コニタス

書き留めておくほど重くはないけれど、忘れてしまうと悔いが残るような日々の想い。
気分の流れが見えるかな。

推奨。

2008-04-21 08:14:15 | 
年度替わりに出かけていったイベントの報告とか、色々まだ書いてないことが多い。

特に、innerchildの芝居「(紙の上の)ユグドラシル」については、詳しく書きたいために却って遅くなってしまう、と言う、自分の仕事にありがちな展開になっていて、いらだってます。
でも、必ず書きます。
台本を入手した「アメノクニ/フルコトフミ」「アメノクニ/ヤマトブミ」も、一緒に。



その4/5は、渋谷づくしで、
遅ればせながら「いのちの食べかた(OUR DAILY BREAD)」を見、風鈴丸さんの個展にも行ったんでした。久しぶりに牧野宗則さんともお会いできて感激!!

どっちも書きたいことが多い。




さて、直近の話題。

CHIMA山田ケンジ「仕事展」。
この展示会のことは、既に彦星先生が詳細に書いているので、あんまり加えることがないのだけれど、本当に、身近にこんなにすごい人がいるんだ、って嬉しくなった。ちょうど会場にいた高齢の女性も、山田さんにむかって「ホントはすごい人なんですね」みたいな感想を言っていたのが愉快愉快。

お二人に共通するのは、いわゆるCGには見えないような、手作り感。
だけど、テイストはかなり違う。

山田さんのアート魂は、前から知っていたつもりだけれど、彦星先生も絶賛する雨の情景は、コンピュータ+プリンタという「道具」の(不)可能性やら、絵画とか、版画とか言う既存のヴィジュアルアートやら、いろんな物の定義をひっくり返してしまうようなところがあって、大袈裟なことを言えば、「芸術のアウラとはなにか」と言う問題にまで行ってしまう作品なのですよ、多分。

本当は恐いけど、牧野さんがご覧になったら何と仰るのか、すごく興味がある。

CHIMAさんとは作品とも、ご本人とも初対面。
ゆっくり解説付きで堪能しました。
ここにも職人+アーティストの魂が!
で、もっとずっと卑近な所で、自分の仕事へのヒントがたくさん隠されていました。
「静岡の文化」受講者は是非行って欲しいんだけど、火曜日までじゃ無理かなぁ。
場所は、両替町と青葉通が交差するところ、「だいこんや」の下あたりです。

何はともあれ、CHIMAさんのホームページは必読(必見)。
特に、私の授業取ってる人は、一通り見て、盗める所は盗め!!



午後、岡村淳さんの上映会。
2回目(3本目)。
移住41年目のビデオレター グアタパラ編
ブラジル・サンパウロ州の内陸にあるグアタパラ移住地に暮らす小島忠雄さんは、静岡県大仁町の出身。小嶋さん一家の歩みと今を紹介する。小島さんは日本で健康食品としてブームを呼んでいる姫マツタケ(アガリクス)を栽培している。小島さんは日本への出稼ぎブームが始まった時、パイオニアとして祖国にUターンした経験を持っている。同じ移民船で移住した夫人の智子さんと両親、そして日本で暮らす小島さんの子供と孫を訪ね、国境を超えてしまった家族の絆を見つめていく。
「普通の移民」の持つ歴史の奥深さ、ドラマと日常を長期取材による長編ドキュメンタリー。

そのあとトーク。そのあと喫茶店で更に雑談。


前回の上映会の時にも書いた
のだけれど、この人の作品は、コアをズバリと主張する「メッセージ性」の高い物ではない。と言うより、それを拒絶し、観る人にゆだねようとする所に、民族誌家としてのひとつの見識を感じさせる。
逆に(ご本人も仰っていたことだけれど)TVドキュメンタリーのような、センセーショナルな何かに向かって盛り上げる演出もなく、その分受けの良い明解さにも乏しい。そして、周縁を刈り込まないために、冗長になる危険性を常にはらんでいる。

私のような門外漢は、だから、前回も今回も、ご本人、それからジャンジーラ前山氏のお話によって、やっと、そういうことなのか、と言う糸口が見えてくることになる。
いかにも非効率なこの「上映会+トーク」という方法は、編集された映像という、量産可能な「複製技術時代の」メディアを、もう一度、人間同士の双方向的なメディアに戻す仕掛けとして機能していること、再認識できる。

六ヶ所村ラプソディ」のことを思い出したり。「いのちの食べかた」も、それから「靖国」も、多分、こういう方式の方が良いんだろう(私はどちらかと言えば左翼だけれど、一水会はさすがだと思う)。


話逸れた。
作品を見ながら、或いはその後のお話を伺いながら、「日系人」というくくりの困難さについて考える。「○○系アメリカ人」という言い方。「在日△△人」という言い方。「移民」と「外国人労働者」の話。ヨーロッパでも、アメリカでも似たような問題はあって、しかし、事情はそれぞれに異なる。
そもそも、なぜ、日本人たちはアメリカに、満州に、ブラジルに、「移民」したのか。それを、正確に理解するためには、国を捨てて移動する多くの「民族」の歴史を学ぶ必要があるのだろう。重い。

アフター雑談。
ひとしきりパラオ談義やら、皆川達夫洋楽渡来考』談義やら、楽しい時間をありがとうございました。

岡村氏の講演会、静岡県内では、5月に富士市内であるらしい。
詳細判明したら告知します。



さて、そのあと今度は書店に立ち寄り。
目的は、ゼミ生Kさんの働く姿を見るため、ではなくて、『サライ』を購入するためでした。

【大特集】 偉大な紀行文に「こゝろをくるはせ」「おくのほそ道」を旅する

目玉は全文+現代語訳と松平定知による朗読CDと言う、豪華付録。
「一般読者」はあまり気にすることではないと思うけれど、別冊も朗読も、底本に曾良本を使っている。これは最近のトレンドだし、巻頭鼎談に村松友次氏が登場しているのだから当然なのだけれど、感慨深い物がある。
更に少し驚いたのは、朗読で「面八句を庵の柱に懸置」の「庵」を「アン」と読んだこと。久富哲雄先生の薫陶を受けた者として喜ばしくもあるけれど、違和感を持つ人も多かろうなぁと思う。
意味無く重く沈む松平定知の声は私の好みではないにしても、随分前に古館某がCMで冒頭を諳んじた時に「行かふ」を「ユキカウ」と読んでしまったような失態はなく、そこそこ見識を感じさせたのはさすが。
相変わらず嵐山光三郎が出てくるとか、気に入らないことも数え上げたらきりがないけれど、色々読みでもあり、写真も楽しくて、750円だというのだから、学術出版はたまったものではない。
やれやれ。

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