MRIのすべて(all about MRI)

磁気共鳴イメージング(MRI)に関するさまざまな経験や知識を提供しつつ今後の展望を切り開きたい.

スピンエコー画像

2006-01-17 23:35:27 | Weblog

さて,緩和時間とは何か,ということを説明する前に,まず,通常のMRIで撮像される,スピンエコー画像を紹介をしましょう.

「スピンエコー」という言葉を初めて聞く人もいるかも知れませんが,これは,MRIの撮像で使用される,最も一般的な信号です(スピンエコーの詳しい説明は,また後でやりましょう).

スピンエコー画像(SE像)としては,T1強調画像,T2強調画像,プロトン密度強調画像の3種類が主に使用されます.上に示す画像は,卵(うずらの卵)で撮像した,それぞれの画像です.この画像は,私の研究室の静磁場強度4.7TのMRI装置を用いて撮像したものです.

このように,卵の黄身と白身が,さまざまな画像コントラストで撮像されています.

黄身と白身が,なぜ,このような画像コントラストで撮像されるかに関しては,また,明日,お話しましょう.
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MR画像=緩和時間を強調したプロトン密度分布

2006-01-17 23:17:28 | Weblog

話が随分それたので,もっと真面目な話をしましょう.

それは,MR画像とはいったい何か,ということです.

「核磁化分布」という言い方もありますが,これは,物理学的には正しいものの,MR画像の意味をあらわす,という点では,適正な答えにはなっていません.

すなわち,MR画像とは,(核磁気)緩和時間を反映した核スピン(プロトン)密度分布です.

緩和時間が何か,ということは,後のセクションで示しますが,緩和時間という(生理学的・物理学的)情報がプロトン密度に重ねられていることが,MRIを非常に有用なものとしています.

もし,緩和時間が,MR画像に反映されなかったら,MRIは,これほど広く使われることはなかったでしょう.すなわち,緩和時間は,病変や組織間の違いをあらわすものなのです.
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