MRIのすべて(all about MRI)

磁気共鳴イメージング(MRI)に関するさまざまな経験や知識を提供しつつ今後の展望を切り開きたい.

MRIにおける永久磁石と超伝導磁石の比較

2006-01-29 12:03:55 | Weblog

これまで,MRIにおける永久磁石と超伝導磁石の話をしてきました.

これを読まれた方は,いったい,どちらが良いのだろうと,疑問に思われたかも知れません.

そこで,それらの比較を表にしてみました.

これから,静磁場強度(画像のSNRに直結します)と時間的安定性(空間分解能に影響を与えます)に関しては,超伝導磁石が優れていることが分かります.

いっぽう,それ以外の項目,すなわち,開放性,移動可能性,サイズ,維持コストにおいては,永久磁石が優れています.

ですから,多種多様な用途のMRI(コンパクトMRI)を考えた場合には,永久磁石の方が,遙かに優れていると言えると,私は考えています.

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常伝導磁石!

2006-01-29 11:06:50 | Weblog

初期の全身用MRIには,かつては超伝導線を使わない電磁石がかなり使われました.これらは「常伝導電磁石」,あるいは,resistive electromagnetと呼ばれています. 日本で最初に臨床検査が行われた東芝のMRIも,常伝導電磁石でした(上記参照:国産第一号機,東芝のパンフレットより).

「常伝導」電磁石という言葉は,超伝導という言葉に対して使われる言葉なので,ある意味,非常に不思議な言葉です.

常伝導電磁石では,銅線に大きな電流を流しますので,電気代がかかるばかりでなく,銅線の発熱を冷却する必要があります.

また,あまり強い磁場強度が実現できないこと(全身用で0.2T程度),短期的(ハム),長期的な電流の変動による磁場のドリフトが大きいことから,現在では,まず,MRIでは使われていないと思います.

でも,Lauterburの最初の実験,Mansfieldの実験,Ernstの実験など,MRIの歴史的実験においては,鉄芯(常伝導)電磁石が使われていましたし,国内の初期のMRIも,ほとんどは常伝導電磁石が使われていましたので,忘れてはならない磁石です.

私も,MRI用の永久磁石を導入する1999年までは,さまざまな実験に使っていました.

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