油屋種吉の独り言

日記や随筆をのせます。

せっせと草刈り。

2024-09-08 19:15:08 | 随筆
 生まれて初めて、おなかにメスを入れた。
 ほんというと切りたくなかった。

 「親にもらったからだ。傷つけたくないで
すよ」

 大きな声で叫びたかったが、
 「オペしないと症状がおさまらないんです
よ」
 とのお医者さまの返事。

 そけいヘルニア。

 外科的には軽いオペだといわれたが…。
 オペなど受けたことがない。
 
 まったく実感がわかなかった。

 オペ以来、常時、おなかに力が入らぬよ
う心がけている。

 あまりに重いものが持てない。
 ゴルフなどご法度である。

 むりすると、反対側のそけい部も脱腸を
さそう恐れがあるらしい。

 左側だったから、リンパを外した。

 右側もヘルニアになってしまうと、足の
むくみがひどいらしい。

 いとこが右側にヘルニアをわずらった。
 彼女の話を聞いて、良くわかった。

 人のからだはよくできたもの。
 そう実感する日々である。

 高齢者の七人にひとりがなるという。

 年老いた身体であるからには、あちこち
古くなってきている。
 そういうことである。

 みなさまもくれぐれもご注意あれ。

 この五月に発病。
 最初、ただの筋肉痛くらいにしか、思っ
ていなかった。

 ぽっこり部分に、シップを貼ってみたり
したが、まったく役に立たない。

 七月初めに、ようやく外科医をたずねた。
 階段を降りる際、激痛が走ったからであっ
た。

 田畑を所有していて、野良仕事に精出す
必要にせまられていた。

 しかし、見て見ぬふりをせざるをえない
日々を過ごした。

 田んぼの代かきやくろぬり。
 とうとう、人に任せた。
 お金はありがたい。
 つくづく、そう思った。

 この先、どうしよう。
 不安がわたしの胸をさいなむが、
 「その時は、また、その時で、考えればい
いや」
 そう割り切ることにした。
 精神衛生上、良くないからである。

 耕運機やトラクターをうごかせないのが
つらい。
 しかし、無理して動かして、病が再発。
 再びの「まな板の上の鯉」。
 そうは決してなりたくはない。

 二十年ほど前の韓ドラ「チャングム」を
期せずして想いだしてしまった。

 物語の終盤。
 (切開すれば治るかもしれない)
 王様にそう進言したチャングム。

 だが、当時の医療事情からすれば、とん
でもない話だった。

 外科手術。
 いままで、これほど真面目に考えたこと
がなかった。
 
 歴史的事情やら、いろんなことがわかっ
て、とても勉強になった。

 今は、おなかに力をこめないよう、地面
にすわりこみ、手鎌でせっせと草を刈る日
々ではある。

 人間、動けるうちは動かなくては。
 
コメント (3)
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