小料理屋を経営している彼女の送り迎えは洋一の役目だ。
彼女の名は晴美。現役大学生の洋一は、夜11時過ぎにはその彼女を毎晩時間を見計らって
迎えに行くのを日課にしている。
晴美は45歳、洋一と晴美は兄弟ではない、恋人同士と言ってよいだろう。
洋一と晴美が知り合ったのは去年の暮れに、アルバイト先のコンビニでレジを打っていた洋
一の前に買い物の清算をするためにレジのカウンタ^ーの前に立った彼女を一目見た洋一は
何故かビリビリと彼女に惹かれるものを感じた。
胸元が大きく開いた白のワンピースを着た彼女は目鼻立ちが際立って整って見るからに大き
な胸は洋一の目を一瞬引き付けずにおかなかった。
お客さんをこんな目で見つめるのはマナーとして良くないと内心自分自身をたしなめた。
打ち終わったレジで清算金額を彼女パスもをかざした。
洋一が買い上げの品々をレジ袋にいれて彼女に手渡したとき、差し出した彼女の指に触れた
のだ。
赤いマニキュアで塗られた細い指先の1本だけがなぜか黒く塗られていた。
<何故1本だけが黒なのだろう・・・>そのことが洋一にとって印象的であった。
「ありがとうございます」と洋一は笑顔で言った。
「有難う」と彼女から艶やかな声が返ってきた。日常のこんなありふれた会話がその後に
彼女と彼が男女の関係に発展するとは洋一にも予想のつかないことだった。
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