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ちまちま中間手続69

2025-05-17 21:15:51 | 仕事日記
弁理士近藤充紀のちまちま中間手続69

拒絶理由 進歩性
 引用文献1~3には、6B族金属と8族金属とが担体に担持された触媒が記載されており、ケイ素,ホウ素を含有し得ることも記載されているから、請求項1,13の発明は引用文献1~3に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得たものといえる。

意見書
 引用文献1~3には、6B族金属と8族金属とが担体に担持された触媒が記載されており、ケイ素、ホウ素を含有し得ることも記載されている。
 しかしながら、引用文献1の第6頁左下欄15~20行の「これらの物質(第VIII族金属、ケイ素、リン、ホウ素およびフッ素)を担持する方法としては、特に制限はなく、例えばこれらの物質を前記成型物にふりかけるか、あるいはこれらの物質の水溶液に成型物を浸漬する・・・」、引用文献2の段落[0006]中の12~17行の「ポリア-シリカ-アルミナからなる酸化物触媒担体に、活性金属成分として周期律表第VIa族金属及び第VIII族金属・・・・を担持させ、・・・」、段落[0007]中の1~4行の「・・・触媒担体は、・・・ポリアとシリカの含有量がB2O3として・・・、SiO2として・・・」、引用文献3の段落[0018]中5~9行の「ホウ素またはホウ素含有化合物が第VIII族水素化成分より先に施与され、・・・非常に好ましい結果が得られる」、段落[0020]中の3~6行の「ホウ素化合物を添加するさらに適当な方法は、担体物質(の一部)との共押出またはVIB族金属成分を含有する溶液を用いての同時含浸(co-impregnation)である。」の記載を参照すれば明らかなように、引用文献1~3では、いずれも、担体にホウ素、ケイ素を担持させてから最終工程で金属を担持させるか、または、ホウ素、ケイ素と金属とを同時に担体に担持させるか、のいずれによりホウ素、ケイ素を担体に担持させている。
 これに対して、本願発明では、担体に金属を担持させた後に、ケイ素、ホウ素を担持させている。このような担持方法は引用文献1~3には開示されておらず示唆する記載もない。触媒において活性成分を担持させる順が変われば最終的に得られる触媒の性質および活性も変動するので、引用文献1~3に記載された触媒は、本願発明の触媒とは全く別のものであり、これらの文献の記載に基づいても本願の触媒には容易に想到することはできない。
 したがって、本願発明は、引用文献1~3に基づいて容易になし得たものではなく、進歩性を有する。

特許査定
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ちまちま中間手続68

2025-05-04 21:02:49 | 仕事日記
弁理士近藤充紀のちまちま中間手続68

拒絶理由 進歩性
 引用文献1には硫黄と5B族元素であるニオブとを含有する水素化精製用触媒が記載されており、該触媒にさらに6B族元素であるモリブデン,タングステン等の硫化物を含有させることも記載されているから、本願発明は引用文献1に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得たものといえる。

意見書
 引用文献1には、三硫化ニオブ(NbS3)を含む水素化改質触媒が開示されている。これに対して、本願請求項1の触媒は、少なくとも1種の第VB族金属および第VIB族金属の混合硫化物を含んでいる。すなわち、本願請求項1の触媒は、第VB族金属および第VIB族金属の両方からなる混合硫化物であって、第VB族金属の硫化物と第VIB族金属の硫化物の混合物ではない。それ故に、本願請求項1では、硫化物の相が引用文献1のものとは全く異なっている。引用文献1には、その段落[0020]に「担体上にその他の金属を担持させることもできる。従って、最終触媒中に上記ニオブ以外にも、ニッケル、モリブデン、コバルトもしくはタングステンの硫化物などの水素化精製用触媒として用いられる他の金属硫化物が存在していてもよい。」と記載されており、これは、各種金属の硫化物の混合物を明らかに示しており、本願請求項1のような混合硫化物相の開示は引用文献1中に全く見出すことができない。
 さらに、本願明細書では、請求項1の発明について、段落[0062]および[0063]の表4および表5において、単一種金属の硫化物またはその混合物を、本願請求項1に係わる混合硫化物相と比較している。また、段落[0015]~[0023]には、X線回折により、本願請求項1の特徴である混合硫化物相(Nb0.2Mo0.8S2等)と単独硫化物相(MbS2)とを区別する方法が詳細に説明されている。段落[0024]~[0027]には、混合硫化物の調製方法が説明されている。段落[0079]の実施例11には、調製された各触媒がEXAFS技術によって分析され、単独金属からなる硫化物相が形成されたか混合硫化物相が形成されたかが決定されている。
 段落[0107]の表8には、本願発明による混合硫化物相を有する触媒D1~D6が、モリブデンのみ(A1)またはニオブのみ(B1)の硫化物相を有する触媒よりも活性が高いことが示されている。また、他の表(表6、7、9、11、12、13)にも、本願の混合硫化物相の触媒がより良好な性能を示すことが示されている。
 以上説明したように、本願請求項1は、混合硫化物相を有するものであり、硫化物の混合物を有する引用文献1の触媒とは全く異なっており、また、引用文献1の記載から容易に想到することができないものである。さらに、本願請求項1の触媒が混合硫化物相を有することにより、硫化物相を有する触媒よりも優れた効果を有することも明細書中に示されている。
 したがって、本願請求項1は、引用文献1に基づいて容易に想到することができないものである。

拒絶理由 36条4項
 本願発明の詳細な説明中に記載された実施例などの記載からは本願発明が公知技術に比べてどの程度効果を奏するものであるのかが明瞭でなく技術的意義が明確とは認められない(この点に関し、平成19年4月19日付け意見書第3~4頁の「(3)拒絶理由1について」において、出願人は本願発明の触媒は引用文献1の触媒のような硫化物の混合物ではなく混合硫化物であって、段落[0062]~[0063]の表4,5に示されるように本願発明の混合硫化物と単一金属の硫化物の混合物とを比較すると差があることを主張しているが、本願発明の詳細な説明中の表4,5をみても単一金属の硫化物の混合物についてのデータは見当たらずその点について確認をすることができない。よって、本願発明(混合硫化物)が先の拒絶理由で引用された特開平7-96192号公報の公知技術(硫化物の混合物)に比べてどの程度優れた効果を奏するものであるのかが不明瞭である。意見書を提出してその点について釈明する等されたい。)。

意見書
 当初明細書の段落[0022]には、その7~9行に「第二ピークの最大の位置が金属・金属(ニオブ・ニオブまたはニオブ・モリブデン)の平均距離R2を示し、その平均距離の値は、表3に示されるように混合相の組成に応じて変化する。」と記載され、段落[0023]の表3には、混合相の組成に応じてMo含有量が多くなるほどR2が短くなることが示されており、EXAFS(広域X線吸収微細構造:段落[0015]を参照)によって測定された金属・金属の平均距離R2の値が、単一のニオブ硫化物(R2=3.33)と混合ニオブ-モリブデン相(3.20~3.31)とが同一でなく、これらを明確に区別することができることが示されている。
 このような前提の下で、段落[0062]の表4には、触媒Eが混合硫化物相からなる本発明に合致するものであり、触媒F1およびF2が単一硫化物相の混合物からなる本発明に合致しないものであることが示されているが、このことは、段落[0080]の表7において、ニオブ硫化物相のみを含む触媒B1のR2が3.33であり、触媒EのR2が3.21であり、触媒F1およびF2のR2が3.33であることから明らかである。
 本発明に合致する触媒Eと本発明に合致しない触媒F1およびF2との触媒活性の比較の結果は、段落[0122]の表10(ガスオイルの水素化脱硫における触媒の活性度)、段落[0137]の表11(脱硫済ガスオイル中の芳香族化合物の水素化における触媒の活性度)、段落[0150]の表12(減圧留分の水素化処理におけるNiMo触媒の活性度)、段落[0168]の表13(減圧留分の温和な水素化クラッキングにおける触媒の活性度)および段落[0180]の表14(減圧留分の高圧水素化クラッキングにおける触媒の活性度)に示されている。混合硫化物相を含有する触媒Eが、種々の水素化分解または水素化脱硫試験において、単一のニオブ硫化物相を含有する触媒F1またはF2よりはるかに活性であることがこれらの表を参照することにより理解され得る。触媒Eはまた、ニオブを含まない触媒A0(単一のモリブデン硫化物相)より活性である。
 また、段落[0190]の表15においては、触媒Eよりも、触媒F1およびF2の方が、ガソリンの水素化脱硫における触媒の活性度について、より良好な活性を有するように記載されているが、段落[191]において、触媒Eの活性が、他の全ての触媒A0、F1およびF2の活性よりも良好であることが教示されていることから、表15では、EとF1の値が入れ替わって表記した明らかな誤記があり、実際には、触媒E1の活性度は[,90.0であり、触媒F1の活性度は88.3であり、正しくは、添付の表15’のようになるべきであったものである。
 以上に説明したように、本願の出願当初の明細書には、本願発明が公知技術に比べてどの程度効果を奏するものであるかが明確に記載されており、本願明細書の記載は、当業者が本願発明を実施することができる程度に十分に開示したものであり、特許法第36条第4項の規定を満たしている。

特許査定

 本件「混合硫化物」と引例「硫化物の混合物」との相違点により進歩性を主張。相違している点について厚めに説明しておいたつもりが、すんなり登録とはならず、さらなる拒絶理由が通知されたが、そこもなんとか対処できて登録。
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ちまちま中間手続67

2025-05-02 21:30:33 | 仕事日記
弁理士近藤充紀のちまちま中間手続67

拒絶理由 進歩性
 請求項1
 文献1には、サワー炭化水素留分を選択的水素化分解に引き続き酸化触媒、塩基性成分などでスイートニングすることが開示され、サワー炭化水素留分として分解ガソリンも想定している。
 選択的水素化分解では硫化水素等が発生するから、文献1に記載された発明を具体化するにあたっては、ストリッピングなどにより脱ガスすることは周知慣用手段の付加の域を出るものではなく、当業者が容易に想到することである。
 なお、本願各請求項では「安定化」を発明特定事項として含むが、後記の理由2にて指摘するように「安定化」の概念が不明であるため、本願明細書第【0028】欄等の記載から「安定化」とは「脱ガス」と仮に認定して進歩性などを判断している。

意見書
 引用文献1には、選択的水素化およびこれに続く酸化的スイートニングを経て原料油を処理する方法が記載されており、この引用文献1の方法において、水素化は、25~300℃、約6.9~69バール、H2/Sメルカプタン比=0.1~10%モル(請求項6)、VIII族およびVIB族元素(請求項4)を含有する触媒の存在下で行われている。好ましい触媒は、Ru、Pt、Fe、PdおよびNiを有するものであり(第3頁右欄8~10行)、硫化される(第4頁左欄31~32行)。また、全実施例において、アルミナ粘土担体担持の硫化型Ni触媒が用いられている(第8頁左欄5行~同頁右欄7行)。
 引用文献1の方法における選択的水素化工程は、H2が第三メルカプタンと反応するようにさせ、それらを除去可能なH2Sに変換するために行っており、第一または第二メルカプタンはそのままである(第4頁右欄12~19行)。
 これに対して、本願請求項1の方法では、「仕込原料を、・・・工程」(以下、第一工程と称する)において、
(1)ジエンおよび/またはアセチレン系化合物のオレフィンへの水素化
(2)第一および第二オレフィンの第三オレフィンへの異性化、および
(3)メルカプタン含有量の低減
が行われており、引用文献1の水素化工程における「第三メルカプタンからH2Sへの変換」を行っているものではない。また、引用文献1では、硫化触媒を用いているが、第一工程では、「選択的水素化は、0.1~1重量%のパラジウムまたは1~20重量%のニッケルを不活性担体上に担持されて含有する触媒を用いて」と規定されているように、金属形態の触媒を用いている。これらの点で、引用文献1は本願請求項1とは全く異なっている。
 なお、本願の方法でも上記(1)のように第一工程によってメルカプタン含有量が低減しているが、これは、メルカプタンがジオレフィンと反応(付加反応)して硫黄化合物を生じさせることによるものであり(明細書の段落[0011]の7~9行)、引用文献1のようなH2Sの形成は見られない。すなわち、第一工程では、スイートニング反応を伴っている。当然、ここでのH2Sの形成がないということは、形成が全くないことを意味するのではなく、非常に少量のH2Sが生じることをも含む。
 本願請求項1の第一工程は、引用文献1の水素化工程とは異なり、H2Sは全く生じないか、生じ得たとしても非常低量である。引用文献1では、生じたH2Sはスイートニング工程を行う前に流出物から分離されなければならず、引用文献1ではこの目的のためにモレキュラーシーブを用いている。
 これに対して、本願請求項1では、第一工程後の流出物に対して、未使用の残留水素の脱水素ガス化が行われている(以下、この工程を第二工程と称する)。したがって、本願請求項1の第二工程における脱水素ガス化は、引用文献1におけるモレキュラーシーブによるH2S分離とは全く異なっており類似もしていない。モレキュラーシーブは、H2を分離することができないからである。
 以上に説明したように、本願請求項1の方法は、引用文献1の方法とは全く異なっており、引用文献1の方法に基づいて本願請求項1の方法に想到することもできない。
 引用文献2には、0.1~1%Pdを不活性担体上に担持されて含有する触媒を用いる、4~25バールの圧力下、80~200℃、1~10h-1での接触分解法からのガソリンの選択的水素化の方法が記載されている。また、引用文献2には、第一および第二オレフィンの第三オレフィンへの異性化も記載されている。
 しかしながら、上記のように、本願請求項1に記載された第一工程は、引用文献1の選択的水素化は全く異なるものであるので、引用文献2に記載された工程が本願請求項1の第一工程と同種の工程であるからといって、引用文献1の選択的水素化工程に代えて全く目的の異なる引用文献2の工程を組み合わせることの動機付けは生じない。
 したがって、本願請求項1は、引用文献1および2に基づいても容易に想到することができないものである。
 引用文献3には、触媒を用いる酸化的反応によるスイートニング方法が開示されている。
 しかしながら、引用文献3には、本願の第一工程および第二工程に関する記載がない。
 引用文献4には、熱分解ガソリンのスイートニング方法が開示されているが、熱分解ガソリンは、本願の処理対象のガソリンとは異なる組成を示し、特に、そのメルカプタン含有量は非常に低い。用いられる触媒は、VIII族元素を担体上に担持されて含有する周知のものである。しかしながら、Pd触媒は、熱分解ガソリンのメルカプタン含有量を低減させることができない。
 したがって、引用文献4は、本願発明とは関連性のないものである。
 次に、接触クラッキング・ガソリンの精製装置に係る本願請求項10と、各引用文献との相違点および効果について説明する。
 引用文献1では、脱水素ガス化槽は開示されていない。選択的水素化処理後の流出物は、2つのフラクションに分割され、一方は再循環させられ、他方はさらに処理されることが記載されているだけであり、ガス部分を分離していない(第8頁右欄7~11行)。なお、引用文献1では、流出物の水素化反応器への再循環はなく、非脱ガス流出物の再循環が行われている。
 また、引用文献1では、その実施例2、3、4においてモレキュラーシーブを開示するだけであり、これは、本願における脱水素ガス化槽とは同一ではなく類似もしていない。モレキュラーシーブは、H2Sを分離することができるとしても、H2を分離することができない。参考のため、このことは添付書類に詳細に説明している。
 引用文献5には、ストリッピング帯域において水素化処理により生じた硫化水素を除去するための構造が開示されている。
 しかしながら、本願請求項10の装置では、選択的水素化反応器において硫化水素は発生せず、脱水素ガス化槽は、未使用の水素を除くための構造であるので、引用文献5の水素化処理のための構造およびストリッピング帯域とは全く異なっている。
 したがって、引用文献1と引用文献5とを組み合わせても本願請求項10に想到することはできない。
 以上に説明したように、本願請求項1および10およびこれらに従属する他の請求項は、引用文献1~5に基づいて容易に想到することができないものであるので、本願発明は進歩性を有する。

拒絶理由
 36条6項2号

補正・意見書

特許査定

拒絶理由書の指摘は必要以上に囚われず、理論構成はこちらベースとした。そのほうがすっきりしたものが書けるし、結果も良くなったような気がする。
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ちまちま中間手続66

2025-04-30 21:42:14 | 仕事日記
弁理士近藤充紀のちまちま中間手続66

拒絶理由 進歩性
 いわゆるFCCガソリンの軽質留分を水素化脱硫することは文献1、2を参照。例えば文献1実施例1,2、また文献2特許請求の範囲及び実施例の記載によると、その接触クラッキング・ガソリンの終留点、水素化処理する触媒組成、温度圧力などの条件は本願請求項にて規定する範囲内である。
 文献1、2にはさらにスイートニングすることの記載はないが、水素化分解に引き続き酸化触媒、塩基性成分などでスイートニングすると好適であることは文献3に開示されている。
 より一層脱硫レベルを向上する文献3に記載の技術を、文献1、2に記載された発明に適用することは当業者が容易になしうることである。
 また、いわゆる抽出スイートニングもスイートニングの周知慣用技術であるから(文献4)、スイートニングを抽出スイートニングに変更することも困難性はない。

意見書
 本願発明の趣旨について説明する。本願明細書の段落[0012]~[0017]において記載されているように、接触クラッキング(FCC)により生じたガソリン留分中の含硫黄化合物には、除去されやすいメルカプタンと、抽出によって除去されないベンゾチオフェン等の複素環式化合物とが存在しており、複素環式化合物は、水素化処理によって除去され得る。これらの成分が共存した状態のガソリン留分をそのまま水素化処理すると、オレフィンの分解によりオクタン価の損失につながる。これが従来技術の問題点であった。これに対して、新請求項1では、工程(1)により、相対的にオレフィンに富み且つ硫黄分が主としてメルカプタンの形態で存在する軽質留分と、相対的にオレフィンに乏しく且つ明瞭に高騰した硫黄含有量により特徴付けられ、しかも抽出方法によっては除去されない複素環式化合物で硫黄分を含む重質留分とに分け、それぞれ、軽質留分についてはオクタン価の損失につながらないような適度な処理を施すことにより硫黄分を除去し、重質留分については複素環式化合物等の形態の硫黄化合物を水素化処理することにより処理する。このような工程を経ることにより、本願請求項1では、オクタンの損失を最小限にしながらガソリン留分の硫黄含有量を低レベルに減少させることができる。

 新請求項1では、パラジウム含有触媒を用いる工程(3)においてスイートニングが行われている。また、旧請求項10に対応する新請求項9では、処理帯域(7)においてスイートニングが行われることを規定した。
 引用文献1および2はスイートニングに関するものではない。引用文献3には、酸化剤によるスイートニングに関するものである。引用文献4は抽出スイートニングに関するものである。引用文献5には、2工程での水素化法が記載されているだけである。
 したがって、引用文献1~5のいずれにも、本願発明のようなパラジウム含有触媒を用いるスイートニングは記載されていないので、本願発明は、引用文献1~5に基づいて容易に想到することができないものである。

特許査定

審査官の示す理由には、必ずしも噛み合ってない、というか、無視まではいない弛度に付き合わずに、独自的に理論構成して特許査定に至ったものである。
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ちまちま中間手続65

2025-04-29 21:26:18 | 仕事日記
弁理士近藤充紀のちまちま中間手続65

拒絶理由 進歩性
 引用文献1には、不飽和炭化水素、たとえば、ケロセン(沸点149~250℃)を水素化脱硫後、60.1%含有する供給原料を、0.3%塩素、0.7%プラチナ、並びにアルミナ担体からなる触媒の存在下、温度332℃、圧力5.2MPa、H2/原料=1781、LHSV(VVHに相当)1.05の反応条件にて水素化することが記載されている。そして、その際、塩素の添加が水素化反応を改善すること、当初0.3%の塩素量を塩素添加により約0.9%にまで増加させることが記載されている(実施例参照)。
 上記引用文献1には、仕込み原料の初留点が100℃以上であること、触媒の塩素含有量を少なくとも1%とする点について記載されていない。
 しかし、本願明細書に記載されるように、水素化脱硫処理による初留点の低下は数十℃であり、引用文献1記載のケロセン沸点に照らせば、そのような前処理を行った場合であってもなお、その初留点は100℃以上であるものと推定される。また、触媒の塩素含有量についても、引用文献1には、上記に加え、塩素の添加量に関し、触媒の水素化活性を増加させるに十分な量、と記載されており(クレーム1参照)、塩素添加量は、上記目的に合致する限り、具体的に記載された数値のものに限られるものとも認められず、それら目的に鑑みて好適な値を検討し、それを数値化することは、当業者であれば格別の困難なくなしうるものである。
 また、水素化反応条件に関しては、引用文献1記載のもののほか、たとえば、同じく芳香族化合物の水素化反応に関する、引用文献2記載の条件(第3欄第15~27行参照)を採用することも当業者であれば格別の着想力を要さず行いうるところである。

 なお、塩素とフッ素をともに含有する触媒を用いた場合に、各々単独使用の場合と比べ予測しないほど顕著な効果を奏し得たというのであれば、そのことを客観的に確認しうるに足る実験結果を示す等するとともに、特許請求の範囲をそのような範囲のものとすること等を検討されたい。

意見書
 引用文献1には、貴金属(Pt)を含有する触媒および添加塩素の存在下(カラム2の63~65行)、少なくとも121℃(カラム1の32~41行)で沸騰するケロセン留分の芳香族を水素化する方法が記載されており、引用文献2にも芳香族化合物の水素化反応に関する条件が記載されている。
 しかしながら、これらの文献には、塩素を含有する触媒を用いているのであって、塩素およびフッ素の双方を含有する触媒は開示されていない。特に、引用文献1のカラム3の51~57行には、フッ素を含有する触媒は、塩素を含有する触媒とは区別されるべきであることが記載されており、したがって、これらの文献から塩素およびフッ素の双方を含有する触媒を用いることの動機付けには至らない。
 本願発明では、塩素およびフッ素の双方を含有する触媒を用いることによって、塩素のみを用いた触媒よりも格段に優れた効果を得ることができる。
 本出願人はそのことを説明するための実験を実施したので、その結果を以下に示す。

特許査定

拒絶理由通知中の示唆に基づいて権利化。示唆がなくても気づくポイント。審査官示唆ではなくて、こちらの提案のほうがよかった。心証が全然違う
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