ぶろぐのおけいこ

ぶろぐ初心者は書き込んでみたり、消してみたり…と書いて19年目に入りました。今でも一番の読者は私です。

分身 東野圭吾  集英社文庫

2023-12-05 19:40:55 | 読んだ本

 まったく別の土地で育った二人の女子大生は、まるっきり同一人物であるかのようにそっくりであるが、二人ともが自分の出生について探るうち、大きな事件に巻き込まれていくおはなし。

 すごい筋書きを拵えたものだと感心します。もっとも私みたいな素人が感心したところでたいした誉め言葉にもならないでしょうが、これも病室で1日で読み終えてしまいました。

 パラパラっとめくって字が小さい。行数を数えると1ページに19行詰め込んであります。試しに文春文庫の『秘密』を開いてみたら17行。令和の時代にこの字の小ささはないだろうと奥付を見ると、この文庫の初版は1996年。30年近く前の文庫を読んでいることになります(手元にあるのは第65刷で2008年)。本屋で自分で選ぶなら、まず候補に挙がらないだろうなと思いました。

 ただ、今回は本選びに文句を言ってられません。病室から注文をつけて、ご主人様が適当にもってきてくれた一冊です。とにかく小さい文字を追っていきました。引き込まれていきます。

 Wキャストです。氏家鞠子と小林双葉。二人が交互に一人称で語っていくスタイルです。時折、私の中で二人が混同されてしまいますが、作者は鞠子には「私」を、双葉には「あたし」と自分のことを呼ばせ、育ちや性格の違いを表現しようとしています。ふと気になって『聖女の救済』を確認してみたら、真柴綾音は「私」、助手の若山宏美は「あたし」でした。ついでに内海薫は「私」でした。


 こういう作品ってきっと映像化されているのだろうなと思ってウィキペディアを覗くと、2012年にWOWOWで制作、放送されていました。誰が出ているのかなと思ったら、鞠子は長澤まさみ、その幼少期に上白石萌花。えっ?じゃ双葉は?と思ったのですが、別な人が演じられるわけがない。長澤/上白石ですよ。じゃ高城晶子は?心配しなくても長澤さんでした。

 単行本としては1993年の発行。30年前の作品なのにまったく古さを感じないお話でした。


 たぶん、私が読む東野作品はいったんこれで終わりになると思いますが、東野作品の筋書きの大胆さと描写のきめ細かさを思うことです。入院していなきゃ、本棚にあるのがわかっていてもおそらく読むことはなかったでしょう。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 夢はトリノをかけめぐる 東... | トップ | 流星ワゴン 重松清  講談... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

読んだ本」カテゴリの最新記事