北緯45度24分44秒、鹿児島駅より3092.3km,指宿駅より3134.8km。日本最北端の駅、今にも雨が降りそうな鈍より曇った空だった。駅に汽車も乗客もおらず静かであった。近くのお土産屋はバスツアーの観光客でにぎわっていた。
初代の稚内駅は、1922年に開業した現在の南稚内駅である。現在の稚内駅は1923年に稚内港駅(わっかないみなとえき)として開業したものであるが、当時日本の統治下にあった南樺太(現在のロシアサハリン州)の大泊町に連絡する鉄道連絡船「稚泊航路」への接続のため駅のみが開業したもので、稚内港駅まで実際に鉄道の線路が伸びるのは、1928年のことである。1939年に(旧)稚内駅を南稚内駅に改称し、稚内港駅が稚内駅となった。1940年には渡航客の便を図るため、構内の仮乗降場扱いで稚内桟橋駅を開設したが、太平洋戦争(大東亜戦争)敗戦により、稚泊航路は運航休止となり、「桟橋駅」もそのまま自然消滅となった。