京都の闇に魅せられて(新館)

雨と紅葉の三室戸寺(前編) @ 京都妖怪探訪(527)





(記事中の写真はクリックで拡大します。プライバシー保護等の為、人の顔部分に修正を加えていることがあります)


 どうも、こんにちは。
 今年の『霊場魔所の紅葉』シリーズ、第13弾。
 今回は、大蛇伝説、蟹の恩返し伝説が遺る、京都・宇治の古刹・三室戸寺の雨と紅葉の光景をお届けします。


 まずはいつもの通りアクセスから。
 京阪電車「三室戸」駅から。






 そこから住宅街の中を突っ切って行きます。









 しばらく歩くと、入り口が見えてきます。









 入り口にある「蛇体橋」。











 橋のかかっている川の名前が「戦川」。凄い名前ですが……。
 さて、この「蛇体橋」には、大蛇と、「蟹の恩返し」の伝説が遺されています。
 シリーズ第503回のおさらいになりますが、その伝説のあらすじは以下の通り。


 昔、山城の綺田(かばた)村に、三室戸の観音さまを信仰している心のやさしい娘が居ました。
 ある時娘は、村人が蟹を殺そうとしているところに出くわし、「持っている魚の干物を差し上げますので」と蟹を助けてもらいます。
 またある日のこと、その娘の父親は、蛇が蛙を呑み込もうとしているところに出くわし、「私の娘をやるから蛙を放してあげなさい」と言って、蛙を助けてもらいます
(ここで思うのですが……この父親は、蛙一匹助けてもらう為に自分の娘を差し出す約束をするとは、この父親は何を考えているのだ、と突っ込みたくなりますが)。
 その夜、その時の蛇が美男子に姿を変えて父娘のところに現れ、「約束通り娘をもらいに来た」と言いました。父親は「3日後に来て欲しい」と言い逃れをします。
 3日後、娘は戸を完全に閉め切って、三室戸の観音さまに必死に祈り続けていました。蛇は待ちきれずに怒り狂い、人の姿から元の姿に戻ると、戸を破って中へ入ろうとします。娘は観音さまに助けを求めると、どこからか無数の蟹が現れ、はさみをたてて蛇を退治してしまいました。
 翌日、娘は三室戸寺の観音さまにお礼参りに行きますが、途中で雨が降り出し、三室戸寺に着く頃には土砂降りになっていました。
 そして参道の橋の上に、あの蛇が横たわっていました。が、蛇は娘を悲しそうな表情で見つめただけで、橋の裏側へと姿を消しました。
 それ以来、雨の日には蛇の影が見えるようになり、この橋は「蛇体橋」と呼ばれるようになったという話です。


 三室戸寺の観音様の功徳を伝えた話だと思いますが、私はむしろ蛇がかわいそうに思えてくるのですが。
 そもそもこの親父さん、なんで「娘をやる」などという無茶苦茶な約束をするんや、とか突っ込みを入れたくなりますが。
 それはそうと、今回あえて雨の日に訪れたのが、この言い伝えの通り「蛇体橋」に蛇の影が見えるかどうかを確かめたかったからです。
 で、橋の周りを探してみます。
 おーい、蛇さーん。居られますか?





 おーい。蛇さーん。
 居られましたら、お姿を見せてくださーい。








 うーん。
 蛇さんの姿が見当たりません。
 伝説は伝説に過ぎなかったのか。
 或いは蛇さん、あんな酷い騙され方をして、完全な人間不信になって隠れてしまったか、引きこもってしまったのでしょうか。
 今回は仕方がありませんので、先へと進みます。
 いつかお姿を見せていただきたいものです。


 入り口受付で拝観料を支払って中へ。









 山門からさらに中へ。












 本堂へと続く石段を上がります。












 石段の途中からも紅葉風景を振り返ってみます。












 石段を上がって本堂の方へ。











 この人面蛇体の姿をしたのは、「宇賀神」の像です。
 先述の「大蛇」と「蟹の恩返し」の伝説には後日談があります。
 大蛇の霊を供養するために娘は、宇賀神の木象を奉納しました。
 その象は非公開だそうですが、寺ではその象に似せた大きな石像を新設したそうです。
 それが、この像です。
 蛇の尾には金運、翁のひげには健康長寿の御利益があるそうです。
 今回は宇賀神像の周辺も紅葉に彩られています。





 今回はここまで。
 また次回、引き続き三室戸寺の雨と紅葉の光景をお届けします。




*三室戸寺へのアクセス・周辺地図はこちら




*三室戸寺のHP
http://www.mimurotoji.com/index.php




*『京都妖怪探訪』シリーズまとめページ
http://moon.ap.teacup.com/komichi/html/kyoutoyokai.htm




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