今回もシリーズ第253回からの続きで、異形の神であるエビスと、その祭礼である「十日エビス」の特集です。
今回は、京都・東山の古社・粟田神社の「出世えびす祭」をとりあげます。
粟田神社。
本シリーズでも、第81回から第83回まででとりあげたことがあります。
その摂社のひとつに「出世恵美須神社」があり、毎年1月9日~11日の「十日えびす」の期間には、「出世えびす祭」が行われます。
各地のエビス祭めぐりの一環として、この恵比須様のお祭りにも訪れてみました。
まずは、いつもの通りアクセスから。
京都市営地下鉄の「蹴上」駅の2番出口。
そこから三条通りを西へと7分ほど歩きます。
写真は、その道中にある、有名な京都ウェスティン都ホテルです。
もうひとつ、アクセス方法を紹介します。
京都市営地下鉄の「東山」駅から、東へ7分ほど歩きます。
あるいは、京都市営バスの「神宮道」停留所から、歩いて5分ほど。
いずれにせよ、三条通りに面した参道入り口前に着きます。
参道を進み、入り口に。
出世えびす祭のポスターも。
ここで、以前来た時の繰り返しになりますが、「そもそも粟田神社とはどんな神社なのか?」を知るために、創建にまつわる不思議な伝説ついておさらいを。
平安時代、清和天皇の876(貞観18)年春に、「この年隣境に兵災ありて、秋には疫病多いに民を悩ます」という託宣が出て、神祇官と陰陽寮から天皇に伝えられました。
そこで勅令によって、全国の神様にお供えをして、国家と民の安全が祈願されました。 藤原興世という人物は、勅使として感神院祇園社(今の八坂神社)に七日七晩祈願しました。満願の夜、興世の枕元に一人の老人が立ち、「汝すぐ天皇に伝えよ。叡慮を痛められること天に通じたる。我を祀れば、必ず国家と民は安全なり」と告げました。
興世が「このように云われる神は、如何なる神ですか?」と尋ねたところ、老人は「我は大己貴神なり。祇園の東北に清き処あり。其の地は昔、牛頭天王(ゴズテンノウ=スサノオノミコト)に縁ある地である。其処に我を祀れ」と言って消えました。
興世はその出来事を朝廷に奏上しました。
直ちに、勅命によって此の地に社を建てられ、神霊が祀られました。
その後、スサノオ神と奇稲田姫(あのヤマタノオロチ退治の伝説で、スサノオに救われて妻となった女性)も祀られるようになりました。
厄除け、病魔退散、縁結び、安産、商売守護のご利益があるとされています。
また、京都と各地とを結ぶ交通路である粟田口にあり、多くの人々が旅の無事を祈ったことから、旅行守護の神様としても崇められるようになりました。
1100年以上もの長い歴史を持つことから、いくつもの不思議な伝説なども残されているようです。
またこの神社は、「神様のデパート」ともいうべき面白い神社です。
主祭神はスサノオ神ですが、大国主や稲荷などの日本古来の神様から、歓喜天といった外来の神仏、崇徳院や菅原道真といった怨霊神まで、実に多種多様な神様が祀られていますから。
話を戻して、入り口から境内へと上がります。
まずは、本殿へと参拝。
その後、本殿裏手にある摂末社のひとつ「出世恵比須社」へ。
このエビス神は、何故「出世恵比須」というのか?
あの源義経が、奥州へと旅立つ時にこの社に「源氏再興」を祈願したからだと伝えられています。
後に義経が、源平合戦で英雄として大活躍をしたことから「出世恵比須」や「門出恵美須」などと呼ばれるようになったそうです。
元は三条蹴上の夷谷付近に祀られていましたが、500年以上前の山崩で土砂と共に流出し、その時に止まったところが現在の三条神宮道付近であり、夷町というそうです。永らく夷町の金蔵寺に奉斎されていましたが、明治に粟田神社の摂社として遷され、「出世恵美須神社」として祀られているという話です。
この恵比須社の創建年代ははっきりしないそうですが、ここのエビス神像は、比叡山を開いた伝教大師・最澄の作という説もあり、現存するもので日本最古の木像のエビス神像と言われています。
ここのエビス神像は、普段は公開されていませんが、「出世えびす祭」のみ公開されています。
失礼して、間近でお姿を撮らせていただきました。
普段見慣れていたふくよかなエビス様とは少し違って、随分とスリムな姿のエビス様です。
しかし、その表情は本当に楽しそうといいますか、見ているこちらまで幸福な基分になりそうな、爽やかな笑顔です。
参拝後は、境内で甘酒をいただきました。
楽しく幸福な気分で、粟田神社を後にしました。
ただ、「甲斐性なし万年モテない男」の私に、立身出世のご利益が得られるのかどうかは、また別の話で(笑)。
それでは、今回はここまで。
また次回。
*粟田神社へのアクセス・周辺地図はこちら。
*粟田神社のHP
http://www.awatajinja.jp/
*京都妖怪探訪まとめページ
http://moon.ap.teacup.com/komichi/html/kyoutoyokai.htm
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