初期の全身用MRIには,かつては超伝導線を使わない電磁石がかなり使われました.これらは「常伝導電磁石」,あるいは,resistive electromagnetと呼ばれています. 日本で最初に臨床検査が行われた東芝のMRIも,常伝導電磁石でした(上記参照:国産第一号機,東芝のパンフレットより).
「常伝導」電磁石という言葉は,超伝導という言葉に対して使われる言葉なので,ある意味,非常に不思議な言葉です.
常伝導電磁石では,銅線に大きな電流を流しますので,電気代がかかるばかりでなく,銅線の発熱を冷却する必要があります.
また,あまり強い磁場強度が実現できないこと(全身用で0.2T程度),短期的(ハム),長期的な電流の変動による磁場のドリフトが大きいことから,現在では,まず,MRIでは使われていないと思います.
でも,Lauterburの最初の実験,Mansfieldの実験,Ernstの実験など,MRIの歴史的実験においては,鉄芯(常伝導)電磁石が使われていましたし,国内の初期のMRIも,ほとんどは常伝導電磁石が使われていましたので,忘れてはならない磁石です.
私も,MRI用の永久磁石を導入する1999年までは,さまざまな実験に使っていました.
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