妥協の産物的判決に思えてなりません。

もうお子さんの名前も決まっていたそうです。両親はもちろん、親類や近所の方、職場の同僚など、たくさんの方が祝福してくれたであろう命が、無惨に奪われたわけです。両親は生涯、その子に対して懺悔の念に駆られることでしょう。周囲の人達も、何と声の掛けようもありません。特に母親は、「自分のせいだ」と一生自分自身を苦しめ続けるのではないでしょうか。そんな多くの人達の気持ちを汲んだ判決とは、私はとうてい思えません。

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誰のための「法」か?

2005-11-27 23:54:56 | 司法・法律問題
最近、仕事にかまけてすっかり更新をサボり気味になっております。それでも、週にのべ100人近いアクセスを頂いていることを大変有り難く思い、私自身の精神的支えにさせて頂きながら、書き込んでいます。

閑話休題。ご存知の方も多いと思いますが、この日曜日、犯罪被害者等基本法制定記念全国大会(犯罪被害者自助グループネットワークなど主催)が、東京都内で開かれました。

大会では、大阪・池田小事件の遺族らがコメントしたそうですが、つくづく日本の司法、あるいは警察は、被害者のことなどお構いなしなのだと感じます。容疑者(犯人)の氏名について、実名公表するか匿名とするか、警察の判断に委ねられる方向で議論が進んでいるようですが、警察絡みの汚職も後を絶たないわけですから、現職警官や警察OBの不祥事は匿名発表にし、「臭いものに蓋をする」のでは?との疑問が強く残ります。そもそも、誰のための法律で、誰のための警察なのか、考え直す必要があるのではないでしょうか..。

さて、父の事故の件では、先週末にとある弁護士の元を尋ね、父の事故の件について相談してきました。まだ複数人の候補から検討している段階ではありますが、かなり人間的にもできた方のようで、私を含め家族も好印象を持っています。

以前の記事で書きましたが、家内が相談したとある弁護士は、こちらが尋ねる前から「賠償金はこの位手にはいるだろう」とか、「法律的にはこの程度..」といった専門バカの理屈で説明してくれたそうです。確かに賠償金額は一つの目安として重要かもしれませんが、今日の犯罪被害者等基本法制定記念全国大会でも議論された通り、被害者にとっては精神的な救済や、名誉の回復といった要素が、非常に大きなウェイトを占めると感じます。

誤解を恐れず言えば、弁護士は「法律事務屋」に過ぎません。そういった人間的な部分を求めることが酷なことかも知れませんが、現行法では犯罪被害者は弁護士の力を借りざるを得ない以上、是非「法を見て、人を見ず」にならないよう、努めていただきたいと強く願わずにはいられません...。

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払うつもりでした

2005-11-24 19:38:00 | 交通事故と闘う
先日書きました、東京海上日動による保険金払い渋りの件を続けたいと思います。

11月21日と今日(24日)、東京海上日動から電話があり、新しい担当者と直接話す機会を得ました。と、のっけから余談ですが、損保は担当者交代(という名のたらい回し)が、非常に多いと感じます。今回の請求で、私や家族はかれこれ4名もの「担当者」と、電話やFAXのやりとりをしています。そして共通して言えるのが、「きちんと前任者から説明を聞いていない」ということです。損保社員が単に無能なのか、あるいは組織としてのレベルが低いのかは分かりませんが、困ったものです..。

さて、先方からの「後遺障害認定が下りたら書類を送って欲しい」、「書類がこちらに届いたら保険金を支払える」といった説明を一通り聞いた後、払い渋りの問題に言及してみました。以下、21日と24日のやり取りを、簡潔にまとめましたが、何ともおかしな話です。


私:...では、「現時点ではケガの保険金額しか出てないが、後遺障害等級認定が下りたら、後遺障害の保険金を支払う」ということか?
損保:そういうことです。

私:ではなぜ、「後遺傷害保険金の支払いには、後遺障害認定書類が必要」と言わなかったのか?
損保:担当者の言葉足らずだったかもしれない。

私:「後遺障害診断書も必要なのでは?」と尋ねたのに、「取りあえず必要ない。要るときは連絡する」との回答だった。これは言葉足らずではなく虚偽の説明では?
損保:ケガされたことは分かったから、金銭的にもお困りだろうと思い、ケガの保険金だけ先払いした。後遺障害の保険金は、後日書類の確認が出来れば払うつもりだった。

私:でもケガの保険金が払い込まれてから1ヶ月になるのに「後遺障害認定書類を送って欲しい」と連絡してこなかった理由は? また、「今回の支払い分は、ケガの保険金だけ(すなわち一部分だということ)」を連絡してこなかった理由は?
損保:前の担当者に聞いてみないと分からない。が、当然、連絡するつもりでいた。


といった具合で、何とも場当たり的な返答に、電話していて強い脱力感を覚えました。

当方のblogによくコメント下さるけいすけさんも、事故に遭われた際、旧東京海上の対応の悪さにお困りたっだそうです。保険業界全体もそうですが、東京海上日動は、この程度の会社なのでしょう...。

なお、この件に関しては事実確認の上、回答をもらうことになっています。どうせ「帳尻併せ+トカゲの尻尾切り」の返事しか得られないとは思いますが、回答が届き次第、こちらでお知らせしたいと思います。


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「払い渋り」を体験しました

2005-11-18 19:06:49 | 交通事故と闘う
今回、父の事故に関連して損保の「払い渋り」を体験しましたので、報告します。相手は東京海上日動です。

※以前記事にもしましたが、父が加入していた市民交通傷害保険について、保険金請求を行いました。「市民交通傷害保険」は、様々な自治体で導入されています。500~1,000円の掛け金で、死亡・後遺障害で100万、その他ケガの場合は数千円~10万円程度の保険金が支払われるものですが、自治体は損保に丸ごと委託しますので、保険金請求手続きは、損保(今回の場合は東京海上日動)宛てに行うことになります。


東京海上日動に連絡し、指定された診断書等を揃えたのですが、書類には、「後遺症が遺った場合、診断書と後遺障害診断書の、両方提出するように」 との記載がありました。しかし、東京海上日動から送られてきた中に「後遺障害診断書」は無く、また、すでにドクターに書いてもらった診断書には、後遺症の状態が丁寧に記されていましたので、念のため東京海上日動に問い合わせたところ、「それなら通常の診断書だけ出して下さい。それで後遺障害診断書も必要..となれば、別途連絡するので送って下さい」との回答を得ました。

しかし、私が書類一式を提出してから約2ヶ月、東京海上日動から送られてきたのは、「ケガの最高補償額 12万円を振り込んだ」という、機会印字のハガキでした。半年以上も入院し、まともに会話すら出来なくなった父が「通院扱い」とはおかしな話です。早速、東京海上日動に問い合わせました。電話に出た職員は、直接の担当ではなかったようで、手元の書類をめくりながら話しているようでしたが、こちらが一言発する前に、「これ(ケガや後遺症の程度)でケガ扱いというのはおかしい...」と一言。当然です。

その後、直接の担当者から折り返し電話をもらって驚きました。

「自賠責の後遺障害認定が下りたら、後遺障害扱いにします。それまではどうにも出来ません」

最初の話と随分違います。「まずは普通の診断書だけでいい」と言われ、要求された書類は全て提出しました。しかも提出した診断書にも、後遺障害について詳細に書かれています。にもかかわらず東京海上日動は、「自賠責の後遺障害認定書類が出ていないために、後遺障害保険金を支払えない」と言ってきました。
勝手に「通院扱い」にしたことの説明はついていませんし、何より、「自賠責の後遺障害認定証を出してほしい」と言われたことは一度もありません。

「出してくれ」と言われた書類は、全て出しました。でも、「書類が足りないから保険金は払えない」のだそうです。

なお、今回の件は、私が疑問に思って損保に尋ねなければ、そのまま放置されていたことは明白です。明かな払い渋り行為として、損保協会の「そんがいほけん相談室」と監督官庁への報告の準備をしています。もちろん、東京海上日動にも、相応の責任を取ってもらおうと考えています。


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やっと届いた、紙切れ2枚

2005-11-12 12:45:20 | 交通事故と闘う
先日から書いている「日常生活状況報告書」と「時効中断申請書」について、昨日ようやく全労済から届きました。
(ご丁寧に速達ですが、消印を見ると、なぜか投函日から5日も掛かっています..)

半年ほど前に一度請求しましたが、その時は全く関係ない書類が送られてきました。その後仕事で忙しく放置しており、今回10月末に改めて請求したところ、約1ヶ月掛かってようやく届いたのが、この紙切れ2枚です。
私は「書類がほしい」と連絡しただけなのに、全労済と、その顧問弁護士からは「そちら弁護士に頼め」とか、「請求額を確定して云々..」といった、何とも見当違いの脅しとも受け取れる文書が届いたりもしましたが、何とかこれで当初の目的は果たせたわけです。

ところで、今回届いた文書にもふざけた一文がありました。「本件で東京本部に連絡を頂いたが、担当は弁護士だ..」という内容です。要は「何で東京の本部にチクるんだ? 弁護士に言ってこいよ」ということだと私は受け取りましたが、そもそも何で私が全労済の本部に連絡するに至ったか、この弁護士も、また全労済の担当者も全く理解できないようです。
弁護士が窓口であるとしながら、全労済は弁護士抜きでこちらに直接連絡を取ってきます。しかしこちらが全労済に返事をしたり、問い合わせたりすると、「きちんと弁護士を通せ」と言う、何とも勘違いな人達です。もっとも、全労済の顧問弁護士も、そんな担当者たちの行いを放置し、自分では連絡一つよこさないのですから、無能極まりありません。先人達はこういう弁護士を「三百代言」と呼んだのでしょう。

当初、11月中には書類を書き上げて返送するつもりでしたが、予定より1ヶ月近い遅れが出てしまいましたので、何とか年内には返送したいと思っています。と同時に、全労済側顧問弁護士からの要請により、こちらも弁護士を探すことにします。私は「まずは話し合いで十分か」と思っていましたが、「弁護士立てろ」と言われてしまっては、どうしようもありません。

でもこういうことって、普通、被害者側がいろいろ要求しますよね? 全労済は加害者側なのに、私たち被害者側にあれこれ命令するって、それが全労済のやり方であり常識なのでしょうか?

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日常生活状況報告書、いまだ届かず。

2005-11-07 14:39:22 | 交通事故と闘う
先日の記事(11/2,こちら)で書きましたが、今日の時点で、まだ「日常生活状況報告書」は送られてきていません。

実は先週末、全労済に再度連絡し、「その後、どうなりましたか?」と尋ねてみたところ、私にその後の対応を約束してくれた担当者は、その後の流れを全く把握していませんでした。大変お忙しい方らしく、こちらの話は途中で散々遮られながら(笑)の話でしたが、何とか「日常生活状況報告書は、私の責任で、事故の直接担当者(または弁護士)から送らせます。」との言葉を引き出せました。
言うまでもなく、彼らは保険業務の「プロ」ですが、交通事故処理に必要な書類1枚を郵送することが、そんなに財政的に負担であったり、あるいは事務手続きとして煩雑なのでしょうか?

ただ、新たに判明した事実もありました。
通常、交通事故で重篤な後遺障害が残ると思われる場合、治療も長期に渡ることが想定されます。となると経済的負担も大きくなるため、「自賠責の被害者請求」を行うことが一般的ですが、父の事故の担当者は、その書類に関して郵送はおろか、案内も一切していませんでした。
※私も被害者請求のことは知っていましたが、こんなに長引くとは思わず、特に手続きは取っていませんでした。

今回私が話した人物は、「それらの手続きが為された上に、私が書類を請求した」と思っていたらしく、そのため、もう訴訟の段階に至っていると解釈していたようです。ただ、当然データベースを共有して使っているわけですから、その程度のことは調べればすぐ分かることだと思います。データベースが貧弱なのか、記録がいい加減だったのか分かりませんが、最近流行の払い渋りのためのマニュアルなのかも知れません。

また今回、先方の弁護士から「弁護士等専門家を立てた上で請求を」との内容証明郵便が届きました。私は弁護士を「相談窓口」としては考えていましたが、代理戦争を戦って貰うつもりはありませんでした。話し合いにせよ訴訟にせよ、私たち家族で取り組みたいと思っていました。
普通、最初から訴訟を戦うつもりでいる人は希だと思います。しかし、相手から「弁護士を立てろ」との要請があった以上、そうせざるを得ないと考えています。
最終的に、「弁護士を立てなかった」などという理由で支払いを拒否されてはたまりませんので。

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サイトのご紹介(高次脳機能障害)

2005-11-04 16:33:11 | 交通事故と闘う
今日は記事ではなく、サイトのご紹介をさせて頂きます。

高次脳機能障害者のつれづれ日記
(↑クリックして頂くと、別ウィンドウで開きます。)


過日、私の記事(こちら)にコメントを寄せて下さった方です。私と同様、ご家族が交通事故によって高次脳機能障害となり、そのリハビリの日々や思いを綴っておられます。この度リンクのお許しを頂きましたので、紹介記事としても掲載させて頂きました。

「高次脳機能障害」は、最近、NHKの「福祉ネットワーク」などでも取り上げられています。が、周囲の理解の無さに苦しめられたり、また適切なサービスがなかなか受けられなかったりと、本人・家族とも苦しい立場に置かれている方が少なくありません。私も父がこういう目に遭って初めて、それを実感したのが正直なところです。

「高次脳機能障害(高次脳)って何?」と思われた方、ちょっと気に留めて見て頂ければ嬉しいです。

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弁護士を通してください

2005-11-02 16:25:03 | 交通事故と闘う
先週末から休みを取り、久々に父のところへ帰っていました。夏以降、肺炎を患っていたので心配でしたが、取りあえず治ってくれていて一安心です。ただ、これから寒い時期なので、父もですが、終日付き添っている母の健康状態がとても気がかりです。

さて、加害者が一方的に弁護士を立て、交渉がストップしてからちょうど1年が経過しました。その間、当然ながら、加害者は1度も父のところへ来たことはありません。何ら示談が進んでいるわけでもなく、自分が轢いた相手の様子も知らずに1年も過ごせるとは、ある意味感心さえします。

父の後遺障害診断書が出来たのが昨年12月でしたが、その診断書はまだ提出していません。と言うのも、「障害によって生活がどう変化したか」を書いた「日常生活状況報告書」という書式を一緒に提出しなければならないことを知り、その作成が進んでいなかったためです。加害者側損保の全労済は、そんなことは一言も教えてくれませんでした。

そこで、今年の夏頃に全労済に書式を送ってくれるよう電話したものの、何を勘違いしたのか、全く違う書式が送られてきました。その後出張続きで忙しく、それっきりになっていましたが、今回仕事の休みが取れたため、この数日を利用して書き上げてしまおうと思い、再び請求してみました。

ところが、何を考えたのか全労済が送ってきたのは、「弁護士を通せ」という趣旨のFAXでした。そして矢継ぎ早に、全労済の顧問弁護士からも「受任通知をおくったはずだが?」という趣旨の内容証明が届きました。こちらは書類を提出すべく、「その書式が欲しい」と言っただけです。なのに送られてきたFAXには、「そちらも弁護士を立てるように」とか、「損害賠償額を提示しろ」といった内容が書かれており、「書類を送ってほしい」というこちらのお願いは、全く無視されてしまいました。

弁護士を立てれば、弁護士が窓口になるのは当然です。しかし、全労済は自ら弁護士を立てて以降、何度も担当者が私に電話やFAXで連絡を取ってきています。自分たちが主張するときは弁護士を飛び越えて連絡をし、こちらが書類1枚請求しただけで、「弁護士を通せ」というのは、一企業のやり方として、どうなのでしょうか...?
(厳密には、企業ではありませんが。)

たった書類1枚送ってもらうために、もう全労済に3回も電話、あるいはFAXで「お願い」をしました。ですが、最初に請求してから半年以上経った今も、その書類は私の手元にありません。

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