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東武佐野線沿線CITY-GUIDE 〔カテゴリーからお入り下さい〕

こならの森 102号

2008-04-27 | 101号~200号
       ■こならの森102号■1996.10発行

C・o・n・t・e・n・t・s

表紙 「藁屋ねの家」

■こならの森11月号■

おぞねとしこのポエム…ききょう……3p
その他の情報…/猫バス26……4p
結婚…越沼さん夫妻…5p
両毛神楽物語………6p
知らんの5つの市/…7
JC・JOURNAL………8-9p
特集/飛駒を行く………10-17p
インフォメーション95………18-23p
海棠市子の映画評……………24p
書評・絵本紹介………………25p
現代国語………26p
占う………27p
協賛店マップ………28-29p
新・こならの森から…………………30p

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【本文抜粋記事】

特集/飛駒を行く
 佐野市の中心から25キロ。それなのに軽井沢にきたのかと思ってしまうほどの風景が続く。その中に、瀟洒な洋風の建物やログハウス、また伝統的な養蚕農家の面影を残す越屋根の大家、また井伊直弼縁の旧家など、新旧入り交じった複雑な文化が交錯している。そのエキゾチックな雰囲気がこの町の魅力でもある。
 また陶芸家や芸術家が好んで住居を構えるなど引き付ける何かがそこにはある。そう思って訪ねてみたのが今回の旅のきっかけだ。
 道筋にはかつて徳川埋蔵金に関連がると疑われた?庚申山もあり、黄金ロマンのある人も無い人も一度よってみるとおもしろいと思う。何しろ一千基もの庚申塔が小さな山に所狭しと並んでいるのだから………。また、ここから根本山を通って足尾までのルートがあったともいう。この辺も興味深い。
 また、田沼というと蓬山ログビレッジなどの沢が一般的で、飛駒は今一つ忘れ去られたような印象を受ける。その俗化していない?ところがまたいいという向きもあるが、根古屋森林公園を訪れた日には、どこの観光地へやって来たのかと思うほどの混雑。バーベキューをする人や、ソバを食べに来たというひとなどさすがの広い駐車場も一杯になる程だった。根古屋森林公園では、バンガローなども充実していて、自然を満喫したキャンプが楽しめる。
 そうした近代的な施設とは対照的に、その昔は養蚕が盛んだったのだろうか、屋根の上に煙り抜きの屋根がある伝統的な家を見ることもできる。しかもこの地方のものは、群馬県でよく見かけるような、同じものが二つ並んでいるタイプのものだった。佐野市内で見かけるものは一つだけのものが多い。どこかその地方によって流行があるのか、それとも気候条件等からの必然なのかは分からないが、地理的に佐野へ出るよりも桐生方面へ出る方が近いくらいだから、そちら方面の交流が盛んだったのかも知れない。家を建てた大工も桐生方面からやって来た人なのだろうか。
 もともと、明治四年の廃藩置県後、明治二十一年までは桐生も飛駒も同じ一つの県だった訳だから当たり前と言えば、当たり前なのかもしれないが。
 また、最近は昭和43年に長い歴史に終止符を打った、飛駒和紙が復活され体験学習館も根古屋森林公園内に新設されている。隣には、これまた名物の自粉を使ったソバを食べさせる、根古屋亭もありゆっくり楽しく遊べる。
 紙すきは見ているととっても簡単そうに見えるが、やはり長年のカンとコツがいることだろう。
 実演は、はがきセットが600円(送料別)でできる。また、色とりどりの和紙や、小物、便せん、名刺用紙などの展示ショップのあり、工夫次第ではランプシェードなど他方面での利用が考えられる。
 根古屋のもっと先まで足を延ばしてみる。これといった観光スポットはない。その先は行き止まりとなっているが、道の片隅に野仏がそっと迎えてくれていたりして心和む、そんな風景もいい。ちょうどお彼岸時、彼岸花・マンジュシャゲが咲き誇り、黄金色の稲との配色が素晴らしかった。マンジュシャゲはその昔食用にされていたということだが、その根には毒がありそのためか忌み嫌われたりもしている花でもある。しかし、よく見てみると何とも可憐な花である。マンジュシャゲという名前も極楽に咲くと言われている花であるから無理も無い。沖縄では、ハイビスカスがこのマンジュシャゲのような花だと聞く。赤という色はそうした色なのだろう。
 田沼市街を過ぎてから、飛駒までは交差する大きな道路が無いために、これといった信号機が無い。終点まで一本道で、スイスイ行ける。渋滞なく目的地まで到達できるということは、ちょっとしたドライブが好きな人にとってはこたえられないに違いない。 しかし途中には新興住宅街が出来てしまって、いささかうんざりする面もある。足利へも須花坂トンネルをくぐればすぐに行くことができるし、東京へのアクセスを考えると、かえって佐野市内に住むのよりもいいかもしれない。自然も満喫できるし、空気もうまい。そんなためか東京方面から、セカンドハウス的に使用している人の流れもあるという。それに滅茶苦茶に地価が安い。
 今回は、道筋にある一つの小さな沢、梅園へも行って見た。飛駒に住む人から、猿や熊が出没しているという情報を聞いていたが、この沢に入って改めて『熊出没注意』の看板を目にするとドキッとする。最近はやたらにこう書かれたステッカーが車などに出没しているが、リアリティにおいてはこれの比ではない。
 曲がりくねった沢を行き、V字型になった地形を無駄なく使った谷津田が続く、こんなところまで稲を植えつづけて来た日本人にとって米というのは特別な穀物だったのであろう。日本の原風景とでもいう光景がそこにある。


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