MRIのすべて(all about MRI)

磁気共鳴イメージング(MRI)に関するさまざまな経験や知識を提供しつつ今後の展望を切り開きたい.

あんまんMR画像

2006-01-31 23:23:58 | Weblog

上に示すのは,3D画像から作成した,あんまんのMIP(最大値投影)像です.

撮像条件は,中華まんと同様です.

あんこが,ハイコントラストに描出されていますが,短いT1のためか,プロトン密度のためかは,いまのところ不明です.両方の影響があると思います.「こしあん」と,「つぶあん」の区別がつくかどうか,近日中に試してみようと思います.

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中華まんのMR画像

2006-01-31 23:22:44 | Weblog

ここでしばらく,休憩.

外部より,中華まんの撮像の依頼があり,今朝,柏の葉キャンパス駅のampmで,中華まん,あんまん,ピザまんを買い,撮像を行いました.

上に示すのは,3D画像から作成した中華まんのMIP(最大値投影)像です.

撮像条件は,3D勾配エコー法,TR=200ms,TE=10ms,128×128×128画素,画素サイズ1mm×1mm×1mmです.

具が見えています.
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勾配コイル(2)

2006-01-30 23:36:08 | Weblog

勾配コイルは,MRIの歴史の中で,最も本質的な進歩のあったハードウェアと言ってもいいかも知れません.

現在では,「技術の粋を凝らした」勾配コイルが使われていますが,一番シンプルな勾配コイルは,z方向に関しては,Maxwell pair(マクスウェル・ペア),xとy方向に関しては,平行4線コイルというものです.

上に示すのは,その原則に忠実に巻いた勾配コイルです.

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勾配コイル(1)

2006-01-30 23:35:02 | Weblog

さて,MRIでは,試料(人体)内の位置を識別するために,勾配磁場を使います.

勾配磁場というのは,静磁場方向の磁場が,位置(x,y,z)と共に変化するものです.MRIでは,その中でも,位置の変化に対して比例して磁場強度が変化する,線形勾配磁場を使います.

MRIでは,わざわざ「線形」勾配磁場とは言いませんが,勾配磁場と言えば,線形勾配磁場のことです.

勾配磁場(gradient field)は,傾斜磁場とも言われますが,勾配磁場の反転によるエコー信号は,勾配エコー(gradient echo)といわれ,決して傾斜エコーとは言われません.ですから,傾斜磁場という言葉は,あまり感心しません.

なお,特許庁の特許用語には,勾配エコーという言葉は,きちんと定義されていますが(傾斜エコーという言葉は存在しない),国内では,グラジエントエコーという,奇妙な外来語が使われています.

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MRIにおける永久磁石と超伝導磁石の比較

2006-01-29 12:03:55 | Weblog

これまで,MRIにおける永久磁石と超伝導磁石の話をしてきました.

これを読まれた方は,いったい,どちらが良いのだろうと,疑問に思われたかも知れません.

そこで,それらの比較を表にしてみました.

これから,静磁場強度(画像のSNRに直結します)と時間的安定性(空間分解能に影響を与えます)に関しては,超伝導磁石が優れていることが分かります.

いっぽう,それ以外の項目,すなわち,開放性,移動可能性,サイズ,維持コストにおいては,永久磁石が優れています.

ですから,多種多様な用途のMRI(コンパクトMRI)を考えた場合には,永久磁石の方が,遙かに優れていると言えると,私は考えています.

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常伝導磁石!

2006-01-29 11:06:50 | Weblog

初期の全身用MRIには,かつては超伝導線を使わない電磁石がかなり使われました.これらは「常伝導電磁石」,あるいは,resistive electromagnetと呼ばれています. 日本で最初に臨床検査が行われた東芝のMRIも,常伝導電磁石でした(上記参照:国産第一号機,東芝のパンフレットより).

「常伝導」電磁石という言葉は,超伝導という言葉に対して使われる言葉なので,ある意味,非常に不思議な言葉です.

常伝導電磁石では,銅線に大きな電流を流しますので,電気代がかかるばかりでなく,銅線の発熱を冷却する必要があります.

また,あまり強い磁場強度が実現できないこと(全身用で0.2T程度),短期的(ハム),長期的な電流の変動による磁場のドリフトが大きいことから,現在では,まず,MRIでは使われていないと思います.

でも,Lauterburの最初の実験,Mansfieldの実験,Ernstの実験など,MRIの歴史的実験においては,鉄芯(常伝導)電磁石が使われていましたし,国内の初期のMRIも,ほとんどは常伝導電磁石が使われていましたので,忘れてはならない磁石です.

私も,MRI用の永久磁石を導入する1999年までは,さまざまな実験に使っていました.

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超伝導磁石(2)

2006-01-28 22:02:37 | Weblog

ここに示すのは,さきほどの磁石の2倍の静磁場強度を持つ超伝導磁石です.静磁場強度は9.4テスラ,プロトンの共鳴が400MHzです.

昨年,私の研究室に導入しました.ヒト胚子標本の撮像などに使っています.

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超伝導磁石(1)

2006-01-28 22:00:53 | Weblog

コンパクトMRIでは,永久磁石が使われていますが,高い空間分解能での撮像を特徴とするMRマイクロスコープでは,多くの場合,超伝導磁石が使われます.

ここに示すのは,私の研究室で12年間くらい使用している,静磁場強度4.74テスラ,プロトンの共鳴周波数が202MHzの超伝導磁石です.

試料は,上から挿入するようになっており,直径3cmくらいのサンプルの撮像が可能な静磁場空間を発生しています.

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永久磁石(6)

2006-01-27 23:22:47 | Weblog

上に示す写真は,ヨークレス型の磁気回路です((株NEOMAX製)).4cmのギャップを持ち,直径13mmの球状の領域に,1Tの静磁場を発生することができます.

この磁石は,世界最小の人体用MRI(!?)に使われています.重さは,約80kgです.







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永久磁石(5)

2006-01-27 23:20:35 | Weblog

コンパクトMRIには,永久磁石(2)で紹介したU型磁石の他に,非常に変わった構造を持った磁石も使われています.

上に示すのは,球殻の一つの端から,もう一つの端へと磁束が流れるような構造を基に設計された磁石です.このような永久磁石磁気回路は,ヨークレス磁気回路もしくはHalbach型磁気回路と呼ばれています.

一つ一つのブロックは,ネオマックスなどの永久磁石材料で作られており,小型でも強い磁場を作ることができます.

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永久磁石(4)

2006-01-26 22:54:25 | Weblog

これは,ネオマックス((株)NEOMAXの商品名)という「世界最強」の磁石のまわりの磁力線を,鉄粉で可視化したものです.

このように,小さい磁石でも,磁力線が非常に遠くまで及んでいます.

ネオマックスは,鉄とネオジムとボロンの金属間化合物であり,1980年頃に,当時の住友特殊金属の佐川さんが発明されたものです.

コンパクトMRIには,このネオマックスが使われています.

なお,それ以前の強力な永久磁石材料としては,サマリウムとコバルトを使ったものが有名で,歌人の俵万智さんのお父上の俵好夫博士は,その有名な研究者でした.

俵万智さんの有名な歌集,「サラダ記念日」には,

"ひところは世界で一番強かった父の磁石がうずくまる棚"

という歌があるそうです.

私自身は,1976年に大学院に入学した時に,当時の指導教官から,サマリウムコバルト磁石が1万円札を吸引するのを見せられ,感動したことがあります.

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永久磁石(3)

2006-01-26 22:52:43 | Weblog

前回,「小学校で使う磁石」という話をしましたが,ちょうど,そのような磁石のまわりの磁力線を可視化した写真がありますので,紹介します.

これは,軟鉄製のボルトをヤスリで削って鉄粉を作り,U磁石の上に透明なアクリル板をおいて,その上に,鉄粉をふりまいて撮った写真です.

うまく磁力線を可視化するためには,ちょうどいい具合に,トントンと叩く必要があります.

これは,長男が小学校6年のときの夏休みの宿題として,一緒にやったものです.

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永久磁石(2)

2006-01-25 23:23:26 | Weblog

前に示した磁石は,上に示すような構造をしています.すなわち,小学校で使う磁石のような,U型の構造をしています.

でも,重量は,1300kg(1.3トン!)あり,理科実験用のU型磁石と比べると,1万倍くらいの重さです.

この磁石は,周囲に磁場を発生していますので,キャッシュカードが飛んだり,ネックレスが宙に浮いたり,鉄製の工具が吸い付けられたりします.

2年位前に,この磁石を引っ越したときには,10kg位の小型のジャッキが吸い付けられたことがあり,このときは,数人がかりでも外れませんでした.このような時には,角材を使って,梃子の原理で外すのが,コツのようです.

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永久磁石(1)

2006-01-25 23:22:08 | Weblog

MRIにおいて,最も重要なコンポーネント(部品)は,磁石です.

コンパクトMRIの最大の特徴の一つは,磁石として,小型の永久磁石を使っていることです.永久磁石は,正確には,「永久磁石磁気回路」と呼ばれています.

永久磁石は,(株)NEOMAXさん(旧住友特殊金属(株)さん)が,世界最大の企業で,私たちの研究室でも,大変お世話になっています.

上に示すのは,私たちの研究室で数年前に導入した,ギャップ(空隙)25cmの永久磁石です.静磁場強度は,0.2テスラで,直径15cmの球状の領域で,均一になっています.

手,膝などの四肢や,ワイン,牛肉などの食品などの撮像に応用されています.

撮像しているところが見えるので,教育用にもたいへん便利で,数年前には,NHK教育テレビの「10分ボックス」という高校生向けの番組の製作にも使われました.
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ポータブルMRI

2006-01-24 22:43:39 | Weblog

コンパクトMRIは,必ずしも動かすことができるわけではありませんが,全体を,ボードの上に載せて,大きなタイヤをつければ,どこへでも持っていけます.

すなわち,ポータブルMRIです.上の写真は,前回示したコンパクトMRIを,簡単に動かせるようにしたものです.

MRIを動かす意味があるかどうかは,難しいところですが,屋外の計測や,屋内でも,動かすのが難しい装置と組み合わせた計測などに,応用できる可能性があります.

実際に,私は,この装置を講義室に持っていって,画面をプロジェクタでスクリーンに映して,講義を行ったことがあります.

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