MRIのすべて(all about MRI)

磁気共鳴イメージング(MRI)に関するさまざまな経験や知識を提供しつつ今後の展望を切り開きたい.

生体組織における水のプロトンのT1とT2(続)

2006-01-22 07:49:46 | Weblog

さて,前回で,多くの組織において,T1は1秒前後,T2は50ms前後に分布していることを述べました.ところが,水のプロトンのT1は,共鳴周波数(静磁場強度)に対して,顕著に延長することが知られています.

上に示すグラフは,カエルの筋肉を用いて,水のプロトンのT1とT2を,共鳴周波数に対してプロットしたものです(Seymour Konigの論文より引用).

このように,多くの生体組織において,共鳴周波数の増加に対してT1は延長し,T2はほとんど変化しない(より高い周波数では,わずかに減少することが多いようである)ことが知られています.

この性質は,異なった静磁場強度でMRIを行う際には,必要な知識です.

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生体組織における水のプロトンのT1とT2

2006-01-22 07:47:56 | Weblog

T1とT2は,MRIにおいて非常に重要なパラメタであることは,これまでに何度もお話しましたが,生体組織における水のプロトンのT1とT2に関する性質をお話しましょう.

上に示すのは,水を含む生体組織において,その水のプロトンのT1とT2を横軸として,縦軸に,水の含有量をプロットしたものです(P. Mansfield and P. G. Morris NMR Imaging in Biomedicineより引用).このように,いくつかの,非常に興味深い性質を読み取ることができます.

まず,第一は,T1,T2は,水の含有量に対して,「正の相関」を持っているということです.すなわち,水分の多い組織ほどT1とT2は長い,ということが分かります.

この性質は,理由はともかく,腫瘍などの病変組織において,水のプロトンのT1とT2が,正常組織のそれらに比べて延長する事実にも対応しています.

第二に,多くの組織において,T1は1秒前後,T2は50ms前後に分布していることです.

これらの数値は,T1強調画像や,T2強調画像を撮像する際のTRとTEの決定に,非常に深く関わっています.

このように,生体組織の水のプロトンの緩和時間は,バラエティはあるものの,同じような性質と,ほぼ共通の値を持っていることが分かります.
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