kochikika ノート

旧「こちら某中堅企業企画室」。リーマン話、時事の話、パリーグ話など。ぼちぼちやってます。

デンマークとキューバのエコ話など

2005-09-27 01:02:35 | 環境関連

環境先進国、デンマークでなかなか夢のある話が。

10年間で再生可能なエネルギーの導入100%の島にすることを目的に、98年スタートしたデンマーク・サムソー島(人口4300人)の試みが、今年完成した3番目のバイオマス原料(麦わらなど)の熱供給システムの設置で、ほぼ完了した。
(9月26日付日刊工業新聞)

いかにも寒そうな(失敬)島への暖房用熱需要を、上記のようなバイオマスで70%まかない、電気は風力発電で島の全電力を賄っているという(むしろユトランド半島に売電している。風力発電の出力は1000kW×11基)。

今回のシステム設置で、この島の電力、熱はほぼすべて再生可能エネルギーで対応し、こうした新エネルギー事業が島の雇用創出にも役立っているとのこと。

思いっきり単純計算で、日本の人口(1億2000万とすると)を風力で賄うとしたら、1000kW級が20万基超必要に必要になってしまうのですが、ひとつの閉じられた集まりが、再生可能エネルギーで賄われるという姿には、何やら誘惑を感じてしまいます。

エネルギーに続き、今度は食料の話をキューバから。

米ソ冷戦の渦中にあって、かつては知られざる小国であったキューバがいま、“有機農業大国”として世界中から熱い視線を集めている。ソ連圏の崩壊とアメリカの経済制裁により、食料、石油、医薬品が途絶えるという緊急事態に遭遇したキューバは、国をあげて「都市農業」に取り組み、わずか10余年で有機農業による野菜の完全自給に成功したのだった。
(月刊省エネルギー9月号「時世の地平線」より)

この話は、そうしたキューバに魅せられ、エネルギーを大量消費しないで、充分豊かな生活ができないものかという点を模索する自治体職員のインタビュー記事なのですが、要するに、

10年前のソ連とその同盟国との好意的な貿易協定から遮断され、国際市場で購入することができなくなり、キューバは石油と石油派生品なしに農業を行う巨大な研究所となった。

その「研究」の結果、

2000年末までに、キューバの食料有効性が毎日の一人当たりの2,600カロリーと68グラム以上の蛋白質の数値に達したということである。国連食糧農業機関は、1日当たり2,400カロリーと72グラムの蛋白質を適切な食事と考えている。残された問題領域があるにもかかわらず、厳しい食糧不足危機は本質的に終わった。
(以上、こっちの引用はこちら様より。「研究」の詳細等はリンク先参照)

また、石油の遮断は彼らに代替エネルギーの模索を強いることになったわけですが、その点は国を挙げての厳しい省エネと、太陽光を中心とした新エネルギーの活用により、「山奥でも最低限の照明を確保」できるようになったとのことです。

キューバは小学校から大学まで無料。平均年齢は75歳。夜は省エネ運動の影響でハバナも真っ暗なのに女性はホットパンツで一人歩きという治安のよさ。

またもや人口1100万の国、閉じられた集団が、「MOTTAINAI」を地でいきながら、文化的な生活を送っているという何とも誘惑的な姿が浮かんでしまいます。

何というか、こうしたデンマークやキューバに誘惑を感じてしまうのは、おとぎ話や童話で聞いた平和な村、平和な島、平和な国の風景、緩やかに閉じられたマターリ空間を連想させるからなのかなと思ったりします。

かといってPCに向かいてブログをすなる生活を諦めるというのもちと辛い。
思うに日本としては、ハイテクとマターリが同居するペンギン村みたいな生活ができれば、これがベストかなと。ブレードランナーみたいなCO2もくもくの世界よりは遥かにいい。

まあ、与太話はさておき、この「省エネルギー」のインタビュー記事で、自治体職員氏がキューバに触れた感想をこう語っています。

人間は科学技術を適正に使うことによって十分豊かに暮らしていけるし、発展していく可能性もあるという希望を与えられました。

手本がキューバであって、かつこの方面に進んでいくと、エコ通貨とかいう話が出てきて、それが現在の貨幣経済を否定する動き(ミヒャエル・エンデの考え方など)につながり、さらにはイデオロギーもくっついてきて妙な方向に流れていくという懸念はあるのですが、
(いや、正直、そっちにも誘惑とまではいかないが興味はある。マネー経済全盛イヤだし)
今日のフジサンケイビジネスアイの一面(“「経済」の命運握る「環境」 ”)にあったように、環境軽視の「発展」には厳しい視線を送るべきなんだろうなとは思います。
もし両国にすこしでも誘惑を覚えたのなら。

とにかく、上記自治体職員氏をはじめ、関係各位の努力に期待しましょう。
ちなみに職員氏は、長野県の方です。頑張ってください。

さて。

キューバの「研究」に関するリンク先には、このようなことも書いています。

他の第三世界諸国はキューバの経験から学ぶことでうまくやれるだろう。ほとんどの国々は十分な食物を生産し、彼らの人民に適切な食事を保証することができる。

こういう話を聞くに、ホワイトバンド運動など「ほっとけ」という話になってしまうのですが。。植民地支配の歴史の件もさることながら。

キューバの例に倣うなら、必要なのは、格差をなくすこと、そして自国に何が必要かを判断でき、それを実行できる民度、つまり教育ということになります。
そのインフラ整備のための援助は必要なんでしょうけどね。
ゾマホンさんは正しいんでしょうね。


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4 コメント

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Unknown (さなえ)
2005-09-27 07:25:11
おはようございます。TBありがとうございました。希望がもてるいいお話しですね。何が幸いするか分からないというのは個人だけではなく国家にも当てはまるんですね。

エラーが出てTBができませんでしたので、25日のエントリの方で試してみたら、成功してしまい関係のない25日のエントリの方に入ってしまいました。整理整頓好きな方なら申し訳ないです。
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Unknown (kochikika)
2005-09-27 23:01:30
コメントありがとうございました。

自然に関することと格差社会への疑義へのエントリが多いとお見受けし、TBさせていただきました。

ライブドアさんからはエラーが多く出るようです。ご迷惑をおかけしました。
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Unknown (てけてけ)
2005-09-28 00:19:03
石油遮断に対抗して、中国から自転車を大量に購入して

全国民に無償で配布した、というのも有名な話ですね。



まじでキューバで働く手はないか、いやむしろ

国民になる手はないものか、真剣に考えてしまいます。
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Unknown (kochikika)
2005-09-28 07:01:15
>てけてけさん



コメントありがとうございます。

実はキューバの件、あまりよく知らなかったのですが、国民の意思がまとまればここまでできるということ、アンチグローバルの成功事例だと思います。

自治体職員氏曰く、革命からまだ間がなく、いわば西郷隆盛や坂本竜馬が現役というお国柄も影響しているとのことでした。

その意味ではこれからが注目かもしれません。
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