ゆらぎつつゆく

添島揺之歌集。ツイッター感覚で毎日つぶやきます。色調主義とコラボ。

恋といふ色

2018-08-08 03:24:58 | 資料

世の中に恋といふ色はなけれどもふかく身にしむものにぞありける    和泉式部



後拾遺集からなので資料に入れた。

和泉にとっては恋は深く身に染みて苦しきものだったのだろう。

あついほどに男を思うことができる。

それをかなりの歌にして表現できる才能は見るべきものがある。

男としては怖い気がするが、無謀な挑戦をしてみたい気もする。



恋の色べにかあをかととふきみのあはきゑまひにしばしこたへず



うかつだった。





コメント (6)
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声はしてわれはここぞといふものの顔をさがしし小石の浜辺

2018-08-07 03:27:20 | 

声はしてわれはここぞといふものの顔をさがしし小石の浜辺    揺之






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春の光

2018-08-06 03:19:53 | 絵画


チャールズ・ハロルド・デイヴィス(1856-1933)、アメリカ。


春の淡く硬い光が描かれている。

静かな風景だ。

まばらに芽吹く樹木。

見える建物は教会だろう。


とほくきくたれの呼び声春の日のあはき光の降る丘の上    揺之






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砂浜を

2018-08-05 03:26:16 | 資料

砂浜を歩める人の遠ければ来るごとくまた行くごとく見ゆ    香川美人



これも本物の歌人であるらしい。

不毛の荒野を思わせる現代短歌の中で、わずかに水の気を感じるものである。

すぐれているとは言い難いが、確実に自分の歩を進めている人の作である。



浜を行くわれに気付きてとほつひとかすかにまよふ気配の見えぬ    揺之






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夏の日の歌

2018-08-04 03:26:23 | 資料


青い空は動かない、
雲片一つあるでない。
  夏の真昼の静かには
  タールの光も清くなる。

夏の空には何かがある、
いじらしく思わせる何かがある、
  焦げて図太い向日葵が
  田舎の駅には咲いている。

上手に子供を育てゆく、
母親に似て汽車の汽笛は鳴る。
  山の近くを走る時。

山の近くを走りながら、
母親に似て汽車の汽笛は鳴る。
  夏の真昼の暑い時。



今日は中也をとりあげた。
何かを浄めているような夏の光と、夏服の母の幻影がしじまのなかで結ぶ。
母親は上手に子供を育てられるのか。その声は汽笛に似ている。
何を言っているのか。

人間を育てるのはだれだろう。

真実との間に一瞬ひらめく傷が痛い。

詩人は親に上手に育てられたのだろうか。



かぞいろの夢となりたき子は病みてかなしかりけるゆがみゆく骨    揺之





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若しあらば

2018-08-03 03:25:17 | 資料

若しあらば煙草恵めと
寄りて来る
あとなし人と深夜に語る


今日は啄木である。
あとなし人とは、宿無しの放浪者という意味である。
いまでいうホームレスのことだ。
昔からそういう人間はいた。
啄木は煙草をめぐみ、何らかの話をしたのだろう。
その姿に、自分の何かを重ねでもしたろうか。
それとも、落ちた人間の卑しさをみたろうか。



はかなきといひてやすくは死なぬ身に老いてまた住むあとなし人よ    揺之





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青うみの

2018-08-02 03:25:10 | 資料

青うみのひかりはとはに明滅しふねはまひるの知多をはなるゝ    宮沢賢治



明滅ということばがでるとき、賢治の後ろに別の何かがたつ。
これは賢治自身の作とは厳密に言えぬ。賢治はこのような思索をする人ではない。
たれかほかの存在が、彼によって何かを表現しようとしている。

永遠の明滅とは何か。現れては消えてゆく生命の習いか。

その中で何かの繰り返しのごとく、船が動いてゆく。



まひるまのひかりまなこにあふれきてみさきにかかるあはき白雲    揺之





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サバンナの

2018-08-01 03:19:29 | 添削

サバンナの象のうんこよ聞いてくれだるいせつないこわいさみしい    穂村弘



これはもう馬鹿である。
破壊的だ。
小学生レベルである。
どういう理屈をつけてこれをほめあげたのか。



うれひせぬものやねたしかひとのくそとりのくそにもうたへこそすれ    揺之






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