2月23日
今日がコタロウと一緒に過ごせる最後の日。
目覚めると10時過ぎ。昨日はベッドに入ったのが3時過ぎだった。
今日も雨。冷たい雨だ。今年の冬一番の窓の結露。
コタロウを撫でて保冷剤を取り替え、歯磨きしてお湯を沸かし、
窓の結露を拭いて洗濯機を回す。ご飯を炊く。
鮭を焼いてコタロウにおすそ分けをして、ご飯を食べる。
今日のコタロウも、あの日から変わらずとてもきれいで穏やかで
安らかで、可愛いままだ。
洗濯もあと一回で終わる。コタロウの匂いがなくなってしまうのに
私は何を急いでこんなに一生懸命洗濯しているのだろうと思っていた。
・・・そっか、コタロウの共犯だ。
コタロウが粗相すると、「もう!」とか言いながら片付けていたけど、
体調が悪くて粗相しちゃった時などはベッドやカーペットをササッと取り替えて、
「ほ~ら、もうなかったことにした。ママは共犯だからね~」と声をかけていた。
最期まで自分でトイレに行こうとしていたコタロウ。
自分で行けなくなってどんなにか嫌だったろう。
そんなコタロウの共犯に私はなりたかったんだ。
「汚しちゃった」ってコタロウが思わないように、
コタロウのプライドを守りたかった。何もなかったことに、ママはしたかった。
キレイな部屋でコタロウに気持ちよく休んでほしかったのよ。
なかったことにしたよ、コタロウ。
大切に過ごさなくてはいけないコタロウとの最後の日。
気がつくともう14時過ぎ。
今の私の一番の気がかりは明日のコタロウの火葬。
コタロウを丁寧に扱ってもらえるか、きれいに焼いてもらえるか、
そればかり心配している。
一つの後悔もなく気持ちよく見送ってあげられますように。
そうできるよう、ママはがんばるつもり。
お友達と妹からコタロウへお花が届く。
妹がつけてくれたメッセージを見て泣いてしまった。
コタロウのこと、よくわかってくれていたね。どうもありがとう。
妹にお花のお礼と、明日は両親のことをよろしくお願いしますとメールする。
私はコタロウに専念させてね。
今日また霊園に電話して気になることを聞いてみる。
送迎車を聞いたら、車高が高めで母がゆったり座れそうで安心した。
葬儀の流れもなんとなくわかった。
今日になって明日の昼食の用意しなきゃと気づく。葬儀が終わったらお昼過ぎだ。
うっかりしてたよ~。
出かけて、両親がゆっくりできそうなお店をお店を探すけど、
土日でランチを予約できるお店が無かった~。
当日電話で混み具合を聞くことになった。
土曜だからどこも混むだろうな・・・。入れるといいな。
玄関に出してあるバギーをたたむ。
シューズクローゼットを開けるとコタロウのものがいっぱいでまた涙が出る。
物入れはどこを開けてもコタロウのものがあってそのたびに泣いてしまう。
コタロウへ手紙を書く。棺を開けてコタロウとお話をする。
触れると、コタロウは冷たいけれど柔らかい被毛で、穏やかな顔で横になっていて
ずっとこのままでも大丈夫なんじゃないかって、
火葬なんてしないでそばにいられるんじゃないかって思ってしまう。
動かなくても、ご飯を食べなくても、私を見つめ返してくれなくても、
それでもコタロウの姿がそばにあったらどんなにかいいだろう。
明日、コタロウの身体がなくなって、姿を見ることができなくなったら
私はどうなってしまうのだろう。
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