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コロナの今だからこそ 樹木希林さんの子育てから「適合力」を学んでみる

2020年04月14日 | ★名物





ああするべきだ、こうしちゃいけない
ああしちゃいけないというものの中からは
人は育たない気がする」。

 そう言って、娘には仲良くというより無関心をよそおった女優の樹木希林さん。
 コロナウイルスで学校が休校になったり、自宅での勤務や休暇が増えたりするなど、親子の向き合う時間が増える昨今、そんな希林さんの子育てが、注目を浴びています。

 彼女の子育ては、一見すると、ある意味ストイックな子育てです。
・オモチャは一度も買わない
・服はいつも誰かのおさがり
・食事は極めて質素で、肉はほとんどなく一汁一菜とお漬物

「私が小さい頃の母は本当に厳しい人でした。といっても、『あれをしてはダメ』という厳しさではありません。子どもをかわいがるというより、『私はこうやって歩いていくからついてきなさい』という感じで、時々振り向いて確認してくれる、という親子関係でした」。

 一人娘の内田也哉子さんは、母である希林さんをこう振り返ります。
「うちは自由すぎて、門限もない。何をしてはいけないもない。全部自分の自己責任っていって育ったから、怖くてしょうがなかった。その自由が」。

 一方母である希林さんは娘への思いをこう話します。
「女同志とかっていうより、人として付き合っていたという感じがするんですよね。だから、赤ん坊だとか、子どもだとかという風には思わない。結構、残酷にものを言っちゃったりしますけどね。でも、傷ついたりするでしょ。そうすると、なんか純粋培養で育っちゃって、社会に出てから挫折するとまずいから、私のところで随分傷ついてもいいかなあと、いう風なところもあって、だから、うちの子どもを育てるときに、一人っ子だったから、例えば、何かケーキでも、何か美味しいものでもあったときに、はーいって出したあとに、私が一番最初だからね。私が最初に取るようにしていたの。これは、人から見るとなんて親だと思うかもしれないけど、何々ちゃん食べなさいっていうことはしなかったわね。わざと。世の中みんな出たときに、『あなたがどうぞ』っていう風にはいかない…」。


 「彼女の子育ての良さは、比較せず、競争させず、せかさずに、子どもに自己決定と多面的な価値観、そして逃げ道を与え続けたことじゃないでしょうか。」
 
そう児童精神科医は言います。

「つまり、子どもに一番大切な、『世の中に適合していく力』をつける子育てなんです。多様化し、国際化し、IT化するなど、複雑化しながら急速に変化する現代、その世間の荒波を乗り越えていくために、子どもにとって、今最も必要とされているのは、習いごとが上手に出来たり、学校の成績が良かったりするなどの、『競争力』ではなく、『適合力』なんです。自分で決めて、失敗し、失敗から学んで自分の良さを引き出す力です。不便さですら楽しむ力です。これは単に親が子どもを保護するだけでは得られない能力です。進化論で有名なダーウィンの言葉を借りるなら『生き残る種とは、最も強いものではない。最も知的なものでもない。それは、変化に最もよく適応したものである。』ということなのです」。


 希林さんは、競争させたくないと、娘を受験させませんでした。そして、娘にはいつも「あなたが決めてよ」といいます。そして、娘が自分で決めた転校先でうまくいかずに、落ち込んでいると、こう言いました。
何ガマンしているの?いやだったらやめればいいじゃない」。
 
 結果、娘の也哉子さんは、早くから親離れをし、社会に適合しながら自立し、結婚、子育て、さらにはエッセイストとしても、活躍されています。 


 そんな子育てをされた樹木希林さんですが、彼女自身はいったい、どのように育てられたのでしょうか?
 子どもの頃の希林さんは、ほとんど言葉を話さず、一人遊びばかりして、友だちもできなかったそうです。学校に行きたくない日もありました。そんなとき、お父さまは言いました。
いかなくていいよ。それより、こっちへおいで」。

 お母さまは、言葉を話さない彼女をそっと見守りました。そして仕事場の繁華街の喧騒のなかで、自由に遊ばせます。
彼女は振り返ります。
「人をずーっと見ていたの。あの時代の繁華街の喧騒の中にいたことは、役者として私の財産だなって思う」。

 また両親は、「それは違うでしょ」とは決して言わなかったそうです。子どもらしい、おかしな、変わったことをしても、笑っていいました。
お前は大したもんだよ」。

 災害が起こったり、感染症が流行したりするなど、少し前には予想もつかなかったようなことが起こりがちな日々。世の中や人に与えられた価値観に惑わされず、何があろうともブレずに、変化する社会に適応する。さらには、不便さですら楽しんで行動できる。そんな希林さんの『適合力』を育む子育てが、こんな時代だからこそ、必要とされているのかもしれません。

 希林さんは、晩年はよくこうおっしゃっていました。
人の価値観なんて時代と共に変わる。私はわたし」。


出展;人と比べなければ子どもは伸びる
   マキノ出版 2020年4月28日発売


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