題名と作者名は昔から言えるのに読んだことがなかった一冊です。理由はすでにこのブログで記していますが、カタカナの人物名は自分の頭の中でイメージしづらいのが理由です。読書中に何度もページを戻らなくてはならないという個人的な弱点によります。
この作品では舞台に上がる人物は10名という設定ですが、それでも「この人はえーと…」と思いページを戻る。おそらく私のような人はたくさんいるとみえて、ブックカバーをめくったところに10人の名前と職業が書かれています。何度お世話になったことか。会話部分が多いのでわりに「スピード感」をもってページをめくっていけます。退屈なベッドの上のこと、1日で読み終えてしまいました。
ふつうは文章を読みながら頭の中で風景を作り上げていくものですが、出来のよくない私の頭ではリアルな(実写版)の風景が作れず、毛利小五郎が出てくるコミック(またはアニメ)でしか風景を作れませんでした。実写がない!妙なものです。
しかし筋書きは完璧。ロンドン警視庁をもってしても謎を解けないものですから、残りのページ数が少なくなると読者は不安になります。最後は犯人が瓶に入れて海に流した手紙で種明かしがなされ、読者もほっと一冊を読み終えることができる。完璧です。
はじめのほうで、10人が死んでいく暗示となる童謡が提示されます。横溝作品によく出てくるあのパターン。本作が1939年に書かれたということは横溝氏も本作をヒントにしたのかなと思ったりして。ウィキペディアの横溝正史のページを確認すると「せめてなりたやクリスティ」と言ったようで、彼はアガサ・クリスティを強く意識していたようです。
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