大同大学-高森裁判 経過ブログ

「ペンネーム使えますか?」
問い合わせただけで契約を解除された高森が、支援者とともに裁判を闘うドキュメンタリー。

権限て?

2009-06-06 16:45:18 | 法律論
 先日の裁判での、権限についての議論で素人には分かりにくいところがあります。

 裁判長は「権限がある人が手続きを踏んだ場合に契約は成立する」というような理解に立った発言をなさっていました。

 企業譲渡のお話も出ていましたが、たとえばその会社の役員である人が出てきて、社長等との話もしてある風なことをいって契約を結び、あとになって「そんな話は聞いてないし、役員会でも話題も出ていないので、その契約は無効です」といわれた場合、そのために譲渡を受けたと思っていた会社の損失はどうなってしまうのか?ということです。

 今回は、教授会メンバーである担当教員が出てきて、少なくとも教室主任とは相談の上、話をまとめてメールが来ているわけです。これを信用したら、「権限がどこにあるか調べもしなかったお前が錯誤をしているのだ」といわれてしまった。ぼくからすると晴天の霹靂以外の何物でもありません。

 もしこのようなことがまかり通るならば、昨今問題になっている内定切りを正当化する論理を与えることになります。中小企業などはとくに、履歴書をみて、立ち話で社長と担当者で決定してしまうことが多いわけで、それが記録に残っているということはあまりないはずです。ぼくが以前勤務していたところはそんなもんでした。そういう状況であれば、採用の権限がある人事部長だか社長だか知りませんが、その人を通さないで連絡係の平社員が確認をせず採用内定の電話通知を行っただけだ、と言えば、内定切りが正当化されてしまうという論理ができてしまいます。その人が、そこで就職活動をやめてしまったとしたら、極めて重大な損失を被ることになるはずです。この場合、その連絡係の平社員個人に損害賠償を請求することになるんでしょうか? 実際に、その個人だけが関与しているわけではなく、組織的、系統的に指揮命令下にあり(つまりその平社員が上にお伺いを立てて承認をもらっている場合に)、なぜ権限があるかどうかを確認しなかった方だけに責任が帰せられるのか?というのは普通に言っておかしいことのような気がします。どうなんでしょうか?

 法律に詳しい方は教えていただけると幸いです。

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大同大学の主張3 就業規則について 付け足し

2009-05-25 02:38:01 | 法律論
 労働法に言う労働者とはどんなものなのか、ということを見てみました。
 ぼくも、法律については、裁判を起こしてから、法学者や弁護士さんにご意見を聞きながら少しずつ勉強している段階で、おかしなことを言っているかもしれないので、もしおかしなことを言っていたらご指摘ください。

 さて、大同大学が非常勤講師に適用される就業規則を作っていない理由として、挙げている理由のひとつに、「講義のみならず校務にも従事する専任教員(教授、准教授、講師および助手)とは全く異なる立場にある」というのがあります。
 全く違うならば、その働き方に合わせた就業規則がなければならないのは当然のことで、これは論理的に非常勤講師向けの就業規則を作る理由にこそなれ、作らない理由になるとは思えません。ようは、大学側が大切な労働力だと思ってみておらず、いつクビを切ってもかまわないし、ちゃんと雇用してやる必要もないと思っているということを表しているように思われてなりません。

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労働者ってだれのこと?

2009-05-23 00:02:02 | 法律論
 前回の公判の報告で「なお、大学側準備書面に記載されていた「論点」として、大学の非常勤講師の契約関係が、「請負または準委任に近い」うんぬんという箇所がありましたが、この点に関し竹内弁護士から被告側に確認したところ、労働契約であることを前提とした審理を行うということで、裁判官の判断で、論点群から消えることになりました」ということを前田さんが書いてくれました。

 これは「労働者性」について理解していないと分からないと思います。
 「はたらく人」は、大きく「労働者」と「自営業者」がいます。
 「労働者」は会社に雇用されて働く人で、「自営業者」は雇用されず独立して働いています。その組織でどういう呼び方をされているにせよ、実質上、労働者性が認められれば労働法の適用になります。
 労働者にたいする法的保護としてまっさきに思いつくのは、労災補償でしょう。業務が原因でケガをしたり、病気になったりした場合、労災保険の補償が受けられます。そうすると治療は自己負担なしということになります。
 自営業者は、国民健康保険であれば3割負担です。
 長期の入院になったりするような場合には、たいへんな違いがあるわけです。

 労働者ではないということになると、労働基準法や労働契約法などのいわゆる労働法が適用できなくなります。

 大同大学は、非常勤講師は労働者であるよりも、自営業者としての色合いが強いので、就業規則を作っていないということをいってきました。
 10人以上の労働者を雇用する使用者は、就業規則を作って、労働者の代表(過半数の組合員がいる労働組合か、過半数の労働者により選任された代表者)の意見を聞いたうえで、労働基準監督署にも提出する義務があります。
 大同大学は、非常勤講師に適用される就業規則を作っていなかったので、「非常勤講師は労働者ではない」というほかなかったのでしょう。出入りの業者が、大学で授業をしているということです。

 もしそうなると、労働法でのお話ではなく、民法の契約によるお話になってしまいますので、世界が違います。労働法では、使用者は勝手に解雇してはいけないことになりまして、労働者はわりと守られているわけですね。

 今回、大同大学側からの文書には、就業規則がない理由として、非常勤講師は労働者性が希薄だというようなことを書いていて、そうなるとひょっとしてこの裁判で私が労働者なのかどうかを争わなければならないのか、と思ったりもしたのですが、そこは裁判長が采配を振るってくださいました。そこは一安心ですね。

 ところで、これから大同大学は非常勤講師の就業規則を作らなきゃいけないんだけど、それは大同大学の教職員組合に見せればいいのでしょうか? 大同大学の教職員組合には非常勤講師は加入していないので、当事者不在で通ってしまうことがありうるな、と思います。
 ただし、就業規則は使用者が作ることができ、事情聴取をしさえすれば労働基準監督署は受け取ってくれますので、そう変わらないのかもしれませんね。

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争点はここだ!② 成立した契約の破棄である

2009-04-19 23:00:53 | 法律論
 高森さんは、大学の理不尽な対応について、話し合いで解決できないかと、東海圏大学非常勤講師組合に加入し、団体交渉しようとしました。労働組合員が労働組合の立場で団体交渉を申し入れた場合、使用者には団体交渉に応じる労働組合法上の義務が発生するからです。そして、11月21日時点で、組合は団体交渉を申し入れました。
 ところが大学側は、高森さんと大学との間には、どんなかたちの労働契約も存在していない、契約がない以上団体交渉に応じる義務も何もないと、団体交渉を拒否しました。
 しかし、経過で明らかなように、大学側窓口担当者から10月29日に、「授業担当をお引き受けいただき、誠にありがとうございました」との返事があったのです。講義担当につき、大学側と高森さんの双方の意思が確認され、労働契約が成立したのです。
 その後、愛知県労働委員会にあっせんを申請しました。そこに大学側も来ましたが、「契約は存在しない」との一点張りです。結局、大学側は解決金の提示はするものの講義の担当を蹴って、あっせんは不調に終わりました。

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争点はここだ!① 契約の一方的な打ち切りである

2009-04-19 22:45:25 | 法律論
 大同工業大学は、「ペンネームを使用できますか?」との問い合わせに対する対応として、「前例のない事態に対処するだけの余裕がなかった」などの身勝手な理由により、非常勤講師の労働契約を破棄しました。争点は、労働者がその働く条件の希望を述べたりを問い合わせた場合に、使用者側が気に入らないとして、一方的にクビにしていいかどうか、そこで契約は成立していなかったのかです。労働基準法では、労働条件は労働者と使用者が対等に決定すべきとしていますが、これでは使用者側が気ままに一方的に決めていいことになってしまいます。

争点その①
契約の一方的打切りである

 誰しも労働条件について、機会があれば会社側にさまざま質問できます。希望を述べたり賃金のことや残業代、有給休暇などのこともあるかもしれません。会社は、それらについて、懇切ていねいに答えてくれるはずです。また、労働条件の明示は、法律で決まっています。さらに、労働基準法2条は、労働条件は労働者と使用者が対等に決定すべきものと規定しています。つまり、労働条件は、労働者と会社とが話し合いをして合意したものでなければいけません。そのためには、前提として、どんなことでも質問できなければなりません。
 しかし、大同工業大学は、「ペンネームを使っていいですか?」という質問に対して、いきなりクビにしてきたのです。労働条件を話し合って決めることを無視しています。

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