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くまくまDays~アデレードな日常~

新しい環境の中で感じたことをつれづれに書きつづります。

ヘンドラウイルスの猛威

2011-07-17 22:06:38 | オーストラリアについて
日本では大きく報道されていないかもしれませんがクイーンズランド州を中心に、馬のヘンドラウイルスが流行しており、クイーンズランド各地で症例が報告されています。

当初ブリスベン近郊のみで報告されていたのですが、最近では、ケアンズ近郊までその影響が広がり、ケアンズの観光客に人気の乗馬ツアーは軒並み中止となっているようです。

ヘンドラウイルスは、日本では、モルビリウイルス肺炎を引き起こすウイルスとして認識されており、馬と密接にコンタクトと持った場合に、人間にも感染する可能性のある人畜感染症です。通常の生活をしている上で、馬とかかわりを持つことは少ないと思うので、過度に心配する必要はありませんが、こうした病気が広まっていることを知識として知っていることは必要だと思います。

厚生省の検疫所にも注意情報が出ています → http://www.forth.go.jp/topics/2011/07111309.html

現地で乗馬等を行う方は次の点にご注意ください

○体調の悪そうな馬には近づかないでください。決して触らないでください。
○馬の体調が判断できない場合も、馬に近づかないでください。
○ケガをしているひとは、できるだけ乗馬を避けてください。どうしても乗馬を行うのであれば、ケガの部分をバンドエイド等で完全に覆うなどの感染を防ぐための適切な処置を行ってください。
○頻繁に手を洗うようにしてください。特に馬の口や鼻をさわった後(たとえば馬勒(馬の頭部に取り付ける馬具)の着脱時)、食事、喫煙の前や自分の目、鼻および口を触る前によく洗ってください。
○馬の鼻の周辺には絶対にキス等をしないでください。
○馬の各種体液(唾液、鼻汁、尿など)が体につかないような服装を着用してください。

馬とキスはしないだろう・・と思うのは、くまだけでしょうか。

タイガー航空運航停止処分

2011-07-03 20:00:00 | オーストラリアについて
カンタス、ジェットスター、バージンオーストラリアに続く、4番目の航空会社であるタイガー航空(Tiger Airways)は、LCCとして人気があります。人気の秘密はなんといってもその値段。短距離バスに乗るんじゃないか?くらいの値段、数十ドルの単位で飛行機に乗れるというのは大きな魅力ですよね。ジェットスターもバージンオーストラリアも格安航空会社(LCC)を謳ってはいますが、週末やホリデーシーズンなどは決して「格安」というわけでもなく、場合によってはカンタスの方が安い場合もあります。荷物や機内飲み物などのサービスを考えると、やはり個人的にはカンタスかな~と思う次第です。

そのタイガー航空ですが、オーストラリア政府の民間航空安全局(CASA)から、国内便に関して、安全上の不備を指摘され、7月2日付で1週間の運行停止処分が下されたようです。CASAの声明によれば、

○2011年3月に起きたインシデントに関する報告が不十分。
○それ以降も、安全性に疑義をはさまざるを得ない事案が発生したことから、同社のパイロットの能力、機体の整備状況等を向上させる必要あり。
○タイガー航空に運行の許可を与える続けることは、安全性について深刻な疑義があるものと思料。

とのことです。

格安であれ、なんであれ、安全性は大前提ですよね。専門的なことはわからないのですが、一度は免許を受けた航空会社が、運航停止処分を受けるなんて、「普通」じゃないです。処分の前には当局による検査や勧告等、改善策が奨励されているはずであろうにもかかわらず。です。

飛行機の運航を止めた場合の影響は、当局が一番分かっているでしょう。来週からホリデーシーズンとなるので、旅行を楽しみにしていた家族等への影響ははかり知れません。それでも運行停止処分を下すということは、よほどのことがあったんでしょう。いやはや心配でなりません。

あくまで伝聞ベースなのですが、タイガー航空は、遅延は当たり前、予告なくキャンセルがあったり、など、いいウワサを全く聞かないので、くまは一度もタイガー航空を使ったことはないですし、これからも使うことはないと思います。とある旅行代理店では、遅延、キャンセルなどが多いタイガー航空の取扱いをしないというところもあるようです。

一応、今回の処分は、1週間ということになっていますが、安全性をCASAが確認するまでとなっているので、場合によっては数週間に及ぶ可能性もあるそうです。とりあえずTigerで旅行しようとしている方は、代わりの便を予約するか、旅行代理店などに相談してみてください。

それにしても、チリの火山灰といい、今回の事案といい、最近のオーストラリアの航空業界はすったもんだですね。

5セント硬貨廃止!?

2011-06-30 18:38:00 | オーストラリアについて
6月26日付サン-ヘラルド紙は、「政府は、5セント硬貨の製造コストが額面を上回っており、インフレの影響もあって、これを廃止するのが妥当とするオーストラリア造幣局の勧告を検討中」という趣旨の記事を発表しました。これを受けて、5セント硬貨廃止か!?というニュースがオーストラリア国内を駆け巡っています。

記事によれば、昨今の金属の価格高騰により、5セント硬貨を作るコストがその価値を上回っていること(5セントは約4円)、またインフレ、電子マネー等の普及により5セント硬貨の需要が減少していることなどから、硬貨の発行権限を握る造幣局が、財務省に対して、硬貨の廃止を勧告し、それを財務省が「検討中」とした」とされています。

現在のオーストラリアの最低価値の硬貨は5セントであり、これが廃止されるとなれば、スーパーなどで買い物をした際は10セント単位に切り上げ又は切り捨てされることになります。オーストラリアの硬貨廃止の歴史ははじめてではなく、1992年には、1セント硬貨、2セント硬貨を廃止しています。

どのように切り上げ、切り捨てがなされるのかは分かりませんが、想像するに、

1~4セント・・切り捨て
5~9セント・・切り上げ

となるんですかね。

そうなると、左が実際の金額、右が調整後の金額と仮定すると、現行では

 1・・0
 2・・0
 3・・5
 4・・5
 6・・5
 7・・5
 8・・10
 9・・10
11・・10
12・・10
13・・15
14・・15

となるんですが、10セント単位での調整となると、

 1・・0
 2・・0
 3・・0
 4・・0
 5・・10
 6・・10
 7・・10
 8・・10
 9・・10
11・・10
12・・10
13・・10
14・・10

と試算できます。値上げになる場合、値下げになる場合と両方考えられるので、一概にお得か否かは評価できませんが、直感的にはなんだか損をしている気分になりますよね。クレジットカードやEFTPOSを使う場合は、今まで同様、1セント単位で請求されるわけですから。

これに対して、財務省も、造幣局も、その事実を否定しています。造幣局HPには、「5セント硬貨に関するQ&A」を設けて、火消しに躍起になっています。
http://www.ramint.gov.au/media/noticeboard/2011/20110517.cfm

これも、おおさらな(おおざっぱな)オーストラリア人だからこそできる術ですよね。日本だったら1円でもお釣りが勝手に切り上げられていたとなれば・・大問題かと(笑)

当分は推移を見守るしかないようですが、確かに使用頻度が少ない5セント硬貨。さてさてどうなることやら。

Look, uh...

2011-06-22 22:06:29 | オーストラリアについて
オーストラリアに来て驚いたことの一つは、テレビやラジオで、政治家の記者会見が生中継されることが多いこと。大臣や与党の議員が何かの集会に呼ばれて演説するというだけではなく、国会内でちょっとした記者会見に応じるといった場面も生中継されることが多いです。そして、その会見が、それほど重要かといえば、そうでないことも多いです。与党議員と同等の扱いというまではいきませんが、野党議員の会見も、多くテレビで中継されます。ニュース番組が放送されていても、記者会見が始まるからという理由で、プログラムが一時中断するということもザラです。

我々がニュースや新聞で見る記事は、これらの記者会見から、記者が一部分を切り取り、インパクトのある表題を付けることで成立します。そのため、一部分だけを聞いていると、「ひどいことを言っているな!」と思っても、前後の文脈をみればそんなことはないというのは往々にしてあります。論文を書くときも同様ですが、「Aさんが、△△と言っていた」という主張を鵜呑みにするのではなく、当事者の発言(Aさん)そのものを確認することが重要です。その意味でも、記者会見の生中継は大いに意味があると思います。

これを可能にしているのは、ABC放送のニュース専用チャンネル(20ch)の存在であると思います。日本のNHKもニュース番組は多いですが、さすがにニュースばかりやっているわけではないですよね。確かに20chもニュースオンリーという訳ではないですが、ほぼニュース番組です。さらにいえば、一日のうちに劇的なニュースがそうそう起こるわけでもないので、一日中、同じニュースを流しているというようなこともあります。「あれ、このニュース午前中に聞いたな。」なんてこともよくあります。

前置きが随分長くなりました。このように多用される記者会見ですが、これらを見ていて、気がついたことがあります。それは、記者から質問を受けて、それに回答する場合、

「Look, uh...」という言葉から始まっている、ということ。

初めに気がついた時は偶然かなとも思ったのですが、ギラード首相も、トニーアボット野党党首も、はたまた昨日会見していたヴァージンオーストラリアのスポークスウーマンの方も、皆、この言葉「Look, uh..」から回答を始めていました(笑)。しかも1回だけではなく多用していました。日本語にあえて訳すとすれば、「えー、それについては・・。」ですかね。「見る」という意味がないのは一目瞭然です。

いずれにしても非常に便利な言葉だと思います。皆さんも、ニュースで何らかの記者会見を見る場合は、文頭にちょっと気をつけてみることをおススメします。

ギラード首相ピンチ??

2011-06-19 21:52:23 | オーストラリアについて
日本と同様にジュリア・ギラード政権が誕生してちょうど1年になります。その当時も、日本の政治状況と類似する点が多いなと思ったのですが、1年たった今でもその状況は変わらないようです。

ある世論調査によれば、労働党の支持率は41%と保守連合の59%を大きく下回っています。一方で、労働党党首として誰が適切かという問いについては、ギラード氏31%に対して、前首相のケビン・ラッド氏が60%とラッド氏が大きくリードしています。ジュリア氏の支持率は戦後最低レベルにまで低下しており、昨年ケビン氏が追放された際の支持率よりも低いとの指摘もあります。ヴィクトリア州、ニューサウスウェールズ州で行われた総選挙でも労働党は惨敗し、政権の座を明け渡しています。労働党の低落は州レベルにとどまらず、政府レベルでも大きな流れとなっているようです。

最近では、炭素税(carbon tax)の問題、さらには難民をマレーシアに送るという問題、生体牛のインドネシア輸出禁止の問題など、労働党政権への風当たりが非常に強いものになっており、決して楽観視できる政治状況ではありません。労働党政権内からもギラード氏の政策に公然と反旗を翻る議員もいたりして・・。あれ、これは日本でも同じですね。

興味深いなと思うのは、1年前に、あんなに劇的に、いやもっと具体的にいえば、毛嫌いするように追いだしたラッド氏待望論が国民の間で広がっていること。リーダーが変われば、政治が変わるというのは、どこの国でも共通のことだと思いますが、それにしても1年間で、前任者待望論が出るとは決して「正常」な政治状況にあるとは思えません。

とはいえ、オーストラリア経済は、資源ブームに支えられ、当面安定成長を続けることでしょう。経済情勢がポジティブなうちは大きな問題にならないかもしれませんが、それがはじけた瞬間・・。さて、どうなるのか。さらに注視していく必要がありますね。

もちろん、さまざまま世論調査が行われており、調査主体に「色」がついているのはごく当然のことなので、結果も100%鵜呑みにするわけにはいきませんが、一般論としてギラード氏が苦境に立たされているのは間違いないと思います。ただ、支持率なんて気にしない!という堂々としたギラード氏の態度には敬服すべき点もあると思います。まぎれもなく、労働党の苦境を支えているのは、ギラード氏個人の人気に他ならないでしょうから。

生きた牛のインドネシアへの輸出禁止!!

2011-06-08 22:24:59 | オーストラリアについて
先週、生きた牛のインドネシアへの部分的な輸出禁止についてふれたところですが(その際のブログ記事は → こちら)、その後もこの問題は広がりを見せ、今日、正式に、インドネシアへの生体牛の全面的な輸出が禁止されることになりました。

詳細は → こちら

「インドネシアで動物福祉を厳格に守るセーフガード制度が施行され、オーストラリア政府、国民、業界がその制度を信頼できるようになるまで生体家畜輸出を禁止する」こととなったようで、その措置は当面6カ月となったそうです。ただ、輸出できないことによる農家の補償等については触れられておらず、今後大きな問題となることが予想されます。

個人的な思いを若干述べさせてもらえば、もちろん、牛豚などの家畜とはいえ、動物福祉の観点から適切な取扱をすることは、一般論として重要だと思いますし、動物への虐待(この言葉が適切であるとするならば、ですが。)が正当化さえるわけではないと思います。

ただ、「製品」として輸出され、他国管轄の領域に入った以上、それをどう扱うかは、一義的に当該国の主権の及ぶ範囲であり、輸出元であるオーストラリアが、輸出先であるインドネシア政府に対して、どーのこーの言う権利は本来ないはずです。しかも、「貿易」というのは民民ベースで行われているので、政府がその様態に介入することの是非も論点になると思います。

前回の記事にも書いたのですが、対応がラディカルですよね。熱しやすいというか。

しかも、こうやって急に停止してしまったときって、世論が盛り上がっているので、それを再開するのにはものすごく大きな労力を払わなければいけないんですよね。それは輸出禁止と決めるよりも10倍以上大変なことだと思います。いやはや、まだこの問題は尾を引きそうですね。

二代スーパーと新党結成

2011-06-07 23:37:46 | オーストラリアについて
ご存知のとおり、オーストラリアには二大スーパーマーケットとして、ウールワースコールズがあります。そのシェアを調べてみたのですが、ウールワースが約4割、コールズが約3割。両者で7割以上のシェアを占めることになります。

ちなみに、日本では、大きい順に、イオン(約14%)、イトーヨーカ堂(約12%)、ダイエー(約9.0%)となっていますが、これら3社を含め、大手5社を全て足しても、シェアの約45%にしかならないんですから、7割以上を2社が独占しているというのは「異様」と言っていいと思います。

ウールワースが好きか、コールズが好きかは、まさに好みの世界です。個人的にはコールズの方が、安い(気がする)ので、コールズ派です。

そんな中、クイーンズランド州選出議員である、ボブ・カッター氏が新党を立ち上げました。その名も、「Katter's Australian Party」(あえて日本語に訳せば、「カッターのオーストラリア党」でしょうか。あまり響きはよくないですね笑)

氏は、もともと国民党所属だったのですが、党の政策に不満を持ち、独立派として行動。昨年の選挙の際には、キャスティングボートを握る重要な議員として連日マスコミの注目を集めました。最終的に保守連合を支持したのはご案内のとおりです。

氏は、農村部を中心に支持を得ており、農業に対する保護を訴えることでも有名ですが、氏の党の政策の中に、「ウールワースとコールズのシェアを22.5%以下にする」という奇抜なものがありました。実を言うと、これは、氏が選挙前からずっと訴えていたことではあるのですが・・。

アイディアとしてはおもしろいですよね。ただ、実際はどうやってやるのでしょうか?そこら辺は不明です。想像するに、例えば、州ごとに会社をつくるとか、ウールワースの生活用品部門は別会社にするとかですかね??現在の、二大独占体制がいいかどうかは別にして、資本主義体制への大きな挑戦であることは間違いなさそうです。

補足:正確にいえば、ウールワースは、「ウールワースズ」なんですよね。英語でも「Woolworths」となっています。まあ、最後のSは忘れ去られているか、もしくは発音されてもほとんど聞こえないのが実情なので、上記の記載でも、Sを除いた「ウールワース」の表記で統一しています。

最低賃金が時給1300円だって!?

2011-06-06 22:51:37 | オーストラリアについて
オーストラリア政府機関である、Fair Work Australiaは、来年度(つまり来月7月から)適用されるべき最低賃金を発表しました。発表によると、最低賃金は、現行の週給569.9豪ドル(約49,000円)から589.3豪ドル(約50,680円)に引き上げられます。引き上げ幅、3.4%。時給に換算すると、現行の15.0豪ドル(約1,290円)から0.51豪ドル上昇し、15.51豪ドル(約1,330円)となります。。労働者全員が対象となるわけではなく、組合に入っていない等社会的立場が弱い人に適応され、約140万人が対象となっています。

解説記事(日本語) → こちら

Fair Work Australia(英語) → こちら

日本の地域別最低賃金一覧(厚生労働省) → こちら

単純に考えて、時給1,300円というのは大きいですよね。ワーホリなどの場合、税金で約30%持っていかれてしまうので、そっくりそのまま財産になるわけではないですが、若い人には大きな魅力であると言えます。

日本の最低賃金は、最低賃金法等に基づいて、都道府県ごとに定められており、加重平均では730円です。これは全ての労働者に適応される(オーストラリアは一部の人のみ)ものなので、単純には比較できませんが、やはり格差は大きいですね。若い人が高給に憧れて渡豪するというのもうなづけます。

個人的感想を言わせてもらえば、高賃金の対価としてのサービスがしっかりしているかというと、そうでもない気がします。もちろん美味しいレストランもありますが、簡単なものでも、例えば日本で言えば1,000円かからずに食べれるようなものが、2,000円、3,000円することはざら。それは、ひとえに高い人件費を価格に反映しているからでしょう。賃金の高止まり。そんな言葉が適切ですね。マックで働く女子高生のバイトもかなりいい給料もらっています。

ただ、留学生やワーホリなどがバイトをする場合は、最低賃金以下で働かされるような場合も多いようです。現地の制度もよく分からないですしね。

個人的には高すぎる賃金は懐疑的です。もっとも削減しにくいのは人件費であり、その意味で経営努力、価格競争のインセンティブを失わせるでしょう。一度手に入れてしまった高給は既得権益となるのはどの国でも事情は同じだと思います。

生きた牛のインドネシアへの輸出禁止!?

2011-05-31 23:35:48 | オーストラリアについて
私は生放送では見ていなかったのですが、昨日ABCで放送された「Four Corner」というドキュメンタリー番組で、オーストラリアからインドネシアに輸出された家畜(牛)がと畜場で「虐待」を受けているシーンが放映されました。水をかけられたり、変な体勢で引きずられたり、見ていてむご苦しくなるようなシーンでした。

詳細は → こちら

ただ驚くべきはここから。

この番組を受けて、オーストラリア農業省は、(番組上で問題とされた)インドネシアへの数か所への生きた家畜の輸出を一時停止し、インドネシアにおいて、(輸出された)家畜が人道的にどのような扱いをされているのかを調査する方針を決め、即時実行しました。

もちろん家畜とは言え、「虐待」(という言葉自体も、議論になると思いますが)するのは一般論として不適切であり、動物のストレスなどを考えた際に、できるだけ心地よい環境で暮らしていけるように取り扱うことは必要だと思います。動物のストレスは肉質にも大きく影響してきますからね。

ただ、先進国と途上国の状況は一概に同じではなく、自国と全く同じ基準を求めるというのは必ずしも適切ではないですよね。

さらに興味深い点は、この取材を行ったのが、「Animal Australia」という動物愛護を主眼としたNGOであること。
マスメディアには権力を監視する機能(告発も含めて)があるのはその通りだと思いますが、1つのNGOがもたらした情報が、そして一つの番組が国の政策をちょっとだけとはいえ変更させるというその影響力の大きさには単純に驚いてしまいました。さらに予想どおり、この問題に飛びついたのは、「緑の党」であったことは想像に難くありません。

これは直感的な感想ですが、オーストラリアにおける環境問題に対する関心は必要以上に高いと思います。炭素税の導入が議論されているからという時事的な要素を抜かしても、です。そのくせ、今日のように寒い日でも冷房を入れていたり、ゴミの分別は適当だったりと矛盾している!と突っ込みたくなるところは多々ありますが・・(笑)

そしてオーストラリアの環境問題への関心は、理論的な側面(経済への影響云々)よりも直観的・感情的な側面が強いと思います。つまり、動物がかわいそう→輸出を止めるべきだという理論になるわけです。

若干飛躍しますが、シーシェパードの活動がオーストラリア国内で支持されるのも同種の論理です。シーシェパードの行為が報道されないという側面はもちろんありますが、クジラがかわいそうだから、捕鯨はやめるべき!という論理になるわけです。
(捕鯨については思うところはいろいろあるのですが、長くなりそうなのでまたの機会にくわしく書きます。)

いずれにしても、今回の事例を通じて、マスコミの力とそれに敏感に反応する政府を見ることができました。日本ではこんなに早く行政が動くことは異例ですよね。そういった意味で行政風土の違いというのは興味深いですよね。

「オーストラリア」というニュースカテゴリー

2011-05-28 23:19:08 | オーストラリアについて
あまり知られていませんが、Yahoo!Japanのニュース欄には「オーストラリア」というカテゴリーも存在しています。もちろんオーストラリアのニュースは、現地のテレビ、新聞等の方が情報量も多いのですが、いかんせんフォローしきれない面も多く、日本語で読めるということもあり、ちょくちょくチェックしています。

http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/world/australia/?1288682273

オーストラリアの政治、経済などの堅い話だけではなくて、こぼれ話的なものまで幅広く非常に興味深いです。さすがに日本語で記事になるだけあって、日本と関連する話題(日本企業がオーストラリアに進出した等)が多いのです。

ふと気になったのですが、このカテゴリーに記事を分けるのって誰がどんな基準でやっているんだろう?と。Yahoo!ニュースのカテゴリーは無数にあるわけだし、これまた無数に発生する記事をいちいち分類していたら大変だろうな~と勝手に心配してしまいました。しかも、ニュース記事によっては複数のカテゴリーに存在するものもあるだろうし。

そして、ちょっと考えた上での、くまなりの結論。

それは、ニュースの題名や新聞記事の内容に、「オーストラリア」、「豪州」、「豪」という文字(キーワード)が入っているものは自動的に分類されるようになっていること!!なるほど、これならコンピュータが自動的にやってくれるから問題ないですね・・。

と思いきや、こんな記事も、「オーストラリア」カテゴリーに。

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汚染水処理装置、適正価格で=東電の経営に配慮―細野補佐官
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110526-00000149-jij-bus_all

細野豪志首相補佐官は26日の政府・東京電力統合対策室の記者会見で、福島第1原発の汚染水処理に関連し、「(仏原子力大手)アレバから(東電が)処理装置そのものを買い取ると聞いているが、価格の情報は持ち合わせていない」と述べた。その上で「それなりの適正価格はあり得べきだ」と指摘し、処理費用がかさんで東電の経営が圧迫される事態は避けるべきだとの認識を示した。 

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なんでだろう?オーストラリアとは関係ないのにな~と一瞬ひるんでしまったのですが、「細野豪志」補佐官の中に、「」という文字が入っていることを発見!!これは明らかにプログラムの限界というべきでしょうね~。見つけた瞬間ふと笑ってしまいました。

国民の幸福度:オーストラリアが1位!!

2011-05-24 22:07:29 | オーストラリアについて
OECDが、幸福度を測る指標として「よりよい暮らし指標」(Your Better Life Index)を開発し、その結果を発表しました。OECD50周年を機に制定されたこの指標は、住宅、収入、雇用、共同体、教育、環境、ガバナンス、医療、生活の満足度、安全、ワークライフバランスの11分野について数値化し、OECD加盟国間で比較することを可能にするものだそうです。

OECD東京センターの説明 → こちら

読売新聞の記事 → こちら

時事通信の記事 → こちら
花びらで図示できるようです。日本の花びらはちょっといびつですね。

結果からいうと、OECD加盟国(34カ国)中、オーストラリアは1位、日本は19位となったそうです。先進国の集まりであるOECDの中で真ん中程度ってのは微妙ですね。

この種の統計は、数値や統計の取り方によって結果が大きく変わってしまうので、結果だけを鵜呑みにするわけにはいきませんが、とはいえ、オーストラリアが上位にランキングされるというのは、心情として悪い気分はしないですよね。さらに余談ですが、オーストラリア国内でこの類の世論調査をした場合、アデレードが上位になることは決して少なくありません。これも気分がいいですね。シドニーやメルボルンなど大都市に比べて、こじんまりとしてはいるものの、落ち着いて生活できる(=満足度が高い)というのは、1年間アデレードに住んでみて、「確かに~!!」と実感できます。

ただ、この指標を説明するOECDのホームページに、

「The OECD is NOT deciding what makes for better lives. YOU decide for yourself.」
(OECDが、あなたにとってよりよい暮らしとは何かを決めるわけではありません。あなた自身が決めるんです。)

と、書いていたのは非常に印象的ですね。結局は個人の満足度。どんな場所でも、「住めば都」ということですかね。

2011年度予算発表

2011-05-10 23:34:35 | オーストラリアについて
ご存知のとおり、オーストラリアの財政年度は7月1日~翌年6月末まであり、来年度予算の概要が本日発表されました。報道等によると、ポイントは以下のとおり。詳細はこちら

○今年度(10/11予算)の財政収支赤字は、494億豪ドル(約4兆2千億円)であるものの、再来年度(13/14年度)は、35億豪ドルの黒字になる見通し。
○失業率は、今後2年間で4.5%に低下、経済成長率は3.75%を見込む。
○防衛予算を24億豪ドル削減。

今年の予算は、ギラード首相になって編成する初の予算ということもあり、注目されていましたが、事前に政府が(財政状況が)厳しい厳しいと触れまわっていたわりには、そんなに'Tough'ではないというのが、市場のとりあえずの評価のようです。ただ、スワン財務省は、演説で何回も'Tough'という言葉を使っていたのは印象的でしたが。

ただし、争点の一つとなっている炭素税の詳細は明らかにされなかったので、そこは注意が必要です。っていうか、こんなに資源ブームになっているのに、赤字っていうのは、やはり驚きですよね。ここで儲けなかったらいつ儲けるんだって。

びっくりしたのは、この予算発表が一種のお祭りのようになっているということ。ABCは'Budget 2011'という特別番組を編成し、いろいろな政治家に生でインタビューする等しています。


今日の発表は、日本でいえば、12月末の概算決定と同じ役割を持つものですが、概算決定のときに、それに特化した番組が編成されるなんてことは日本ではないですよね。加えて、一般家庭でも、みんなでパーティーやBBQをしながら、スワン財務大臣の演説を聞き、自分に関係する政策が来年度どうなるのかをわいわいがやがやと話し合うなんてこともあるようです。オーストラリアらしいといえばそれまでですが、かなりの驚きでした。

国家予算というものは、国民生活に影響を与えるのみならず、国の経済政策をも左右します。せっかくオーストラリアにいるので、この予算(今後は、日本同様、国会での審議に入ります。)の推移を個人的に見守って行きたいと思います。

アボリジニーと犯罪率

2011-05-07 23:04:28 | オーストラリアについて
Australian Institute of Health and Welfareの発表によれば、オーストラリアの先住民族であるアボリジニーの方の服役率が近年上昇し、ここ10年で約1.5倍に倍増したとのこと。

詳細は → こちら

この問題について考察する前に、アボリジニーの方々の置かれた状況を簡単に振り返ります。いうまでもなくオーストラリアはもともと先住民族であるアボリジニーの土地であったものを、西欧人が「開拓」という名の略奪により国の歴史を作ってきました。「白豪主義」が取られていた時代はその傾向が顕著になり、同化政策がすすめられるとともに、各種権利のはく奪もありました。こうして、先住民族としての誇りと生活を奪われたアボリジニーの数も徐々に減少傾向に向かいます。この間のことを、「Lost Generation」、またその間に育った子どもを「Lost Children」と呼ぶのは悲しい歴史を物語っていますよね。

しかし、1993年には「先住権」が認められ、アボリジニー居住地での居住権も認められるようになります。余談ですが、エアーズロック周辺の土地も、いったん、先住民に「返還」され、リゾートなども含めて「貸出」しているというのは有名な史実ですよね。最近では、「エアーズロック」(西欧から見た呼び方)ではなく、「ウルル」(先住民族の言葉)でこの一帯を呼ぶというのもこの関連です。さてさて、このあたりから風向きが変わってきます。政府は、過去の迫害に報いる術として、彼らに補助金を与えました。端的にいえば、この補助金をあてにして、仕事をしない、アルコール漬けになるなど、この補助金自体がまた大きな問題を引き起こすことになります。

都市で暮らすアボリジニーもいますが、多くはいわゆる僻地に住んでおり、もともと仕事が少ないという特殊事情はあると思います。ただ、ある統計では、非アボリジニーと比べて、失業率で約2倍、平均所得で3割~4割の違いが出てくるというのは、アボリジニーの置かれた社会的地位が今でも低いことの証左です。そして、低所得、犯罪率の高さ、喫煙率、進学率の低さなど、これらを実証するデータはたくさんそろっており、それぞれが密接に関連しているのは言うまでもありません。

2008年2月13日。ラッド首相率いるオーストラリア政府は、史上初めて、政府として公式にアボリジニーに謝罪しました。その際、アボリジニーの方々が、その演説を聞いて涙を流していた映像を見たことがありますが、その光景は非常に印象的です。アボリジニー界にとってはもちろん、オーストラリアにとっても画期的な出来事です。伝統的に、アボリジニー系の人々は労働党を支持する割合が高く、ラッド首相が、選挙の公約で、アボリジニーへの謝罪を掲げたことに端を発しています。もちろん、自由党などの右派は、過去の問題を蒸し返すなどとして反対していました。その演説(原文は → こちら(英語))の一部を抜粋します。

'To the Stolen Generations, I say the following: as Prime Minister of Australia, I am sorry. On behalf of the Government of Australia, I am sorry. On behalf of the Parliament of Australia, I am sorry.'

この演説には、謝罪(apology)という言葉は何度も使われているのですが、それよりも'I am sorry'という言葉の方が感情がこもっていて、無機質な印象を排してくれます。(実際、この場面がニュースで用いられることが多いです。)首相として、政府を代表して、そして議会を代表して、「申し訳ありませんでした」というのは、政治家として勇気のいる決断だったと思います。演説中(約4,000word:20分くらいか!?)、'sorry'という言葉を9回、'apology(又はapoligize)'という言葉を18回使用も多用(それぞれ数えました!)しています。

さて、ようやく、本題に戻ります。

前述のとおり、まだまだアボリジニーの地位向上は道半ばであり、犯罪・麻薬・アルコール等の諸問題がそれを妨げているということは否めません。余談ながら、NTでは、一人当たりの一日の酒類販売量を制限する(もちろん、酒びたりを防ぐためです。)決まりもあり、それを破った酒店店主が逮捕されるなどの事件も起きています。

ただ、オーストラリアの総人口に対する先住民族人口は2.5%(約35万人~40万人)なのに対して、刑務所人口では先住民族出身者が26%を占めているという統計はやはり「異常」であるといわざるを得ません。こういう言い方は不適切かもしれませんが、特にNTでは昼間から仕事をせずに街中をブラブラしているアボリジニーの方がたくさんおり(くまもアリススプリングスではたくさん見かけました)、非先住民の方から評判は芳しくなく、その対立が社会進出を妨げているとの指摘もあります。

人間の悲しい性ですが、一度もらってしまったものは「既得権益」になってしまい、それを「当たり前」に思ってしまっている限り、生産性向上はありえません。先住民の方への特別な配慮はもちろん継続的に必要ですが、「出口戦略」を検討する時期に来ているのかもしれません。ただ、これは大きな政治問題になることは必至ですが。

これまた余談ですが、キャンベラの旧国会議事堂の前に「sovereignty」(主権)と書かれたアボリジニーの旗が立っているのですが、実は、国会議事堂(新旧ともに)と戦争記念館を結ぶ、特別な意味がある一直線上に抗議の意味で立っているという事実は、日本のガイドブックには載っていないですよね。


旗の向こう側、一方には(旧)国会議事堂、一方には戦争記念館。

Stop the Boats!!

2011-04-27 23:24:34 | オーストラリアについて
「Stop the boats!!」は、「難民船の来訪を許さない。」という意味ですが、選挙の際には、与野党いずれの陣営もその言葉を主張し、もはやその政策にかげりが見えているのでは、と思えるほどです。

ご案内のとおり、オーストラリアは、一時、難民、移民に関して非常に寛容な政策をとっており(人口増を狙って)、アフガニスタンから等の難民の処置も比較的尊大に行ってきました。しかし、その政策が逆に難民の大量流入を招くこととなり、雇用、治安などの面で、地域社会に大きな不安を与えたことから、その来訪を制限するようになったというのが、これまでの大きな経緯です。さらに、これまで取り上げられることのなかった難民(申請待ちの人)へ対する処遇の悪さも重なり、事態は決して楽観視できません。

少し前になりますが、クリスマス島という島に設置されている難民センターで、難民らによる暴動が起き、大きな問題となっていました。

これに対処するため、先日、労働党政権は、「難民申請待ちをしている者が、国内で犯罪などを起こした場合、永住ビザを発行しない。これは過去にさかのぼって適用される。」という政策を発表しました。なんてことない発表に見えますが、上記のクリスマス島で暴動を起こした者に対する制裁的な意味を含んでいるのは間違いありません。

詳細はこちら
http://www.25today.com/news/2011/04/post_5473.php

野党としては、措置が甘い!と反発していますが、その結果いかん・・。

日本でもごみ処理場建設などをめぐって、地元に反対運動が起きることはままありますが、オーストラリアではそれが難民収容施設なのです。アデレードヒルズに難民収容所を作ろうとした時も、地元で大きな反対が巻き起こったという経緯もあります。地元住民の方の不安は、信条としてはもちろん理解できますが、国の政策(の方向性)をコロコロ変えることこそ、一番やってはいけないことなんだと思うのは決して私だけではないでしょう。

いずれにしても、オーストラリアが難民に対して、今後ますます厳しい態度を取るのは間違いなさそうです。

忘れ去られた戦争?

2011-04-24 21:11:29 | オーストラリアについて
ジュリア・ギラード首相は、日本での日程を終えて、次の訪問国である韓国へと向かっています。ところ変われば政治課題が変わるのも当然のことで、ギラード首相は、板門店を訪問したり、朝鮮戦争関連の追悼イベントに参加したりしています。明日がアンザックデーということもあるかもしれませんが・・、戦争ムード一色です。

ギラード首相は、朝鮮戦争時の「加平戦闘」(Kapyong Battle)の60周年追悼イベントに参加し、以下のようにのべました。

"You, the men of Kapyong, know your story,I believe it is time more Australians did."
(加平戦闘に参加された皆さんは、もちろん戦闘のことをしっているが、もっと多くのオーストラリア人がこのことを知るべき時がきている。)

詳しい説明は避けますが、朝鮮戦争には、オーストラリアも英連邦の一部として17,000人もの兵士が参加し、340人が犠牲となっています。しかし、朝鮮戦争にオーストラリアが参加していたこと、さらにはそこで死者が出ていること等は多くの場合見逃されており(おはずかしながら、くまも認識外でした。)、オーストラリア人でさえもその事実を知らない人もいます。

ギラード首相のコメントはこうした決して大きく注目されることのない事実に光を当てるという意味で非常に意義深いものだと思います。前述のとおり、明日はANZAC DAYなので、戦争関連のイベントは国内ではいくらでもあるわけです。それに参加せず、あえて、韓国しかも、朝鮮戦争関連のイベントに参加すること自体は画期的とも言えます。こうやって、国全体で戦争のことを考える日があるということ自体は決してマイナスではないですよね。(日本の終戦記念日や憲法記念日などよりもオーストラリアの方が、国のシステムそのものというよりも、退役軍人の方の業績にスポットを当てているのが印象的な感じがします。)

オーストラリア人にさえ忘れ去られた戦争・・。しかし、戦争はいつまでも「過去」にはならないんだと実感させられました。