goo blog サービス終了のお知らせ 

~こころに吹く風~

1952年生まれの みよです。
人生の花野に遊びたい。
心躍ることも心塞ぐことも綴ります。

「一枚のハガキ」に想う

2011年12月26日 | 美しいEnergy

一つの映画を見て、様々な事を思い巡らしました。
思いつくまま脈絡なく記してみます。

大竹しのぶが言うように、この映画は新藤兼人監督の叫びだと感じました。
94人の戦死を背負って99歳になった監督の、死ぬ前に言い残しておきたかった想い。

けれど私が一番感じたのは、戦争のむごさというより、生きてゆこうとする人間の底力でした。
どんな逆境にも、涙を押し殺し(時に泣き叫ぶ事もあるけれど)、唇を噛みながら、ある意味諦めて、ありのままを受け入れて生きてゆく力。
その日その日、土を耕し、飯を食い、一日一日を暮らす強さ。
啓太と友子が天秤棒を担ぐシーンは「裸の島」を彷彿とさせました。あの映画も黙々と生きる家族の姿を描いていました。
友子と夫定造との性、友子と定造の弟三平との性、啓太の妻と父との性も印象的です。
生と性は深い関わりがあるのでしょう。

新藤兼人監督の「ボケ老人の孤独な散歩」という文庫本を読み終わった所です。
夏に彼が読んだものを貰って来ました。
本の上で何かメモをしたのでしょう、光にかざすと裏表紙に彼の筆跡の窪みがあります。初めて気付いた時は胸が痛んでしばらくは手に取る気になれませんでしたがもう大丈夫です。
新藤監督は永井荷風の「性」を散りばめながら、老と性について語っています。この本も「生と性」について書かれていたのですね。
この夏、彼はこれを読んで何を思っていたのでしょう。