交通事故と闘う

私の父は交通事故に遭い、脳に障害を負いました。加害者は謝罪せず、損保の対応は二転三転..。その「闘い」を綴っています。

自賠責基準を超える画期的判決

2006-03-30 13:47:15 | 交通事故と闘う

自賠責の基準超えた支払いも「可」…最高裁初判断

 自賠責保険から交通事故被害者に賠償金を支払う場合、自動車損害賠償保障法(自賠法)の基準を上回る額の支払いを裁判所が独自に命じられるかが争われた訴訟の上告審判決が30日、最高裁第1小法廷であった。

 横尾和子裁判長は「裁判では当事者の主張・立証に基づき、個別のケースごとの算定結果が尊重されるべきだから、(自賠法の)支払い基準額と違いがあっても不合理ではない」との初判断を示した。そのうえで、セコム損害保険に約320万円の支払いを命じた1、2審判決を支持し、同保険の上告を棄却した。

 この支払い基準は、保険金の迅速・公平な算定のため、被害者の年齢や後遺障害の程度に応じた支払額の目安を定めたもの。基準額に不満な被害者が提訴し、裁判所が事実認定の結果、より高額な損害額を算定して和解案を提示しても、保険会社が自賠法を根拠に追加支払いを拒むことが多かった。今後は、こうしたケースで早期の解決が図られることになりそうだ。

 訴えていたのは、2003年10月に盛岡市内で乗用車にはねられ、死亡した女性(当時79歳)の遺族。乗用車を運転していた女性と自賠責の契約を結んでいたセコム損害保険は基準に基づき、治療費など計約1809万円を支払ったが、遺族側はさらに約1300万円を支払うよう求めて提訴した。

 1、2審は逸失利益などで基準を上回る額を認定、不足分計約320万円の支払いを命じたが、同保険は「裁判所が支払い基準に拘束されずに賠償を命じると、保険会社に法令違反を強制することになる」と反論していた。
(読売新聞) - 3月30日


被害者救済という点、そして、自賠責の「本来の」精神から見れば、ごく当然の、出るべくして出た判決と言えるのではないでしょうか。
しかし、果たして素直に喜べるのでしょうか?


> セコム損害保険に約320万円の支払いを命じた1、2審判決を支持し、同保険の上告を棄却

...ということは、被害者遺族はこれまで、1,2審と辛い闘いを続けてきたわけです。保険会社は「仕事」ですが、被害者遺族にとっては、プライベートでも仕事でもない、全く別の精神的身体的苦痛が、長い間続いたことになります。
被害者と加害者を対等で考えてしまいがちですが、当初から代理戦争の担い手がいる加害者側と、自身の努力から始めざるを得ない被害者側とでは、大きな開きがあることを忘れてはなりません。


> 支払い基準は、保険金の迅速・公平な算定のため...支払額の目安を定めたもの。
> 基準額に不満な被害者が提訴し、裁判所が..より高額な損害額の和解案を提示しても、保険会社が自賠法を根拠に追加支払いを拒むことが多かった。

(一部中略、加筆)

そもそも、「基準」は事実上、保険会社の都合で決められたものに過ぎません。
例えば、後遺障害認定などの事務を一手に引き受ける、「損害保険料率算定機構」という組織がありますが、ここは損保OBの天下り先ですから、「公平かつ迅速な認定云々..」と言っても、所詮は“損保寄り”の判断しか下していません。


> 同保険は「裁判所が支払い基準に拘束されずに賠償を命じると、保険会社に法令違反を強制することになる」と反論していた。

支払いを渋る口実なら、まさに「なんでもアリ」なのが損保ですね。
実際は「払いたくない」。でも「裁判所が違法行為を助長している」という論調です。


これでもあなたは、「事故の時は、損保に任せてさえいれば、万事安心」と思えますか?


←人気blogランキングに参加しています。よければクリックをお願いします。m(_ _)m

胎児も人

2006-03-29 01:42:49 | 交通事故と闘う
読売新聞ニュースより...

「胎児も親族」最高裁が初判断…交通事故保険金訴訟

 交通事故に遭った夫婦の胎児が重度障害を負って生まれたのに、相手のドライバーが任意保険に加入しておらず賠償金を受け取れない場合、夫婦側の任意保険の方から保険金が支払われるか――。

 こんな問題が争われた訴訟の上告審判決が28日、最高裁第3小法廷であり、藤田宙靖裁判長は「胎児は、保険加入者と同居する親族と見なせるから、保険金が支払われる」との初判断を示した。

 そのうえで、保険金約1億4000万円の支払いを三井住友海上火災保険に命じた2審・名古屋高裁金沢支部判決を支持し、同保険側の上告を棄却した。任意保険に未加入の車(無保険車)が起こした事故の被害者救済が、胎児にまで広がることになる。

 訴えていたのは、1999年に富山県内で乗用車を運転中、相手の無保険車の過失で衝突事故に巻き込まれた夫婦と、直後に仮死状態で生まれて重度の障害が残った男児(7)。夫は無保険車による被害に遭った場合、相手の代わりに自分の任意保険から支払いを受けられる契約を結んでおり、夫婦と男児への保険金支払いを求めた。

 この契約には、支払い対象として契約者本人と配偶者のほか、同居の親族らが記載されており、これら対象者に胎児が含まれるかどうかが争点となった。同保険側は「契約の文言からすると胎児は対象にならない」と主張してきたが、判決は1、2審に続き、夫婦側の請求をほぼ認めた。

 こうした契約は、自動車の任意保険の多くで結ばれているが、同保険によると、胎児は支払いの対象としないのが実務上、定着していたという。
(読売新聞) - 3月28日


とのことです。保険会社は、支払いを減らすためにはどんなことでもするという好例ではないでしょうか..。
また、たとえ事故当事者(加害者)が保険会社に対して「これだけの被害なんだから、支払え(保険金を出せ)」と要望しても、「規約ですから」で一蹴というのも、つくづく変な話です。
「1を100に変えろ」とは言いませんが、保険契約者=お客様であるにもかかわらず、実際はお客様は不在という、「保険」という商品・制度の“おかしさ”を感じます。

←人気blogランキングに参加しています。よければクリックをお願いします。m(_ _)m

この時期だからこそ、運転にはご注意下さい。

2006-03-28 16:56:06 | 交通事故と闘う
年度末、皆様も何かとお忙しい頃だと思います。気が急くものではありますが、1人のドライバーとして、特に運転に気をつけたいものです。
学校関係の行事や就職関連などで、人も多くなりがちです。現に私の父は、3月のこの時期に輪禍に遭いました。加害者は「子どもの部活の観戦に遅れるから」と、片田舎の道で相当「飛ばして」いたようです。
(もっとも、「30km以下で走っていた」なんて言い放ちましたが、現実、30km以下の車なんているでしょうか...)

さて、時効中断申請も無事終わり、今は我々の弁護士と相談し、諸々の書類準備に掛かっていますが、その中でこのblogのことも検討した結果、止めることまではしませんが、更新頻度と内容の「深さ」を再考することにしました。

というのも、我々の弁護士の話に依れば、全労済や農協は、かなり悪辣な手を使うというのが法律界での評判だそうです。理由はともかく、私の実体験からは、それは十分納得できますし、実例として、全労済が加害者側に立って被害者側が相当苦しめられたという判例を説明して頂きました。
そこで、万が一にもこのblogの内容から私や父を特定すれば、諸々の証拠隠滅や、加害者に、訴訟の際の対応方法等を吹き込む恐れがあるため、情報開示を最小限に止めようということになりました。

最終的にこの件が解決した後には、交通事故の悲惨さと、保険というシステムの暗部を少しでも広く知って頂けるよう、何かの形でまとめて世に出したいと思っています。
ですが、このような事情もあり、当面更新頻度と内容が、これまでより浅薄なものになりますことを、お許し頂きたいと思います。

※それから、度々コメント頂いているmao様、いつもありがとうございます。私たち家族の心中を察して頂いているようで、安堵の気持ちを持って読ませて頂いております。
ご案内頂いたサイトは、私も度々参考にしておりました。ただ残念ながら、あまり良くない噂も聞きました。実態を詳しくは存じませんが、私は「ただでさえ失意の底にある被害者に、救済の手こそあって然り。一層苦痛を増すようなことは、理由を問わずあってはならない」という考え方です。それ以外の何者でもありません。
私は「これ」で食べているわけでもありませんから、どこまで続けられるのか分かりません。でもだからこそ、利害を無視して被害者のため、あるいは交通事故を少しでも減らすということを目標に、何かしら頑張れるのかと思っています。また今後もいろいろお知恵をお聞かせ下さい。

ちなみに、勿論「訴訟」しかないと思っています。事故当初、加害者側にいろいろ配慮してあげたりしましたが、見事なまでに無神経な加害者で、馬鹿を見ました。我が親を殺されたも同然ですから、手加減の必要など全く感じておりません。

「毒を食らわば皿まで」です。

←人気blogランキングに参加しています。よければクリックをお願いします。m(_ _)m

時効中断申請を終えて

2006-03-15 09:54:00 | 交通事故と闘う
先週末の3月10日、無事、時効中断申請を終えました。

私の妻が仕事を休んで損保の支社を訪ねて手続きを行いましたが、我々の弁護士が書類を完璧に揃えていてくれたお陰で、特に問題なく完了しました。
ただ、若干気になる点もありました。損保の担当者には事前に我々の弁護士が話を付けてくれていたため、「窓口で書類を提出すれば終わり」のはずが、なぜか妻が「損保側が必要と判断したら、被害者の個人情報を病院等から聞き出してもよい」という内容「念書」を書かされそうになったのです。

妻も「損保の念書は絶対にその場でサインしてはいけない」ということを学んでいたようで、「弁護士からは、書類提出だけで済むと聞いています」と一蹴したようですが、とかく損保が、この手の「個人情報保護法フリーパス」を求めるのには、どうも釈然としません。
結局は、その担当者が一度引っ込んで、上司と相談した結果、「念書」は不要ということになったそうですが、「相談した結果書かなくて済む書類なら、そもそもなぜ求めるのか?」というのは大いに疑問です。

それにしても、この損保の担当者も、全労済のやり口には閉口していました。

この事故日は2年前の3月13日ですが、今年は前日の12日が土日に重なっていることから、我々が申請した3月10日が本当のタイムリミットでした。
申請受理後に、「これほど重傷の事故なのに、なぜこんなにギリギリに申請を?」と聞かれたらしく、妻が「全労済はさっさと顧問弁護士を立てたが、何もしてくれない」、「2月末に時効中断申請書を全労済に送ったら、1週間以上放置されて連絡が来たので、慌てて書類を準備した」と答えたそうです。

まぁ、社交辞令的に聞いた面もあるのかも知れませんが、少なくとも全労済の担当者や顧問弁護士からは、「(被害者さんの)お身体の具合はどうですか?」などと聞かれたことは、一度もありません。

←人気blogランキングに参加しています。よければクリックをお願いします。m(_ _)m

早速、我々の弁護士に感謝

2006-03-09 21:07:10 | 交通事故と闘う

「時効中断申請書が届いたが、自賠責は別会社だから(中断申請を)受けられない」


前回の記事で、全労済が約束を破り、電話連絡をしてきたことを書きましたが、その用件はこれでした。

そもそも自賠責の保険金請求には
 1.自賠責の保険金を先にもらう
 2.任意保険の会社に、自賠責の保険金も一括請求する(通称:任意一括)
という、2つの方法があります。

自賠責と任意保険の会社が同じだと問題ないのですが、これが別だとこういうデメリットがあります。実質的に窓口になっているのは全労済なのに、自賠責の時効中断申請をしなければならない相手は、別の保険会社なのです。

ただ、私も甘い点がありました。2月末に書留速達で送った時効中断申請書は、書留の配達記録を確認したところ、3月1日の午後には全労済に届いています。しかし、それから1週間も経って全く連絡がないため、自賠責の損保に転送したかと思いこんでいました。しかしそこは全労済、被害者を助けるようなマネはしませんでした。それどころか、全労済は書留速達で届いた書類を、1週間もの間、放置していたことになります。結果的に我々は、1週間という時間をまるまる無駄にさせられてしまいました。
計画的であればかなり悪質ですし、また不作為ならば無能もいいところです。我々の依頼した弁護士も、「全労済はかなり“汚い”が、それにしても不親切」と憤っていました。

その結果、時効中断のための猶予は明日1日を残すのみとなってしまいましたが、ここで我々の弁護士が大至急で書類を準備してくれ、明日、私の妻が仕事を休んで時効中断申請に行くことになりました。
こうして記事を書いている今も、その弁護士が、書類を作ってくれています。まだ申請が受理されるまで安心できませんが、何とか間に合ってくれそうです。また我々としても、この弁護士を選んで良かったと、つくづく思います。何かにつけては挑発的な内容証明を送りつけるだけの、全労済顧問弁護士とは大違いです。



←人気blogランキングに参加しています。よければクリックをお願いします。m(_ _)m

弁護士選任、そして全労済再び

2006-03-08 15:16:57 | 交通事故と闘う
昨日、私たち家族は大きな第一歩を踏み出しました。ある弁護士に、正式に事件の処理を依頼したからです。
正式な契約書へのサインは後日ですが、これで一応一区切りです。

ここまでには、紆余曲折がありました。私たち家族と共に闘ってくれる弁護士を選任すべく、複数の弁護士に電話や面談など様々な形でコンタクトを取ってみましたが、意外なほど、落胆させられることが多かったからです。
例えば、交通事故重度後遺症の損害賠償に非常に力を入れている弁護士と聞き、期待して電話すると、開口一番「賠償金は○○万円くらいですね。あと...」といった返事が返ってきたことがしばしばでした。こちらの意志はそっちのけで、判例タイムズの棒読み?です。依頼者の利益のため云々というよりは、事務的に作業をこなしているようにしか思えませんでした。

私が弁護士を選任するにあたって、訴訟実績も大事ですが、むしろ「人物的に優れていて、我々家族の無念さ・思いを汲んで、共に闘ってくれる弁護士」という条件で探しました。何一つ自分ではできない身体にされた父と、毎日休み無く付き添う母の姿を見れば、決して「金さえ取ってくれれば、後はお任せ」という気にはなれず、むしろ「賠償金が減ってもいいから、加害者が反省するような結果を引き出して欲しい」という思いです。
しかし悲しいかな、「それは法律上...」という言葉で一蹴する弁護士が、あまりに多いのが現実でした。

詳しいことはこれからになりますが、依頼した弁護士は、早速書類集めや諸手続に動いてくれていて、強力な軍師を得たという気持ちです。でも時間の都合や家庭の事情などで、こういった弁護士に巡り会うまで、手間暇を掛けられない人も多々いることと思います。加害者側は何の苦労もせず損保に代理戦争を任せられる、つくづく、日本の交通事故犯罪の「加害者偏重ぶり」を思い知らされます。


さて、弁護士を選任した同日、全労済からも電話がありました。ところが、電話してきたのは担当者のM氏ではありません。また、既に全労済は顧問弁護士を立てて、「以降の交渉は全て当社顧問弁護士のS弁護士と行え」と言ってきたにもかかわらず、なぜか全労済の事務所からの電話です。さらに言えば、「お互い、連絡は必ず文書(FAXか郵便)で」との約束だったのに、なぜか「電話」を掛けてきました。
聞くと、「前任者がこの3月で退職するため、私(J氏)が後任です」とのこと。
それでは...と、こんな風に聞いてみました。

私:「では、前任者のMさんから、どの程度、事件の経過や交渉の進展についてお聞きですか」
後任者J:「大体把握しております」
私:「では具体的にご存じのことを教えて下さい。それによって(ご存じない部分を)お話しますので」
後任者J:「いや、まだよく把握しておりません。」

(゜Д゜)?

私:「では、前任者のM氏から、我々との連絡方法については聞いていますか?」
後任者J:「いえ、特に...」
私:「前任者M氏の言動が二転三転するため、「連絡は必ず文書(FAXか郵便)で」とお願いしてあります。そのことは聞いていないのですか?」
後任者J:「はぁ、何も。」
私:「M氏は次はいつ出勤ですか?その日に私から電話しますから、あなたが横にいて、その場でM氏に問いただしてみたらいいですよ」
後任者J:「既に年休消化に入っていて、もう出勤することはありません。」

(゜Д゜)? (゜Д゜)? (゜Д゜)?


.....何なんでしょうね、全労済って。(苦笑

←人気blogランキングに参加しています。よければクリックをお願いします。m(_ _)m

時効中断申請をしました

2006-03-01 15:36:47 | 交通事故と闘う
昨日の朝、加害者側損保である全労済に、「時効中断申請書」を書留速達で送りました。

この3月中旬で父の事故から丸2年になりますが、自賠責の「後遺障害診断書」の提出もまだですし、弁護士の専任も済んでいません。この2週間で、そういった手続きが全て済むはずはありませんので、時効中断申請書を送ったところです。
(もっとも、この申請書自体、全労済に請求してから我々の手元に届くまで、半年も要してしまいました。意図的にこういった作業を遅らせているとしか思えないのです..)

最初の1年は、家族皆、精神的ショックのため、こういった事務的なことに手を付けられませんでした。また、その後の1年間は、父が新たな病に襲われたり、我々家族の者が仕事の事情などで時間の確保が難しく、こういうギリギリの状況に追い込まれてしまいました。
加害者側弁護士は「請求しろ」としつこく内容証明郵便で急かしてきていますが、今回の事故で、本当に「加害者側損保や弁護士は、被害者救済など、これっぽっちも考えていない」ということを思い知らされたところです。

「事故から2年もの間、交渉が進まない訳がない。自身の怠慢のせいだ」と思われる向きが大半でしょう。しかし、事故で亡くなったのであればともかく、ある意味、下手に重篤な後遺症が残って助かってしまうと、日々の生活は一変し、介護に追われ、事務手続きに追われ...と、先の見えない闘いが始まってしまいます。

そして我々家族がこうして腐心している今も、加害者は何事も無かったかのように暮らしているかと思うと、何ともやりきれない思いです...。

←人気blogランキングに参加しています。よければクリックをお願いします。m(_ _)m