1968年4月,私は教養学部(駒場キャンパス)から理学部化学科(本郷キャンパス)に進学した.このとき,進学生――すなわち新3年生――を迎えての儀式が化学教室の講堂で行われた.内容はほとんど覚えていないが,わずかに記憶しているのは,教室主任(=学科長)の挨拶のなかに,「銭の取れる化学者になれ」という言葉があったことである.当時の私はこれを,「一人前の化学者になるよう勉学に励め」との実に凡庸な訓示と受けとめた.「それにしても,商売野球の監督からの引用とは何と芸のないことか」というのが私の感想であった.当時,その監督(鶴岡一人氏)による「銭の取れる選手になれ」という言葉はマスコミを通じて世間によく知られており,私の耳にすら入っていた.
その数週間あとのことである.クラスメートたちに回覧されているノートのなかに,「銭の取れる化学者になれ」に対するY君の厳しい批判がつづられていた.その内容は,この数か月あとに全学規模で展開する大学闘争のなかで提起された課題に関わるものであった.すなわち,「何のための学問か」という問題である.私は,上に記した程度の感想しかもてなかった自分自身を恥じた.
ときは1968年であった.医学部では学生たちが「医師法改正反対」を掲げて1月29日より無期限ストライキに入っていた.また,医学部全学闘の闘争による卒業式典の中止(3月)などをはじめとして,関連するいろいろな出来事が起きていた.しかしながら当時,私たちの周辺は,まだ《平穏》であった.
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さて,時代は一挙に飛んで,現在に至る.このところしばしば,「稼げる大学」という言葉が目に入ってくる.「稼げる大学」とは,むかし流行した表現にならえば,「銭の取れる大学」ということになろう.これは,直接的には,2022年に成立した「“国際卓越研究大学”に関する法」(☆)に由来するもののようである.もちろん,政府によって用いられた言葉ではない.その法律を批判する人々やそれを取り上げるメディアによって,まさに正鵠を射るものとして,用いられていたものである.
☆それにしても,「国際卓越研究大学」とは,何と大仰でケバケバしい名称なのであろうか.事実と論理の地道な積み上げで成立する学問の場にはまったくふさわしくないものである.奇態なキラキラネームを考案して悦に入っている親と同レベルの発想である.
政府にとって,大学の存在はつねに目障りなものであった.教員は政府のせっかくの政策に堂々と反対の論陣を張るし,学生は集団で反対闘争を組む.しかしながら,政府の大学に対する介入は,かつてはそれなりに《慎重》なものであった.それが包み隠さず露骨なものになったのは,2004年の国立大学法人化(小泉純一郎首相)以降であると思われる.ここでは,大学経営に「自己責任」が導入された.国から大学への予算(運営費交付金)はその後削減がつづき,他方では外部からの研究予算の獲得が要求された.加えて,知的財産権の取得や大学所有の土地を利用した事業など,とにかく稼ぐようにと急き立てられた.
締め付けはカネの問題だけではない.立法による従来の教授会の格下げや,大規模大学への「運営方針会議」の設置の義務づけによって,研究テーマや人事にまで政府の介入が可能となった.2020年の菅義偉(首相)による学術会議会員の任命拒否などは,これと軌を一にする事件である.
こういうなかで,東大において授業料の値上げが検討されているというニュースが流れた.ただちに反対の声は上がった.一部の学生も立ち上がったようである.しかし,多くの学生諸君はこれをどう受け止めるのか.身に降りかかったある種の災難として,あるいは自分にはほとんど影響のない他人事して,やり過ごしてしまうのか.
また先日(6月14日),東北大学が「国際卓越研究大学」の認定水準を満たしたとの発表があった.これに関し,東北大が作成した資料をウェブ上で眺めてみた.その内容はあたかも,企業における「方針展開」(☆)のようであった.政府の背後でこのような大学政策を求めている人々が理解し納得し喜ぶような形式と内容なのであろう.しかし,大学が自民党政府(文部非科学省)の方針を展開してどうするのか.私は,バカバカしさを通り越して,哀れみを覚えた.付け加えておけば,この東北大に関する報道において,審査した「有識者会議」は「収益を拡大する戦略などが明確になり,妥当だと判断した」との記述があった.「収益の拡大」――これが大学に求められていることなのである!
☆「方針展開」とは,トップ(CEO)の方針を,報告システムに沿って,より下位のマネージメントに順次展開することである.最終的には,直属上司の方針を受けて,各担当者の方針が定められることになる.
はっきりと言っておくが,私自身は旧来の大学の運営および学問には強い不快感をもっている.だから,academicな研究者を志しながら,早々とそこから足を洗ったのである.しかしながら,このような政府の一連の施策は大学をマシにするのではなく,その荒廃を加速させるばかりである.大学自体にはもはやこれを阻止する意思も気力も体力もないのであれば,主権者としては,投票行動によって,政府をあらためるしかないであろう.
唐木田健一
マイケルソンモ─リ─のオモチャを使った重力波望遠鏡???
どうみても研究予算獲得だろうが~ あ〜 全て地球振動のデ─タです 例外的に宇宙からの縦波による衝撃波はあるかも知れませんが
かつてノ─ベル財団は 一度でも正しく相対性理論を理解できたことがあろうか
既に百年以上経過しているが
ところが 特殊相対性理論の事例
いま亜光速で移動する宇宙船があり(まあ本来 私の相対性理論では 何に対する亜光速からすすめるべきだが 仮に宇宙背放射の赤方偏移の無偏移地点からとする)
宇宙船内では 窓枠外から真横に走る光線だ この光は宇宙船の速度に応じて 実際は斜め後ろから来た光だ(アインシュタインのいう光行差の思慮)
さて考えるべきは この宇宙船内を走る光線の軌跡についてだ
ロ─レンツ収縮のきいている宇宙船内を通る光は 恐らく湾曲するのだろう
さらにもし宇宙船内を真空にした場合でも同じような湾曲があるかどうかの一点だ
現在私にとりエ─テル含めた上での大問題になっていて まあ年内に解けるかな? と考えている
宇宙背放射→宇宙背景放射