kochikika ノート

旧「こちら某中堅企業企画室」。リーマン話、時事の話、パリーグ話など。ぼちぼちやってます。

内館さんが力士の四股名の乱れを嘆いているという話

2006-02-08 23:17:19 | スポーツ

直前のエントリでは日経の経済記事に関して突っ込んだのだが、実は同じ日のスポーツ面での“内館牧子さんが力士の四股名が乱れていることに怒っているコラム”も気になっていた。
「目覆うシコ名の乱れ」

シコ名の乱れは、いまや目を覆う惨状だ。
こんなシコ名をもらって、力士は本当にうれしいのだろうかと心配すると同時に、師匠のセンスのなさに私はぶっ倒れそうになる。
(2月6日付日経新聞 「スポートピア」より)
この期待を裏切らぬ豪快な書き出しに、私もぶっ倒れそうになる。
…って、特に批判する気はないのですけどね。この方の相撲愛は横審随一でしょうから。その愛の形には意見はあるでしょうが。

ただ内館さんならご承知のとおり、むかしから
すごい四股名は存在しており※、現代が目を覆う惨状かどうかは意見の分かれるところ。
(※リンク先
「Auto 大相撲」さま)

それはさておき、コラムの内容からして、「把瑠都」や「阿夢露」のような外国人力士の出身地のあて字四股名、佐渡ヶ嶽部屋や安治川部屋の力士のように、部屋ゆかりの文字を(無理やり)つける四股名などにご立腹のようだ。

当方、四股名にウンチクがあるわけではないが、こちら(wikipedia)にあるように、四股名にはいくつかのパターンがある。
そんな中、個人的な思いとしては「字面」「発する言葉の響き」「本人と四股名のイメージ合致」が重要なんであるが、今回は外国人力士に限っていくつか戯言なぞ。。

まずは出身地でのお気に入り。
相撲好き俳優の堺雅人が絶賛していた「黒海」。これは出身地にプラスして、実際の黒海は内海ながら字面からは深く大きいイメージを連想させ、いい感じである。
これが「黒の海」とかだと、汚染された海、あるいは黒星まみれのイメージが浮かんでしまう。

個人的な最高傑作は「時天空」。これなどは四股名だけでモンゴルの草原から仰ぎ見る空(俺的には夜空)を連想させるから素晴らしい。
まあブラジルやアルゼンチン出身といわれても通じないことはないが、「時」が(日本人にとっての)歴史を感じさせ、「天空」というスケールをあわせるとモンゴルだ。

一方、「隆の山」というチェコ出身の力士がいるのだが、この四股名からはアンコ型の人のよさそうな純日本人を連想してしまう。
「隆須羅武」とか「隆風羅覇」までいくとDQN丸出しで厳しいが(それに本人がかなり痩せ型ということもあり四股名イメージから遠くなる)、一ひねりあってもよかったかなとも思う。

しかし「把瑠都」なんかは、幸いにも「発する言葉の響き」が絶妙でよいと感じるのは自分だけだろうか。
そもそも「バ」とか「ガ」とか、濁音が入ると猛々しい感じが出て良いのである。しかも続く言葉が「瑠」に「都」と美しい字ということで絶妙だ。
 
だから力自慢が多いことで知られる、スペインのバスク地方出身の力士が登場したなら、「馬州玖」もアリだ。
いやちょっと厳しいか。。まあしかし、「把瑠都」を許すマインドの背景には、「男塾」世代であることを認めるにやぶさかでないのだが。。


そもそも大相撲の長い歴史の中で、外国人力士を本格的に受け入れてからまだ歴史は浅い。多少の違和感が生じるのはやむをえない。
また今後はわからないが、部屋における外国人枠があるので、変な話、エストニア出身でも近隣諸国出身者が少なければ「把瑠都」で許される状況がある。

そして外国人に日本名をつけるときには配慮が必要という点もある。
むかしロシア出身の勇利アルバチャコフという名ボクサーがいたが、最初はユーリ海老原というリングネームだった。

これは所属する協栄ジムから誕生した最初の世界王者海老原博幸氏にちなんでという、親心半分、興行配慮半分の策だったが、エビというのは彼の国では女性器をあらわす言葉だったということもあり、本人の希望で改名と相成った。
恥ずかしかったろう。出身地四股名はその点、無難である。

何より内館さんの怒りの根本要因は、現在増えている中・東欧系力士に相応しい四股名への日本人のイメージの欠如であろう。

その最たるものが「琴欧州」であり、先にエストニア出身でも「把瑠都」はOKとしたが、ブルガリアで欧州とはいかにも大雑把過ぎである。
またモンゴル系力士にしても数が増えたために、最近は「猛虎浪」などアバウトなものが出てきている。

「時天空」などは地名を使わずにモンゴルの自然を連想させつつ、スケールの大きさと美しさを併せ持つ事例だが、日本人に中・東欧を連想させるイメージが容易に浮かばないために、彼らに対しこのような四股名が生まれてこないのではないか。

内館さんはコラムの中で親方のネーミングセンスを批判している。
騎士とか、王家・貴族とか、歴史ある都市とか、革命とか、ヒントはありそうなのだが、これをベースに親方衆に考えろといっても無理であり、最初から期待できないものを叱ってもしょうがない。

むしろこの辺は文筆のプロである内館さんの仕事であるようにさえ思うのだが、それが叶わぬのなら、四股名の了承は最終的に協会が行うので、協会を通じて物申すとしたらどうだろうか。


さて。
四股名絡みでもう2点。
 
好漢、おなじみ「栃乃洋」である。
先日の大相撲トーナメントで十両優勝を果たしたのだが、場内アナウンス担当のフジの牧原アナウンサーは「優勝しましたトチトダナに表彰状と賞金50万円が・・・」とカミカミであった。

NHKアナのレベルの高さを物語るといえばそれまでだが、きちんと発音してもらえない四股名というのは本人がかわいそうではないか。もちろん改名しろなどとは言わないが、今後に気をつけて欲しいということで。
 
それから将来期待の元高校横綱、「澤井」。
やくみつるだかデーモン閣下だか忘れたが、出世したらイチローよろしく四股名を本名の「豪太郎」にすべきと提唱していた。

これはぜひ、内館さんに認めてほしい提案だと思う。

 


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2 コメント

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内舘牧子の脚本、小説だって、大した事無いのに! (るか)
2006-03-11 02:57:55
内舘サン、口出し過ぎ、煩さ過ぎ。御自身の脚本も小説も、前半イケるけど、後半の盛り下がり、加えてシツコサ、もうやめて★

委員だって、変化するなとか煩い。それは若い力士か押し相撲力士に言うべき事であり、酸いも甘いも嚼みわけた技能\力士に言う事じゃないでしょ。

そんなに内舘自身分センスあるわけじゃないのに。琴欧州、わかり易くて、良いじゃん!

もう、内舘牧子、シツコイオバサンの悪さ全開です。
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Unknown (kochikika)
2006-03-11 15:54:40
るかさん、はじめまして。内舘さんのごとくご立腹ですね。

自分も前までは横審に外国人力士を差別するような匂いを感じ、怒り狂っておりましたが、最近歳とったせいか「まあ、ああいう爺さん婆さんがいてもいいか」と思えるようになってきました。

内舘さんに関して言えば、東北大相撲部監督になり、しかも結果を出してしまうほどの相撲好きですんで、その愛に免じて許すという感じです。
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