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東武佐野線沿線CITY-GUIDE 〔カテゴリーからお入り下さい〕

こならの森145号

2008-05-17 | 101号~200号
       ■こならの森145号■2000.5発行
表紙 「三毳山ほか 」
C・o・n・t・e・n・t・s

■こならの森6月号■

3p としこの巻頭詩
4p やんばる
5p 結婚 小林さん夫妻
6p-9p JC通信
10-19p 特集 大小山賛歌
20p (新)やぶいしゃのひとりごと
21p 書評・絵本紹介
22-25pインフォメーション98
26-27pクイズ/タウン情報
28-29p 協賛店・MAP
30p こならの森から

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【本文抜粋記事】

新連載
やぶいしゃのひ と り ご と

著者プロフィール
松永 安優美(まつなが あゆみ)
岩舟町生まれ。
現在、社会福祉法人「裕母和会(ユーモワカイ)」会長。
   医療法人「聖生会(セイセイカイ)」理事長。
   老人保健施設「安純の里」施設長。


 ここ数年来、テレビや新聞などでだいぶ取り上げられて来た介護保険制度が、いよいよこの4月から導入され、動き出したわけです。今回は、現場から介護保険導入後の変化、又、今後どうなるかなどを少しお話ししたいと思います。
こんなに批判が目立つ法律もめずらしい訳ですが、始めての取り組みですから、今後に期待を持って、良い制度にして戴けるようにと思っております。
ただ、現場に携わる人間としては、要介護老人に対する虐待の問題をずっと懸念して参りました。しかし、その辺が予想以上のスピードで現実になって来ているようです。5月に入りたった日位の間にテレビで2例の親殺しのニュースが流れました。1例目は、介護保険導入後、施設から在宅介護へ切り変えたばかりの親と息子の家族、息子と言っても当然成人で、原因は日間の介護放棄による致死。2例目は、やはり息子との2人暮らしで、介護疲れから息子が殺人を犯した事例と記憶しております。
約9年以上前に、私が介護老人福祉施設を開設させて頂いた頃、年金の支給すら受けていないお年寄りも入居されておりました。その方々には、施設が運営費としていただくお金の中から、当時1カ月に1~2万円程度を、自由に利用できるお小遣いとして支給させて頂いておりました。そのお金を当てにして、母親に会いに来る~才位の息子さんがいたのです。定職はなかったようでした。ある時、その母親の財布には500円~1000円位しか残っていなかったので、母親が拒否したのでしょう。そのため暴力をふるわれて、持って行かれたようでした。その顔面には、明らかな外傷がありましたが、その方は、何をお聞きしても息子さんの事は言いませんでした。ただ、「何でもありません。」「申し訳ありません。」の一点張りで、治療をさせて頂きながら、それ以上伺うことができませんでした。
親殺しの事例やこの問題を見ても、形は異なっても親の年金をあてにして、働かなくなる方や、自宅介護の名目でお金の出費をおさえるなど、色々な御家庭の要介護老人に対する意識の差、又お金の価値感の差によって、少なからず虐待につながるのではないかと不安です。又、今後も様々な形で表面化して来る可能性があります。さらに、お金の自由にならない要介護老人が肩身の狭い思いをしなくてすむように、改善が必要かとも思っております。虐待の問題は、ただ介護のつらさ(介護をする方より、介護される方の方が体格が同じかさらに大きい場合は、何十倍にも肉体的、精神的負担は増加します。)から来るもののみならず、宗教感や教育、政治にまでつながる奥の深い問題ですから、根本的な改善も大切ですが、ねこをぶつよりさらを引く心のケア、気づき、対応を現場の専門家に任せて頂ける様な制度も盛り込んでいただけれは良いのかな、と思っております。しかし、個人の自由を侵害しない程度がどこなのかわからない事を考えると、今の日本では、さらに難しい事なのかも知れませんが…。問題は、今まで、施設や在宅サービスを受けていた方の大部分が負担額が増になるということ。又、介護度に応じて、負担額が異なり、さらに利用金額の上限が決まっているという、全く今までにないタイプの制度ですから、内容を御理解いただく事自体が難しい現況だという事です。
施設側から見た場合、本来、利用される方々のニーズや、法ではお救いする事が困難な事例に対しては、様々な知識や体験を駆使してプランニングをさせて頂くケアマネージャー等が、コンピューター入力に時間がかかり、本来の直接的な人を扱わせていただく時間が少なくなってしまっていたり、その他の業種についても、記録が優先するあまり介護や看護の時間が少なくなる事がない様にして頂きたいと考えております。何だか、愚痴になっている様で寂しい気持ちですが、悪い所を批判するつもりではなく、どうしたら良くして頂けるかを考えて行けると良いのですが…。
 「今日は、注射一本いかがですか。」と言って、往診カバン片手に営業する医者がいな いように、とかく医者というものは……失礼、私は経営の才能がないわけで……。
 介護保険導入とともに、在宅ケアサービスを民間事業主の方と、一緒に競走しなくては ならないわけで……。
「究極のサービス」こそが、「仁術」と一生懸命に自分に言い聞かせているのです。




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