新・浪漫@kaido kanata

三浦春馬氏出演番組のレポ、感想。三浦春馬氏イメージの小説、SS、ポエムなど。
普通の文学も書きます。電子書籍新刊案内。

ポエム 「青い風、黒い馬」

2020-04-30 15:58:19 | ポエム 満月
夜を、青い風が取り巻く。

これは何だ??
たてがみを乱すまがまがしい空気。

立ち上がったり、後ろ蹴りしても
気配は払いのけられぬ。
いななき、いななき、叫ぶ。

眼下に広がる森は 眠りの静寂の中。

早く目を醒ませ。
異様なものがやってくる。
陽の下の者たちを闇に引きずりこむ
恐ろしい何かが―――。

今こそ心に武器を持ち、武装しよう。
今こそ守ろう、私たち自身を―――。







三浦春馬氏イメージ小説「姥捨て山伝説」 第九章(全十一章)

2020-04-30 08:52:13 | イメージ小説
第 九 章 (全十一章)


「林檎だと??」
領主の家来が首をかしげて釣瓶(つるべ)を
上げようとした時、
井戸から溢れてくる林檎がどんどん飛び出してきた。
「なんだこりゃ。姫さまたちが見えなくなったぞ」
「重くて釣瓶がビクともせん!!」
騒ぐ村人たちをかき分けて領主が駆けつけてきた。
「姫、姫りんご姫や、どこにおるのじゃ、この林檎の山は何じゃ!!
生きているのか、皆の者、早う、姫を引きあげよっ!」
家来が十人くらい井戸の釣瓶に取りつき、
ひっぱり上げようとする。
その間にも井戸からどんどん林檎があふれてきて
その辺りに転がり始める。
 馬作と姫の姿は林檎に覆われて完全に見えない。
「姫~~~!!生きていてくれっ!!」
「馬作ぅ!!」
ばあちゃんも井戸へ向かって叫んだ。
家来どもが真っ赤な顔をして「せぇ~~の!!」で 
釣瓶を引上げ…… 、
やっと青林檎の中から馬作と姫のおでこが見えた。
「姫様、地上に上がれました。大丈夫か!?」
「は、はい」
ふたりは家来の手で井戸の外へ引き上げられ、地面に転がった。
全身びしょびしょだ。




「ちち……父上さまっ!!」
「倒れていた姫が侍女に助け起こされながら領主に叫んだ。

「この林檎たちは神様からのお恵みです。
一刻も早う、飢えている村の者たちに分け与えてくださいませっ!!
これだけあれば飢えているものの命を救うことができまするっ!」
「お~~~~~~!!」
一同、そろって姫りんご姫に目をやった。
馬作もギョッとして傍らの姫を改めて見つめる。


「そうじゃ!!そうじゃねえか!!
この林檎で腹が減りまくってる皆を満腹させることがで
きるじゃねえだか!!」
思いがけず、ヤマで拾った林檎を神社の井戸に
投げ込んだことが幸いして、村の窮地を救うことができる。
 たちまち有り余るほどの林檎が山から山へ選ばれた。







餓えに餓えていた農民たちは瑞々しい林檎の山に目を見開き、
老若男女は飛びついて、まず、丸かじりした。
「何日ぶりの食べ物じゃろう」
「むむ、歯ごたえがあって美味えのう」
「生き返る思いじゃ」
「五臓六腑に沁み渡るとはこのことじゃ!!」
 皆、生き生きとして大人は子どもにも与えてやっている。
農民だけでなく領主たちも皆、飢えているところを、
この林檎の山で潤った。
井戸からはまだまだ林檎が湧き続けて止まらない。

三浦春馬氏イメージ小説「姥捨て山伝説」青リンゴ 第八章

2020-04-29 08:30:38 | イメージ小説
     第 八 章(全十一話)

幾尺、下っただろう。
見上げる井戸の上の光が小さく見える。
「姫様、大事ございませんか?」
「はい」
「苦しゅうないケ? あ、苦しゅうございませんか?」
「はい」姫は 馬作の背中でクスッと笑って 




「それより 先ほどからそなたのマゲがわらわの鼻をくすぐって 
くしゃみが……くしゃみが……」
クシュンッと、姫の小さなくさめが井戸の中で何重にも響いた。
ふたりは笑いあって、さらに井戸の下へ下へと降りていった。
そこへ突然、馬作は足首を冷たいもので掴まれた。
「ひぇっ!!」
見下ろすと、井戸の底の暗闇から青白い手がにょっきり出てきて
足首を握っている。
手は二本、三本と 増えてくる。
「きゃ~~~~っ!!」
数十本までも増えた手は姫の足首やスネまで掴みはじめた。
馬作の腰や背中にも何本ものウデがまとわりつく。




ついにひとつの手が肩にかかり、濡れた黒髪、
白い額が肩越しに見えた時、
「ばあちゃん、助けてくれ~~~~!!」
 馬作の叫びに井戸を覗きこんだばあちゃんは

「これは……!餓えや寒さに耐えられず、
身投げした年寄の怨霊……」
ばあちゃんの眼光が異様な光を帯び、
「地獄へ去ぬ(いぬ)がよい。怨霊ども。
お前たちには気の毒と思うが、太陽の下に生きている若者たちを
地獄へ引きずり込む権利はお前たちには無い」
ばあちゃんの一喝に、馬作の肩にかかっていた 
白い手が力を緩めたと思うと、
次々と他のウデも力を失くして消えていった。
「ほう~~~~」
馬作と姫は心底、安堵したため息をついた。
姫の小さな胸からどきどきしているのを背中に感じる。
「もう、あの手はいなくなったど。姫様。
ばあちゃんが追っ払ってくれたらしい」
そして再び気を奮い立たせてそろりそろりと下っていく。





「あれは?」
 姫の声に下を見下ろすとようやく井戸の底に見えた、
どろんと黒い水面に鮮やかな薄みどり色の丸いものが 
ポコリと浮いている。
上からのかすかな光を受けて輝いている、
それは―――目を凝らすと林檎だ!!
たちまち漆黒の水面に黄緑色の林檎が
ポカリポカリと浮いてきて、
水面が見えなくなったと思うと 
どんどん増えて高く積み上げられていく。




★第九章に続く




三浦春馬氏 日本製「群馬県 達磨」

2020-04-28 13:22:08 | 日本製
「群馬県高崎市 だるま」

達磨の絵付け師さんから
「絵付けをしてみなさい」とひとつの達磨を渡され
「難しいことが、ふたつ。何だと思う?」と訊かれた
春馬氏。

絵付け師さんが「ひとつは 筆をつかうこと」
もうひとつは「一生懸命やった人ほど難しい」
と、絵付け師さんの言葉。
春馬氏は「難しい」と答えたから、
一生懸命、やらなくては気がすまないタイプなのが
ありありと判る。

達磨は願い事を願うために。叶った時に感謝するもの。

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手前みそですが、
この度、正座協会に提出した短編が
「だるま正座は、しあわ正座」というタイトル。

「しあわせ」+「正座」で「しあわ正座」にしました。

★七転び八起き、何回転んでも起き上がる根性。
「日本製」の春馬くんのだるま取材からも
 感じられました。
 何回、転んだって、
その度に起き上がればいいじゃないか。


(これは高崎だるまではありません)

 私の場合、柳のようなと例えられたことがあります。
 何回、挫折しようと柳のようにしなやかに
 攻撃を交わして生きていくのだそうです。

生きていくと、いろんな苦難が待ち受けています。
 達磨にせよ、柳にせよ、生きていくための手段。
 これからも力強く生きていこう、と
 思わせて下さる日本製の記事、
 そしてカラフルな達磨さんたちでした。

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★オマケのお話、春馬くんが14歳で出演した
 朝ドラ「ファイト」をリアルで見れたことも
 幸運だったと感謝します。
 カメラ小僧の岡部聖也くん役。
 群馬が舞台のドラマだったので、
 嬉しいエピソードが残ってます。

 「日本製」で、確かめてみて下さい!!

三浦春馬氏 イメージ小説「姥捨て山伝説」 青リンゴ 第七章(全十一章)

2020-04-28 13:09:14 | イメージ小説
思えば、少し前に我がばあちゃんを背負って
姥捨て山に登ったこと、
こうして姫を背負うこと、どっちもその命を
あずかってのことなのだが、因果応報を感じる。




ばあちゃんを捨てなければならなかったのは姫の領主の命令。
姫を背負うのは井戸のナゾを暴いてばあちゃんを家に戻すため。
馬作は領主の家来、数人に釣瓶(つるべ)を下してもらい、
積み石に囲まれた丸い井戸の中へ降りていった。
その年、村はかつてない飢饉に見舞われていた。
昨秋の野分(のわき・台風)による河川の氾濫で田畑は 
ほとんど水害を受け、粟も稗(ひえ)も、
麦も収穫できない有様だった。
冬から春にかけては雨が降らず、畑の種まき、
田植えの時期になっても水不足でままならない。
農民たちは、いつもに増して飢えていた。
領主も頭を抱えていた。
いつ、農一揆がおこっても不思議はない。
ようやく姫の身体が回復したのは、そんな時だった。




井戸を下っていく馬作と姫を見守りながら、
ややマシな着物を借りて着替えたばあちゃんが 
領主の前に進み出て膝を折った。
「オラ、いえ、私はただの村の老女でございますが、
ふと思い当たる節がございまして」
「何じゃ?申してみよ」
「古井戸にある何かというのは村に繁栄を
もたらすものかもしれねえし、
また災厄をもたらすものかもしれねえ、
という気がするのですじゃ」
「なに?繁栄か災厄とな?正反対のものではないか」
領主は老女をじろりと見て、唇をひん曲げた。
「きっと賢しい姫様はお気づきなのでしょう。
それをどうにかしなければ村の運命を 
左右するものでございましょうから」
メリケン一行も、老女の持つ雰囲気から
神妙な顔つきで取り巻いて見守っている。
「老女、そこへなおれいっ!!」
領主の怒号が飛んだ。家来が持っていた刀を鞘から抜く。
(ちと、カッコよすぎ)
「ご無礼の段は 重々承知の上でございます。
こんな年寄をお斬りになってもお刀を穢すだけ」
「うむむ……」
「姫さまはきっとナゾの一端をつかんで
お戻りになられるですじゃ。
マゴの馬作は貧しい育ちでも正義感強う育ててございます。
命に代えましても姫様を守り地上へ帰り着くと信じております」



伏せられながらも、老女の目は爛々と輝いて 
マゴの青年を信じている。まるで神社の巫女か仙女のようだ。
領主を始めとして、一同は圧倒されてひと言も返せないという 
気迫が老女からあふれていた。